不死の英雄伝〜不屈の体現者〜 リメイク   作:ACS

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アリサ視点です。




不屈の体現者R 5

第五話 デバイス試運転

 

 

「ほれ出来たてほやほやのデバイスだ、性能はアレだけど防御関連は水準満たしてっから安心しろ」

 

バスから降りると、私とすずかは校門前で待っていた門崎にカード状の何かを手渡された。

 

私のカードは赤みがかった橙色の宝石らしきものが中央に付いているだけの飾り気の無い物で、なのはのレイジングハートのようなアクセサリーを想像していた私には少し残念だった。

 

すずかのも私の色違いなだけだけど、すずかはあまり気にしてないみたい、そんな私の考えが顔に出ていたのか門崎が溜息混じりに頭を掻いた。

 

「まぁ女の子だし? アクセサリー型に興味が行くのは分かるけど材料も時間も無かったんだから流石に勘弁してくれ、時間がある時に待機状態を作り変えてやっから」

 

「うっ、ゴメン顔に出てた?」

 

「別に良いよ、デバイスに愛着持って貰うにはデザインだって重要だ、ただ今は我慢してくれ」

 

「悪かったわよ、作ってくれただけありがたいんだし文句はないわ」

 

「そっか、じゃあコレ説明書だから」

 

 

そう言って門崎はクリップで留められたプリントを手渡し、自分のクラスへと行ってしまった。

 

デザインの事で一悶着あったけどデバイスが楽しみだった事には変わりはない、少しウキウキした気分で目を通してなんとも言えない気分にされた。

 

「……ねぇすずか?」

 

「……何かな、アリサちゃん?」

 

「……このプレゼン資料みたいなのって、仕様?」

 

「……ほら、門崎君って変わってるから」

 

なんと言うか、アイツに渡された説明書がプレゼン資料みたいな出来だった、スクリーンの前で資料片手にパワーポインターを使いつつ説明をしているアイツの姿を思い浮かべてしまう程度にはプレゼン資料だった。

 

休み時間を使いながら一通り目を通し、私達のデバイスには問題が多いと言う事が分かった。

 

レイジングハートの予備パーツから何箇所か流用してるから防御面に関しては問題が無いものの、代わりに攻撃魔法や補助魔法を搭載する余裕が無く、積めて二つか三つ。

 

空中戦をしようとすれば飛行魔法で枠が一つ埋まって、実質一種類しか攻撃魔法が使えない、かなりピーキーな性能でしょうね。

 

ただ、生存率重視の構成で今手に入る部品を使っての構築だからどうしても偏りが出る、と言われては文句は言えない、アイツが私達の身の安全を考えての構成なのだから感謝ことすれと言う奴だ。

 

それに放課後に公園で私達の適性を見ながらデバイスを調整するらしく、今後も調整を重ねて専用機に仕上げて行くと書かれていた。

 

『オーダーメイド品かパッチワークみたいな寄せ集めじゃなきゃ出来ない芸当だから、考えようによっちゃ良いかもな』と注役が付けられてたけど、嬉しいような嬉しくないような……。

 

ま、まぁ、悪い話ばかりでは無く、デバイスにAIが搭載されたレイジングハートと同種のデバイスなのは素直に嬉しかった。

 

まだ産まれたばかりのAIだから会話と言うより教育になるらしいけど、行く行くは私の事を良く理解してくれる相棒になると断言されていて、低性能だったとしてもデバイス自体の不満は無かった。

 

そして説明書を読み終わった私はもう一枚ページがある事に気づいた、目次の内容は読み終わったので一体何だろうかと思ってページをめくるとこう書かれていた。

 

『インテリジェントデバイスは持ち主と一緒に成長していくデバイスだ、絆の力で1+1を5にも10にも出来るけど結局デバイスに変わりは無い、だから間違った事に手を染めてしまったとしてもその意思を尊重するだけで否定はしてくれないし、正しい道へ導いてもくれないって事を知っておいてくれ』

 

それを読んだ私は思わずデバイスを握り、その重さを感じていた。

 

 

 

 

放課後、私とすずかは結界の貼られた公園で若干眠たげな門崎の言う通りにデバイスの試運転を行なっていた。

 

ジュエルシードの捜索はなのは達に任せてるから私達は自分の事に集中して欲しい、と予め門崎は私達に伝えていたのでリラックスしてアイツの指示を待っていた。

 

 

「じゃあまずバリアジャケットの衣装をイメージしながら起動してくれ、起動キーは無くても使える様にしてあるから」

 

「起動するだけで良いの?」

 

「んー、ぶっちゃけるとお前らのデバイスはβ版みたいなもんなんだわ、だから最終的な不具合の有無だとかお前らとの相性だとかを判断したいんだよ、だから先ずはデバイスの起動速度を測りたい」

 

 

そう言って、門崎は記録用の装置をデバイスに付けた後ノートPCを操作しながら私達にデバイスの起動を促す。

 

それに従い私とすずかは同時に起動したんだけど……ぶっちゃけ遅い、体感で2秒くらい遅れて起動した気がする。

 

