俺たちがダンジョンに入ってしばらくたったが、今のところは何も問題なく先へ進んでいた。
「魔物も弱いし、罠も少ないしでなんか拍子抜けだね」
「ここはもう騎士が一度通った道だから罠とかは全部解除されてんじゃねぇの」
「そうですね。マップに映ってるということは、もう騎士の誰かが通ってるはず。道もまっすぐなのでこの状態がしばらく続くでしょう」
俺の後ろの3人が話しているのが聞こえる。いつ襲われてもおかしくない状況だが、いつも通りのような会話ができるほど、今の俺たちにはまだ余裕があった。
襲ってくる魔物は俺がまず剣で迎え撃ち、取りこぼしを後ろにいるコウタの弓とシズの銃で倒し、いきなり後ろから現れた敵には、フットワークの軽いリアが双剣で倒す。
俺はもっと細かく陣形を変えなければいけないと思っていたが、そんなことも無くここまで進むことができた。まぁ俺と同じようなことを考えていたから、他の3人もいつも道理でいられるのだろうが。
このような感じでしばらく進んでいると、3つの分かれ道がある場所に着いた。分かれ道の前の俺たちが立っている空間は広いので、体の大きな魔物が出てくると思っていたが、そららしい魔物は死体となって転がっていた。どうやら先に来た騎士達が倒してくれたようだ。
「しかしやっぱり騎士はすごいな。この魔物には必要最低限の傷しかない」
「できるだけ体力を使わずに対応するのも、ダンジョンの中で生き残るために必要だっつうことか」
俺のつぶやきにコウタが反応する。それから10分くらい空間を探索した後、隠し扉も特にないと判断したのかシズが指示をしてきた。
「さて、3つある道ですが私たちは、まだ誰も探索していない真ん中の道を進みたいと思います」
「おっ、未知の場所に行けるんだね!やっとダンジョンらしくなってきた~!!」
「おいリア、気ぃ抜くなよ。これからは魔物だけじゃなく罠も出てくるぞ」
そう、誰も通っていない道ということは罠もまだ手をつけられていないということである。ここから先はこれまでみたいにはいかないだろう。
しかし、進む前に俺はシズに聞きたいことがあった。
「シズ、お前の意見に文句を言うつもりはないが、右の道の少し進んだところには騎士が休憩中だと伝えられている。そっちに一回向かって休まなくても良いのか?」
「いえ、みんなが疲れているのなら向かおうと思いましたが、まだまだ余裕そうなのでこのまま進むことにしました。もし、途中で無理だと判断したら早い段階でここに戻って来るつもりです」
分かった。そう返事をすると俺たちはこれまでの陣形は変えずに真ん中の道へ向かって行った。
「リア、もっと集中しろ。そんな事じゃすぐに罠に引っかかって窮地に追いこまれるぞ」
少し進むとコウタがリアに注意をうながす。
「大丈夫、分かってるって。この私がそんなへま起こすわけ『ガコン』ガコン?」
コウタの注意にリアが返しているとき、ちょうどリアが手を置いたところの壁が沈んだ。俺たちは瞬間何が起こるかと身構えたが、何も起こらなかった。運よくスカを引いたようだ。
「てめぇ!今俺が注意したばかりだっただろうが!」
「ごめんごめん、何も起こらなかったからいいじゃん!今からちゃんと集中するからそんなに怒らないで『ゴロゴロ』ゴロゴロ?」
コウタとリアが話している時にまた音が聞こえてきた。どうやら後ろから巨大な玉がもうスピードで転がりながら迫って来る音らしい……迫って来る!?
「ヤバい、みんな逃げろ!!」
俺が叫ぶ瞬間には、もう全員走り始めていた。
「ふざけんな!なんでお前はいつも肝心なところでやらかすんだ!!」
「てへぺろ☆」
「てへぺろ☆っじゃあねぇ!!」
こんな時でもけんかをする2人は流石である。ってそろそろ止めなきゃ。
「おい、2人ともけんかは後にしろ。余計な体力使うぞ!」
「そうですね、2人とも今は逃げることに集中してください。にしても何というベタな罠にはまってしまっているのでしょうか」
「お前もそんなこと言ってる場合か」
どうやらみんな冷静なふりをして内心相当混乱してるようだった。俺もそうだが!
