母神様の云うことにゃ。   作:ふま

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15、テンゾウの正義

「確かに___悩んでおりました」

「______今も?」

「ええ」

 

彼女から手を離した俺は思わず頭を掻く。そう潔く認められちゃうと拍子抜けする。

個人的に云うなら助太刀したいぐらいなんだが俺独りで決められるものではない。

御館様が健在な内にと書状にて平和的に解決しようと事を進めている所なのだから。

 

「そうか___ま、その内答えを出せばいい。折角此処への移住を認められたんだ・・・。

それにだ、復讐は復讐しか生まないって事を俺は君に伝えておくよ___」

 

勿体無い話しだ。出来るなら・・・全てを忘れ、此処で穏やかに暮らして欲しい。

彼女は今、下を見渡せるこの場所で戯れ遊んでいる子供を優しい目で眺めている。

一体、どんな気持ちで・・・?君自身、心の変化に戸惑ってるんじゃないか___?

 

「君には此処で、いろんなものを見て知って欲しい。それだけが全てじゃないからね。」

 

そう云うと彼女に手を貸して立たせると抱え上げ、下に降りた。

 

「ゲンマが八香の為に買っておいた服だ。破けでもしたら彼、泣いちゃうからね!」

「・・・・・・。」

 

そんなんで泣くような男じゃないが、一応そう云っておいた。

これでこの服を着てる時は無茶はしないだろう、義理堅い彼女の事だから。

聞けば、召抱えられるまではずっと雲水姿で御館様にも最初、男の子だと思われていたらしい。

(12と云えば年頃なのに、おしゃれも出来なかったんだなぁ・・・。)

それで俺も、この前仕立てた服を一緒に取りに行ったんだが___

服屋の店主が八香を見るなり何故か大慌てで出迎え、腰を深く折ったのである。

 

「この間は誠に有難うございました。お陰でこの店も、他の商店も被害なく済みまして

後で聞けば、自の国の巫女様だとか。あの時はそうとも知らず、大変ご無礼を・・・!」

「無礼とな・・・・はて・・・・。」

 

熊騒動があった日の事か。彼女には皆目見当がつかない様で小首を傾げている。

主は店員に申しつけ、あの時作った物を直ぐ持って来るように云った。

 

「これはご注文の品、それとコレは私共の感謝の気持ちにございます、どうかお受け取りを」

「____?」

 

八香はソレを手渡され、フィッティングルームに追いやられて行った。

中から、「サイズがピッタリだ」と声が聞こえる____

 

「 「_______おぉ・・・!」 」

 

出てきた彼女に店主と俺は思わず声を上げた。ホルターネックのアオザイとは・・・!

完全な露肩の黒いシルクのシースルーで奇しくも・・・薄桃色の蓮の華の模様である。

後ろ姿が年に似合わず凄く、艶かしい・・・;

 

「・・・どうだろうか。」

「お似合いでございますよ!!」

「___あぁ・・・だけど、チョット露出が・・・ね。」

 

俺は八香の痣を出来るだけ晒したくはなかった___悪い虫が着いては困る。

近くにあったマネキンが着けていた、同じ様な生地のショールを彼女に着せた。

 

「これならOKかな・・・。じゃ有難く、貰っておこうか・・・!」

「是非に・・・!」

「カカシ殿がそう云うなら・・・。」

 

手を引いて店を出た、が。彼女が急に軽い抵抗を見せ立ち止まったのだ。

俺がそれに何か云おうとしたら、八香はパッと手を後ろに隠してしまう。

 

「八香?」

「私の手は硬くて醜いから、あまりこう云う事は・・・。」

 

何だ急に。初めてだっけ? 違うと思うけど、実はコンプレックスだったのか。

ん・・・!?その大人ぽい服のまま、唇だけが小さく尖ってる!?

気拙そうに目を逸らす彼女に何故か俺まで赤くなる。モエが燻るのを覚えた。

今まで全く表情筋は機能してないもんだと思っていたから、かなりの不意打ちである。

日常の何気ない事でさえ、まだ未経験な彼女は困惑しているのだと思われ。

また手を奪っても芸が無い___次の一手に迷う。この状況を打破しなければ。

 

「しょうがないな・・・。」

「?」

 

そう云いながら彼女の腕を両方取り、自分の首に置いてからクルリと向きを変える。

八香の体が驚きで固くなった時にはもう遅い。

 

「カカシ殿・・・!?」

「ヨイショ!・・・ほら、シッカリ捕まってなさいよ・・・・!」

「ハ!?」

 

オンブされた八香はそのショックで声を失ってる。

更に猛ダッシュをすれば何やら言葉になってない声でグジグジ小さな悲鳴?を発した。

 

「なかなか速いだろ・・・!?」

「目が回る____!」

「じゃー、目は瞑ってなさい!」

「*д*#▲___!?」

 

成程、実はこーゆーのも苦手と見える。さてはオンブ初体験だな。

そうギュとしがみ着かれると___あ、やっぱ柔らか~いわ・・・。

さて・・・次は最後の難関か;目指すはランジェリーショップだ!

