VividStrikeScarlet! ~コラボ集~ 作:tubaki7
「えーっと・・・つまり、きみ達はそのシュウさんのお父さんの発明品を見つけ、それで遊んでいたらなんらかの理由でこっちの世界に飛ばされてしまったと」
「はい。ザックリとですがそんなかんじです」
シュウと名乗る少年とどこか頭のネジが二、三本飛んでしまっているようなテンションのヴィヴィオとアインハルトを保護したリンネとアスカはギンガへの報告も兼ねてナカジマジムへと戻っていた。三人が現れた現場は現在封鎖、立ち入り禁止とされている。重要参考人として、あくまで害はないと判断したアスカの意向によりここに連れてきたまではいいものの、肝心の参考人はやたらハイテンションでもう一人の自分と話をしている。どうやら相当ギャップがあるらしくそれが楽しいらしい。
「パラレルワールド・・・次元世界ってのも便利な言葉だな」
「じゃな。ところでお兄ぃ、あっちでおっきなヴィヴィさんとハルさんにちっこいヴィヴィさんとハルさんがなにやら質問攻めにあっとるんじゃがいいんか?」
「ん?あー・・・うん、なんていうか俺同じタイプのキャラとは関わらないでおこうかなって」
「遠巻きに面倒なだけじゃろまったく・・・」
ギンガによる事情聴取の行われている間、はしゃぐ後輩ズを見て距離を置くアスカ。そんなアスカと今度はシュウと目が合う。
「悪いな、その・・・うちのが」
「いえ、そちらも大変でしょうからこのくらいは・・・いやでも、うん。一言言わせてください」
「ああ」
「悔しいですッ!」
「何がッ!?」
某芸人チックな顔芸をすればすかさず飛んでくるフーカのツッコミ。息の合ったコンビネーションと言えば聞こえはいいがやってるフーカからしてみればこういうのは自分よりも適任がいるのになと若干の精神的疲労を覚える。ああ、ツッコミがほしい。できればそう、こう容赦のないセメント系のがいい。そんな望みを青空に託しつつ強引に異世界組にらちられるまで願っていた。
◇
取り調べを終え、ひとまずはパスの発行が優先という事で観光がてらに三人を案内することになったアスカ。そして自らそれに同行することとなったヴィヴィオとアインハルトを含めた6人でクラナガンの街を歩く。
「いやーホントに寸分たがわず一緒ですね」
「それはそうとヴィヴィオさん、なんでサラッとシュウさんの左腕にくっついでるんですか。そこは私の場所です」
「心臓に近い左腕は正妻のポジションです。ほら何もおかしなことないですよ?」
「ギルティ」
渦中の本人そっちのけで火花を散らす二人。そんな二人を乾いた笑いで観るヴィヴィオとアインハルト。何故かぐぬぬとハンカチを食いしばるアスカというなんともカオスな空間にシュウは溜息をついた。
「悪いな。その・・・うちのが」
あれ、これさっきも言った気がするぞとデジャブを覚えながらも謝罪の意を口にする。
「い、いえ!普段も賑やかですけど、これはこれでなんだか楽しいなって」
「はい。なんだか先輩が増えたみたいで私もちょっと楽しいです」
「アスカ、こっちの二人はいい子だなぁ・・・!」
「でしょでしょ!?」
何故か意気投合し始めた二人。余程の苦労がるのか、こちらの二人を見て涙を流すシュウの姿は周囲の人間から見ればかなりシュールに映っていることだろう。この状況をおさめる術を持たないヴィヴィオとアインハルトではあるが、今回ばかりは自分達がしっかりしなければと気合を入れ中々進まない道中を一生懸命引率する。やがて役場に到着した一行は疲れきってしまった二人に代わり、次はアスカがその後を引き継いで手続きを行っている。
「・・・あ、あれ」
不意に、ヴィヴィオが指を指す。そこにはデカデカと一枚のポスターが貼ってあった。
「あ、あれですね。先輩がインターミドルで優勝した時の」
「優勝・・・ということは」
「はい。ジークさんを下し、初出場で優勝したんですよ。それはもう、大変熱い試合でした」
そう自慢げに、自分事のように誇らしく話す二人。それをみてまた感動を覚えるシュウはおそらく間違ってはいないだろう。
「強いんだね、アスカさんて」
「はいっ。なんてったってナカジマジムのエース・オブ・エースですから!」
「そんな光栄極まりない名前で呼んでもらえるのはありがたいけど、もうちょっと声を抑えてくれるとお兄さんもっと嬉しいなー・・・なんて」
「え?」と振り返れば周囲の視線が全てヴィヴィオに集まっているのに気づく。一気に顔を真っ赤にしもじもじと恥ずかしがるヴィヴィオに何故かもう一人のヴィヴィオは涙を浮かべる。理由をもう一人のアインハルトが聞けば、「何だか純粋すぎて浄化されそう」と呟いた。少しは浄化されてくれと心の中で願うシュウだが、その実この二人のこういう訳の分からないテンションには内心助けられていると思っていた。異世界に飛ばされても、どこにいても。どんな時でも、この二人を見ていると不安なんて吹き飛んでしまう。
不意に、思わず顔がほころんだ。
「シュウさんはお二人のこと大切に思っているんですね」
