母神様の云うことにゃ。 作:ふま
____『あ。そうそう。気分転換に明日、色々と見て回ってくるといいよ。
着替えやなんかもついでに買っておいで? ハイコレ、お金』____
突然にそう云い出し、サイフを手渡したカカシ殿。
案内役、1人頼んであるからとは・・・どういう事か。
ずっとココじゃ退屈だろうとか、良い眺めの場所もあるんだよとか
あ~そうそう、美味しいラーメンの店なんかもあるし、ネ!とか。
どうあっても行かせたい様子であったな・・・。
私はゲンマ殿の隣を歩きながら夕べの事を思い出していた。
「ゲンマ殿___、男の人はやはり、アレコレ世話を焼かれるのは嫌なのだろうか?」
「世話___?どんな世話をお焼きになったんです。」
「例えば・・・食事の用意、オフロの用意、寝る前の___」
「寝る・・・前・・・の・・・?」
「体ほぐしだが」
チラリと私を見降ろし、さっきまで笑っていた顔の動きが止まった・・・?
あれッ・・・ゲンマ殿から何か悪い気が出てる。千本がやたら太陽に反射して顔が良く見えない。
「カカシ殿ったらマスクを外した途端・・・」
「マスクを・・・・外したトタン・・・・?」
「首の骨をポキポキ鳴らすものだからマッサージを・・・。」
「そ、そうですか。ソッチね・・・ヨカッタ」
なんでちょっと赤い顔で胸に片手を当てたんだろうか?
おまけに酷く咳き込んでアッチを向いてしまってる。
「八香さん・・・、あんまり彼を甘やかさない方がいいな。」
「世話になってる以上この位は当然___寧ろ、まだ足らな・・・」
「ジュ~ブンッです・・・!ソレ以上の事は決してシな・・いや、なさらない様に・・・!」
何だろうな・・・軽く怒られたか? 今。
彼はコホン・・・と、1つ咳払いをして肩に軽く手をやった。
「考えても見て下さい__
貴方が居なくなった後、彼は何も出来なくって孤独死でもしたらどうしましょう?」
「__________孤独・・・・死・・・ですと・・・・!?」
「そう___男ってのは案外ダメなもんです・・・これでもうお分かりでしょう。」
頭の中に閃光が走った。あのカカシ殿が・・・孤独死なんて・・・。
つい・・・ヨボヨボになった彼を想像した・・それはいかん・・・!
聞いて見て良かった・・・良かれとしていた事が実際には逆の効果をもたらす事もある。
承知した。と思わず深く頷いて見せた。___ゲンマ殿は大人だな。
「お___? あれは・・・。」
お店が立ち並ぶ中、沢山の子供達を連れた男性を見てゲンマ殿は軽く手を挙げる。
”いやぁ、どうも”と照れ笑いする青年。・・・笑顔が、とても眩しい。
「ナンカの実習かぃ?イルカ先生」
「そーなんです、あ・・・なんかお邪魔じゃなかったんですか俺。」
腰を折って頭を下げた私とゲンマ殿を交互に見てる。
ばぁ~か、任務だよ・・・と彼は手の甲で額を抱え上げていた。
「じゃぁ。俺はこれで。」
そしてソレを信じたかどうかは定かではないが、
子供達に急かされたのもあってかペコリと頭を下げて通り過ぎていった。
「____眩しいな」
「え____?」
「あの先生も子供達も、この国じゃキラキラしている___」
「自の国じゃそうでもないって・・・事ですか。」
「今では・・・床に臥せった御館様の代わりにその嫡男が悪政を行っていると聞く。
おまけに旱続きで隣国から水を買わなければ何も育てられない。作物も、人間も・・・。」
一度は・・・戻らなければなるまいな。
そう云って瞳に暗い影を落とした八香___彼女の報告書は丸暗記してあるツモリだ。
まるで虫食いのパズルゲームだな・・・とつい溜息を零してしまう。
俺は思わず細い肩を揺らしてやった。
「ほら、あそこ・・・!」
ぼんやりとした視線で俺の指差した先に目をやる。
彼女の今来てるアオザイやチャイナ服などが売ってる店が見えてきたのだ。
店に入ると店主が出てきてさっと直ぐにメジャーでもって彼女を採寸しだした。
「既成品ではちょっとお胸とお尻がキツイかと思われますなぁ・・・。」
「ブッッ」
カラン・・・・離れた所で聞こえる店主の声に思わず千本を落としてしまった。
成長途中ってワケだ。大人びた雰囲気でついその事を忘れてしまいそうになる。
それにしてもカカシめ・・・、保護任務にあの特別オプションはなんだ!
あぁでも云っておかないと、その内”オトナの体ほぐし”に発展しかねないからな。
だいたい遠慮しろ・・・家政婦の様にコキ使いやがって・・・。
「そうか・・・残念だな」
「なら、生地だけでも選んで作って貰えばいいですよ。」
彼女にそう提案すると3枚選んだだけだったので随分少ないなと思ったんだ。
そう高くはないのにカカシに遠慮してるのか・・・イイコだよな、素直だし。
「あー、これでしたらサイズもバッチリですよ?着てみます?」
店主が奥からサックスブルーの前開きタイプを持ってきた。
「お・・・_________八香さん?」
彼女の様子がおかしい事に気付く___生地を握ったまま表を見ているのだ。
「店主・・・!この店にもシャッターを・・・!」
「は・・・・・?」
「急いで降ろすんだ」
そういい残した彼女を追って、俺も表に飛び出す。
あれはなんだ___八香の、見つめる遠くのその先に砂塵が舞っていた。
「避難を・・・・!」
「八香さん・・・!貴方もだ!」
彼女は俺の手を軽く遮り、後方の物陰へと視線を流してる。
マズイな・・・とっくにお見通しだったか。
「おい、うぬら・・・影で見てないで民の為、誘導でもしたらどうだ?
私の事はほっとけ。任務には失敗するだろうが火種がここで消えてでもすれば嬉しかろ?」
「 「 ・・・・・! 」 」
「生憎だな・・・カナリの地獄耳と心得よ」
影に潜んでいる暗部の会話まで聞き取れると云うのか___闇がざわついてる。
「そして云っておく・・・、この粗ぶる熊どもは約50頭はいるぞ・・・。」
「「「 何・・・・!? 」」」
影にいる暗部の奴らと思わずハモったが俺は彼女の前に立ち、すぐ様戦闘体制に入った。
「早ぅしろ___未来を失いたいか___」
彼女がそう云うと猛突進してくる巨大な熊達が急ブレーキを掛け始めた。
ビュ!!!!とキツイ風が吹き抜ける。熊の毛が___大きく散ったのだ。
「止めるのにも____色々限度がある」