どんな人生でも好きなことして生きられれば最高さ   作:はないちもんめ

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初めてティアナと主人公以外の視点が入ります。


0.9 わざわざパーティーを開くなら派手にやれ!!

こんな予定ではなかった。

 

相手が格上なのは分かっていたが、何度もシミュレーションしてきた。勝てる算段はついていた。

 

この戦いの合間にだって何度も手応えがあった。何度も勝ったと思った。

 

なのに何故、彼女はまだ立っている?

 

なのに何故

 

「どこを見ているんですか」

 

彼女は戦い続けるのだ?

 

 

 

 

この戦いは一言で言えば間合いの勝負。近距離ならば私に分があるが、中距離はティアナ君に少しだけ軍配が上がる。遠距離では私に勝ち目など微塵もない。

 

つまり、この勝負は近づけば近づくほど私に有利であるし、離れれば離れるほどティアナ君が有利だ。なので、普通に考えればティアナ君は私と離れて戦うはずである。もちろん私もそれは承知していたし、勝負の前から如何にティアナ君に間合いを空けさせないかを考えた対策を立ててきた。

 

それにティアナ君が私に勝つのは簡単だ。スターライトブレイカーを使えば良い。アレを喰らえば非殺傷設定でも一撃で行動不能に持ち込めるし、私のシールド如きに防げる代物ではない。使えば勝ちなのだから難しいことを考える必要はない。如何にスターライトブレイカーを撃つ状況にするかを考えれば良いのだから。こんなことをティアナ君ほどの実力の持ち主ならば気付かないはずがない。

 

だから、こんな状況は想定もしていなかった。

 

「さあ、次いきますよ」

 

ティアナ君から私に接近してくる何てことは。

 

 

 

 

しつこいと思った。

 

理由は分からないが、接近してくるティアナ君にカウンターの要領で攻撃を与える。しかし感触で攻撃の大部分は受け流されていることが分かる。これ程高度な体術を習得しているとは予想外だ。

 

とはいえ、すでにかなりのダメージを負っているティアナ君にとっては、この程度のダメージでもかなりの痛みになるはずだ。にも関わらず何故だかティアナ君の攻撃は

 

「そこっ!!」

 

「くっ!!?」

 

回数を重ねるほどに重く鋭くなっていく。

 

意味が分からない。与えたダメージからしても、私はほとんどノーダメージで向こうは軽くはないダメージを貰っている。なのに何故、攻撃力が上がるのだ。

 

私が疲れているということは勿論あるだろうが、それは向こうも同じはず。それは決定打になりえない。ということは

 

(学習しているのか?)

 

その考えに思い至った瞬間鳥肌が立った。彼女はこの僅かな戦闘の時間で私の攻撃の癖やパターンを読み初めているのだ。だからこそ、自らが攻撃しやすい場所からの攻撃ができるようになり、攻撃に体重が乗せられるようになったのだ。その結果として、私には彼女の攻撃力が上がっているように感じられる。

 

先程までは彼女の言葉を借りれば、イライラしていたので冷静な判断ができなかったが、さっきのやり取りで落ち着きを取り戻せたのだろう。

 

だが、果たしてそんなことが可能なのか。攻撃手段を見極めることだって、そんなに簡単なことではない。歴戦の経験が必要だ。

 

しかしティアナ君は更にその先を行っている。相手がどの状況なら、どんな攻撃をするのか。得意な攻撃パターンは何かを分析している。そして、その分析に基づいた攻撃や回避を選択しているのだ。ここまでいくと、ほとんど未来予知だ。

 

何ということだ、私はまるで分かっていなかった。ティアナ君の恐ろしさはスターライトブレイカーでも遠距離戦でもない。彼女の一番の恐ろしさは頭脳だ。それも非凡とか天才とかそんなレベルではない。化け物だ。

 

私のナイフと蹴りのコンビネーションがティアナ君の頬を擦る。これも今までなら確実に決まっていた一撃だが、もう当たらなくなっている。頬から血を流しながらもティアナ君の目は死んでいない。

 

私の腕を掴む。腕を折るつもりだ。反射的に振り払おうとしたが、その動きに合わせて彼女は移動し、勢いのまま自らのデバイスを私の顎に当ててきた。視界が一瞬眩む。完璧なカウンターだ。

 

しかし舌を噛むことで意識を戻し、反撃と言わんばかりにナイフを腹に突き刺した。終わったと思ったがティアナ君の姿は直ぐに消える。

 

(幻影か!?)

