山道を歩くのは、ジャングルの獣道とは違う厳しさが存在する。整備されていれば、行軍も楽になるのだが隠密行動となるなら、話は変わって来る。公の道を通れば、敵に発見してくれ、と言っているようなものだ。だから、今回は何も無いような道、道と言って良いのか分からないが、山を渡っている。木々が生い茂る山ではなく、ごつごつとした岩が、大量にある山だ。
依頼としては、この先にあるマインツ山道で敵の進軍を食い止めて欲しいとのことだが、詳細は知らされていない。他の部隊が鉱山町を襲撃するとしか。
そして、俺は部隊一つの指揮を任された。赤い甲冑の男共を引き連れて、山道を守るのだ。
すると、部下が双眼鏡で何かを発見したらしく、報告に来た。
「2セルジュ先にトンネルを確認しました。目的地です」
「ご苦労、各員に告ぐ、これより、第二歩兵部隊はトンネルの目前で、敵の進入を防ぐ。一気に進むぞ」
隊員の返事が聞こえると行軍を再開する。今までは人からの発見を注意していたが、この辺りに人は殆ど来ない。ある程度派手に動いても目撃者はいないだろう。山道に下りて小走り程のスピードで進む。
整備された道を進むならかなり早く進めるため、あっという間にトンネル前に着いた。
防衛のために部下と協力し、土嚢を作る。
撤退した後に、敵がトンネルを通りづらい様に、トンネル内に幾つか地雷を仕掛ける。隊が通る場所に目印を付けており、それは最後尾が回収していく。
あまり撤退後のことばかり気にしていても仕方ないので、土嚢の上に機銃を設置したり、銃口だけを出す穴を作ったりする。装甲車が出たら無理せずに、接近させなければ良いだけ、と伝えられているので対人の対策だけをする。だが、いざとなれば戦う覚悟はある。山の地形を活かして接近すれば良い。それに、この隊員達の練度なら恐るるに足らないだろう。
橋がある方向に向けて部隊を配置して、戦闘開始の前兆が聞こえるまで待機する。部下も休んでいるが、いつでも戦闘準備は出来る様に持ち場は離れない。猟兵団でこれだけ統制が出来る部隊を持っているのは、高ランクの証だろう。今まで様々な猟兵団と協力したことがあったが、低ランクの猟兵団で酷い時は指示をまともに聞かず、全滅しかけたこともあった。塹壕の中で殴り合いになって、銃が使えない程敵味方が入り乱れ、乱闘の様になった。二度とあんな依頼は受けたくない。
すると、数百アージュ先から銃声が聞こえる。襲撃部隊が到着した合図だ。
部隊に戦闘準備をさせ、中距離スコープを付けたライフルの照準を橋の上に置く。静かに敵の進行を待ち、呼吸を整えると共に隊員の様子を見る。既に圧倒的な暴力を叩き込む準備は完了していて、俺も見習い迎撃準備に専念する。
こうしていると、正規軍時代を思い出す。あの頃はまだ若くて、今は擦り減った勢いもあった。だが、その代わりに経験が手に入り、生存率も格段に上がった。今思えば、運と味方のお陰で生き残っていたが、その頃は実力と勘違いしていたのだろう。だから、守れる人間も守れなかった。
らしくもないな、と自分で思ってしまう。過去のことを思い出して、浸ってしまうなんて。
だが、それも低く唸るような音で引き戻される。それは遠くから聞こえるもので、まだ視認出来るところでもないが、近づいて来るのははっきりしていた。銃を握る手に更に力が入り、スコープ越しの視界と右の人差し指に集中する。
すると、頑丈な装甲に覆われた輸送車が三台程走行してくる。隊員には、俺が撃つまで狙うだけにしろ、と伝えて、先頭車両の運転席に狙いを定め、引き金を絞る。一発目は防弾ガラスに勢いが殺されたのか、運転手への着弾へは至らなかった。反撃させる暇を与えず追加で弾を撃ち込むと、今度はガラスを貫通し、警備隊員の頭を破壊した銃弾は、助手席の若い隊員の腕に命中する。フロントガラスに血が飛び散り、車がスリップし、川に落ちる。中にいた乗員が脱出して、反撃をしようと川を泳いでいるが、そこを部下が撃ち、止めを刺す。すると、彼らは川を流れているゴミと同様に、流れに身を任せる存在となっていた。俺は橋の上に目線を戻し、輸送車から出てきた警備隊に銃弾の雨を降らせる。