「・・・・まあ、ほどほどにね」
「聞きましたかアインハルトさん。シュウさんは私を一番大切に思ってるらしいですよ。これで正妻の座は私のものですね。なのはママ、漸く孫の顔を見せられますよー!」
「公共の場でなんて破廉恥なこと言ってるんでしょうかこの子は。それに加えて難聴とはまったく救いようがないですね。さ、シュウさん行きましょう。彼も手続きが終わったようですし」
「おい、デュエルしろよ」
またもやバチバチと火花を散らす二人。ここが公共の場だろうと異世界だろうとこういうテンションだけは変わらないことに軽く頭を抱えるシュウ。大切なんだ。そう・・・ほどほどに。うん、多分。
◇
「そうだ、これから私の家に来ませんか?」
そんなヴィヴィオの提案で今は高町家へと向かっている。大所帯となる為あらかじめ連絡をしたところ、今日はフェイトも久しぶりの休暇ということで一緒に手料理を振る舞ってくれるらしい。それを報告すると何故か三人はガクブルと震え出した。季節は春。夏よりの春ということで日中も日が暮れてからも今は気温が高く半袖で一日過ごしていても寒くはない。ということはこの震え方はおそらく・・・・恐怖からくるもの。”高町家”と聞いて震えるのはなんとなくわかるアスカではあるが、訓練なんてするわけもなくただ普通にご馳走になるだけなのにこれはいったいなんなんだろうか。そんなアスカの疑問が晴れる間もなく、あと数分で着くと言う時にもう一人のヴィヴィオが恐る恐る口を開いた。
「あの、やっぱり行くのやめませんか?」
「あ、イヤ、でした?」
不安げな顔で見るヴィヴィオ。自分に見られているというなんとも不思議なシチュエーションだが、自画自賛と言われてもいい。やっぱり私可愛いなんてことを心中で漏らしながらも慌てて弁解する。
「違うの。ちょっと、今その・・・喧嘩、しちゃってて」
「あ、そういえばそうだったな」
思い出したようにシュウがポンと手を叩く。
「ですがこちらのなのはさんは私達の世界のなのはさんとは違うわけですし・・・問題ないのでは?」
「それはそーだけど・・・」
気持ちの問題なんですよ、と弱弱しくこぼす。ふむ、と少し考えた後、アスカが切り出した。
「じゃ、これからごめんなさいの練習しよっか」
「え?」
「アインちゃんが言った通り、こっちのなのはさんはきみ達の世界とは違うなのはさんだ。だから怒られることもないし出合い頭にエクセリオンバスターを撃たれる心配もない」
「あの先輩、気持ちはわかりますけどいくら何でもそれはないとおもいますけど」
「ジョークだよ、炎帝ジョーク。・・・・で、どうかな?」
考えるもう一人のヴィヴィオ。流石にこの提案には乗ってこないかと軽く諦めかけた時、シュウが後押しの言葉を入れる。
「俺も、その方がいいと思う」
「シュウさん・・・」
「きっと、心配してるぞ」
再び考えるヴィヴィオ。ややあって、静かに頷いて顔を上げる。どうやら迷いはなくなったらしい。それを見たアスカは先陣を切って歩き出す。
「・・・・でも心配な要素ってそこだけじゃなかったりするんですよねー・・・」
「ああ・・・そうだったな・・・」
「信じていいんでしょうか・・・」
未だに浮かない後方三人のモチベーション。まだ一抹の不安を抱えているらしいがそんなことはお構いなしといよいよ高町家へと到着してしまう。ヴィヴィオが先に玄関をくぐれば、中からきこえてくるおかえりの声に、もう一人のヴィヴィオは一瞬ビクンとなる。そんな彼女の両手を、シュウとアインハルトが繋ぐ。安心させるように、優しくそっと握られた手にヴィヴィオは二人の笑みを見て静かに深呼吸する。大丈夫、きっと大丈夫。そう自身に言い聞かせながら。
「いらっしゃいアスカ君」
「おじゃまします。なのはさん、この人達がさっき話した・・・」
「うん。・・・おかえり、ヴィヴィオ・・・・・・・・・・」
「あ、え、あの・・・・た、ただいま・・・」
ためらいがちにそう返す。それに満足したのか満面の笑みを浮かべるなのはを見て漸く落ち着いたのか笑みを浮かべるヴィヴィオ。
「ヴィヴィオ、おかえり。アスカもいらっしゃい」
「どもッス、フェイトさん」
「うん。・・・いらっしゃい。ゆっくりしてってね」
部屋から眼鏡をかけて出てきたフェイト。彼女が浮かべた微笑みに、三人はさながら魚のように口をパクパクと開いたり閉じたりして驚愕の表情を浮かべる。
「えっと、私の顔に何かついてるかな・・・?」
さっきまで書類整理してて寝ちゃったから、と照れ顔で自身の顔を触るフェイト。そんな彼女をアスカは鼻血を垂らしながらサムズアップでよくわからないいい顔で「さすがです、フェイトさん!」と満足げに言う。
「フェ・・・・フェイトさんが・・・・」
「ん?」
「ニンジャじゃ、ない・・・・!?」
「やっぱりここは異世界なんだ・・・私達本当に異世界に来てるんだ・・・!」
「実感するとこそこですか。というかニンジャ?」
珍しいアインハルトのツッコミを経て、かくして一行は高町家へとやってきた。