どんな人生でも好きなことして生きられれば最高さ 作:はないちもんめ
ちなみに、タジルさんとはアイテム屋のおっさんです。
「さあ、楽しいパーティーを始めようぜ!!」
テンションMAXで敵の中に侵入し、手始めに目の前の敵を斬る。
返す刀でもう一人。
そうしたら、槍で攻撃してきたので身を翻してこれを避ける。
避けた先で魔法による攻撃をしようとした奴を斬る。
こんだけ居れば斬り放題だ。悩む必要はない。
だが、そいつは斬られながらも、執念で俺の刀を掴んで離さない。
その隙に、周囲から数人の敵が攻撃してくる。やはり、あの豚共とは格が違う。自分がやられても、ターゲットを殺そうとする姿勢とチームプレーは素直に凄いと思う。俺には絶対に出来ない。
何時もならば、刀を離して殴るなり、逃げるなりしなければいけないが、今日の俺には必要ない。攻撃してくる奴等を見る必要すらない。
何故って?そんなの決まってる。
「「「「「かはっ!!!」」」」」
俺を攻撃しようとしていた男たちが一斉に倒れる。
「ちょっとは振り返りなさいよ、大馬鹿!!!私が間に合わなかったらどうすんのよ!!!!!」
俺の背中にはバーサーカー(ティアナ)がいる。
「いいじゃん、間に合ったんだからさ」
「結果論でしょうが。あんた、そんなことやってたら何時か痛い目見るわよ」
そんなことを言いながら俺は刀を掴んでいた男をぶん殴り、ティアナは近づいていた奴らを打ち抜いた。
そんな俺たちを見て苦戦を悟ったのか、一部のハイエナが動けない本来の標的であるおっさんを殺そうと近づいていく。だが
「スターライトブレイカー!!」
いち早く、その行動を察知していたティアナに纏めて吹き飛ばされた。いや、死んでんじゃねえか、あれ?
しかし今度は大量の魔力を使ったため暫く動けないティアナが標的にされる。全く世話が焼ける野郎だ。
ティアナが攻撃される前に持っていた爆弾をハイエナ共の近くに放り込み爆発させ、その混乱に乗じて神速の抜刀術で切り刻む。何考えてんだ、こいつは。
「お前、お人よしも大概にしとけよ。誰かを守ったって自分が死んだら意味ねえだろ」
「いいじゃない、助かったんだから」
「俺のセリフをパクんじゃねえ」
フェイトといい、こいつといい、何でこの世界の主役級の奴等は仲良くもない誰かのために平気で命が張れるのか俺には理解不能だ。物語の主役の味方だからと言ってしまえばそれまでだが。
「そんなに正義の味方が好きかねえ。俺はなりたいとも思わんが。だって無償だろ?ドМじゃねえか」
殴ってきた敵の拳を掴み、そのまま振り回して放り投げる。その間に俺に近づく敵は全てティアナが打ち抜いていく。
「私もそんなもんに興味はないわよ。ただ、私は私がしたいことをしてるだけよ」
そして、ティアナがカバーできない敵には俺が対処する。このまま圧倒できるかと思われたが
「ガルルルル!!!」
相手が念のために用意していたと思われる野獣が現れる。デカいな、30メートルはあるんじゃねえか?