そこでちょうど弾が切れたので、土嚢に隠れてリロードをする。そこから見えるのは、一斉射撃を行う隊員の姿と、彼らが扱う銃で排出され、大量に落下してくる空薬莢だった。匂いで言えば、不快な程に硝煙の香りがする。不快な筈なのに懐かしく、心地良い香りだ。
近頃は、導力によって景色や音声を遠隔で感じることが出来る。だが、匂いは現場にしかない。戦場の硝煙の匂い、人が焼ける独特の匂い、それらは、平和な街でのんびり暮らしていれば感じることは無いし、この高揚感が感じられなくなった途端、恋しくなる。不快だが失った途端に欲しくなる、日常でも度々あるだろう。
だが、これに長く浸ってられないので顔を上げて銃口を敵に向ける。警備隊員も訓練を受けていない訳ではないので、遮蔽物を利用して反撃を始める。だが、『警備』という名目のため、あまり過激な武器は持てなく、数でこそ圧倒するが個々の装備と実力はこちらが上だ。
すると、先程のエンジン音より凶悪な音が聞こえる。装甲車だ。こちらの練度が優れていると言え、銃弾でも貫通出来ない装甲を保有している上に、圧倒的な火力を持った存在が敵に加勢しては厄介だ。
そして、その暴力は橋の上に姿を現し、そこから銃撃を始める。ライフル如きとは格が違う大口径の重機関銃、顔を出せば死を表し、遮蔽物である土嚢は少しずつ削られている。
「グレネードを貸せ、装甲車を潰す」
爆音に包まれている中、隣の隊員に叫ぶ。こうでもしないと、聞こえないのだ。
隊員は腹に括り付けてあるグレネードをこちらに渡して、「頼みましたよ」と言ってくる。俺は頷く。
俺が土嚢から川の方へと走りだそうと、身を捻った時だった。少女の声が聞こえた。この銃声と怒号の中、異質な物として耳がキャッチしたのか、不自然な程クリアに聞こえた。その声の元に目をやると、赤い髪の少女が微笑を浮かべていた。その笑顔は狂気に満ちていて、無邪気さを兼ねている。
すると、少女は大型のライフルを構えながら走り出す。警備隊も迎撃するが、この戦場に現れた異質の存在に焦燥し、まともに照準を合わせられない。少女がライフルを連射し、その銃声と共に警備隊の人員が減っていく。隊員には彼女の援護を命令し、俺も援護射撃を開始する。しかし、援護をしていても装甲車に邪魔をされる。いい加減しつこくなってきたが、少女が装甲車に向かう姿を見て、安心して土嚢に隠れる。その数秒後に笑い声と爆発音が聞こえ、顔を出す。そこにあった光景にタイトルをつけるとしたら、間違いなく『地獄』だろう。川には死体が流れ、山道にはぼろぼろの体を横たわらせている警備隊員。橋に止まっていた装甲車からは煙が立ち上っている。
装甲車の上で笑っている少女に近付くと、彼女の正体が分かった。彼女の名前は『シャーリィ・オルランド』、シグムントの娘であり、《赤い星座》の中でも1、2を争う実力者だ。まあ、あの人智を超えた身体能力を持つ人間と戦って勝てる訳が無い。そして、その少女が踏んでいる装甲車のすぐ近くに来ると、後部ドアから拳銃を持った警備隊員が這い出てくる。そいつは背中を向けているシャーリィに銃口を向ける。俺は拳銃を持っている手を蹴り、彼の顔を見ると、最後の希望が消えた、という絶望に打ちのめされていが、飛ばされた拳銃の元に、這い擦って近寄ろうとしている。俺はそれを拾い上げ、彼の頭に銃口を重ねる。引き金を絞る。