 

「さー着いたよ!アレ・・・八香?」

 

背中でグッタリ、俺よりゼーゼー云ってるって・・・。

ゆっくり降ろしてやるとその場でヘナヘナ座り込んでしまった。

 

「何て日だ_____」

「あのねェ・・・八香はもっと自分に自信を持ってイイと思うよ?

君は自分を知らなさ過ぎる。その手だって誇りに思って良いんだ。」

 

俺の目を、体を癒してくれる手だ。安心できる暖かい手・・・。

だからこそ、俺は君に素顔も晒すし、治療の時は身を任せてるんだ。

 

「この場が木の葉で良かった・・・。」

 

思わず笑った。紫紺には絶対見られたくない場面だったろう。

ヨロっと立ち上がった彼女の服と、ついでに背中を叩いて店の扉へと誘った。

 

「よーし・・・!あーんな下着や、こーんな下着も、一杯買っちゃうよ!」

「いや、どんな下着を!?」

 

 

 

 

_____何やってんだ、あの人は・・・;

まー・・・普段からアンナ本を公衆の面前で堂々と読めるんだからあの位は朝飯前か。

 

僕は今、暗部として彼女に着いている。他の者ではどうやら察知され易いからだ。

カカシ先輩が同伴なら心配は何もないのだろうけど、あれじゃ別の意味で心配だな;

教師が少女とランジェリーショップとは如何なものか。

援助交際よろしく、不純異性交遊に間違えられますよ先輩・・・。

それにしても中の様子が気になる___ここはヒトツ・・・。

「忍法、変化の術・・・!」

ちょっと化けてみた。コレならフツーな女子に見えるな・・・ヨシ行くか。

 

「いらっしゃいませー」

 

甲高い声にビクりとしながらも中に入る。む・・・八香の声がする方向へ向った。

意外と広いな・・・あれ、カカシ先輩の姿が見当たらない。さては彼も変化してるのか?

どれだ__?数人の女性がいて色とりどりの下着を物色しているが・・・ん?

アレか?今カーテンの向こうに消えて行った銀髪ロングを追う。

 

(おかしいな__いない。まさか気付かれたか・・・?)

 

キョロキョロしながらジャ!と少し焦り気味にカーテンを引く。

 

「使用中だ」

「_______!!?」

 

等身大の鏡に映るムッチリお胸を覆うブラ、八香の表側と目に飛び込むTバッーク!?

八香、君・・・、何て堂々とソレを着こなしてるんだ!ほぼ仁王立ちに・・・!

目を逸らせ・・・逸らすんだ・・・!でないと、鼻から____もうヤバイ!!

 

「ゴメンナサイ!」

「___気にするな」

 

試着室にしては大き過ぎるだろ___!と鼻を押さえながら急ぎ店を飛び出した。

危なかった・・・もう少しで変化が解けるとこだ。ティッシュを詰め、また面を被る。

ドキドキが止まない、いきなりだったからな・・・しかし、まさかあれ・・・。

 

(カカシ先輩セレクト!?)

 

何考えてんだ___16の少女にあのチョイスはナイだろ・・・だいたい不健全過ぎる!

この事は火影様に報告___してもいいのか?僕が逆に叱られるのではないか?

『誰がノゾキをせよと云った!』とか、ヘンタイのレッテルを貼られたりしないか?

しかし放っておけば彼女はいつか、カカシ先輩の毒牙に掛かるかもしれない・・・。

 

(ヘンタイを取るか、正義を取るか・・・あぁ、一体僕はどうしたら・・・!)

 

ん____あれは・・・。千本を咥えた男、ゲンマではないか?

ショップの前、一旦立ち止って襟足をガリっと掻いている。そりゃ抵抗あるだろう;

その内、二人が出てきた。紙袋を抱えた先輩と彼女が___。

 

 

「お二人さん___火影様がお呼びですよ」

 

 

 

 

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