不死の英雄伝〜不屈の体現者〜 リメイク   作:ACS

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ユーノ視点。

灰原君? その内視点回ってくるさ(目逸らし


不屈の体現者R 7

第七話 過去の英雄

 

 

僕がこの世界に来て三日目、僕は門崎の家に居候させて貰いながらジュエルシード捜索の傍らに彼のデバイス整備等を手伝っていた。

 

管理外世界だと言うのにも関わらず対人運に恵まれてたのか、思った以上に悪い状況じゃない事で若干心に余裕があった。

 

初日に灰原がジュエルシードを一つ破壊してしまうアクシデントはあったものの、その翌日には門崎達のお陰で別のジュエルシードが回収されてたからみんな才能の塊なのだろう。

 

昨日の戦闘で破損したアリサのデバイスの修理とすずかのデバイスの再調整をして、電源が落ちた様に爆睡してる門崎を起こさない様に彼の部屋からリビングに降りる。

 

泊めてもらえるだけでも有り難かったので、最初は物置で寝かせて貰おうとしたんだけど、門崎が『体調崩したらどうするんだよ』と言って彼の部屋に布団を敷いて寝泊まりさせて貰ってる。

 

一階に降りると、門崎のお母さんが朝食を用意してくれていた。

 

「おはようございます」

 

「あらユーノ君、おはよう」

 

「すみません、態々用意して貰って……」

 

 

初日はフェレット姿だったけど、デバイス整備には都合が悪くて今は結局普段の姿に戻ってる。

 

傷の治りを考えるならフェレット姿の方が楽だったんだけど、デバイスの良し悪しが彼女達の戦いに大きな影響を与えるから僕の身体は後回しだ。

 

身体の痛みを煩わしく思いながら朝食を戴いてると、門崎のお母さんが皿を洗いながら彼の事を聞いてきた。

 

 

「ところでユーノ君、あの子は?」

 

「…………今さっき『やっと終わったぁぁあ!! さぁベッドへダイビィィィイングッ!! ようこそ夢の世界!! おやすみ現実!!』って言って爆睡しました」

 

「あの子ったら……」

二日間寝ないだけなら大丈夫とか言ってたけど、昨日は戦闘も挟んだ上に半日以上再調整とか修理やらで時間が掛かったんだから可笑しなテンションになっても仕方ないよね……。

 

朝食を食べ終わったタイミングで玄関のチャイムが鳴ったので、洗い物の途中な門崎のお母さんに変わって対応に出る。

 

すると玄関先には私服姿の灰原となのはが立っていた、今日は学校が休みらしく一日使ってジュエルシードを探せると言ってなのはが張り切っていた。

 

「ユーノ、二手に別れて探したいんだが……門崎は?」

 

「寝てる、相当疲れたみたいだから多分テコでも起きないと思うよ?」

 

「そうかなら仕方ない、三人で探すとしよう」

 

灰原は頭数として門崎を入れてたみたいだけど、無理なら無理で気にしてなかったらしく、気を取り直して歩き出した。

 

まだ僕もなのはも索敵魔法を使ってないのにまるで目的地があるように歩いて行く灰原、僕となのはが首を傾げると『昨日の夜に少し見回って目星だけは付けてあるんだ』と言って僕達を案内し始めた。

 

慌てて僕となのははその後に付いて行ったけど、彼は置いて行くつもりは無かったらしく、歩調を合わせてくれた。

 

何とも独特な雰囲気を持つこの子との距離感はイマイチ掴めないなぁ……なんて考えてたけど、付き合いが長くなればその内掴めるだろうと思い直してなのはと雑談する。

 

基本的に灰原は口数が少なく、こっちから話題を振っても淡々とした返事が返って来るだけだ。

 

ただ会話自体は嫌いじゃ無いらしく、返事だけは必ず返す、本人曰く『何をどう話せば良いのか分からない』と言ってたから少しコミニュケーションが苦手なんだろう。

 

だから一旦彼に慣れてるなのはと話題を膨らませ、その後に灰原へと振る事で彼の会話を引き出そうと試みている。

 

「そう言えば灰原の剣術って誰に習ったのかな?」

 

 

今思い出しても初日に見た剣捌きが卓越した技量だったのは素人目に見ても明らかだった。

 

目にも留まらぬ速さで僕達を圧倒した暴走体をまるで赤子の手を捻る様に片付けた、視線を動かすだけで相手を捉えて、正確に相手の脚を切断し、躊躇無く首を斬り落とした。

 