 

後ろに振り返るとティアナ君が攻撃を仕掛けていた。蹴りを放つがこれも消える。本物はどれだ。

 

その瞬間理由もなく危険を悟った。良く分からないまま慌てて横に飛び退くと頭上からティアナ君が降ってきた。彼女のデバイスは私が先ほどまで居た場所に降り下ろされている。危ない所だった。

 

ティアナ君も決まったと思ったのだろう。外したことに舌打ちをしている。何て言うか性格が変わってないか?こんな性格ではなかったと記憶しているが、これが素なのだろうか。

 

「本当にやりますね。今のが避けられるとは思いませんでした」

 

「それはこちらのセリフだ。ここまで近接戦でも強いとは予想外だよ」

 

「あのバカを追い回していたら、自然と身に付いたんですよ。これくらいできないとあの化け物を捕まえる何てできませんから」

 

「いや、君も充分に化け物だよ」

 

「え?嘘ですよね?流石にそこまでは行ってませんよね?」

 

「…」

 

「何か言って下さい。不安になります」

 

おかしい。影響を受けないように気を付けていたはずとか言ってるが、私から見たらもう手遅れだ。

 

しかし、私の予想が正しいとしたら長期戦は避けた方が良い。長引けば長引くほどティアナ君の予知の正確さは上がっていく。早く勝負を決めなければ勝機はない。

 

 

 

 

 

 

一方でティアナも似たようなことを考えていた。

 

 

 

 

できれば、さっきので決めたかった。

 

ダメージ覚悟で相手の攻撃パターンを読むという作戦は成功したが、代わりに予想以上のダメージを負ってしまった。

 

レインとの組手や戦闘で近距離戦闘も相当上達したと思っていたが、やはり得意分野の人に勝とうと思うのは傲慢だった。

 

今はアドレナリンが出まくっているので、痛みをあまり感じないが長引けばどうなるか分からない。こうなると、早めに勝負を決める他ない。

 

 

 

 

 

完全なる偶然だが、この瞬間二人の考えは一致した。

 

((次で決める!勝つにはそれしかない!))

 

 

 

 

 

ティアナ君が再び私に向かって突進してくる。私はスピードを削ぐためにナイフでけん制しようとする。しかし、このタイミングでティアナ君は幻影魔法を使用し、自身を四人に増やしてきた。

 

(私の注意を分散させるつもりか)

 

加えて、魔法弾を地面に発射させ砂煙を発生させることで私の視界を遮る。煙に紛れて攻撃するつもりだろう。

 

しかし、大まかな位置は大体把握している。ナイフを投げる。選択肢の一つを潰す。残りは三人。

 

残りの三人が煙の中から姿を現す。一人は氷で凍らすが残りはまだ二人いる。

 

二人の内、一人はナイフで刺し、もう一人に蹴りを喰らわすが両方とも消える。両方とも幻影だ。

 

しかしある程度は予想していた。突撃の成功率を上げるために、幻影を生み出すという戦法は合理的だがティアナ君の策としては少し弱い。

 

ティアナ君にとっては、今までの突撃事態が全て作戦だったのだ。私に接近戦以外の攻撃はないと思わせるために。だとすると本命は

 

「上か!」

 

上空からのスターライトブレイカーだ。見上げるとティアナ君がスターライトブレイカーを放つ準備をしている。それを防ぐために、残りのナイフを全て飛ばす。だが

 

「何!?」

 

ナイフが当たった瞬間ティアナ君の姿が消える。あれも幻だったのか?では、本物は何処にいった?

 

私がそう考えていた一瞬の隙をついて、煙から何か飛び出してきた。そこには肩や足等にナイフが刺さっているティアナ君がいた。

 

バカな、何故ティアナ君があそこにいる!?

 

ま、まさか最初に攻撃したティアナ君は幻影ではなく本物だったのか!?では、この煙の目的は私の視界を塞ぐことではなく、本物に私の攻撃が当たったことを悟らせないようにするためのものだったのか?

