VividStrikeScarlet! ~コラボ集~ 作:tubaki7
異世界。パラレルワールド。もう一人の自分。魔法が発展し、科学と並んで現代技術の主流として存在するこの世界ではそんな架空の物もありえないと一言で済ませるにはあまりにも簡単すぎて。可能性がある、別の時間軸として存在し続けるそれらは今もちゃんと独自の時を刻んでいる。
では、それがなんらかの因果で交わったらどうなるか?
『・・・と、いうわけなの』
「そんな・・・」
映像通信でシュウ達がこちら側に来る原因となったトーテムポールを調査していたマリエルとシャリオから”ブレイブハート”を介して報告を受ける。結果は、まず一つは
そして、帰還までに残された猶予は・・・・30時間。つまり、明日の日付変更までに装置を作動し元の時間軸に戻らなければならない。それを聞いてヴィヴィオが残念そうに呟いた。
「ありがとう二人とも。ごめんね、本来であれば私も手伝う筈なのに」
『何言ってるんですか。ここのところハードワークでフェイトさんはお疲れなんですから。本当だったら今手元にある書類整理も引き取りたいくらいです』
「あはは・・・」
「俺からもありがとうございます、シャーリーさん。マリーさんも」
『気にしないで。こっちとしては未知の技術に色々触れられて楽しかったから。ところで、シュウ君・・・だっけ』
「はい」
『そっちの私達って、どんな感じなのかな?』
技官二人の純粋な質問。その目には技術官としてではなく一人の人間として裏表のない質問ではあるが、シュウは真顔で「聞きたいですか?」と返す。その表情から何かを悟ったのか二人とも遠慮がちに『あ、まだ仕事があったんだった』と誤魔化す。それがいい。知らない方が幸せという言葉もあるように、好奇心で己を殺してしまわないのにこしたことはない。
食事を終え、ヴィヴィオとアインハルトはそのまま高町家に残ることとなりシュウとアスカは八神家へと向かう。
「今日は色々収穫があってよかったですね。ヴィヴィオちゃんも、だいぶ明るくなりましたし」
「ああ。・・・アスカ、何から何まで本当にありがとう」
「なんですか急に?」
「・・・・正直、不安だったんだ。知っているようで知らない世界に放り出されて、知ってる人たちも俺の事を知らない。そんな状況で、あの二人を守っていけるのかってさ。いつもアホみたいにぶっ飛んだテンションだけど、二人とも俺の大事な人だから」
「シュウさん・・・」
「シュウでいいさ。それに敬語もな」
「じゃ、シュウ」
「おう」
「さっきのセリフ、盗聴されてるよ?」
「アンのバカ共がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
◇
「・・・・えっと」
「なんというか、まあ」
イタズラでシュウに仕掛けた盗聴器から二人の会話を盗み聞きしていた四人。最初は「キャっ、シュウさんたらかわいい」だの「私の旦那さんは愛されキャラでもありますからね」なんて怖いノロケを言っていたが、最後の方になると急に照れてしまい先ほどのテンションはどこへやらといった感じである。
「お二人とも、シュウさんに大事に思われてるみたいでよかったですね」
「言わないでお願いだから。もうなんか、顔から火が出そう」
「こう見えて面と向かってでは絶対に聞けないような本心とかそーいうシチュに耐性がないんですよ私達」
「でも、嬉しいのでしょう?」
コクンコクンと頷く二人。最初は自分と同じ顔、声で戸惑ったものの、こうして一緒の時間を過ごしているとなんだか楽しくも思える。もっと仲良くなりたい、お話したい。そんなワクワクも、悲しい事に明日まで。なら、とヴィヴィオの発案でお泊り会となった訳だが思わぬ収穫に此方は此方でニヤニヤが止まらない。
「でもこれでオシオキ確定なんだよね・・・・きっとキッツいのが来るんだろうなぁ・・・・っ!」
「気持ち悪いですよヴィヴィオさん、ドMを発揮するのは一人でいる時だけにしてください。というか貴方そんな性癖あったんですね軽蔑です」
「そーいうボッチハルトさんだって、時折シュウさんの洗濯物を洗う時にクンカクンカしてるくせに!」
