どんな人生でも好きなことして生きられれば最高さ   作:はないちもんめ

6 / 24
勢いでやりました。


0.5 酒は飲んでも飲まれるな

不運なことに、こんな所に来てまで俺の天敵であるティアナに会ってしまった。

 

その結果、同じ宿屋に泊まることは承諾したが

 

「それじゃ、明日の予定について説明するわよ。こっち来て座って」

 

まさか、同じ部屋に泊まると言い出すとは思わなかった。

 

何考えてんのこいつ?俺異性だよ?そしてお前は外見だけは完全に俺のストライクゾーンだよ?しかもど真ん中だよ?襲われないとでも思ってんの?何変な所で俺を信じちゃってんの?ダメだよお前、20歳の男の○○○信じちゃ。

 

流石に不味いだろうと思い、止めるように提案したが

 

「だってあんた部屋を別にしたら窓から普通に逃げるでしょ?」

 

何てことを真顔で言ってきた。

 

確かにそれは考えたよ?でも何でそんなこと分かんだよ。もう怖いよ、こいつ。考え読めてるとか、そんな次元じゃないよ。もう以心伝心しちゃってるよ。オレンジレ○ジだよ。ティアナが何考えてるかは俺には分かんないけど、完全に俺の思考はダダ漏れしちゃってるよ。誰か修理して下さい、お願いします。

 

そんなことを考えていたら、ため息をはきながらティアナが呆れたように言ってきた。

 

「何を今更意識してんだか。何回私があんたの家に泊まったと思ってんのよ。もう一緒の部屋に泊まるのを気にするような関係じゃないでしょ」

 

いや、そうかもしれないけども、こいつ今の自分の発言がどれだけの誤解を生むか分かってんの?もう、宿屋の爺さんと婆さんは俺たちをそういう目でしか見てなかったからね。完全にカップルだと勘違いしてたからね。

 

「ちょっとレイン聞いてるの?こっち来てよ」

 

は!いかん。色んなことが一気に起きたせいで処理しきれずに回想モードへと入ってしまっていた。

 

「ああ、すまん。んで、何の話だったっけ?」

 

「最初から聞いてなかったわけね…全くあんたは。だから、明日の予定について説明するって言ってんのよ。話くらいちゃんと聞きなさいよ。もう良い年でしょ。遊びに来たんじゃないんだから」

 

全く抵抗なく同年代の異性と同じ部屋に泊まる女に言われたくない。て言うか、お前さっきまで温泉とか入って宿屋を満喫してたし。宿屋に付いてた浴衣っぽいものを着て完全にリラックスモードだし。しかも、酒まで飲んでるし。普通に飲んでるけど、その酒俺のだからね。俺が買ったやつだからね。

 

こいつ、俺のこと勘違いしてんだろ。自分で言うのも何だけど俺犯罪者だよ?お前の敵だよ?まあ、確かに襲う気はないけどさ。まだ死にたくないし。

 

「そうね、まずは…ああ、その前に私の今回の仕事について説明した方が良いわね」

 

しかも話始めちゃったし。良いのそれ?内部情報じゃないの?まあ、それこそ今更か。それと、その情報は良いよ。何となく予想ついてるし。

 

「予想はついてるよ。管理局の不正を調べに来たんだろ?んなことは、管轄外のお前がわざわざこの星に来て怪しい貴族の所に行ったことと管理局の施設に泊まらないことから簡単に予想がつく」

 

というか、それ以外にティアナがこんなとこに来る用事がない。俺にとっては迷惑極まりないが。

 

ティアナは深いため息を吐く。何が不満だ、この野郎。

 

「全くあんたは…そういう所は無駄に鋭いわよね。その才能を別の方面に役立てなさいよ、完全に無駄遣いしてるじゃない」

 

「有効活用しまくってんだろうが。何でも屋にとっては不可欠だぞ、この才能は」

 

「違法行為に使ってる段階で無駄遣いよ。あんたなら、その性格を直せば真っ当な仕事に就けるでしょうに…まあ、いいわ、この話をすると終わりがないし」

 

諦めたようにティアナは言う。

 

そういや確かに最初の頃は会う度にこの手の話を言ってきたな。頼んでもいないのに、この職業ならどうだとか、ここなら俺の家から近いとか。良く考えたら忙しい中何してんだよ、こいつ。お人好しにも程があるだろ。

 

「まあ、分かってるなら話が早いわ。そうよ、私は管理局の汚職を調べに来たわけ。あんたなら、もう予想はついてるでしょうけど、賄賂を渡してたのはハウザーさんでほぼ間違いないわ。後はそれを受け取ったやつが分かれば終わりよ。残りは芋づる式で出てくるわ」

 

「見当はついてんのか?」

 

「ある程度はね」

 

「なら、楽な仕事だな。それが終わったらさっさと帰れよ。俺も一人でしたいことあるし」

 

依頼の達成とか、風俗行くとか。

 

「それが、そうでもないのよ」

 

「どういうことだ?」

 

