不死の英雄伝〜不屈の体現者〜 リメイク   作:ACS

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アリサ視点2。


不屈の体現者R 6

第六話 初陣

 

 

カラスは光り物が好き、そんな話を何処かで聞いた覚えがあった私はまさかと思いながらも木の枝の方へと向かって行った。

 

門崎に相談しようかと考えたけど急にすずかのデバイスの調子が崩れてバリアジャケットが解除されてしまったのでその修正をやってる最中だ、正規パーツが無さすぎる弊害だと言って苦笑いしながらも修正作業に勤しむ門崎に余計な事を考えさせるのは酷だと思った私は一人で木に登った。

 

案の定頂上付近でカラスの巣らしき物を発見した私は、その中に青い宝石らしき物が混ざってる事に気がついた。

 

シリアルナンバー付きの宝石、間違いなくジュエルシードだ。

 

ラッキーなんて思いながらそれを回収しようと手を伸ばした瞬間、巣のカラスが帰って来たのか大声で騒ぎ出した。

 

結界を貼ってるはずなのに……巻き込まれたのかしら?と思った矢先、そのカラスの騒ぎ声にジュエルシードが反応してしまった。

 

マズイと思った時には私の身体はジュエルシードの力でその場から弾き飛ばされた。

 

「何だ!? 此処にジュエルシードがあったのか!? クソッコレだから現実って奴はッ!!」

 

 

悪態をつく門崎を見て、私は魔道士としては半人前ですらなかった事を自覚し、その点では先輩の門崎に判断を任せるべきだったと今更ながらに後悔する、デバイスを実際に握った事で浮かれてしまった。

 

「ゴメン!! 私が不用意にアレに近寄ったから––––」

 

「済んだ事はいい!! それより、すずかのデバイスがまだ直りきってないから俺も作業の手を止められない、無茶振りだけど暴走体の足止めをやってくれ!!」

 

「わ、私一人で!?」

 

 

自分の蒔いた種だとは分かるけど自信がない、魔法の使い方も簡単な説明を読んだだけで本格的な使い方は今から教わる所だったのに。

 

そんな不安を見抜いたのか門崎がPCから目を離さず忙しなく指を動かしながら叫んだ。

 

「何も一人で倒せなんて言っちゃいない!! 俺とすずかが戦える様になるまでの時間を稼いでくれって言ってるんだ!! 石投げて気を引いて逃げ回ってるだけで良い!!」

 

「わ、分かった、頑張る」

 

「良いか? お前には才能がある!! 自分を信じるんだ!! 絶対に弱気になるなよ? お前にゃ自信過剰なくらいが丁度良い!!」

 

 

その言葉と同時に額に宝石を埋め込んだ三本足六本羽のカラスが飛び出して来た、迷ってる暇も無く私は戦闘をする事になった。

 

相手は2mくらい、昨日の暴走体より少し小さいかしらね、ただ空を飛んでるから近接戦を仕掛けるにはアンカーの使い方が重要ね。

 

緊張で頬を冷や汗が伝う、空を飛ぶカラスは私達を完全に敵だと認識してるのか淡々と隙を伺っている、まぁでも攻撃手段が無いだろうしそれまで下手に動かずに硬直状態を維持して……。

 

と、そんな事を考えてたら、カラスが翼を振って羽根を散弾の様に撃ち出して来た。

 

「うっそ!? なにその漫画みたいな技!?」

 

羽根の雨が降り注いで私達を襲ったけどデバイスのAIが自動で障壁を展開してくれたからなんとかなったけど、障壁で足が止まったところにカラスが突撃して来た。

 

背後に二人が居るから避けるに避けれない、けど防ごうにも体格差で防ぎきれそうに無い。

 

判断に困って固まってると横から突風が吹いてカラスの軌道が大きくズレた、門崎の魔法なのだろうけどアイツが私にフォローを入れる度に手が止まる事になる。

 

なので私は一旦二人から離れ、カラスに向かってアンカー先端のクローは使わないで射出し、そのまま殴り付ける様にしてカラスの気を引く、意外に衝撃力があったのか僅かにカラスの身体が揺れ、そのおかげで無事に相手の意識を私に向ける事が出来た。

 

 

アンカーを回収しながら怒り狂ったカラスに背を向けながら逃げる、普通なら私の足じゃ空を飛ぶ鳥からは逃げられないけど、アンカーが思いの外使い勝手が良かったのでそれを使いながら逃げる。

 

走っていたら影が差し、風切り音が聞こえたので振り返る事はせずにブランコの支柱にアンカーを引っ掛けて身体をそちらへ移動させる。

 

直後私が先ほどまで居た場所にカラスが急降下して来て地面にクレーターが出来上がった、その威力にゾッとしたものの恐怖を飲み込みながらアンカーをカラスの首筋に引っ掛ける。

鎖を巻き取る力を利用しながらカラスの背後を取った私は慣性を活かしながら背中に向けて大剣を叩きつけた。

 

「〜〜〜ッ!? かったぁい!?」

 

 

背骨にでも当たったのか私の大剣にはまるで鉄の塊を殴った様な衝撃が伝わって来て右手が痛い、しかもカラスには傷一つつかず、何度か斬りつけても逆に大剣が刃こぼれするだけだった。

 

「うっそお!? ちょっと勢い良く振っただけよ!?」

 