 

そして私の注意を惹き、隙をつくために幻影魔法に特攻させたのか!?更には、私がティアナ君ならスターライトブレイカーを撃つと予測することまで読んでいたのか!?

 

ティアナ君はもう既に眼前に現れ、攻撃魔法を発動している。回避は間に合わない。そう思い、シールドを使ったが

 

「言いましたよね?ランスターの弾丸の実力を教えてあげますよって」

 

ティアナ君の放った弾丸は次々とシールドを突破していき

 

「チェックメイトです。ロイドさん」

 

私の身体を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終わった。

 

目の前には動けずに倒れるロイドさん。

 

我ながら薄氷の勝利だった。

 

そんなことを思いながら、身体に刺さったナイフを抜く。

 

この作戦の欠点は、ロイドさんが私に攻撃が当たったかどうかが分からない代わりに、私もロイドさんの攻撃が何処から来るか分からないということだ。

 

運良く、行動に支障がない箇所に当たったから良かったようなものの、運が悪かったら倒れていた可能性すらある。この戦法には改良が必要だ。

 

「参ったよ。完敗だ」

 

「完敗なんかじゃないですよ。こっちもギリギリでしたから」

 

倒れたロイドさんが話しかけてくる。

 

「そんなギリギリの策を実行した君に完敗したのだ。だからこそ、私には想像もできなかった。それはレイン君の作戦かい?」

 

思わず笑ってしまう。バレバレか。

 

「ええ、そうですよ。組手をしていた時にあいつが提案してきたんです。全くこんな欠陥だらけの作戦を良く思い付きますよ」

 

「そんな作戦をこんな場面で使う君も相当だよ」

 

「まあ、そうですよね」

 

端から見たら、私も似たようなものか。だが不思議と悪い気分ではない。

 

「君たちは不思議だね。執務官と犯罪者。敵対して当然な関係だ。事実、この二週間行動を共にしていても君たちが仲良くしてる場面など一度も見なかったし、むしろ仲が悪いにも程があると思っていた」

 

「仲良くありませんからね」

 

そこはしっかりと言っておかなくてはならない。しかし、そんな私の言葉にロイドさんは苦笑していた。

 

「そんな君があの場面でレイン君を信じていた。レイン君も君のためにあれだけの数の敵に向かっていった。普段はあれだけ仲が悪いんだがね。君たちは一体どういう関係なんだい?」

 

そんなことを言われても困る。私とあの馬鹿の関係?考えたこともなかった。

 

彼氏?あり得ない。友達?私にあんな友達はいない。仲間?むしろ逆だ。恩人?確かに恩はあるが、かけられた迷惑の方が圧倒的に多い。共犯者?それはコー○ギアスだ。では敵か?間違いなく敵ではあるけれど、それだけではない気がする。

 

考えてみると、私とあいつの関係って何なんだろう。上手い言葉が見つからない。

 

「さあ?何なんですかね。私が知りたいくらいですよ」

 

この疑問に対する答えは直ぐに見つかりそうもない。

 

「ふふ。本当に君たちは面白い」

 

「そんな話は後で幾らでも聞いてあげますよ。とりあえず今はあなたを逮捕して連行します。もう抵抗はしませんよね?」

 

「ああ。ここまで完敗するとね。もう抵抗する気も起こらんよ」

 

「なら、良かったです。じゃあ、まずは!?」

 

その時この周囲にかなりの魔力が集まっていることに気付いた。こいつらは…

 

私は無言でロイドさんを守れる場所に移動する。

 

「出てきなさい、ハイエナ共。私がいる限りロイドさんは殺させないわ」

 

その言葉でハイエナ共が動き出す。分かってはいたが、かなりの人数だ。

 

しかも、物音も立てずに此処に近づき、今もほとんど喋らない様子からハウザーさんが雇ったチンピラとは格が違うことが分かる。

 

「ロイドさん。この人達は?」

 

「恐らく…上の方が雇った暗殺者達だろう。私が捕まったら悪事が全てバレてしまうからね。私が勝てば、それで良し。負けたらこの場で口封じ。そういう算段だったんだろう」

 

「なるほど、合理的ですね。ヘドが出ますけど」

 

強がりを言うが、これは少しマズイ。ロイドさんは動けないし、私ももう限界だ。光明が見い出せない。

 

