どんな人生でも好きなことして生きられれば最高さ   作:はないちもんめ

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久し振りの投稿


1.8 その人にとっては、当たり前でも他の人からすると当たり前じゃないことって結構ある

「なあ、ティアナ?いや、ティアナ様。俺とお前の間には何か誤解があると思うんだ。話し合おう。話し合えばきっと分かり合える」

 

冗談抜きで命の危険を感じているレインは、普段ならば信じられない低姿勢で話している。

 

そんな姿を見たヴィヴィオは「誰だ、こいつ」と言わんばかりの顔でドン引きしている。

 

しかし、ヴィヴィオよりも遥かに付き合いの長い喋りかけられたティアナは終始無言である。レインとしては、その沈黙が目茶苦茶怖い。これならば、ぶちギレられてクロス・ミラージュを乱射された方がマシである。

 

「あの……何か喋って頂けませんか?こちらとしては、とても怖いのですが」

 

「何で、そんなに低姿勢何ですか?ぶっちゃけ、気持ち悪いんですけど……」

 

「馬鹿野郎!何を言ってんだ、てめえは!あのお方を誰だと心得る!ティアナ・ランスター執務官様だぞ!」

 

「いや、知ってますけど。知ってる上で、何で敬語で接しているのかを聞いているんですよ」

 

「お前は何も分かってねぇんだよ!あいつはな「ねえ、レイン?」……え?」

 

ニコッと笑いながら突然話しかけてくるティアナ。怖いなんてもんじゃねぇ……

 

レインは、まだ何もされていないにも関わらず足が震えている。

 

「覚悟はできてるわね?」

 

「え?何の話ですか?」

 

「嫌ねぇ、そんなの

 

 

 

 

決まってるでしょ?」

 

その言葉と同時にティアナの目が座る。

 

レインの行動は素早かった。近くにいたヴィヴィオの首に手を置く。

 

甘いな、ティアナ。こっちには

 

「人質がいるんだよ!さあ、こいつを傷つけられたくなかったら大人しく下がりな!」

 

「ええ!貴女そんなことするキャラ設定じゃないですよね!?仮にも主人公が、そんなことをして良いと思ってるんですか!!?」

 

「やかましい!男にはやらなきゃいけない時があるんだよ!こうでもしなきゃ殺られんだろうが!」

 

「想像以上にシビアな関係過ぎる!?」

 

今更何を言っているのだろうか。俺たちは殺るか、更に殺るかの関係だ。やっべ、一方的に殺される未来しか見えない。ヴィジョン○イで未来が見えても変えられない気がする。

 

「て言うか、話を聞いてくれティアナ様!こうなったのには訳があんだよ!」

 

レインの言葉で、ジト目になったティアナは話始める。

 

「あんた何か勘違いしてない?」

 

「は?」

 

「私は別に、ここが爆心地になったのにも、あそこでノーヴェが倒れてることも別に怒ってないわよ?」

 

「え?」

 

予想外の言葉が返ってきた。何時の間に、こいつは、こんなに話が分かる女になったのだろうか。

 

「あんたがノーヴェに喧嘩を売る理由はないでしょうが。大方、あんたを捕まえようとしたノーヴェを返り討ちにしたんでしょ?殺されたなら、ともかく大怪我もしてなさそうだしね。いちいち、あんたの戦闘に目くじら立ててたらキリがないわよ」

 

素晴らしい解答である。俺の行動が読まれ過ぎていることには、恐怖を感じるが、とりあえず、今すぐ殺される可能性はなくなったようだ。

 

「何だよ、お前何時から、そんなに話が分かる女に「だけどね」……え?」

 

俯いたせいで、ティアナの目が突然見えなくなる。何やら雲行きが怪しくなってきた。

 

「学校を占拠して、身代金を取ろうとしたのはあんたよね?」

 

「え、いや、あれはな」

 

「包囲された状況から逃げようとして、飛行機を破壊して、地形を変えたのもあんたよね?」

 

「……」

 

無言でティアナから背を向ける。これ以上、この場に居てはならない。

 

しかし

 

目の前から突如に起こる爆発。後ろを見なくても誰が犯人かは分かる!逃げろ!死神が追い付く前に!

