道具を使うもの ~Tool user~   作:水津の月

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明るい話が書けない水津の月でごぜーます。


非日常の現実

智東さんの淹れてくれたコーヒーはおいしかった。

僕は砂糖は入れないタイプだが、宮内さんとかは結構入れていた。

「ねぇ、宮内さんの読んでるその小説の登場人物って、コーヒーに砂糖は入れないタイプじゃないっけ?」

と智東さんが聞いた。うんざりするくらい話を聞かされても、こういう質問をするあたり、智東さんは良い子だと思う。

「…それはそれ、これはこれです。」

と宮内さん。ブラックは苦手か…

「テレビ点けていい?」

と赤海君。

「良いよ~。」

と僕と智東さんは言った。宮内さんは本を読みながら頷く。

 

『昨日烏帽子宮市を襲った謎の大火は、未だ出火元が分かっていません。現在のところ、死者数・行方不明者数は3000人ほどと推測されており…』

 

「急に現実に引き戻された気分だね…大惨事だったんだな。やっぱり…」

と赤海君。

「…学校の皆、無事かな?」

と智東さんは心配そうな表情で言う。。

「皆ちゃんと校庭に避難できてたし、大丈夫だと思うけど…」

と僕は言った。

「っていうか、T4A1絡みの事件でしょ?称山先生がオーダー…なんだっけ?」

「…セブン」

と智東さんが話しているところで、宮内さんが補足した。

「そう、それ。称山先生がT4A1の幹部なら、たぶん指示したのは称山先生で、実行したのはT4A1でしょ?」

「だろうね…」

と僕と赤海君は智東さんの考えに同意した。

「皆揃っているな…おはよう。」

と急に声をかけられる。この声は上山さん…アマンダの声だ。しかし、昨日の声と比べ、とても暗い。

「どうしたの?アマンダ?」

と智東さんが声をかける。

「皆の親なのだがな…すまないが、連絡が付かなかった。」

と上山さんが申し訳なさそうに言う。

「覚悟はしてたけど…やっぱりそうだったのね…」

と、智東さんは涙ぐんだ。

「私…ちゃんとした親孝行できてないのに…」

「いや、まだ死が確定したというわけではない。携帯を置いてった可能性だってあるしな…なんとか私たちも探してみる。私が言うのもなんだが、0%と1%では天と地の差がある。確率があるのと無いのとでは大違いだ。きっと君たちの両親は生きているさ。」

と、上山さんが慰めるように言う。

「あとだな、彼埜高校の皆は無事だ。あそこの職員はなかなか優秀だな…一人の犠牲者も出さず、グラウンドに避難させることができたらしい。高校の方にも、君たちを保護したことは連絡しておいた。」

と、上山さんは付け加えていった。

「ありがとうございます」

と僕は言った。

「礼には及ばない。当然の義務だ。」

と上山さん。

「あと…上山さん、いつもの調子に戻ってくれませんか?その方が…僕らとしても気が楽です。」

と僕は言った。

「お…おう。そうか。まぁ、ここは安全だ。ちょっと問題が一段落するまで、安心してここで生活していてくれ!」

と、いつもの元気な口調と笑顔に戻って、上山さんは言った。




来週から火曜日に複数話投稿しようかな…
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