「ティアナ君。君は逃げろ。君なら分かっているだろう。この場で二人共生き残るのは不可能だ。だが、君一人なら可能性はある」

 

確かに、その方法なら生き残れる可能性は僅かにある。だが、それは出来ない。

 

「残念ながら、その方法は取れませんね」

 

「何故だ。死ぬつもりか?」

 

「逃げても私は死ぬんですよ」

 

ここで逃げて生き残ったとしても私は死ぬ。それで生き残っても私はティアナ・ランスターではなくなる。

 

「私がティアナ・ランスターであるためには、生きてるだけじゃダメなんですよ。命以上に大切なものがあるんです。死んでしまうことよりも私にとっては、それを失ってしまう方が怖いんです」

 

だから、私は銃を構える。最後の最後までティアナ・ランスターであり続けるために。

 

例え、結果が見えていたとしても。

 

 

 

しかし

 

 

 

「おいおい、随分と格好良いこと言うじゃねーの。これじゃあ、男の俺らの立つ瀬がねーなー、おっさん」

 

その声で私の悲観的な考えは消えていく。

 

「たく、モテモテなのも考えもんだな。確かにデートしてこいとは言ったけどよ、流石にこの人数と付き合えとは言ってねーぜ?これじゃあ、お前最後には腰が痛くて立てなくなっちまうよ」

 

最低の下ネタを聞いているだけなのに、先ほど限界が近づいていた体が軽くなっていく。

 

「あら、遅いじゃない?女を待たせる男って最低だって知ってた?」

 

「男だって色々用事があるんだよ。男が待つのが格好良い時代は終わったんだよ。女が男を待つ時代が来たんだよ」

 

「本当に色々あったみたいね。どうしたの?随分ボロボロだけど?」

 

「知らねえの?今流行りのダメージジーンズってやつだよ。お前こそどーした?血がドクドク吹き出してるけど?」

 

「ちょっと心機一転して、血を入れ替えようと思ってね。今までの血を出してるのよ」

 

「そんな心機一転の方法初めて見たわ」

 

この状況にも関わらず何でもない顔で現れるバカ。さっさと逃げれば良いのに本当に馬鹿なやつだ。

 

「ば、ばかなレイン君!!この状況で何故来た!!」

 

「いやー、何か呼ばれてる気がしてさ。ヒーローも大変だよ、本当に」

 

「バカだ、バカだとは思ってたけど、本当にバカね。簡単に逃げられるのにわざわざこんな所にまで来て。何?あんたそんなに私のことが好きなの?」

 

「顔は完全に好みなんだけど、その性格でマイナスだな。少しは素直になれよ。来てくれてありがとう!嬉しい!って言って抱きついてきても良いんだぜ?」

 

「断固として断るわ」

 

可愛くねぇ女とか言って、頭を掻いてるが余計なお世話だ。そっちだって素直に言わないんだから、お互い様じゃない。

 

「それに、そんなヤバイ状況でもねぇだろ?」

 

そんなわけないでしょってツッコミたかったが、何故だか私もそんな気がしてきた。

 

「まあ、そうよね。あんたを捕まえるより遥かに楽そうだわ」

 

「それを言うならお前から逃げる方が断然難しいわ。お前は、しつこ過ぎんだよ」

 

「あんたが犯罪を止めれば良い話じゃない。再就職の手伝いならしてあげるわよ?」

 

そんな会話をしていたら、ハイエナ共が動き出してきた。弱った獣が一人増えたくらいで状況は変わらないとでも思っているのだろう。

 

「ふん、舐められたもんだな。さっきの豚共よりかはマシそうだが結果は同じだ。返り討ちにしてやんよ」

 

「レイン。一応言っとくけど」

 

「殺すなっつーんだろ?分かってるよ」

 

レインはスラッと刀を抜き、構える。

 

「約束だからな」

 

「なら良いわ」

 

何ともない感じを装ったが、内心は嬉しかった。

 

あの時の約束をまだ覚えていてくれたことが。

 

「行くわよ」

 

「おう」

 

お互い戦闘準備は整った。

 

相手はもう動き出している。

 

久し振りに派手にやるか。

 

 

 

 

「「It 's Show Time!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次でとりあえず、この話も一区切りです。
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