「おいちょっと待て聖王いや性王。どうして貴女がそれを知っている」
「その下着を先回りして先にクンカクンカしておいたからさッ!」
「ギルティ」
もう就寝前だというのに火花を散らす二人。それを宥めようとはせず、あえて面白いコントを見るかの如くベッドで眺めるヴィヴィオとアインハルト。
「あの、ヴィヴィオさん。これ止めなくてもいいんでしょうか?」
「いいと思いますよ?だって、なんだか楽しそうですし」
いや、アレ楽しそうなのか?と疑問符を浮かべるアインハルトだが、よく見てみれば雰囲気もどこか硬い感じも無くなっていることに気が付く。おそらくではあるが、きっと先ほどのシュウの言葉が二人の緊張をほぐしたのだろう。大切な人に想われている、大事にされているというだけで乙女というものはたとえ孤独であろうとも強くいられるものだ――――と、アインハルトは思った。
「あそうだ!明日リオ達と遊ぶ約束してるんですけど良かったら一緒に行きませんか?」
「え、いいんですか?」
「はい。きっと皆さん喜ぶと思いますよ」
「こっちのリオ達かぁ・・・・ね、コロナって時々鼻息荒くして何かメモとか取ってたりしてない?」
「いや、別にそんなことはないですけど?」
「まあ先輩がいない時は何故かボケようとしますけど・・・・」
「あの人のボケですか・・・そう言えば初めて逢った時から只者ではないと感じていました」
「ねね、アスカさんって、どんな人?」
「えっとですね・・・どこから話しましょうか」
「そうですね。まずは、私達が先輩と初めて逢った時からというのはどうでしょう?」
「いいですね。小さな私達の恋バナ、聞きたいです」
そうして、夜は更けていく。少女たちのはしゃぐ声は、その日の日付変更ギリギリまで続いた。
◇
「そういえば、さっきリンネが家に来たぞ?」
帰宅して早々、ヴィータから珍しい来客の報せを受けた。
「リンネが?」
「なんでも、アスカの好みの服装が云々って言ってたな」
「なんでまた俺の好みなんて・・・」
この男、自覚無しとは。あのアピールとコロコロ変わる表情をみて何一つ気づかないとはいったいどういう神経をしているんだと、先ほど”知人”から”友”となった少年を見てそう心の中でぼやく。これは明らかに好意を向けられているからだろうにと言ってやりたいがそれも野暮だと思い黙っておく。
「まあなんや、リンネもそーいうお年頃っちゅうことやね。ほんで、きみがシュウ君やね。始めまして、こっちの八神はやてです。一応立場上アスカのお母さんってことになっとるよ」
「えっと・・・・シュウです。よろしくお願いしますと、一晩お世話になりす」
「あの、なんで警戒するん?」
無意識に何故か半歩下がるシュウ。やはり異世界とわかっていても自分の世界の印象が強いせいでうまく緊張がほぐせないでいるのだろうか。
「いえ、その、すみません」
「あー、そっか。そういえば明日遊ぶって皆で約束してたんだっけ。シュウも一緒に行こうよ」
「いいのか?俺が行っても」
「実を言うと、ヴィヴィちゃんとハルちゃんに二人も誘うようにってお願いしてきたんだよね。こっちにいられる期間が短いわけだし、想い出づくりってことでさ」
「・・・・すまないな。じゃ、お言葉に甘えさせてもらうよ」
「シャマル」
「はい、なんですか?」
「アスカが・・・・アスカが男の子を遊びに誘ってるで・・・あのハーレム主人公街道まっしぐらだったあのアスカがぁぁぁぁぁぁ・・・」
何故か歓喜の涙を流すはやて。母親としては男友達がエリオしかいないのが余程心配だったのか、にしても子どもの立場であるアスカからしてみれば友人の前で堂々の号泣でたまったものではない。しかもボケではなく真面目に泣いているのだからもはや始末が悪い。
「あっと・・・・母さんはあんな感じ、かな」
「どっちの世界でもこの人はホント、フリーダムだな」
もはや苦笑いしか出てこない。そんなカオスな八神家のリビングを後にしてひとまず風呂に入ってからアスカの部屋に行く。
「これは・・・」
と、目についたトロフィーを見てシュウが言った。
