進化を続けるこの世界で   作:だゆつー

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第11話

「ふぅ……」

 

 久々に感じた肉体的な疲労に思わずため息をついてしまう。現役を引退してから確かに武器を持つ機会はは減ったがまさか自分がここまで弱体化しているとは思っていなかった。

 

「本当は全員倒すつもりだったんだがな……」

 

 倒さなかった、ではなく倒せなかった、がこの場合正しい言い方だろう。自分の腕が鈍っているのもあっただろうが、やはりあの2人の存在が大きかったのだろう。

 先輩に選ばれたにも関わらず取り込まれなかった4人。最後に変な騒ぎを起こした3人。あの3人は選ばれなかったに取り込まれた。しかし、あの4人は彼らよりもずっと近くにいるのに自分の意思をしっかりと持ち、自分の目的の為に歩いている。あの4人と3人は何が違うのか、武の強さか、心の強さか、はたまた育ってきた環境か。今日実際戦ってみて答えが出ると思っていたがそんなことはなかった。

 唯一分かったのは、今まで自分が考えてきた違いではなかったということ。確かに武に関しても、心の強さに関しても、あの3人より今日の2人の方がずっと強いというのは感じた。育ってきた環境も、きっと私には考えられない環境で育ってきたであろうことも。しかしそれらは決定的な違いではなかった。

 

「一体何が違うのか、あの4人と、私たちは……」

 

 私の呟いた言葉は誰にも届くことはなく、静かに薄暗い空間に溶けていった。

 

 

 

 

▼▼▼▼

 

 

 

 

「てことがあったんだよ~」

 

 予想してなかった戦いから時は過ぎ、今は放課後。俺はいつもの3人と一緒に家に帰っていた。横では今日の出来事をリアが他の2人に話している。ちなみにコウタとシズも俺達と同じことが起こったそうだが、俺とリアのクラスが合同だったように、コウタとシズのクラスで合同だったらしい。2人の方は俺達より残った人数は少なかったものの、最後には相手の教師を戦闘不能まで持っていったという。少し悔しいが、俺たちの実力不足と相手が悪かった、というふうにしておこう。

 

「それにしても、最後はしけた終わり方だったよね」

「ああ、あの3人のことか」

「聞いた話では、そいつらはエレナ信者らしいじゃねぇか」

「運が悪かったですね。エレナとよく一緒にいる私たちはただでさえ、そういう人たちに狙われやすいのに、その中でも特にあなたは……」

「ああ、殺気が飛んでくるのは、もはや日常だ」

 

 エレナに一回でも目を付けられた人の約10割は、今日の3人のようにエレナを信仰するようになる。目を付けられただけでなく、少し話しただけなのにそうなる人もいるのだから恐ろしい。ちなみに約10割とわざわざ約をつけたのは、そうならない人も数人いるからだ。俺たちのように。

 話が少しそれたが、そのエレナを信仰する人間が多くなってきて、まるで宗教のようになってしまったため、エレナ教と俺たちは勝手に呼んでいる。そいつらはシズが言った通り、俺達を恨んでいる……というよりは嫉妬しているのだろう。その中でも、俺はエレナの養子で一緒に暮らしているためか、特に当たりが強い。命だって危なかったことがある。以前、流石に我慢できなくなりエレナにどうにかするように頼んだが、

 

『どうにもならんさ。むしろ私にとってはうれしいことだ!創造神で信仰されるだけでなく、人間としても信仰されるとは!まさに理想の神様だな私は!!ハッハッハ!』

 

 と言われた。思わず、剣で攻撃をしてしまった俺は悪くないはず(結局、全部かわされたが)。どうやらエレナは俺たちがこのような状況に置かれていることを楽しんでいるようだ。

 

「で、結局何も改善せずに月日が過ぎてしまった」

「何というか……ドンマイ」

 

 俺は空を見上げる。ああ、今日はきれいな夕焼けが見れるなぁ……。

 

「そ、そういえば交流戦は何どこで開催されるのでしょうか?」

「確かに、なんも聞いてないな」

 