知能があるのかどうかも不明だが、真っすぐ俺らの所に向かってくる。こんだけデカけりゃ技なんかなくたって
「フッシャー!!」
ただ踏んづけるだけで相当な脅威だ。俺とティアナは何とか躱したが、下敷きになった地面が凹んでやがる。
しかも、その上
「硬度は鉄以上か?」
ガキンと背中から斬りつけた俺の刀が弾かれる。
俺一人だったら厄介だっただろうな。俺一人だったらだが。
「ティアナ。何秒必要だ?」
「10秒で充分」
「上等!!」
その声と同時に飛び出す。足元でうろつかれたら気になるだろうと考え、近づいたら案の定攻撃してくる。
「当たるか、デカブツ」
確かに俺の攻撃は効かないらしいが、知能もなく暴れるだけの怪物の攻撃など当たるわけもない。そしてタイムリミットが迫る。
「ジャスト10秒だ。ご愁傷様」
時間稼ぎが終わった俺は慌てて離れる。巻き込まれたらたまらない。
「スターライトブレイカー!!」
充電タップリのティアナの一撃を受けた怪物は声も上げずに倒れる。すげえな、俺あれから何時も逃げ回ってんのかよ・・・
「動物愛護団体に訴えられるぞ」
スタンとティアナの側に着地してから言う。
「大丈夫よ。歯が抜けてむしろ可愛くなったじゃない」
「どうみても悲惨な姿にしか見えませんけど?」
こんな風に呑気に話している俺たちとは違って流石に向こうには狼狽える奴が出始めた。
「ば、ばかな、あの魔獣がこうもあっけなく」
「ば、化け物か。あの二人」
「乱すな!!集団殺法で行くぞ」
しかし、まだ戦意は衰えていないらしい。引けば別に追う気はないのだが、まだ足りないらしい。
「やれやれ、相当な変態の集まりだな。まだ足りないってよ」
「多分この人たちも最初からこうじゃなかったのよね」
「あん?」
突然しんみり感を出し始めたティアナに戸惑う。止めろよ、俺こういう空気苦手なんだよ。
「この人たちも、ロイドさんも・・・何かのきっかけで変わっちゃったのよね」
「まあ、そーなんじゃねえの?知らねえけど」
「レイン。あんたは変わんないでよ」
顔を下に向けて喋るティアナの表情は見えない。
「あんたまで変わったら私は・・・・」
「何らしくもねぇこと言ってんだよティアナ」
前に歩く。振り返らない。こんなもん顔を見ながら言うようなことでもない。
「らしいこと言えよ。こんな時にお前なら何て言うんだ?」
見てないから分からんが何となくティアナが笑ったような気がした。
「あんたが変わったら…その時はあんたの頭を私がぶち抜いてやるわよ!」
「はっ!!おっかねぇなぁ!なら、なかなか変わってやることができねぇじゃねぇか!」
ナヨナヨした空気何か似合わない。間違ったらぶっ飛ばす。これでいい。これが俺の知ってるティアナ・ランスターだ。
吹っ切れたティアナは、より一層敵を撃ち抜いていく。俺も負けずに敵を斬る。
ようやく半分ってとこか。もう一踏ん張りだな。って、ん?
「何で管理局の飛行船が?」
少し離れた所だが、管理局の飛行船が現れる。てか、何か見覚えが…
「あれは…フェイトさんの船?」
「何ぃ!?聞いてねぇぞ!!」
「そりゃ、そうでしょ。私だって聞いてないもの」
しかも戦闘部隊と思われる奴等がこっちに来てる。ハイエナ共も今更ながら気付いたらしく、慌てて逃げているがもう手遅れだろう。
というか、俺もマズイ。さっさと逃げよう。
そう考えた俺は一目散に逃げ出そうとしたが、そんな俺にティアナが何かを投げて寄越す。
「何だこりゃ?地図か?」
「ええ。ハウザーさんの隠し倉庫のね。調査資料の中に入ってたのよ」
「何でこんなもんを俺に?」
「ハウザーさんは、家の辺りの犯罪者の取引を監理局に摘発させ、残った商品を手に入れることをしてたらしいわ。運が良ければ、そこにあんたの依頼品もあるんじゃない?」
「あー、なるほどな。確かにって何でお前がそんなこと知ってんだよ!」
