どんな人生でも好きなことして生きられれば最高さ   作:はないちもんめ

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注・このティアナさんは、この小説のティアナさんであり、原作のティアナさんとは一切関わりはございません。


0.2 運命の赤い糸って言うけど、実際繋がってたら邪魔だよね

「・・・」

 

カタカタカタと私はパソコンを叩き続ける。

 

あのセクハラクソ野郎を取り逃がしてから早三日。その日から私は一日も家に帰ることなくアイツの事後処理をやり続けている。

 

一日目は、とにかく被害者に謝り続けた。中には物凄く怒っている人もいたが、間違いなく私が一番の被害者であることを私は知っている。

 

二日目は、アイツが起こした被害の整理だ。壊した宇宙船やボコボコにされた採掘業者に加えて、あのセクハラ野郎は、ちゃんとした採掘のやり方も知らないで採掘するもんだから他の重要なモノを無駄に傷付けている。その中には、関係者が冷や汗をかくような危険なロストロギア級の代物まであったそうだ。しかし何とか暴走しないで良かったと皆は喜んでいたが、ロストロギア何て目じゃないくらい危険な男が暴走しまくっていることを私は知っている。

 

三日目つまり今日は、あいつがやったことを報告書に纏めている。私の周りからは流石に休んだ方が良いんじゃないかという声が出てきているが、長年の経験から出来るときに仕事を片付けないと、アイツが山のように仕事を再び持ち込み、地獄を見る羽目になると私は知っている。

 

そして絶対にこの仕事が今日中に終わらないであろうことも私は知っている。恐らく今週はこの仕事だけで潰れるだろう。

 

他の私の仕事は他の皆が分担してやってくれている。他の皆も忙しい中、手伝ってくれるのには本当に頭が下がる思いだが、私が本当に手伝ってほしいアイツ関連の仕事は何があっても絶対に手伝ってくれないことも私は知っている。

 

「・・・」

 

そういえばスバルの奴、今日合コンするとか言ってたわね。『ティアも来る?』とか言ってたけど、残念ながら行けないっていう私の声を聴いたら泣きながら謝ってたっけ。おかしいわね、ただ普通に断ったつもりだったんだけど。

 

ふっ。合コンね。合コンに行く前に家に行きたいわよ私は。もう帰らなさ過ぎて帰るって表現を家に使えなくなっちゃったわよ。家に行く。管理局に帰る。何かコッチの方がしっくりくるようになっちゃったわよ。

 

こないだフェイトさんが家に来た時『引っ越してから二年間も経つのに凄くキレイだね』って褒めて下さったけど違うんです。汚くするほど家にいないんですフェイトさん。掃除も業者の人に頼んでるだけなんですフェイトさん。家主である私よりも業者の人たちの方が私の家の滞在時間が長いんですフェイトさん。家よりも管理局の方が私の私物が多いんですフェイトさん。

 

・・・私が目指してた執務官の仕事ってこんなに大変だったよ、兄さん。夢って叶えるのが大変って言うけど叶えてからも大変なんだね。初めて知ったよ。

 

「・・・」

 

『なあ、ティアナ執務官に見せたい書類があるんだけど、大丈夫かな。何か目が死んでるけど』

 

『しっ!!今は止めなさい!!殺されるわよ!!』

 

『今週はティアナさんRの事件だけで手一杯なんです!察して下さい!』

 

『え!?Rってあのティアナ執務官のことをコケにしまくり、被害を拡大させることでティアナ執務官のストレス度をカンストさせ、ティアナ執務官のイチゴパンツを手紙と一緒に郵送してきたあのR!?』

 

『黙りなさい!!ティアナさんに聞こえちゃうでしょうが』

 

『最早名前を呼ぶことすらティアナさんの逆鱗に触れる恐れがあるということで、略称で呼ぶようになったんですよ。Rの悲劇事件。聞いたことくらいはありますよね?』

 

『そりゃ知ってるよ。JS事件の次くらいに有名だもんよ』

 