 どこか遠い目をしているであろう俺に気を使ったのか、シズが無理やり話題を変えてくる。

 

「どうせだったらどこか他の国に行きたいな~」

「なんで俺たちがもう代表生徒になった前提で話が進んでんだ」

「まぁどうせ選ばれるだろうけどな」

 

 そう、どうせ選ばれる。俺たちの平穏な日常が長く続かないのはもう長いようで短い月日の中で知っている。

 

「そういえば、私たちは他の国に行ったことがないですね」

「確かにな。自分で言うのもなんだが、なんか意外だな」

「私達ってしょっちゅうこの国の外に出てるけど、思い返せば楽しい記憶が1回もないよねぇ……」

 

 今度は俺だけでなく、4人全員でどこか遠い目になる。「ママ~、なんであのお兄ちゃんたち動かずに空を見上げてるの?」「しっ!見ちゃいけません」

 

 コホンと再生の早かったシズの咳払いで現実に戻って来る。

 

「確かに、どうせどっか行くのなら他の国に行きたいですね」

「俺は共和国に行きたいかな。食べ物がおいしいって有名だしな」

「俺は帝国だな。あの国独自の部品に少し興味がある」

 

 俺とコウタがそれぞれの願望を口に出す。それから、女子2人も加わり始め、自分たちが思い思いの意見を言いながら歩いているといつの間にか、朝の集合場所の公園に着いてしまった。会話が終わるのは名残惜しいが、それぞれ宿題やらなんやらで帰ると言っているので、今日はこのまま解散となった。俺も公園を離れ、家に帰って来た。

 

「ただいま~」

「やっと帰って来たか!お前の帰りが待ち遠しすぎて思わず世界をもう1つ創ってしまうところだった」

 

洒落にならない。

 

「で、なんで俺の帰りが待ち遠しかったんだ?」

「なんとな、交流戦の開催する場所が決まった!」

 

 いつもならこういうことはスルーするのだが、さっきまで話していたこともあってエレナの言葉に思わず耳を傾けてしまう。

 

「そしてその場所だが、まだ公式に発表されない機密事項なのだが特別に教えてやろうと思ってな」

「まいど思うことなんだけど、その機密事項を毎回俺達に知らせていいのか?」

「細かいことは気にするな。私が知らせたいんだ、それでいいだろう」

 

 いいことはないのだが、流石に今回は気になる。もしかしたら……いや待て、何度それで騙されたと思ってるんだ!思い出せ!リョウ・リノーア。いつもこうやって期待したところで連れて行かれるのは森の中や山の中だっただろう。そう、今回もどうせそんなオチに決まって……

 

「開催するのは帝国だ。ボルマーレ帝国。『永遠のエネルギー』を保持している国の1つの」

「えっマジで?」

「マジで」

 

 開いた口がふさがらない。

 

「おいおい、流石にいつもみたいに私1人の独断で今回は決められんよ。3国が関わっているのだからな」

「それはお前が決めていたら変なところだったということにも受け取れるが」

「もちろん。とびっきり面白い場所にする。例えば会場に着くまでに参加人数が半分になるような場所とか」

 

 俺はこれからの期待でそれどころじゃなく、エレナが何か言ったような気がしたが耳に届いてなかった。

 

「そうそう、その顔が見たかったんだ。いや~リョウの珍しい顔が見れたことだし、少し私は最近買ったゲームでもしようかな。世界を早く救わねば」

 

 初めて他の国に行くのだからネットで何を持っていけばいいのか調べないと。いや、その前に3人に報告だな。そう思い俺は携帯を取り出す。きっとみんなも喜ぶだろう。

 

「この時、俺たちは思ってもいなかった。まさかあんな出来事が起きるなんて……」

「おいやめろ」

 

 勝手にフラグを立てるんじゃない。

 




こんにちは、だゆつーと申します。
第11話を最後までお読みいただきありがとうございます。

これからも頑張っていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

誤字脱字があれば教えていただけると幸いです。
また、感想とアドバイスがあればぜひお聞かせください。

最後に、次回の話もお読みしていただければ幸いです。


あらすじを書き直しました。

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