遥か昔私は貴方と約束した。
いつか一緒になれると…
だが、そんな約束を交わして半年後のことだった…
一緒になるのが不可能だと知ったのは、貴方が突然の病で倒れたのがきっかけだった。
医者には『ガン』だと告げられ、余命残りわずか。
私は最後まで貴方の手を握りしめていた。
『死なないで…一人にしないでよ…』
『僕は…君を置いて死んだりなんかしないよ?』
貴方は微笑んでくれた。
私の瞳から流れ出す涙をぬぐって。
その夜、貴方はこの世から去った。
私は貴方の冷たい手をいつまでも握りしめていた。
動くことのない貴方に話しかけていた。
『貴方は…どうして置いていったの?』
『あの約束は…嘘だったの?』
私は…一応貴族だ。
だけど、貴方は…。
貴方に恋をしてしまった。
出逢いは街の中で貧しい庶民にパンを配っていた時に貴方は現れた。
*
『君…どこかで見た気が…』
『えっと…違う人じゃ…』
『そうですね…すみません…』
『いいえ…あっパンどうぞ』
満面の笑顔で対応したはず…
『君は…いつもそうやっているのかい?』
『え…?』
貴方は見破っていた。
私は小さい頃から『母の愛』を知らずに育てられた。
だからだろうか…演技して…誤魔化して。
『貴方は…何者なんですか?』
『ただの庶民だけど?』
『それにしては…見かけたことのある顔ですが?』
冷たく言い放ってしまった。
まただ。私の悪い癖…。
『君は…フィリエッタ家の御令嬢では?』
まわりが一瞬にしてざわついた。
いろいろ貴族に対して嫌う人が多い。
『お嬢ちゃん…本当なのかい?』
と一人の老人が怪しげな顔つきで訪ねてきた。
『ばれてしまっては…いけませんね。』
『本当なのかい?』
『はい…私の名はリリエル・フィリエッタと申します。ですが、養女です』
『リリエル…あの幸せの魔女!?』
ともう一人の青年が言った。
『はい…まぁ…養女ですけどね』
と私はその場を去ろうとした。
でも…
『幸せの魔女さん…どうか…この戦いを終わらしてくれませんか?』
と一人の少女が言い出した。
すると、まわりにいた人も祈り始めた。
私はこの国が出来た頃に生まれ、そして貴族の家を転々としてきた。
だからこの国のこともよくわかっていた。
どれだけの罪なき人が殺され
どれだけの庶民が苦しんでいてもほぼ貴族は無視し続けていた。
それを知っていた。
私はできるだけ庶民の願いを密かに叶えてきたか。
誰も知らない…知ってはいけない。
今戦っている国はとても強いと聞いた。
私だって戦いたい。
でも、魔女はいけないんだ…
魔女は密かに国の中で暮らすというのが規則だ。
規則を破れば島流しの刑に処される。
だが、戦わなくてもできる方法なら知っている。
それは『自然災害』だ。
その土地でいきなりの雷雨やみぞれなどを降らせばいいだけの話だ。
だけど、その規模にもよる。
大きければ大きいほど凄い量の力を使う。
でも、私は決めた。
これだけの庶民が望んでいる。
『わかりました…現地では参加できませんがいくつかの自然災害は簡単に起こせます』
といった瞬間、大勢の庶民は喜びの顔を浮かべていた。
久しぶりに喜ぶ庶民を見た。
『魔女さん…どうかお願いします。』
そういって庶民は帰って行った。
この場所に残ったには私と貴方だけだった。
『屋敷に来られますか?』
『えっ?』
『貴方…見たところ元貴族みたいですし…』
『わかるんですね。』
『はい。』
と私は今さら名前を聞くのをわすれていたことにつて思いだした。
『貴方の名前は?』
『僕は…』
と貴方は少し咳払いをしていった。
『旧ブィリエーブ帝国第一王子のバルカ・ブーリエラだ…』