入り組んだ道を曲がりながら逃げているが、巨大な玉は追尾性能があるのかどこまでも追いかけてくる。そろそろ俺たちの体力が心配になってきた。
「まずいですね。そろそろ本格的にどうかしなければいけません」
シズが相当焦ったように呟く。
「じゃ、じゃあ貰ったアイテムでダンジョンから脱出するのはどう!?」
リアがそう提案してくる。確かにそれが一番良いのだが……
「ダメです。貰ったアイテムは発動準備に5秒ほど時間がかかります!」
その通りだ。とてもギリギリのところで逃げている俺たちは、5秒も立ち止まったら必ず移動する前に潰される。かといって球を引き離す体力も残っていない。
「じゃあ、どうする!?武器を使って速度を落とすか?」
「それもダメです。あまりにも距離が近すぎてそんな余裕はありません!」
「じゃあどうすんだよ!!」
どうするか……!俺も走りながら一生懸命考えているがなかなか良い案が出ない。万事休すか。そう思ったとき、ガコンといやな音がリアの方から聞こえてきた。
「ごめん、何か踏んだ~!!!!」
「ま た お ま え か !!!!!!!」
どうやらリアにはドジっ子属性があったようだ!
軽い現実逃避をしながら内心ツッコミをいれていると、急に地面が無くなった。まずい。
「今度は落とし穴ですか」
「いや、だからそんなこと言ってる場合じゃないだろ」
俺たちはもちろん全員落とし穴に落ちていった。地面がある方を見てみると球は落とし穴の直前でしっかりと止まっていた。ちくしょう!
「身体強化してるからって流石にこの高さは怪我じゃすまなくない!?」
リアが叫ぶ。しかし重力には逆らえずどんどん地面が迫ってくる。あきらめて、できるだけ衝撃を抑えようと空中でどうにか体制を整えた瞬間、目の前に柔らかいクッション的な何かが俺たちを包み込んだ。そのまま地面に衝突したがクッションみたいな物のおかげで全員無事なようだ。
「これって?」
「一様買っといてよかったぜ」
シズが疑問を浮かべると、隣のコウタが安心したように言った。
「いつ何が起こるか分からないから前に買っといたんだ。こんなところで役立つとは思わなかったが。2000円の価値はあったな」
どうやら俺たちが助かったのはコウタのおかげらしい。自分たちが生きていると実感したら4人で同時にその場で座り込んでしまった。
「よかった~。死ぬかと思った。でもこんなアイテムを用意しているなんて流石コウタ!」
「もとはお前のせいだけどな」
それからまた喧嘩を始める2人を見るとついつい笑ってしまう。どうやらシズも同じなようでしばらく2人で喧嘩を見ていた。
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ヒートアップしてきた喧嘩を止め、しばらく休むと俺たちは地上の本部に今の状況を説明した。シズが通信を切ると俺たちは立ち上がり今いるこの空間を調べ始めた。
「そういえば相当暗いだろうが、身体強化のおかげかはっきりと向こうまで見えるな。やっぱり今の技術ってすげぇわ」
「そうですね、これが永遠のエネルギーの力ってことでしょうね」
ついつい自分たちが体感している技術のすばらしさを語ってしまっている2人だったが何かに気が付いたのか武器を構えた。後ろを歩いていた俺とリアも何かいると気が付き素早く武器を構え後衛の2人の前に出た。
「リョウ、何かいる」
「分かってる」
俺が真剣な口調で話してくるリアに返事をした瞬間、
「上だ!!」
コウタの叫びが聞こえると俺たちはすばやく後ろに下がる。すると俺たちが今いた場所に何か落ちてきた。
砂煙がなくなり、落ちてきたもの、いや、生物をみた瞬間思わず呟いてしまった。
「ドラゴン?」
そう、俺たちの前にいたのは燃えるような赤い鱗で全身を埋め尽くし、立派な羽を広げた、まさにドラゴンだった。
こんにちは、だゆつーと申します。
第4話を最後までお読みいただきありがとうございました。
結局、源頼光は来ませんでした(泣)
誤字脱字があれば教えていただけると幸いです。
また、感想とアドバイスがあればぜひお聞かせください。
最後に、次回の話もお読みしていただければ幸いです。