 

「はい、有罪決定。死刑執行人は私一人。覚悟しなさい」

 

見ていないのに、ティアナが邪悪に笑うのが分かった。

 

「ここから先は私の一方通行よ……」

 

「いや、お前が俺を攻撃するときは何時も一方通行だろうが!」

 

発言が終わるとすぐに攻撃してきたティアナの一撃をレインは体を捻って何とか回避するが、その攻撃が当たったコンクリートが粉々になっている。

 

マジでシャレにならない……

 

レインは身体中から、冷や汗を吹き出した。

 

「くっそ、クソガキ俺から離れんなよ!殺されるぞ!」

 

「あなたと一緒にいる方が遥かに危険に感じるんですが!?ていうか、何をしたんですか、あなたは!?ティアナさんはあんなことをする人じゃないですよ!」

 

「俺は会った時からあのあいつしか知らん!それと、ここまで来たら一蓮托生じゃ、ボケェ!絶対に逃がさんぞ!」

 

「最低だよ、この人!?」

 

喋りながらも、ギリギリとはいえ何とか攻撃を回避するレインとヴィヴィオ。その事実にティアナは舌打ちをする。

 

「なかなか当たらないわね……ヴィヴィオ。抑えてなさい。そうすれば、纏めて吹き飛ばせるから」

 

「そう言われて抑える人がいると思ってるんですか!?ていうか、私まで何で吹き飛ばされないといけないんですか!私はただの被害者ですよ!」

 

「勝手に犯罪者について行った罰よ。受け入れなさい」

 

「もう怖すぎるよ、あの人!?何でそんなことを知ってるんですか!」

 

「あ。それは俺がLINEしたわ」

 

「LINEの連絡先知ってるんですか!?何なんですか、貴方たち!本当は仲が良いんじゃないですか!?」

 

「こんな化物と仲が良いわけねーだろうが!「スターライト」マズイ!あの馬鹿本気か!?「ブレイカー!」」

 

後ろから放たれるティアナのスターライトブレイカー。

 

衝撃波でレインとヴィヴィオは吹き飛ばされるが、何とか回避には成功した。

 

「チィ!あのバケモンが!」

 

「……死ぬかと……思った……良くあれをあのタイミングで避けられますね……」

 

これはレインにとっては、慣れてるからとしか言いようがない。全く嬉しくないが。

 

そんなレインとヴィヴィオの前に一般人とは思えない格好をした集団が現れる。全員が戦闘体勢だ。

 

「くっくっくっ……まさか、そのガキをこんな所で手に入れるチャンスが来るとは……おい、そこの男。そのガキを渡せ。さもなくば「「お願いします!助けて下さい!」」ええ!?お前らが、俺たちに助けを求めるの!?」

 

「執務官に追われてるんです!助けて下さい!」

 

「お願いします!助けて下さい!命が助かったら幾らでも連れていかれてあげますから!」

 

「予想外の展開過ぎんだけど!?何なの、お前ら!?何で正義の味方の執務官に追われてて、悪党っぽい俺たちに助けを求めてるの!?」

 

あまりにもあり得ない展開に男たちも理解が追いつかない。しかし、そんな場に

 

「そこにいたか……」

 

バーサーカーが舞い降りた。

 

「ギャーーーー!!」

 

その迫力にヴィヴィオは悲鳴をあげる。

 

「おい、早く攻撃しろ!遠慮はいらん!殺す気でやれ!俺たちは逃げる!」

 

「逃がすかぁ!」

 

言うと同時にレインとヴィヴィオは疾風のごとく、その場からいなくなった。

 

