銀髪の狂った天才――問題児たちが異世界から来るそうですよ?   作:我楼

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YES!ウサギが呼びました!
第一話『完全無欠に異世界だった!』


 冬の匂いが漂い始めた十一月の上旬頃。もう金木犀の良い秋の匂いも消え去り、山は赤と黄色の紅葉した木々で一面絨毯のようなっている。

 少し早いが、ネックウォーマーを被っている……そのせいで首のネックレスが見えないが、白のパーカーを黒のシャツの上に羽織り、下はジーンズを履いている少年。暁紅夜(あかつきあかや)はシャッター街と呼ばれる場所を一人で歩きながら、満月ではないようだが太陽の明るみ十二分に帯びた月をジッと眺めていた。

 街には人っ子一人として歩いておらず、街からは光という光が抜けている。それもそのはず、ここは日本屈指の過疎地域である。昭和後期に栄えたが、まもなく平成に入って直ぐに東京という大都市に人を奪われたのである。そのせいで、少子高齢化が急激に加速し、数年前まで市だったここもついに村になってしまった。

 

「月は地球の衛星……だっけか?近く感じるのに遠いんだよなー……あれ」

 

 少し経ってから、スマホの電池残量と時間を確認する。ちなみに電池残量は55%、ただいま11時38分。真夜中である。少しでも明かりを求めるため、唯一電灯がある寂れた公園に入り、少し老化した木製のベンチに腰を掛ける。パーカーのポケットの中から、缶コーヒーを取り出しプルタブを捻って開ける。少し温くなってしまった甘めのコーヒーを少量口に含む。

 

「……失敗した、甘すぎる。次は微糖のにしとこう……」

 

 自分で買った物に文句を付けつつ、自棄になった俺は次は大量にコーヒーを一気飲みする。が、途中で気管に入ってしまったのか、咽せてしまった。この感覚、好きじゃない。

 ゲホゲホという咳が止まり、少しナイーブな気分になったのか今度は月ではなく、満天に輝く星々を観察する。星々を観察しても星座のことなど中学で習う程度の知識しかなく、星座の話などもちろん知らない。しかし、東京や大阪などといった大都市では観られないであろう綺麗な景色が広がっている。月と星が互いに自分の輝きを争うかのように、たくさんの光がこっちを見てと語りかけてくる。……こんな夜空を明日も見られるだろうか、あいつと一緒に見られる日があったのだろうか……瞼を閉じてしばらくぼーっとしていると、少しだけ冷たい秋風が衣服を通って肌を掠める。

 

 ゆっくりと瞼を開けると、まだたくさんの輝きが真っ黒な空で自分を主張していた。スマホで時間を確認すると、もう日を跨ぐまで数分という時刻になっていた。これはいけない、急いで残りのコーヒーを飲みきってベンチから重い腰を上げる。手に残った空の缶は、近くのゴミ箱に投げ入れておく。

 カランコロンと音が鳴る。ナイスシュート。略してナイッシュ、ナイシュ?そんなことはさておき、家に帰る方が先である。俺、意外と不良とかチンピラとか悪い奴ではないのだ。俺はだな、見た目よし、真面目、ムッツリのスリーMが揃っている(自称)完璧人間だからな。

 まあ高校には通ってはいないんだけど。

 

 歩を進めようと、首にネックウォーマーを付ける。しかし突然、やけに強い風が吹き、思わず身震いをしてしまう。何か忘れ物はないかと、ベンチの方に顔を向けるとそこには自分のスマホと先程まではなかった封書が放置、というよりは置かれている。

 

「……なんだこれ?しかも俺宛ての手紙?」

 

 スマホをささっと回収し、不自然に置いてある封書を拾い上げる。そこには、見たこともない蝋といやに達筆な字で、『暁 紅夜様』と書かれていた。

 開けるべきか、無視するべきかを考えたが自分の中にある探求心には勝てなかった。封を大胆に切り、文章を読む。

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能(ギフト)を試すことを望むのならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの”箱庭゙に来られたし』

 

 刹那、暗い街に月よりも、星よりも眩い光が差した。光が収まるとそこには少年の姿も何もなく、ただいつもの寂しい公園がポツンと存在するだけだった。

 

※※※

「わっ」

「きゃっ!」

 

 突如、視界が開けた。さきほどまで真夜中の公園に居たせいか、お天道様の光がとても眩しく見える。……こりゃあ、月も星も勝てねえかな。

 ここは上空4000m。そこで紐なしバンジーをしているのが4人と1匹。反応を見る限り、たぶん全員が自分と同じ境遇でここに来たのだと悟る。

 己の眼球に映るのは、真下の巨大な湖。目の前には広大に広がる大都市。相手のことを1も知らない四人だが、同様の感想を抱いた。

 