その鬼神の様な強さは九歳の少年が持つ物じゃない、しかも此処は魔法技術の存在しない管理外世界だ。

 

「うーん、私も良く知らないかなぁ……ゆーくんはあんまり自分の事を教えてくれないから」

 

「そっか、言いたくない事なのかな?」

 

 

誰にでも触れられたく無い過去はある物だ、本人が幼馴染にも言ってない事に僕が簡単に踏み込んで良い問題じゃ無いよな。

 

そう思って話題を変えようとした時、前を歩く灰原が口を開いた。

 

「…………我流だよ」

 

「えっ?」

 

「俺の剣は我流だよ、誰に習った訳でも無い」

 

「我流……って事はゆーくん、どうやってその剣を磨いたの?」

 

「………知りたいのかな?」

 

我流と言う事は自力で型を作った剣という事になるんだろう、でもそうなると彼はどうやって剣を磨いたのか?という謎が出て来る。

何度も言うけどこの世界は魔法技術の存在しない管理外世界だ。

 

管理外、と言う意味は時空管理局の支配下に無い世界と言う意味じゃなく、管理する必要が無い世界と言う意味だ。

 

無人世界や魔法技術を使わない独自の文化を穏やかに発展させた世界にとって時空管理局の持つ技術は争いを呼ぶ事になる、だから場所の特定をしても過剰には干渉せず、管理世界から管理外世界へ移住する際には余計な干渉をする危険が無いか厳重なチェックがされる。

 

門崎のお父さんが此方に移住する時も幾つもの審査を通した上に移住者名簿に名前を記入してやっと移住が出来たと言っている。

 

その際にデバイスやそれを製作する機材等も持ち込めるには持ち込めるんだけど、万一管理外世界で魔法技術を用いた事件が起きた場合、何もしてなくてもブラックリスト入りする危険性が存在する。

 

それなら持ち込まなければ、と思うかもしれないけどジュエルシードの様に偶然この世界に災いを呼ぶ物が紛れ込む事は少ないにしろ実際に起きている、

 

そんな場合に時空管理局が到着するまでの間を移住した人に時間を稼いでもらう為に一応認められている。

 

だから門崎のご両親は僕らに協力的で、お父さんがマイスター時代に使ってた機材も使わせて貰ってるし、アリサ達が魔法を使って居ても自衛目的だから罪に問われる事も無い、寧ろ勧誘される可能性の方が高いかな?

 

……話が逸れたけど、要は門崎のように親が管理世界出身なら灰原の強さにもある程度説明が付くのに彼の両親は純粋にこの世界の人間だと言う。

 

つまり彼は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言う事になる。

 

この世界で果たして其処までの戦闘経験を積めるのか? そんな疑問を口にしようとした時、灰原が足を止めた。

 

「俺が君達の疑問に答える前に目的地に到着だ」

 

 

そう言って灰原は足元のマンホールを爪先で軽く叩いた。

 

下水道?いくら何でも夜間に調べただけでこの場所に何かを感じるなんて都合が良過ぎないか? そんな僕の疑問に答える様に灰原は自分の口元に指を当てた後に下を指差した、要は静かに耳を澄ませて見ろ、との意味らしい。

 

言われた通り耳を済ませて地下に意識を集中させて行く。

 

昼間の雑踏の音や車が走り去る音に混じり、確かにマンホールの下から何か微かに聞こえる様な気がする、ただそれは気の所為で済ませられる雑音にしか聞こえない、念の為なのはにも視線を合わせて見たけど彼女も横に首を振った。

 

「ごめん、僕らには雑音にしか聴こえない見たいだ……」

 

「いや、雑音程度でも聞こえてるなら正解だよ」

 

「えっと、ゆーくん? 気の所為、じゃ無いの?」

 

「直接覗けば分かる」

 

 

そう言って灰原はマンホールの蓋を微かに開けた、すると地下にはネズミの集団がまるで軍団の様に規則正しく並びながら行進している姿が見えた。

 

そしてその姿からほんの僅かに感じるジュエルシードの魔力、つまりあのネズミの集団が今回の暴走体。

 

僕は僅かな物音に違和感を感じ取った灰原のカンの良さに戦慄しつつ、このネズミ達の攻略に対する緊張感から生唾を飲み込むのだった。





管理局は比較的綺麗な管理局です。

ネズミはファロスの連中をイメージしてくださいね。
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