そして、自分達のことを全く無視し、始まった逃走劇を呆然と見守る謎の集団(笑)。

 

しかし、暫くして我に帰った集団のリーダーは焦って声を上げる。

 

「て、てめーら、俺たちを無視してんじゃねぇぞ!野郎共!攻撃だ!」

 

その声で目的を思い出した集団は本来ならば自分達の障害となるはずの執務官に攻撃を開始する。

 

その攻撃は見事命中し、ティアナの足は止まったが

 

「…………」

 

攻撃自体はティアナにダメージを与えるには至らなかった。しかし、その隙にレインは逃亡に成功した。今から見つけるのは至難の業である。

 

「……ふふふ」

 

その事実に

 

「ふふふふふ。ははは。あっはっはっ。ハーッハッハ

ッハッハ。あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!」

 

ティアナは笑った。それこそ、本当に可笑しそうに。

 

目だけは一切笑っていなかったが、体全体で笑っていた。

 

謎の集団(笑)は、突然笑い出した執務官の態度を妙に感じてはいたが、同時に何とも言えぬ嫌な予感がしていた。

 

「ははは。はは。そっかー、また逃げられちゃったか」

 

笑いを止めたティアナは今度は満面の笑顔になり、謎の集団(笑)の方に顔を向けた。

 

余談だが、その時のティアナの顔は阿修羅だって逃げ出すような顔に見えたそうだ。

 

「いやいや、あんたちには感謝するわよ。私今日は非番なのよ」

 

そう言ってクロス・ミラージュを構える。

 

「つまり、今の私は執務官じゃない。その私が犯罪者に死なない範囲で何をしようと自由よね。全部あいつとそのあいつを助けたあんたたちが悪いのよ」

 

「え!?いや、俺たちは別にあいつを助けた訳じゃ」

 

「行くわよ、ゴミ共。ああ、そうそう、一応確認しておくけど

 

 

 

 

首の貯蔵は充分か?」

 

同時にティアナは集団に向かって飛び込んだ。突然、周囲は阿鼻叫喚の渦に包まれた。

 

その後謎の集団がどうなったかを知るものは誰もいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たっく、人の気持ちも知らないで眠りこけやがって」

 

クズ共の尊い犠牲によってティアナから逃げきったレインは疲れて眠ったヴィヴィオを背負いながら町外れにまで来ていた。

 

「まあ、この辺で良いか」

 

そう言うとレインは背負っていたヴィヴィオを道路の端に下ろした。

 

「アバヨ、ガキンチョ。一応お前のことを世話してくれそうなお節介女には連絡しといたから、来るまで大人しく寝てるんだな」

 

そして、そのまま立ち去ろうとするレイン。その背中に

 

「小さい子供をこんな所に置き去りにして帰るとか流石に酷すぎるんじゃないかな?レイン」

 

その声にうんざりした気持ちになりながら、後ろを向く。そこには、予想通りの顔があった。

 

「良いんだよ俺は犯罪者だからな。そんな俺に何を期待してるんだよフェイト」

 

そんな俺の言葉にため息を吐くフェイト。

 

「全く……直ぐにそうやってワル振るんだから。それさえ治せばティアナと、もっと上手くやっていけるのに」

 

コイツは一体何を言っているのだろうか。

 

「はっ。上手くやっていく気はハナからないんだよ。あいつとお前は正義の味方の執務官。俺はそれに追われる悪党。俺らの関係なんてそれだけだろうが」

 

「まあ、そうなんだけどね。少しだけ違うかな」

 

そう言うとフェイトは満面の笑顔になる。

 

「レインには何回も迷惑をかけられた。何回も捕まえようとした。何回も戦った。それを通して私とティアナはレインを知ったんだよ。レインだったら、仲間と同じくらいに信じられる。きっと、ティアナも同じじゃないかな」

 

この言葉に何と返して良いか分からず、頭をかいてそっぽを向く。

 

