俺が初代魔王なんて間違っている。 作:すのどろ Snowdrop
2話:虚偽
「お目覚めですか、勇者様方」
ようやく召喚士様のお出ましか。
銀色の長い髪を縛らずに自然な感じで下げ、蒼い瞳。全体的にすらっとした体型、所謂美女、というものだろう。
周りの男はゆっくり歩いてきたその人に見蕩れていた。一部の女子も見蕩れていた。
しかし、何故か俺が見ると灰を被っているように濁って見える。特に興味もわかないからいいが。
「私の名はアルテミシア。この国の王妃です」
誰もが喋らず、言われたこと、今の状況にボケっとしている。
「葉山、お前のターンだ」
俺は近くにいた葉山に声をかけ、こちらに戻ってこさせた。もちろん、俺がやるという手もあったが、俺じゃなんの影響も与えないだろう。
「あ、あぁ、すまない、比企谷」
謝ってる暇あったらさっさと言えよ。
「アルテミシア様、ここはどこなのでしょうか」
「様はいりませんよ。この世界はネピアといいます。そしてこの国はメモリアです。現在、この国は、世界は、魔王の侵攻を受けています。しかし、その侵攻は止まる気配を見せず、それどころかより過激化してきています。そこで、異世界召喚をさせていただきました」
「元の世界には戻れますか?」
「えぇ、戻れます。魔王の討伐、封印をしていただいた時には国民総出で魔力を練り、元の世界に戻る魔法を使います」
嘘つくなよ。この世界には召喚魔導や封印魔導はあっても帰還魔導なんてないぞ。あっちで召喚魔導使わない限りはな。
まぁ、俺はこの世界から離れたくないが。魔王でいた時は楽しかったし。
「ふざけんなよ!こっちでの安全保障できんのかよ!」
「なんで私がこんなめに遭わなくちゃいけないの!?」
まぁこれはうん、仕方ないよなー。異世界転生最初の難関的な感じだしな。
「大丈夫です。外に出るのは危険ですが、レベルが25になれば安全ですから」
何言ってんの?魔王倒すまでにレベルは最低でも350まで上げなきゃいけないんだから甘ったるいこと言ってんじゃねぇよ。いや地道にやってけば関係ないけど。それに俺にはもっと関係ないけど。レベル350まで最低5,6年かかるし。
「そのレベルまでの保証はできんのかよ!」
「えぇ、大丈夫です。我らが命に変えてでもお守りしましょう」
レベル25までだったら1ヶ月頑張れば終わるか。
まぁ、数年経つとそれまでに俺、レベル400になってるかもだけど。
はい、レベル350以上はそんな簡単にレベル上がるほどこの世界は甘くないです。だって、同じレベルのやつ皆無だもん。
「皆!頑張って魔王を倒して、元の世界へ帰ろう!そのためにも俺が引っ張っていく!」
そこらじゅうから声援が上がる。だが、お前にできんのか?葉山。まぁ、その努力も無駄になるだろうが。
お前に殺されるくらいなら自殺した方がマシな気がするよ、俺。
「では皆様、こちらへどうぞ。城へ案内します」
その城壊してやろうかな。
「お兄ちゃん、どうするの?」
「国王殺してから出るか」
「殺すんだ……」
材木座や戸塚、川…サキサキ、雪ノ下や由比ヶ浜、一色はどうしようか。それなりに強くないと元ダーカライブでは生きていけないしなぁ。
「なんなら城も壊したい」
「お兄ちゃん……」
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「こちらがメモリア国王、ユリアス様の王室にございます」
国王……殺したい!
てかこっちの世界に来てから殺人欲がでているのだが……どうしようか。
「お兄ちゃんお兄ちゃん、なんか胡散臭いよ」
「おっさんくさい?」
由比ヶ浜、口あけないで?
「おっさんくさくはねぇよ……」
「先輩……」
一色はシュンとした表情で袖を掴んできた。やはりこの世界から帰れるのか不安があるのだろう。いや、この世界自体にも不安はあるだろう。教室でも弾けたやついたっぽいしな。全校生徒の1/5くらいになってるし。
………、コイツは連れてってやるか。
「ようこそメモリア王国へ。我はユリアス。早速で悪いとは思うのだが、こちらの水晶に1人1人手を翳していただきたい」
身分証明書にもなるカード。あれは誤魔化しきれないな。
「……小町、アレは誤魔化せないぞ。どうする?」
「やっちゃう?」
「ま、俺は魔王だからな。最後の方にやるか」
わー!きゃー!ふぃー!