「タジルさんに聞いたのよ。あんたが何でこの星に来たのか聞いたら教えてくれたわ」
「あのお喋り親父が」
チッと舌打ちを打つ。
守秘義務とかねーのか、あのおっさんには。
「んで?そこまで知った執務官様がどうして犯罪者の俺にこんなもんをくれるわけ?」
「私は地図を渡しただけよ。あんたがそれをどうするのか何て知らないわ。これだけ激しい混乱が起きれば、多少のアイテムがなくなった所で消失の報告で済むでしょうし」
おい、それで良いのかよ執務官。
「貸しのつもりか?いらねぇよ、こんなもん」
「要らないなら、そこらに棄てれば良いじゃない。私はそんな地図もう知らないから」
たく、本当にこいつは。
コイツがマレに優しくなると反応に困る。かと言ってこいつに借りを作るのはシャクだ。
「今度」
「え?」
「今度飯を奢ってやるよ。ただし、高くないやつだぞ。お前と違って金持ってないんだよ俺は」
そう言うと、一瞬ポカンとした顔を浮かべたティアナだが理解すると笑い始める。失礼な野郎だ。
「なら、奢ってもらおうかしら。安くても美味しい店に案内してくれるんでしょ?」
「そこら辺は任せな。まあ、執務官様が犯罪者に奢ってもらって良いのかは知らねーけどな」
「関係ないわ」
さも、当たり前と言わんばかりにティアナは続ける。
「犯罪者とか執務官とか、そんなのはどうでも良いのよ。唯のティアナが唯のレインにご飯をご馳走してもらうだけよ?何の問題もないじゃない」
そう言われては此方としては黙るしかない。
面倒な奴だよ、本当に。
「ティアナーーー!!何処ーーー?」
うわ、フェイトまで来やがった。言いたいことはあるが、とりあえずこの場から離れよう。
どーせ、近い内にまた会うだろ。
「フェイトさん!来てくれたんですね!」
「ごめんね、ティアナ!こんなに大がかりな犯罪だったとは思わなくて。大丈夫?傷だらけじゃない!」
「大丈夫とは言いがたいですけど、まあ、ギリギリ無事です。一人じゃなかったですからね」
フェイトさんには言っておこうと思い、横を向くがもう居なくなっている。
相変わらず逃げ足の速い奴だ。
「一人じゃないって…誰かと一緒だったの?」
「ええ。もう一人居たんですよ。迷惑ばっかりかけてくるはた迷惑なバカが」
その言葉だけで誰のことを言っているのか分かったのか、フェイトさんは苦笑いになる。
「また会ったんだ…ははは、本当に良く会うよね、二人は。まあ、おかげで今回は助けられたのかな?」
「そうなりますね。不本意ですけど」
正直、今回は本当に助かった。あいつがいなかったら死んでたかもしれない。だから、あの地図はお礼の意味で渡したのだが、あのバカはそんなことを思いもしなかったらしい。
そんなことを考えていた私を見てフェイトさんは笑顔になる。
「惜しいね。もしレイン君が管理局員だったら、ティアナと組んで最強のタッグが組めるのに」
「止めて下さい。あいつが私の部隊にいたら私の胃は崩壊します」
何て恐ろしいことを言うんだフェイトさんは。あんなトラブル発生装置が部隊にいたら、事件を解決するよりも事件を生み出すことの方が圧倒的に多くなってしまう。
「ふふ。本当に不思議だよね。二人の関係は」
「ロイドさんにも同じことを言われましたよ…」
たまに助けられるけど、迷惑もメチャクチャかけられる。会いたくなる時もあるけど、存在を感じるのも嫌な時もある。守りたいと思うと同時に殺したいとも思う。あいつと会ったのは人生最大の不幸だけど、会わなければよかった何て思わない。居て欲しいと思うけど、消えて欲しいとも思う。
こんな関係を
人は何と呼ぶのだろう。
とりあえず、終了です。
次のオリジナル話が思いついたら、また書きます。
まあ、なんとなく書きたい話とかもあるんで近い内にまた更新するかもしれません。