やはり俺はこいつが苦手だ。付き合いの長さだけならティアナ以上であり、俺の過去(この世界の)をほとんど知っているという事実もそれに拍車をかけている。何なんだ、この無条件の信頼は。俺はこいつに何をしたんだ。信頼が重い。

 

「勝手に言ってろよ。俺は好きに生きるだけだ」

 

とは言え、俺の行動は変わらない。俺は俺の好きに生きる。今までも。そして、これからも。

 

その言葉を最後にフェイトから背を向けた俺は、この場から立ち去るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と思ったのだが

 

「いや、立ち去るのであった。じゃないから。駄目だから。何で全ての面倒を押し付けて帰ろうとしてんの」

 

満面の笑顔のフェイトが俺の肩を掴んで離さない。というか、構造的におかしいだろ。何で、こんな細腕で俺の肩をミシミシいわせる力があるんだ。

 

「何を言ってんだよ、もう終わったろ?もう俺は帰るから。邪魔しないでくんない?」

 

「知ってるよね?分かってるよね?私が何を言いたいのか。現実逃避しないで、あっちを見て、あっちを」

 

俺は知らない。フェイトの指差す方向なんて知らない。あっちで建物が崩壊したり、モブの犯罪者の悲鳴が聞こえてきたの何て俺は知らない。

 

「いやー、残念だけど何を言いたいのかさっぱり分からないわー。いやー、本当にごめんね。だから、早く離してくんない?迷惑かけないように早く帰るからさ」

 

「残念だけど既に迷惑をかけてるんだよねー。知ってた?レインのせいで迷惑を被ったティアナのフォローしてるの私のことが多いんだよね。だからさ、私は思うの。たまには、私がどれだけ大変かをレインが味わった方が良いんじゃないかって」

 

「いやいや、私程度がフェイト執務官の苦労を味わうなんて恐れ多い。もっとふさわしい人がいると思うので、その人にどうぞ押し付けてください」

 

「いやいやいや、そんな遠慮しなくても良いんだよ?この件に関してはレイン以上の適任はいないんだから。だからもっと自信を持って。ね?」

 

会話は丁寧だし、お互いの顔もにこやかなのだが、意地でも帰ろうとする俺と必死に止めるフェイトの体は青筋が浮かび上がっていた。

 

そんな一進一退の攻防が続いていたのだが

 

突然

 

「「!!??」」

 

俺とフェイトが驚くレベルで地面が揺れた。何かが近くに衝突したようだ。そこには

 

「みーつけた♥」

 

全身の所々に血っぽいものを染みこめせたティアナという名のバーサーカーがいた。

 

言葉にハートマークが付くぐらい上機嫌な様子であり、実際に顔も笑顔なのだが、放っている殺気は素人ならば死ぬレベルのものである。

 

実際殺気の向けられる対象でないフェイトですら全身から冷や汗を吹き出しているという事実にどれだけの恐怖か分かって欲しい。

 

「それじゃあ、レイン。デートしようか。行き先は……分かってるよね?」

 

俺はその言葉と同時に再び逃亡するが、ティアナも分かっていたのか即座に追いかけてくる。

 

生死がかかった地獄の鬼ごっこの再開である。

 

置いていかれたフェイトは邪魔をするようなことはしない。まだ、死にたくないからである。

 

「じゃあ、帰ろうか、ヴィヴィオ。帰ったら今日のことはなのはと二人で叱るからね」

 

そう独り言のように寝ているヴィヴィオに話しかけたフェイトは、そのまま帰宅する準備をする。目の前で起きている爆撃には目もくれない。人はこれを現実逃避と呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

「いい加減……くたばりなさい!」

 

「くたばってたまるか!てめーこそ、諦めてそろそろ帰れや!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これでようやく一区切りです。

最近は別の作品を書くことが多いので、次の更新は未定です。

こんな駄文に付き合って下さりありがとうございます。
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