乾いた破裂音が響き、彼の最後の抵抗も敢なく終わった。それに気付いたのか、シャーリィが下りて来る。
「危ないところでしたよ」
彼女は頭に風穴が開いた死体を見た後、こちらに顔を上げた。
「意外としぶといのもいるもんだね。でも、それから助けてくれたのは感謝してるよ。トカレフさんっ」
そう言って微笑む。本来、可憐だと感じるその笑顔にはやはり狂気が混ざっているように思えた。
一晩経ち、撤収の信号弾が発射されるのが見えたので、土嚢等はそのままに後退する。手筈通り、トンネルの中を通る時は目印を頼りに、地雷を避けて、最後尾の部下に目印となった明かりを回収させる。やはり、それなりに訓練は受けているのかかなりスムーズに事を進めた。
トンネルを抜けると、襲撃部隊の隊員達が待機していて合流すると鉱山町の辺りで、まだ戦闘が起きていることに気がついた。襲撃部隊員に事情を聞くと、クロスベル市警が坑道を使って裏を取ったらしい。それで、今はシャーリィの部隊が殲滅にあたってるということだ。
俺は任務が終わったので、早急に帰ろうとする。だが、歩いて戻るのは面倒だし、戦闘服を着ているためこんな格好で街を歩けば怪しまれるだろう。導力車が手頃だろうとクラレンスに連絡をする。
『はい、こちらハンゲイトです』
「クラレンスか。今マインツ山道に居るんだが迎えに来られないか」
一応、通信に出たらしいが、何やら周囲が騒がしい様で聞き取りづらい。しかし、それはよく聞くと銃声にも聞こえた。現在、クロスベルが襲撃されている、という可能性も否定が出来ないし、今回の陽動作戦だ。物騒なことになっているのは間違い無いだろう。
すると、返事が帰ってくる。
『迎えに行くのは構わないが、少し派手になるかも知れないぞ』
「どうせ、そっちもどんぱちやってんだろ。事務所に支部に戻れりゃ良い」
『分かった。じゃあ、今から行く』
「了解」
通信を切る。
俺は襲撃部隊長に契約の終了を伝えると同時に、ここに待機することを伝える。
その時、隊長はこちらの持っている銃を回収する。俺は部隊の隊長として働いていたので、装備は殆ど余った物を借りていたからだ。だが、拳銃だけは自分のを持っているので護身は心配が無い。
すると、エンジン音が聞こえると、クラレンスの怒鳴り声が聞こえる。地雷が仕掛けてあることを忘れていた。俺は発煙筒を使ってトンネルを戻ってクラレンスと合流する。
導力車に乗り込むと、後部座席にライフルやマシンガンが積まれていることに気付いた。やはりクロスベルは戦闘が起きているのだろう。更に移動中には車体に銃痕があり、戦闘の記録として、はっきりしている。
「クロスベルはどんなことになってるんだ」
クラレンスは前を向いたままで答える。
「《赤い星座》と、グノーシスを飲んだ馬鹿が暴れてる。警察との戦闘が起きてるから通るのも大変だったぜ」
少し怠くなり、シートに体を沈み込ませ、その数秒後に後部座席のマシンガンを手に取り襲撃に備える。車内からの銃撃は薬莢が人に当たる可能性があるため、危険でやりたくはないが状況が状況だ。これなら歩いて帰っても良いかな、と思ったが赤い戦闘服を着た俺が街に入れば、最悪射殺されただろう。
街に近付くと炎が上がっているのが見える。戦闘も本格的になってきている様だった。窓を開けて銃撃の準備を開始する。
入口に接近すると、警備隊が検問を敷いている。恐らく増援を防ぐためだろう。俺は銃を隠して通ろうとすると、やはり車を止められる。クラレンスは窓を半分開けると、警備隊員と話をしている。スモークガラスが濃いのでクラレンスが防ぎさえすれば車内の様子を伺うのは難しい。
俺は外の警備隊員が俺に銃を向けているのが見えた。黒光りする暴力、山道で大量の警備隊員を殺したものと同じものだ。しかし、あちらからは俺のシルエットくらいしか見えないだろう。俺は太股の拳銃の感触を確かめる。