「ある程度の情報は確かに揃ってるんだけど、決定的な情報が出てこないのよ。例えば、ハウザーさんと会ってる写真とか現金とか」

 

「ふん、なるほどな。ということは現場に近い人間にそいつらの協力者がいるな」

 

「そうなるのよね」

 

何となく寂しそうな顔をするティアナ。同じ管理局の人間として思う所があるのだろう。俺としては、どーでも良いけどな。警察組織って絶対そーゆー奴いるもんじゃん。相〇とかでもそうじゃん。右〇さんプルプル震えてんじゃん。

 

「なら話は簡単だろ。そいつらの口を割らせればいい」

 

「どうやって?」

 

「お前のその無駄に良い顔と身体使えば余裕だろ。一晩寝てやれば口もあそこもフニャフニャに、嘘です、何でもありません!!だから、そのクロス・ミラージュを下ろして下さい!!」

 

無言でクロス・ミラージュを構えるティアナに戦慄する。こいつの場合脅しではなく本当に発砲するのだから恐ろしい。こいつをこれ以上刺激してはならない。

 

「あんたの冗談は下品なのよ、セクハラ男。女にそんなこと言うもんじゃないわ」

 

都合の良い時だけ女利用しやがってこの野郎。まあいい、話を変えよう。これ以上この話題が続くと俺の命が危険だ。

 

「んじゃ、お前はどうやってそいつらの口を割らせようと考えてるわけ?」

 

「バレたらそいつも終わりだからね。そうそう口を割るとは思えないわ。証拠でもない限りね」

 

嫌な予感がする。コイツまさか・・・

 

「・・・どういう証拠?」

 

「その嫌そうな顔からして分かってんでしょ?その通りよ」

 

嫌な予感当たっちゃったよ。

 

「・・・お前正気?そういうのって大人数でやるもんだぞ」

 

「そうでもないわよ。ただ見張ってれば良いんだから。私とあんたとロイドさんの三人でローテを組んでやればそんなに面倒なことじゃないわ」

 

「仕事中毒のお前と一緒にするな」

 

コイツがやろうとしてるのは捜査の基本中の基本張り込みである。だが考えてみて欲しい。ロイドって奴が誰かは知らんが俺は顔も知らん奴を信じる気にはなれん。

 

そこそこ長い付き合いだが、ティアナからもそんな名前を聞いたことがない。ということは、ティアナもそこまで信頼してる人ではないだろう。

 

コイツは結構甘ちゃんな奴だが、この状況でそんな奴を信用するほどのバカではない。ということは、俺とティアナの二人で見張ることになる。

 

しかも、ティアナは俺を一人にするつもりはないから、実質的には俺たち二人はずっと張り込み場所にいなければいけないことになる。

 

明日の朝から証拠が見つかるまでずっと。

 

コイツ頭おかしいだろ。

 

「お前仕事以外も人生だよ?そんなんだから良い年して彼氏もできないんだよ。せっかく顔もスタイルも良いのに無駄になってんだよ。お前このままだと高町なのはやフェイトとかと同じ道を辿ることになるからね。一方通行の道をF1カー並みのスピードでかっ飛ばしてるからね」

 

そう言うとティアナは俯き震えだす。何こいつどうしたの?

 

「あんたが・・・」

 

「ん?」

 

「あんたがそれをいう訳?」

 

「ひっ」

 

何の感情もない表情と怨念が籠っているような声で言われて思わず悲鳴染みた声を上げる。とても怖い。ティアナにつられて、この辺りでポルターガイストが起こったとしても何の不思議もない。気のせいか部屋全体が震えている。ゴ〇ストバスターを呼んできたい。

 

「あんたのせいで私が何日間帰れない日が続いていると・・・」

 

「うん、分かった、仕事は付き合うからとりあえず飲もう。飲んで忘れよう。そりゃ、付き合えば良いってもんじゃないもんな。志〇けんさんだって結婚してないけど幸せそうだもんな」

 

ティアナを落ち着かせるためにコップに酒を注ぐ。今度からこいつに男の話をするのは止めよう。

 

ティアナは無言のまま俺が注いだ酒を一気飲みする。清々しいほど男らしい。バレンタインデーには女の子からのチョコで一杯だろう。怖いから言わないけど。

 

一気飲みし、少し顔が赤くなったティアナが訝し気な顔をして言う。こいつ酔ってるな。

 

「そういえば、あんた何でこの星に来たわけ?」

 

今更だな、こいつ。

 

「旅行だよ」

 

「嘘ね」

 

間髪入れずに言ってきた。何という女だ。人が考えた言い訳を全く信じないなんて許せない。

 

「お前何言ってんの?人は信じることができる動物だよ?そりゃ、執務官になって人間不審になるのも分かるけど、それでも忘れちゃいけないことがあるんだよ。セーブデータを消して最初からやり直してこい」

 

「あんたにそんな金がある訳ないでしょ、クソニート」

 

この女は言ってはならないことを口にした。

 

「てめえ、何でも屋なめんじゃねーぞ。金が少ない代わりにどこにでも行けるキメラ〇翼を持ってんだよ。金の代わりに自由の翼を失ったお前らと一緒にすんな社畜女が」

 