『不出来なデバイスで申し訳ない、マスター』

 

「大丈夫よ、アンタはまだ出来たばっかりだからこれからよこれから」

 

 

デバイスを励ましつつカラスの反撃を警戒して背中を蹴ってその場から離れながら、滑り台の頂上部にアンカーを使って移動する。

 

風を巻き込む様な轟音と共にガチンと嘴が音を鳴らす、あんな物に噛まれたら一溜まりも無い、大剣を挟み込んで盾にしても諸共食い千切らるわね、あれ。

 

カラスは私に対しての敵意が膨れ上がってるのかまた羽根を飛ばして攻撃をして来た、良く見れば突撃の体勢を取ってるのでそれを利用するために滑り台を足場に空へと跳ぶ。

 

空中の私に狙いを定めた状態でカラスが突進しようとしたところにアンカーを撃ち込む。

 

鉄の塊のアンカーが顔面に直撃したカラスは足を止めて目を白黒とさせた、その様子にもう一発入れられると判断した私は鞭を振るう様に伸ばしたままのアンカーをカラスの額に叩きつける。

 

ガクッと身体を揺らして倒れたカラスを見て、もしかして倒せた?と無警戒に着地してしまった。

 

その瞬間を狙い澄ましてミサイルの様にすずか達に向けて飛び込んで行くカラス、油断しきっていた私は虚を突かれて反応が遅れ、思考が止まり掛けたものの回収したアンカーを再びカラスの足へと撃ち込んだ。

 

私はガッチリと足首をホールドしたアンカーを巻き取る力を利用しながらカラスを背負い投げた。

 

「アンタの、相手は、私、でしょうがッ!!」

 

気合いを入れながら投げたものの、相手は空を飛べるのでカラスを空へ解き放つだけに終わる。

 

そして空に浮かんだカラスが再び翼を振るい、羽根の雨を降らせて私を攻撃する。

 

障壁を貼るだけの時間は無かったから大剣を盾にその下に隠れたけど、幅広の刀身に無数の羽根が突き刺さり、その内の何本かが貫通して私のバリアジャケットを斬り裂いた。

 

「––––痛っつッ!?」

 

鋭い痛みに身をよじらせた瞬間、目の前にカラスが嘴を大きく開いていた。

 

アンカーは間に合わない、やられるッ!?

 

そう覚悟した瞬間、風が渦巻いて嘴の上顎と下顎をホールドして、カラスの動きを止めた。

 

 

「サンキュー、終わったぜ!!」

 

「おっそいわよ!! 危うくやられちゃうところだったじゃない!!」

 

「それだけ元気があれば大丈夫だな、じゃあすずか頼むわ」

 

思わず強気に物を言ってしまったけど正直ホッとした。

 

門崎が使った風の魔法をカラスが全力で振り切り、空に逃げようとしたところで六本の翼が一つづつ凍り付いて行き、地面に墜落した。

 

カラスは怒りを剥き出しにしながら咆哮を上げたけど、風の渦が小さな竜巻になって四方からカラスへと襲い掛かる。

 

私も折れた大剣を構えようと持ち上げた瞬間に更に崩れてしまった、大剣が使えそうに無く歯痒かったのだけど、すずかが魔法で私の大剣を強化してくれたおかげで戦えそうだ。

 

「アリサちゃん、コレで行けるよ!!」

 

「流石すずか!! 私の事よく分かってるわね、勝手やってくれた訳だから一発ぶん殴らなきゃ気がすまないのよ!!」

 

強化された大剣を片手に凍り付いた翼をアンカーで掴み、そのポイントへと移動して頭へと強化された大剣を振り下ろす。

 

その際に門崎が私自身の身体能力を強化する魔法を掛けてくれた事でカラスは頭から地面に叩きつけられ、クレーターを作るほどだった。

 

この一撃で完全に弱ったところをすずかが封印魔法でジュエルシードを回収した。

 

取り込まれてたカラスが解放されると同時に私は腰が抜けてその場に座り込んでしまった。

 

「お、終わったの?」

 

「終わったみたいだね?」

 

「終わったよ、ありがとなアリサ」

 

 

封印されたジュエルシードを門崎が持って来てそう言った、その言葉に安堵した私は少しお行儀が悪いけど大の字になってその場に寝転んだ。

 

「疲れたぁぁぁぁぁあ!!」

 

「怪我大丈夫? 今から治療するからちょっと待ってね?」

 

「あー、頼むねー」

 

 

回復魔法の優しい光が私を包み込み、疲れも痛みも溶けるように消えていく、その心地良さに身を委ねて居たらちらっと項垂れた門崎の後ろ姿が目に映った。

 

 

「あれ、如何したの門崎?」

 

「えっ? いや、なんでも? ただ、すずかのデバイスの調整と合わせたら今日も徹夜コースかなぁってさ……」

 

「へっ?あっ……」

 

 

そーっと自分の右手を見ると、元大剣とは思えない物体になった物が握られていた。

 

「ま、人命にゃ変えれないから別に構わねぇよ、寧ろ前向きに考えれば戦闘スタイルとかを知れたからそれに合わせた調整が出来るだけ良かったさ、どの道本格的な調整は家でやんなきゃなんねぇし」

 

そう言って門崎は私達のデバイスを預かるのだった。




二徹確定の門崎君の悲しみ。

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