『あんたは知ってるくらいだけどね、近くで見ていた私たちからしてみれば恐怖以外の何物でもなかったわよ。あの時高町隊長とフェイト執務官が来てくれなかったら、どうなってたことか・・・』

 

『そんなになってのに何で誰も分担しないんだよ?Rの事件全部ティアナ執務官が担当してんだろ?』

 

『馬鹿ね、そんなの皆自分の身が可愛いからに決まってんでしょ?』

 

『私は前からティアナさんのこと知ってますけど、以前はあんな死んだ目をするような人じゃなかったんです。Rに関わってからですよ、ああなったのは』

 

『だから、皆Rには関わらないようにしてんのよ。自ら厄介ごとに首をツッコむ人もいないでしょ?』

 

『それでティアナ執務官が専属の担当みたいになってんのか・・・』

 

『そういうことよ。ティアナさんもできれば助けてあげたいけど、もうダメね。手遅れ。ティアナさん休日でもR関係の事件に巻き込まれること多いのよ?ここまでいくと運命の赤い糸ね。その赤色はティアナさんの血の涙とRの血でしょうけど』

 

『可哀想過ぎる・・・』

 

他の局員たちが何か喋ってる気がするけど、私には何も聞こえない。とりあえず、イチゴパンツのことを口にした局員には後で記憶を無くすほどの仕事を任せよう。

 

「・・・」

 

「ティアナ、お疲れ様。大丈夫?」

 

「大丈夫に見えますか、フェイトさん・・・」

 

「うん、分かった。ごめんね、私が悪かったから血走った目を広げて、真顔のまま私に近づいてこないで。はっきり言って怖いから。呪〇とか貞〇とか比較にならないくらい怖いから。ヴィヴィオとかキャロが見たらトラウマになるレベルで怖いから」

 

「やだなあ、何言ってるんですか。私はいつも通りですよ」

 

「それが普通だったら、私が六課の時から見てきたティアナは偽物ってことになるね」

 

「そんな昔のこと忘れちゃいましたよ。そういえば、スカリエッティって今考えるとそんなに悪い人じゃありませんでしたよね。本当に悪い奴っていうのは悪いことをするだけじゃなくて、存在するだけで私の胃を締め上げるあのゴキブリみたいな奴のことを言うんですもん」

 

「言いたいことは分かるけど、落ち着こうティアナ。あなた今原作を否定してるから。あの六課の目的そのものを否定してるから」

 

「私は落ち着いてますよフェイトさん。ところで思ったんですけど、執務官だからってゴキブリを駆除しても罪には問われませんよね?」

 

「うん、全く落ち着いてないね。言いたいことも分かるし、気持ちも分かるけど、今ティアナが駆除しようとしてるのは人だから。どんなに迷惑を生み出す存在だとしても人だから。だから、とりあえず、両手に持ってるクロスミラージュとバズーカ砲を地面に置こう。ていうか、それ何処で見つけてきたの?それ、確実に質量兵器だよね?」

 

「あれ?私は何時の間にこんなものを」

 

すいません、今度から見つからないようにしますねと言って謝るとフェイトさんは頭を抱えた。「これは、ヤバいよ。早く何とかしないと」って言ってるけど、何のことだろうか。

 

「ティアナ。落ち着いて聞いて欲しいことがあるんだけど良い?」

 

「私はさっきから落ち着いてますけど?」

 

「うん。多分今のティアナは自分が落ち着いてるかどうかも分からなくなっちゃったんだね。とにかく、ティアナにちょっと頼みたいことがあるの」

 

「これ以上私に何を頼むつもりですか…」

 

「大丈夫だよティアナ!?頼むだけじゃなくて、私が今のティアナの仕事を変わってあげるから!!だから、私の肩から手を離して!!折れるから!もうギシギシいってるから!」

 

「あなたが神か」

 

「うん、違うよ。確かに私は一部から死神って呼ばれてるけど、別に死神界にいったこともないし、名前を書いたら死ぬ黒いノートも持ってないから」

 

