母神様の云うことにゃ。   作:ふま

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4, 優し過ぎる拾い主

「ヤコウ殿には暫くこのカカシの預かり者となって貰う、おとなしくな。」

 

三代目と云う此処の長はベッドの私を見下ろしてそう云った。

傍にいたあのカカシもその言葉に頷いている。

昨日のあれを・・・目撃されたから、危険であると報告されたのだろう。

疑問に思うのは___何故危険と思う者を持ち帰ったのだ;

この短い間居ただけで、そして自ら出て行ったのに、まさかスパイ扱いなのだろうか・・・。

 

「さ・・・退院の許可も下りた。

なにか、美味いものでも食べに行こうか。精をつけないと、ね。」

「カカシ殿・・・。」

 

それよりも心配が募る・・・あの里の様になるのではと。

何より呑気な・・・。美味しいもの食べて、精つけてる場合じゃない;

 

「私など此処に居ては迷惑他ならぬでしょうに・・・。」

 

三代目がいなくなってから、傍らに座る彼にそう云うと意外にもカカシは笑顔を見せた。

 

「まー心配いらないよ。君一人、守れない我々じゃないからさ。」

「・・・・・・・。」

「さー、行くよ。」

 

むぅ・・・一筋縄では行かぬ呑気さ・・・着いて来た先は焼肉屋だ。

私は肉を食らった事が無い___熊も、鹿も、ニワトリも___

彼もきっとあぁ云う場面を沢山見てきたのだな。一夜明けたにせよ、あの後だ。

お互い、血に慣れていなければ此処には来れなかっただろう。

そしてなぜだろうな、周りが彼を振り返って見ているのは。

 

「女連れだ・・・・!!」

「おいおい・・・・アレは反則だろ・・・!」

「へー・・・あんなコと焼肉デートとは問題だな・・・。」

 

・・・・・?

 

此処じゃ彼は有名なのかもしれない。カカシと同じベストを来た者も多い。

周りはなにやらコソコソと言い合ってるいるな。

客が多すぎていっぺんには聞き取れぬが;

 

「じゃー何にする?あ、おやっさん、取りあえず、ウーロンと生ねw」

「あいよ!」

「ヤコウ、まずはカルビとハラミでいいかい?」

「お任せする・・・・。」

 

全く解らない質問に適当に言う。ソレも知らずか。ヒソヒソ声にもどこ吹く風。片目を隠した穏やかな笑顔・・・。

しかしこの人もまた____否

そもそも、闇のない人間はいない。

大なり小なり・・・誰にも闇は存在してるのだろうな___

 

「_____ヤコウは・・・今いくつだっけ?」

「・・・・? ・・・・・16だが」

「そうか、

じゃぁ俺とちょうど10違うわけだ。ヘタすりゃ俺達、兄妹に見えるかもね。」

「・・・・・・・・。」

 

思わず俯いた。どうしてこの人は私になどに優しく接する事ができるのかと思う。

この人の手を握らなければよかった・・・

彼の親父様の事、仲間との事・・・知らずに済んだものを。

今言えるのは、彼にそんな能力がなかったことを救いに思う。

 

 

 

 

 

「カカシ殿・・・それより、この里を出て行く手段はないだろうか・・・?」

「なーんでそんな慌ててるの。

君の戻ろうとしてた場所はもう焼き払われちゃったでしょうに。」

 

巻き込むわけには行かない____って、思ってる辺りイイコだよまだ。

不思議だけど、表情は全く変わらないのに目の色で解るんだ。

 

「此処にいる限り、君に手出しはできない。

ソレよりも、君を召喚した男のほうが問題なんだよねー。」

「それについては___本当に記憶があやふやで、実はまだ何か欠落してる気がする」

 

 

_______彼女は覚えてる事を辿っていく。

カブトらしき男は「いろんなサンプルを探していた所だ」と云い彼女の腕を取った。

 

「ぞっとした・・・悪意しか伝わってこなかった・・・殆ど条件反射で発火した」

 

あー・・・アレはえげつなかった。火遁でも禁術レベルとゆーか・・・が、しかし。

どうやら彼女には忍術という概念はない、印も結んではいなかった。

ただ片手を大きく煽り、投げつける様な仕草だけでガス爆発の様なあの業火だ。

 

(巫女というより魔女ってとこかな。正直、敵に回したくないねぇ)

 

ま・・・女の子なんだし?俺んとこじゃ、なにかと問題もある。

三代目は紅にでも頼んでみるとは言ってたから暫くだけの預かりにはなるだろう。

人に預けるにしてもだ、俺がまずこの子の事を理解しておかないと。

 

「さー、焼けてるよ。遠慮なくお食べー。」

「・・・・・・。」

 

お箸を差し出した。ちらりと見える手の硬そうな部分・・・。

剣術を相当やってないとアアはならないだろうな。

 

「ところでヤコウ、君のその力ってどう云うもの?」

 

彼女は動作を僅かに止めたようだった。

顔をやや斜めに傾け、視線は落としている。

 

「自の国は自然と共にある___色々あって私は赤子の頃、鬼子母神の加護を受けた。

お陰で他の者とは違う力を・・・例えば樹の意思や、花からの言葉、空の機嫌、風と火とは意思疎通が出来る・・・それで12の時巫女に祀り上げられてしまった・・・。」

 

あの時の爆風は風と火に、自ら働きかけたものの1つだと云った。

聞けばあの業火は、ボンボンと次から次へと出せるものではなく

やはり俺たちと同じ様に、ある程度のチャクラを必要とするらしかった。

 

「彼らは___国を捨てた私に今でも寄添ってくれている・・・。」

 

なるほど、昨日のアレが証拠になるな・・・。

自然を味方に付けるとは___

ほぼ鎖国状態の自の国にとって、彼女の損失は痛手だろう。

 

「一体・・・何があって国を出たんだい。」

「_____話すにはまだ時が浅い・・・どうかお察し下さい・・・」

 

お察し下さいと云って、もう箸を取らなくなった彼女に何も聞けなかった。

 

 

 

 

 

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