すずかはすずかで私より早く起動したにも関わらず首を傾げていた。

 

気を取り直して自分の衣装を見ると問題は無かった、綻びの一つや二つは覚悟してたけどイメージ通りの姿だ。

 

私のデバイスは一応近接型らしく装備は右手に大剣、左腕のガントレット部分に工事現場の重機が資材を持ち上げる時に使ってるクローが付いたアンカー?に似た物が付いていた。

 

すずかの方は宝石が中央に付いた手袋と、左手のラウンドシールドだけだった、武器は無いのかと思ったけど一応支援型のデバイスだからアレで正解らしい。

 

 

「二人共感想を教えてくれ、特にアリサは起動に差が有ったろ?」

 

「私は遅かったわね、体感で2秒くらいかしら?」

 

「……割と致命的だなぁ、OK後で修正するから今はそのままで居てくれ。 んじゃすずか、お前はどうだったよ?」

 

「うーん、私はちょっと早かったかな?何秒ってはっきりは分からないけど、ワンテンポ早くて……」

 

「ちぇ、やっぱし一発で上手くは行かないか」

 

ガリガリと頭を掻きながら門崎はPCにデータを打ち込んで行きながら、変身してちょっと浮かれてる私に次の指示を出す。

 

「次は装備の性能チェックだな、すずかのは見ての通りだから後に回して、先ずアリサだ」

 

「見ての通りの装備よね、ところで左腕のアンカーは何に使うのよ」

 

「あーそいつは朝になって急遽付けたもんだから説明書にゃ入れてなかったな、悪りぃ悪りぃ。まぁ見ての通りに挟む為のもんなんだが、付け根に鎖が付いてるのが分かるか?」

 

そう言われて視線をやると確かに鎖がガントレットと繋がっていた。

 

「あっほんとだ、鎖がある」

 

「要はそいつを射出して相手を物理的に捕まえるんだよ」

 

門崎は自分の左手で右手首を掴み、『こうやって相手に距離を取らせずに近接戦を強要させる為の装備だ』と解説してくれた。

 

「一応障壁展開が間に合わなかったり、障壁貫通された場合にゃ盾としても使える様に頑丈には作ったけど盾の機能はあくまでオマケ、サブウェポンとしてのアンカーが八割だからな?」

 

「ふーん、盾に使えるって事は多少雑に使っても大丈夫なの?」

 

「そっちはな、構造そのものは単純だから鉄塊投げつけてる様な感覚で使える筈だ、射程距離は大体15m前後ってところかな? 鎖自体が物理的な物だからバインドと違ってブレイクされる心配は少ないし、鎖を巻き取る事で相手を引きずったり自分が距離を詰めたり出来るから使い方は自由にしてくれ」

 

「アンカーの使い方は大体わかったけど……そっちはってどういう意味?」

 

 

私がそう聞き返すとバツの悪そうな顔で門崎は話だした。

 

「大剣の方なんだがなぁ、耐久性が低いんだわ」

 

「た、大剣なのに?」

 

「普通に使う分には若干脆い程度なんだが、剣の腹とかで殴ったりすると途端に怪しくなるから使い方にゃ注意してくれ、まぁでも死にそうな場面とかだったりしたら別だけどな」

 

その話を聞いた自分の大剣を見ながら私が『アンカーで殴った方が早いんじゃ……』とつい思ってしまったのは悪くない。

 

一旦それで私への説明が終わったのか、門崎はすずかの方へ向き直った。

 

「で、次にすずか。すずかの場合はパーツの関係で補助型のデバイスってのもあって盾で殴るくらいしか素の攻撃手段が無い、ただ索敵魔法と飛行魔法は標準装備になってるからそれ二つにプラスして魔法が積める、ただ俺も人に教えられるほど魔法は習得してないからレイジングハートかユーノに習ってくれ」

 

「うん、分かったそうするね?」

 

「悪りぃな、俺のデバイス潰しても足りなかったんだわ。 ま、装備のシールドはその分受け流し易いラウンドシールドにしたし、魔法自体も障壁・拘束・飛行・索敵・結界と補助系のは色々デフォルトで付いてる、要望があったら小型の武器くらいなら搭載できるから遠慮なく言ってくれ」

 

「少し使って見てからで大丈夫かな? ある程度この子に慣れてから決めた方が良いと思うから……」

 

「全然OKだ、むしろそっちの方が助かる」

 

 

次の準備をしているのかカタカタとPC操作を始めた門崎から視線を外し、自分とすずかを見比べる、要は私がアタッカーですずかがサポーターと言う訳だ、だったら私のデバイスには最低限の補助魔法を付けるだけで良いかもしれない。

 

幸いデバイスで殴るのがコンセプトらしいし、私もそっちの方が性に合ってそうだし。

 

 

そう考えながら背伸びをした時、公園に植えられた木の枝で何かが光った気がした。




彼女達のデバイスはinnocentの物に+αした感じですが、アリサのデバイスはちゃんとしたパーツが入手できるまで暫くの間実大剣です。

アンカーはソードストライクのパンツァーアイゼンをイメージして頂ければ。
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