何て良い人だろう。アイツの仕事を代わりにしてくれるなんて。前から尊敬はしてたけど、評価は更に鰻登りだ。後光が射してる気さえする。

 

「フェイトさん、ありがとうございます。でも、何でそんなことしてくれるんですか?」

 

落ち着いて考えてみれば、他の皆は全く手伝ってくれないあのバカの事件を、なぜフェイトさんは忙しい中代わってくれるのかしら。

 

「そりゃ、後輩がこれだけ疲れてるんだもん。先輩としては何とかしてあげなくちゃね」

 

「フェイトさん…」

 

感激で涙が溢れる。人の優しさをここまで感じたのは久々だ。心の中の氷が徐々に溶けていくのを感じる。ああ、この優しさを少しでも良いからアイツが持ってくれていれば…

 

(言えない。こんなに感激してるティアナにジャンケンで負けただけ何て言えない…)

 

何か私を見るフェイトさんの顔がひきつってる気もするけど、まあ目の錯覚ね。

 

「それで私は何をすれば良いんですか?」

 

「ああ、うん。実は、とある星を管理してる部隊があったんだけど、その部隊から大規模な不正が行われている可能性が発覚したの」

 

「腐ってますね」

 

「本当にね。それでその件について調べなければいけなくなったんだけど、現地の局員が調べたら身内だからってことで甘い調査になっちゃうかもしれないってことで私が行くことになってたんだけど、代わりにティアナに行って欲しいの」

 

所属してる私が言うのも何だけど、ここまで大きい組織になれば、そんな人も出てくるものだ。分かってはいるのだが、やるせない思いだ。フェイトさんも淡々と言っているように見えるが、思いは私と同じだろう。

 

「そんな大きな仕事を私がしちゃっていいんですか?」

 

不安に感じた私が尋ねると、苦笑しながらフェイトさんは答える。

 

「大丈夫だよ。ティアナは優秀だし、向こうでは、もうほとんど証拠は揃ってるって話だから、そんなに終わるまで時間はかからないと思うよ。一応、一ヶ月を目処にしてるけど多分二週間もかからずに終わるから、後はゆっくり向こうで休んできてね。最近ティアナ全く休んでないし」

 

「いや、大丈夫なんですか?そんなことして」

 

「全く問題ないよ。一応、他の人にも聞いたけど皆休んでこいって言ってたから」

 

だから心配しないでと言ってフェイトさんは笑う。

 

確かに最近休んでないし、そのせいで精神が疲弊していることは自覚していた。皆に申し訳なくは思うが、体調管理も立派な仕事だし、その皆が休めと言っているのだから別に断る必要もないか。

 

そう考えた私はこの任務を承諾することにした。

 

「かしこまりました。その任務、正式にティアナ・ランスターが承りました」

 

「うん、受けてくれて良かったよ。急だけど、出発は明日の午後だから直ぐに帰って準備をしてくれる?」

 

「はい、承知しました」

 

そうと決まれば、この報告書に目処をつけて早く家に帰らねば。あ、重要なことを聞くのを忘れてた。

 

「フェイトさん。その部隊の所に行くのには、どれくらいの時間がかかるんですか?」

 

「あ、そういえば言ってなかったね。えっと」

 

しかし出張も久し振りね。あのバカがこの辺を根城にしてるから、担当の私もそんなに遠くに行けなかったし。

 

まあ、あいつは基本的にこの辺りから出ることはないから少なくとも一ヶ月は会うことはないでしょ。ああ…久し振りに、あいつのトラブルに振り回される心配をしないですむわ。

 

「分かったよ、ティアナ。大体ここから3日くらいかかるかな。そこで一回そこの部隊の人に会ってもらうことになってるけど、基本的には賄賂の証拠を掴むために、そこの部隊が担当してる惑星で行動することになると思う」

 

「はい。ありがとうございます」

 

「うん、素直で宜しい。ちなみに、その惑星の名前はね」

 

 

 

 

 

 

「カイルって名前だよ」

 

 

 

 

 

 

…え?何?この嫌な予感。

 

 




ティアナさんは犠牲になったのだ…
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