「知らなかったの?あんたのキメラ〇翼折れてるから。金という原動力がないあんたの翼じゃ徒歩圏内しか行けないのよ、金欠男。私は自由の翼を失っても金で立体起動〇置買えるから。壁の向こうの海を見に行くことができるから」

 

俺とティアナは無言でにらみ合う。相性が悪すぎる。俺とコイツでは信じるものが違うのだ。しかし、だからと言って譲る訳にはいかない。これは互いの信念をかけた問題だ。こうなっては戦うしかない。

 

何時もなら喧嘩かカードでケリをつけるのだが、生憎とここは旅館だし、お互いカード等持ってきていない。ティアナもそれが分かっている。なので二人で何かないかと探すことで一つの答えに辿り着いた。

 

 

お互いの視線がそこで止まり、暫く経った後見つめあい、うなずいた。

 

俺は無言で酒を二人の間に置き、ティアナは二人分のコップを用意した。

 

再び無言になる。一応確認のため、ティアナに問いかける。

 

「本当に良いのか?ティアナ」

 

俺のその問いにティアナは笑い、コップを手に取る。

 

「何言ってるの?レイン」

 

迷いのない瞳で俺を見つめ、言い放つ。

 

「私はもう選んだのよ、忘れたの?」

 

その言葉に俺は笑う。そうか、ならば何も言うまい。俺もコップをティアナに向け、宣言する。

 

「聞け、ティアナ。これはどちらが先に潰れるかの戦いだ。敗者に得られるものはない。意味があるのは勝利の二文字だけだ」

 

「当然のことを言わないでよ、レイン。ここまで来たら私たち二人に言葉はいらないわ」

 

再び俺とティアナの視線が交差する。そして次に口にした言葉は同じだった。

 

「「バトル!!」」

 

世界一無駄なバトル(飲み比べ)が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぼろろろろろろ!!!」

 

「おら、もっとスッキリするまで吐け。全く何やってんだお前さんたちは。明け方までバタバタしてるから、腰を使う運動でもしてんのかと思えば飲み比べとはなあ。カップルが宿屋ですることじゃねえだろうよ」

 

呆れたように宿屋の爺さんは言うが、答える余裕はない。妙なテンションになって飲み過ぎてしまった。後悔しかしていない。今ならスライムも倒せない気がする。

 

「おぼろろろ!!」

 

「まだ出るんかい。一体どんだけ飲んだんだ」

 

吐くだけ吐いて少しはスッキリした。

 

「サンキューな爺さん。助かった」

 

「良いってことよ。もう一泊してくれればな」

 

「ダメって言われても頼むしかないだろうよ、この状況じゃあ」

 

「まあ、そらそうだわなあ」

 

俺と爺さんの視線が何気なく女子トイレの方に向かう。そこでは

 

「おぼろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろ!!!!!」

 

「ジン10本にバーボン5本に泡盛を3本か。一晩にこんなに二人で飲んだらこうなって当然だよ。少子高齢化に対抗するんじゃなくて、お互いに対抗しあってどうすんだい。カップルは協力して戦うもんなんだよ。ソロで攻略するには限界があるんだよ」

 

「す、すいません。何か頭痛と二日酔いを一気に治す薬ないですか?私たち行かなきゃいけないところがあるんです」

 

「ないね。そんだけ酷いんじゃあ、ドラ〇もんだってお手上げだ。出かけるのは諦めるんだね」

 

「そ、そんな、うっ、おぼろろろろろ!!!」

 

「そんな吐いてる奴が何言ってんだい。状態異常になったんだから、一晩教会で休んどきな」

 

「いや、私たちには、そんな時間は、おぼろろろろろろろろろ!!」

 

「吐くか、喋るか、どっちかにしてくれ」

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

そんな声を外で聞いてる俺と爺さんは無言だった。

 

信じられるか?あれティアナ・ランスターなんだぜ?万事屋のゲロインじゃないんだぜ?

 

死んだ目で女子トイレを見てる俺に爺さんは声をかけた。

 

「坊主・・・今日の事は忘れてやりな。それが情けってもんだ」

 

「・・・おう」

 

俺はそれしか言えなかった。

 

その後、俺が部屋で休んでいるとティアナが帰ってきた。

 

ゾンビだってもうちょっと生き生きしてるように思える酷い顔だったが。

 

話す元気もないのか、布団に倒れ込んだが暫くすると話しかけてきた。

 

「ねえ、レイン」

 

「何だ?」

 

「昨日の酒代と今日の部屋代・・・経費で落ちるかな」

 

「落ちねえよ」

 

 

 

 

 

その後、出かけられるはずもないティアナはロイドって奴に体調不良なので1日休ませてくれと頼み、1日中寝て吐いてを繰り返した。

 

「おぼろろろろろろろろろ!!!」

 

「まだ、吐いてんのか、もう夜だぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ティアナファンの方に心からお詫び申し上げます。
これがウチのティアナさんです・・・毒(主人公)に染まっちゃってるんです・・・
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。