歓声に口笛。うっさい。誰だよカード作ったやつ。
「えー、名前はハヤマハヤト、Lv.8、HP:1510、MP:856、種族:異世界人で称号は初代勇者に近し者」
んだよ、葉山か。初代勇者に近し者、ねぇ。小町を超えられるかね?
「取得スキル:火、水、氷、雷、土、光魔法、聖魔導、封印魔導、支援魔法、剣術、索敵。ふむ……、頑張りたまえ」
「ハイッ!」
それから数十人がカードを作り、俺の番の直前。
その前に俺の関係者の紹介を。
名前:雪ノ下雪乃
種族:異世界人(以下略)
Lv.5
HP:580
MP:1720
称号:氷の使徒
取得スキル:水、雷、土、光魔法、氷、聖魔導、封印魔導、使役魔術、料理、裁縫、乗馬、本物を……
名前:由比ヶ浜結衣
Lv.3
HP:1200
MP:700
称号:なし
取得スキル:火、雷、光魔法、回復魔法、支援魔法、封印魔導、索敵、料理……、本物を……
名前:一色いろは
種族:異世界人(?)
Lv.6
HP:1049
MP:800
称号:なし
取得スキル:火、水、雷魔法、光、闇魔術、封印魔導、索敵、使役魔法(♂、男のみ)、吸撃、料理、本物を……
名前:戸塚彩加
Lv.4
HP:795
MP:763
称号:天使
取得スキル:光魔法、治癒魔導、支援魔法、封印魔導、索敵、本当の友のために……
名前:材木座義輝
Lv.9
HP:1402
MP:520
称号:自称剣豪将軍
取得スキル:闇魔術、剣術、封印魔導、本当の友の為に……
名前:川崎沙希
Lv.8
HP:1304
MP:725
称号:なし
取得スキル:拳術、付与魔法、封印魔導、火魔法、索敵、料理、裁縫
名前:三浦優美子
Lv.8
HP:950
MP:706
称号:おかん、女王
取得スキル:水、雷、土、光魔法、火魔導、封印魔導、剣術、使役
名前:海老名姫菜
種族:異世界人(?)
Lv.7
HP:730
MP:1031
称号:腐女子
取得スキル:腐魔術、封印魔導、限定テレポート
名前:平塚静
Lv.9
HP:1210
MP:604
称号:独神、教師
取得スキル:拳術、支援魔法(自身のみ)、火魔法、付与魔法、封印魔導
……………以下略。
「次の者」
ついに俺の番か。さて、と。
水晶の前に立ち、水晶の後ろに座っている国王を見る。ガン見というやつだ。もちろん、失礼な行為である。
「貴様!」
国王の近くにいた騎士が剣を抜き、俺に斬りかかる。
「いやぁぁぁぁ!」「比企谷君!」「比企谷!」
「きゃぁぁぁぁ!」「「八幡!」」
鑑定。相手に視線を合わせ、そのカードを読み取る。
Lv.89。論外だな。
俺はゆっくり手を伸ばし、振り下ろされる剣を掴む。
『は?』
誰もがそう思っただろう。特に目の前のこの男は。
「解除」
虚偽の申告を解除した。つまりは魔王という姿を晒すということ。肩甲骨あたりから悪魔のような翼、頭からは大きな角が生え、目は紅く染まった。服装もいかにも魔王なものに変わる。
まわりの生徒や先生からはざわめき、まわりの騎士達は剣を抜き、魔法の詠唱をする声が聞こえる。
「小町〜!」
「あいあいさー!解除♪」
小町の姿は勇者のそれに変わる。まわりのざわめきは更に大きくなった。
俺は国王に手を翳し、最悪の魔法を唱えた。
「汝に死の宣告を!」
さぁ、蹂躙の始まりだ。
賢者を冥界側の味方につけるか否か
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味方にする
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しない
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味方にして、R18指定のストーリーを出す