すると、クラレンスは急に車を発進させる。後ろに体が引っ張られ、拳銃は撃たなかった。あの場面で発砲しても弾の無駄だ。彼等はあまり慣れていないシチュエーションに対応出来ず、唖然としていた。密入国者を取り締まる程でなければ、こんなことには対応出来ないだろう。街を突っ走る車から外の様子を見るが、戦闘が起こった痕跡はあるが、戦闘は起こっていない。銃声の数から考えれば戦闘自体は収束へ向かっているだろう。恐らくIBCの方向で行われている。
そのこともあってか、裏通りにある支部には直ぐに到着した。
「済まないな、いつもこんなのに付き合わせて」
「俺はどうせ暇だから気にするな。《結社》だからって忙しい訳じゃ無いんだ」
クラレンスは車に乗り込むと早急に去る。
俺は支部に入ると、安堵する。俺以外にこの支部に配属された遊撃士はいないため、自宅同然だ。一つのフロアしか無いため、導力端末とベッドとカウンターが同じ部屋にある。同じクロスベル支部でも、東通りの支部とは大違いだろう。そんな劣悪な環境でも、暮らしていれば愛着が湧いて落ち着けるようになる。
最近は予定が詰まっていたため、かなり疲れている。その日は端末に脇目も振らずにベッドに沈んだ。
翌日、端末の前に座ると、安っぽい椅子が悲鳴を上げる。昨日までの疲れが残っている感じもするが、仕事をしない方が問題だ。端末を弄って起動すると、依頼ではないが、一つだけ気になる電通が入っていた。珍しく遊撃士協会の帝国支部から。その題は「人員の補充」というものだった。
ファイルを開いて見ると、補充される人員の顔写真とプロファイルが載っていた。
フランツィスカ・コーレンベルク
age:15
height:162
use:gladius
短期士官学院を首席で卒業
第二支部配属を希望
これだけか、と思ったが、それよりも此処に所属したいということに疑問を覚えた。同伴してる顔写真は銀髪の少女で、その顔はデジャブを感じさせた。そして、その到着日時を見ると、それは今から三時間後だった。部屋は散らかっており、ベッドの近くは特に酷かった。人員が補給されそうなのにこんな有様ではすぐに転属届を出されそうだ。自分の住んでいた場所であるため、少なからずプライドがある。
すると、ベッドの上に転がっている小説を仕舞っている時に懐かしい物を見つけた。俺が鉄道憲兵隊をやっていた時代に受け取った勲章があった。クレア大尉を助けたことで受け取ったものだ。武装勢力を憲兵隊で制圧する時に俺とクレア大尉が撤退に失敗して孤立し、被弾したクレア大尉を連れて脱出した、ということで受け取った。あの時は死を覚悟していたが、絶対に死んでたまるか、と進んでいた。十字砲火と一方的な怒号、今までで一番の修羅場かもしれない。
と、今の目的を思い出す。時計を見直すと残り三十分程にもなっていて、急いで準備をするが、突然ドアが開かれる。
「遊撃士協会クロスベル第二支部に配属された、フランツィスカ・コーレンベルクです。本日、ヒトヒトサンマルより着任します」
堅苦しい挨拶で支部に入ってきたのは、紛れもなくフランツィスカ・コーレンベルクだった。俺は顔だけ後ろを向いた状況だったので、直ぐに体を彼女に向けるが、一つ注意する。それは、この仕事は軍事ではないため、その挨拶は似合わない、ということだ。
だが、彼女は真面目過ぎるのか、上官への話し方の様なのは変わらない。安心するのは部屋の惨状を気にしている様子はないことだ。
そして、俺が悩んでいるのは居住スペースのことだ。スペースだけでなく、住み込みの仕事となるのでベッドや個人の空間が必要だろう。しかし、彼女は床で寝る準備を始めている。俺は彼女を制止しようとするが、彼女は今日から早速仕事をするつもりらしい。
