母神様の云うことにゃ。   作:ふま

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8, 禁術

「・・・・・・・・・。」

 

 

重過ぎる空気の中、それは行われていた____。

火影の許可なしでは使えない、禁術だと云うのである。

 

___『八香殿が楽になるならば・・・要らぬ記憶を消し去ってやりたい』

恐らく、彼はまた別の切り口から調査を進めているのだろう。

 

三代目は彼女に酷く同情を寄せておいでだ・・・。

 

 

 

「・・・・・むぅ・・・。」

 

彼女の記憶を遡る術中、

ある忍は眠る八香の額に手を当てながら、キュっと眉間に皺を寄せていた。

 

「無意識に封印している箇所が多い、浅い所なら行けそうだ」

 

俺は八香に、カブトの情報が欲しいと協力を頼んだ。

快く承知した彼女に___後から申し訳ない気分にもなる・・・。

 

と・・・云うのもこの数日間、八香と暮らして見て気付いた事があったからだ。

忍のクセもあってか、フイに現れる俺に___斬れる様な緊張感を放つ事がある。

殺気と云うより・・・、彼女らしくない、それは”怯え”であり・・・

それは___敵の、男の手に掛かった事のある、くノ一の反応に酷似していて・・・。

 

(だから君は___巫女を・・・里を、捨てたのか・・・?)

 

俺のその、彼女への疑いが此処で明らかになりつつある___

立会ったのは彼女と接触した俺と三代目、

テンゾウ・・・そして、立ち会う事を三代目に申し出たゲンマだ。

 

「間違いない__薬師カブトだ」

 

俺には嫌な予想があった。腹をくくると同時に深く眠る、彼女の手を握ってやるのだ。

俺たちは目撃者となった術者の言葉に聞き入る。

 

寝台の上の、朦朧としてる彼女を見下ろし何かデータを見ながら笑って云った様だ。

 

 

____捨て子だった君も随分タライ回しに会った様だね?

可哀想に、大人たちはその力を利用すべく隔離してまで君を鍛え”感絞め”までさせた。

後悔しているんだろ?力を発揮しなければ、巫女として祀り上げられる事もなかった。

御館様をあの時、助けなければ召抱えれられずに済んだ。

そして、君の想う左門と出会う事もなけりゃ、その兄に・・・拉致される事も無かった。

しかし、よほど君が欲しかったんだね、フツウ弟を討伐しようなんて考えないよ。

僕には解ってるんだ、君が生きて今まだ”時”を窺ってる事を。憎いだろうね。

だけど丁度良かった、いろんなサンプルを探していた所で君に辿り着いたんだ。

君はとても運が良い・・・僕と大蛇丸様なら君を助けられそうだからね____

 

理解者を装い、カブトが注射を片手に彼女の手を取った瞬間___炎が上がった

 

こういった作業上、そこに至るまでの記憶や体験が絡んで来る事がある。

二つの単語に___彼女の記憶が酷く反応を見せたらしい。

冷静でいなければならない筈の、術者の体が僅かに震えた。

 

「_____ッ、もう限界だ・・・!」

「ムリは良い・・・すまなかった。」

 

そう容易く参る男ではない。

術者も人の子・・・彼にも年頃の娘がいる。

手を離し、額の汗を拭うと肩が動く大きな息を吐いていた。

俺は心の中、「やはり君は・・・」そう彼女に視線を落としている・・・・。

 

「紅ばしかは不治の病だった・・・

強靭な生命力を持ったこの子なら実験にうってつけと云う事です。」

「しかし、”感絞め”とはのう・・・刺客に育てるツモリじゃったか・・・。」

 

喜怒哀楽を捨てさせる、大昔の悪しき教育だと三代目は呟いた。

だが彼女は違う__左門を想うあまり、感情を取り戻している。

 

「結局は何もしてやれなかった・・・三代目、申し訳ありません。」

「なに・・・、彼女の事を考慮してやれる材料にはなった。助かったぞ。」

 

俺たち3人はそう云って部屋を後にする男に深々と頭を下げた。

そして俺はどうしても言いたい事があって彼の背に追い着いてた。

 

「いのいちさん・・・!」

 

夕暮れに振り向く、寂しげな笑み。

俺は直感した。この人は彼女に何があったか・・・知っている。

 

「どうした、カカシ___」

「その・・・なんというか、一部・・・濁して云って下さって・・・。」

「そうか・・・バレてちゃしょうがないな。お前は男のクセにカンがいい。」

 

そう云うが、俺の思う所テンゾウ以外全員気付いたと思う。

特にゲンマなどは殺気さえ漂わせていたからな・・・。

どこかに誘おうかと思ったが、今日はこのまま真直ぐ帰るツモリらしい。

 

「どこかで、わらび餅でもを買って帰るか・・・娘がダイエット中でな;」

「なるほど。」

 

あの後だ・・・、急に娘に会いたくなったってトコだ。俺は彼の後ろ姿にまたひとつ頭を下げた。

親か___俺は多少なり知ってはいるが彼女はまったくそれを知らないんだな。

 

(紅の所に預ける話は無かった事にして貰おう。)

 

 

 

 

 

 

「ゲンマさん__彼女は仇討ちの機会を待っているのでしょうね。」

 

まだ薬が効いて眠ってる八香を抱き上げた。

どうやらテンゾウは彼女に対する思いが変わった様子である。

 

「まー・・・そうだろうな。」

 

君が生きて今まだ”時”を窺ってる事__このクダリだ。

 

拉致って・・・どうのこうのしたって、気持ちが向く女じゃねぇだろうに。

挙げ句、恋敵である弟を討伐するとか__鬼畜生にも劣る所業だぜ・・・。

だが・・・良く生きていてくれたよな。

下手をすれば八香だって、後を追って自害とか考えたんじゃないか・・・?

 

「殺気が一切なかったのも、”感絞め”のせいか・・・。」

 

バカ・・・! それどころか___笑えないんだぜ・・・?

テンゾウの分析がいちいち面倒で俺は先を歩き部屋を出る。

 

案外、義理堅くて世話好きで___冗談まで鵜呑みにする世間知らずで・・・

暗部にケンカを売ってまで、子供達の所へいち早く駆けつけ様とした彼女がだ。

 

「酷い事しやがる・・・・・・。」

 

「おー、悪い悪い。三代目は?」

「・・・木の葉丸の様子を見に戻ると云って先に帰りましたよ。」

 

俺の小さな呟きにも気付かず、カカシが戻ってきた。

後は頼みます__と、そっと彼女受け渡してから軽く手を挙げて俺はその場を離れて行った。

 

(まだ___宵の口、遊んで帰るか____)

 

気持ちを寄せ過ぎているのではないか・・・?と、己の感情を振り返る。

だが忍である前に、俺だって人であり、男である___約束もしたばかりだ。

忍として男として彼女を守らんとする事がなぜ悪い・・・。

俺は間違ってなどいない、大事なものを見つけてしまったのだから。

 

ふと、彼女の事が少しでも脳裏に浮かぶ時___

初めてドアを開け、俺を招き入れた時の・・・見開いた大きな薄紫の瞳。

そして__笑おうと、目を細める八香を思い出してしまう・・・今だってそうだ。

 

 

「やべェ・・・、こりゃ重症だ・・・。」

 

 

 

 

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