「ど……何処だここ!?」

 

 誰もが観たことがないこの世界は、まさしく”完全無欠に異世界゛だった。

 

※※※

 先程見えた落下地点の湖に張られていた、幾重にも重ねられた緩衝材のような膜によって4人は無事の着水を終える。しかし、三毛猫であるそいつはそうでもなかった。

 慌てた様子でショートカットの少女が三毛猫を抱きかかえる。

 

「……大丈夫?」

『にゃ、にゃにゃにゃにゃー……』

 

 三毛猫に話しかけ、何かを聞き取るとホッとした表情を浮かべる。

 何もわからない他の3人からしたら、猫に異常がないことを一方的に確認したように見える。

 紅夜を含む他の3人は陸地に上がると、それぞれが宛のない文句を吐き捨てるかのように垂れていた。

 

「ふざけんなよマジで。上空に☆召喚☆されてもなんも出来ねーよ。面白味は欠けるが、陸地に呼び出せばいいんじゃねぇの。……スマホ壊れたし」

「ほ、本当にそうよ!信じられないわ!まさか問答無用で引き摺り込んだ挙げ句、空に放り出すなんて!」

「右に同じだクソったれ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

「……。いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

「俺は問題ない」

「そう、身勝手ね」

 

 黒髪の少女と金髪の少年は初対面だろうが、お互いがお互いを牽制するかのような強い語調で会話する。その後、フンッと鼻を鳴らして服の水分を搾り取りに行ってしまった。紅夜は紅夜でスマホの確認を行っているが、結果は望めなさそうである。ちなみにパーカーとネックウォーマーは脱いで、そこら辺の岩で日を当てている。そして、三毛猫を抱いた少女が陸に上がる。三毛猫は直ぐさま腕から抜けだし、水分をはじき飛ばす。同様に少女も服を絞りながら、

 

「此処……どこだろう?」

「さあな。まあ世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの亀の背中じゃねえか?」

 

 少女の呟きを少年が拾う。結局、此処のことは誰も知らないと言うことである。

 

「まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」

「そうだけど、まずその”オマエ゛って呼び方を訂正して。私は久遠飛鳥(くどうあすか)よ。以後気をつけて。それで、そこの猫を抱きかかえている貴女は?」

「……春日部耀(かすかべよう)。以下同文」

「そう。よろしく春日部さん。次に野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜(さかまきいざよい)です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃った駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

「そう。取り扱い説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

「ハハ、まじかよ。今度作っとくから覚悟しとけお嬢様」

 

 金髪でヘッドホンをしている少年、逆廻十六夜の問いかけから自己紹介が始まる。黒髪ロングのお嬢様口調で話す少女は久遠飛鳥と言うらしい。さきほど猫を心配そうにしていた茶髪ショートカットの少女は春日部耀というらしい。女性陣は可愛らしい名前だし、少年も厨二心に直接語りかけてくるようなカックイー名前なのだが、残念なことに自己紹介を聞くだけでも見事に問題児っぽいのが集まっているようだ。

 

「……で、そこにいる銀髪の貴方は?」

「……俺は暁紅夜。たぶんこの中では常識人に入ると勝手に思ってる。高校には行ってないし、中学も不良やってた。頭はお前らの方が冴えてると思うぜ?特に逆廻みてーな奴はな」

 

 俺はぶっきらぼうに、関わるなと牽制する勢いで十六夜達の方を一回も向かずに自己紹介をした。

 

 ケラケラと笑っている十六夜。

 傲慢にしか見えない飛鳥。

 無関心を装い、三毛猫とじゃれている耀。

 一切興味がなく、手元に集中している紅夜。

 

 どこをどうみても問題児な集団である。

 その集団を草木の影から見ている一人の人物。とても人間とは思えない兎のように長くフワフワしている耳が頭に備わっている少女は4人を見て思っていた。

 

(うわぁ……なんか問題児ばっかりみたいですねぇ……)

 

 何を隠そう、この人物こそ4人を呼び出した張本人である。

 どうしたらいいのかと、ウサ耳を揺らして考えながら、彼女は深い溜息を吐いて空を見上げた。




どうも、こんにちは、初めまして!我楼といいます。
この作品は、オール自己解釈、誤字脱字多数発生、ギャグ苦手な私がつくっているので、原作順守ですが、すこし変わる可能性も……

これからも見てやるぜ!、という心優しい方は応援お願いします!
他にも、コメント、お気に入り等よろしくおねがいします。

それでは、また読んでくれたのなら(
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