「気にしなくても良いですよ。私は貴方の部下です。扱いは任せます」
俺はこの少女の難しさに半分呆れて、後頭部を掻いてしまう。しかし、命令に従順なことを利用して仕事をさせないようにする。
今回、お前に与える仕事は俺について来ることだ。
そう伝えると、怪訝な表情をしながらも、了解、という返事が得られた。
早速、支部から出て家具を売っていた店に向かう。俺がこの支部に来た時も世話になった店だ。少々治安の悪い地帯にあるが、もし喧嘩を売られたら、この少女の実力を試す機会にもなるだろう、ということで、旧市街に向かうことにした。
東通りの一角にある鉄網でできた橋を渡ると、砂漠のように乾いた色をしている光景が広がっている。いかにも治安が悪そうな雰囲気があるため、フランツィスカが俺の後ろに引っ込んでしまった。こういう場所には来たことが無いのだろう。俺はフランツィスカを守れる位置にいながら、家具屋に向かう。
元はアパートの此処、家具屋はここに開いている筈だが、昨日の騒ぎで撤収したのか、気配は無かった。諦めて帰ろうとすると、振り返った先にそいつはいた。白髪の老人で、相当な腕前を持った家具職人だ。彼は腕こそ確かだが、自分の好きな人間にしか家具を作らず、しかも嫌いな人間には執拗な嫌がらせをするという。俺は好かれているらしく、全力で家具を作成してくれる。
「爺さん、居たのか。てっきり別に店を構えたのかと思ったよ」
「ふん、あんなことは前居た国じゃ日常茶飯事だ。いつもの場所に店があるからついて来い」
すると、爺さんは歳に似合わない真っ直ぐな背中を見せながら建物に入っていった。俺はそれについていく。フランツィスカを後ろに連れたまま。半壊した元アパートは、所々が吹き抜けになっており、暗かった空間に妙な明るさと、開放感を与えていた。
記憶にある廊下と照らし合わせた場所に家具屋を構えており、本当に動いてないや、と思う。古臭いドアが、ぎいと音を立てて開くと、前より多い品が目に入る。恐らく客が減ったのに製作を続けるから商品が増える一方なのだろう。俺はベッドが無いか聞くと、爺さんは俺の後ろにいる少女を見てから、「大きめのやつを一つで良いかい」と聞いてくる。フランツィスカを見やると、彼女はあのジョークを理解出来ていないようで、安心した。
「一人用で良い」と返すと、爺さんは溜息をついて頼んだ品を持ってきた。
「これは後で届けるが、代金はどうする。その娘が払う訳じゃあるまい」
「それに関しては、これで解決出来ないか」
俺は戦場で拾ってきた警備隊員の持っていたライフルをバッグから出して渡すと、爺さんはそれを鑑定するように見ると、今すぐ届けるサービスをつけてやる、と言って導力車を出すことにしてくれた。俺達は爺さんが運転することに少しの不安を持ちながらトラックに乗り込んだ。
支部に到着すると、ベッドを荷台から下ろし、運び込む。フランツィスカには運ぶのを手伝ってもらい、爺さんにはドアを開けてもらう。彼女は頑張っていたこともあり、スムーズに進めることが出来た。
俺のベッドからは反対の位置に置き、作業が終わると、爺さんは去っていった。
すると、フランツィスカが質問をして来る。
「まだ午後一時ですが、後はどうしますか。トカレフ殿」
「なんだ、その呼び方は・・・悪化してるな。此処はもう士官学院じゃ無いんだ。外でそう呼ばれたら勘違いされそうだ」
「そういう訳にもいかないんです。私は・・・・・・」
何かを言いかけたようだが、俺はまず、呼び方をお互いに決めることにした。
まず、彼女から、俺に対する呼び方を「アレックス」に固定し、俺から彼女には「フラン」に固定する。略称にした方が返事もしやすく、戦闘中に呼びやすい。だが、彼女はやはり慣れないようだが、慣れるまで待つことにした。