「ああ、それは最後のウィンターカップでの時だね。その隣はU‐19の初優勝の時」
「どれも凄いな・・・これは、インターミドルか?」
「そそ。総合魔法戦技でのトロフィーだね」
「本当に強いんだな、アスカは。俺も身体能力に関してはそこそこ自信はあるが、魔導師と比べるとやはり劣る」
「そんなことないさ。さっきの足さばき、シグ姉とザッフィーが視線を動かすほどだったからかなりのものだと思うよ。何かやってるの?」
「格闘技・・・と言っていいかもな。あとは、まあ・・・あのケダモノ達を相手にしてると、な」
「ああー・・・なるほどね」
そう言って苦笑しながら客人用の布団を敷き終わる。その上にシュウが座り、自身のベッドにアスカが腰を下ろす。
「アスカは、どうして格闘技を始めたんだ?」
「八神家に引き取られる前は聖王教会でお世話になってた時期がちょっとあってさ。そこで騎士見習い扱いってことで色々やってたんだけど、本格的に始めたのはJS事件の後ぐらいかな。それまでは時間を見つけてもらってスゥさんだったり、なのはさんだったり六課の人達に色々教わってた」
「そうか。・・・・って、やっぱりだけどこっちでもあったんだな。あの事件」
「まあね。・・・・その時、さ。仲良くなったとある子がいてね。泣いてるその子をどうやってて宥めていいかわからなくて、ずっと傍にいる。きみを守るから泣かないでって言って。それを聞き入れてくれたのか、じゃあ約束ってことで指キリまでしてね。我ながらクサい台詞をよくもまあ言えたもんだよ」
「いいじゃないか、男らしくて。で、続きは?」
期待して目を輝かせるシュウに苦笑しながらもアスカは続ける。
「結局、その約束は守れなかった。悔しくて、自分が情けなくてさ。ボロボロのボッコボコ、そりゃもう酷いもんさ。その時かな。もっと強くなりたいって思ったのは。今まで漠然としてたけど、完膚なきまでに叩き潰されてやっとわかったんだ。自分がどうしたいのかって。そっからは色々あってさ。ちなみにルー・・・――――ルーテシアと逢ったのもその時期」
「ほう、是非聞きたいな」
「そこまで聞く?」
「聞くとも。というか、さっきは散々な目にあったからな。その仕返しだ」
わざと盗聴器のこと隠していたのバレていたのか。そう観念して口を開く。
「ホントに初めて逢ったのは、事件の終盤・・・ってコレ話して大丈夫かな?」
『問題ないかと。彼方の世界で起きていることの大半は此方の世界で起きたことと同じです。それに、彼はヴィヴィオ様の
愛機に問うとそう回答がかえってきたので問題ないか、と話を再開する。
「最初はヴィヴィちゃんを助けに無茶してゆりかごまで行こうとしてたんだけどね。途中でエリキャロコンビがルーと戦ってるのを見てさ。ピンチみたいでほっとけなかったから加勢したんだよ」
「・・・・ハッハーン、なるほどねぇ」
オチが読めたのか、何やらニヤニヤし始めるシュウ。
「な、なんだよ急に」
「べっつにぃ。さ、明日は朝あkら待ち合わせだろ?早く寝ようぜ」
「ちょ、俺にだけ色々喋らせといて自分は寝るの!?というかまだハルちゃんとのなれそめがまだなんだけど!」
「お前は喋りたいのか喋りたくないのかどっちなんだ」
と、そんなボケとツッコミをしつつ、こちらも夜が更けていった。
そして、翌朝早朝。事件は起こった。
「お、おはよう。兄さん・・・・じゃなかった。お、お兄ィ」
状況を整理しよう。ふと左側、布団で寝ているシュウの布団の中に二つの不自然な膨らみがある。おそらくは大きい方のヴィヴィオとアインハルトであることは明白。一番信じがたいのはこっちだ。まず朝起きたら銀髪の巨乳ギャルが乗っていた。
「――――なぁにぃこれぇ」
楽しくなるはずの朝は波乱の展開で幕を開けることとなった。
~高町家、ヴィヴィオの部屋にて~
ヴィ(小)「――――、も、もういいですか!?かなり恥ずかしいんですけど!」
ヴィ(大)「なんのなのぉ」
ア(大)「逃がしませんよぉ。あ、小さい私もですからね」
ア(小)「なんですとォ!?」
ヴィ&ア(大)「「小さい子の恋バナ、テンション上がるわ~」