半妖先生ぬらりひょん 作:半分
霊能力者の鵺野先生の前で
平和な生活と帰る前の部活の練習に汗を流して笑顔で頑張る子供たち。
グラウンドで元気に走る彼らを見ていると、こっちも笑顔になってくる。
サッカー部はもうすぐ他校のサッカー部と練習試合を行う事になっており、僕のクラスの生徒もレギュラーとして練習に励んでいる。
当日は応援に行くつもりだ。
「あら?坂本先生。サッカー部を見ているんですか?」
サッカー部の練習をグランドの隅で鑑賞していると後ろから、一人の女性に声を掛けられる。
後ろに振り向くと、そこには5年2組担任の高橋先生が立っていた。
高橋先生はナイスバディで黒髪ロングの美女。
僕ら男性教諭達の憧れの的だ。
「は、はい。僕の生徒である
憧れの女性にドキドキしながら、正直に話すが顔が熱くて緊張する。
変な奴だと思われていないだろうか?
「まあ、そうなんですか?私も自分の生徒である
「そ、そうなんですか?奇遇ですね……」
誰もが見惚れる笑顔で話をしてくれる高橋先生との会話に必死について行こうと頭をフル回転させる。
正直、人間を襲う妖怪と戦う以上に気を遣う。
何気ない会話だが僕は幸せだ。
その後は、しばらく生徒たちの頑張る姿を見続けた僕らはそれぞれの自宅へと帰った。
明日はいい事があるかもしれない。
「二代目。何か嬉しい事でもあったのですか?」
好きな女性と会話出来た事で軽い足取りで自宅マンションに辿り着いた僕を待っていたのは右手に錫杖を持ち、修験者のような着物を着こなす
烏天狗は先代であるぬらりひょんに仕えていた妖怪であり、現在は妖怪の二代目総大将となった僕に仕えてくれている。
彼は普通のカラスと同じくらいの身長であるが、何百年も生きた大妖怪であり天狗一族をまとめる立派な統領だ。
彼の仕事は半分が人間である僕のサポートや僕に反発する妖怪達の監視など様々だ。
「まぁね。それよりも今日はどうだった?」
「はっ。5年前に行った恭也様の偉業により大半の妖怪は大人しくしております。
しかし……新たに生まれた現代妖怪は魑魅魍魎の主である恭也様の御威光が届かないようなのです」
「で?そいつらはどうした?」
「幸い新参者達は、我らで懲らしめてやりましたが……厄介な奴がこの町にやって来たみたいなのです。」
「厄介なやつ?」
「しょうけら…我ら百鬼夜行に名を連ねる疫病神でございます。」
烏天狗から出て来た妖怪の名前に思わず眉を顰める。
僕の支配下に置けなかった古き妖怪達が僅かにだが存在する。
しょうけらはその中の一匹であり、未だに僕の二代目就任に反発していた妖怪だ。
力もあり、本能で人間に災いをもたらす動物のような疫病神。
まさかこの町にやって来るとは……。
「烏天狗。二代目総大将としての命令だ。
しょうけらのヤロウを見つけ出し、俺に報告しろ」
「はっ!バカ息子たちを使って捜索致します!!」
部屋の窓から弾丸のように飛び出す烏天狗を見送った後、変化した俺も外に出て、しょうけらの捜索に加わった。
「今日も血が熱い……」
妖怪の姿で町に繰り出した俺は沼に住むカッパや家を転々とする座敷童などから話を聞きながら夜の街を駆け回った。
しかし、どんなに走り周ろうとも俺はしょうけらを発見する事が出来なかった。
しょうけらは人々の恐れから厄病神に昇華した妖怪だ。
もしかしたらぬらりひょんの様に周りに認識されない能力の様な物があるのかもしれない。
本当に厄介な奴だ。
―翌日―
しょうけらを発見できずに朝を迎えた僕は急いで自宅のシャワーを浴びていつもよりも早めに出勤した。
普段よりも早く出勤したのは自分のクラスの生徒に憑りつかれた子がいないかを確認するためだ。
朝礼会議をいつもの様に済ませた僕は、焦る気持ちを抑える事が出来ずに急いで教室に向かった。
いつもの廊下が長く感じながらも足を動かし、自身が担当する子供たちの居る教室へと入る。
「先生今日は早いね?どうかしたの?」
「先生?なんか表情が硬いけど何かあった?」
「先生!今度の試合楽しみにしてくれよな、
教室に入ると元気な姿の子供たちが僕の姿を見て急いで自分の席に座る光景が広がっていた。
よかった…みんな居る。
誰も被害にあっていない…本当によかった。
教室に配置されているすべての勉強机に座る生徒たちを見て心の底から安堵した。
「先生、大丈夫かよ?」
「え?ああ、大丈夫大丈夫。
皆が元気そうで何よりだよ」
一番前の席の生徒に心配され、すぐに気持ちを切り替えた僕はいつもの様にHRを始めるのだった。
僕のクラスは大丈夫だったが、他の生徒たちも心配だ。
一応、全クラスの子供たちが来ているか先生たちに確認しよう。
手早くHRを終えた僕は職員室に向かう。
早い先生なら今頃、教室で次の授業の準備をしているはずだ。
職員室に戻って来た僕が見たのは電話の前で驚きの表情を浮かべる高橋先生の姿だった。
まさか……。
「高橋先生今の電話は?」
高橋先生が受話器を置いたタイミングで声を掛ける僕。
「え…?ええ、風間君が突然肺炎になったみたいで……。
お医者様が言うには、大丈夫らしいんですが……」
引きつった表情で答える高橋先生。
昨日あれだけ元気だった風間君が肺炎なんて幾らなんでもあり得ない。
もしかしたらしょうけらは風間君に……。
「そうですか……大丈夫ですよ高橋先生。
お医者様が言っているならすぐに回復して今度の試合だって参加できますよ」
「そ、そうですね。ありがとうございます坂本先生」
少しだけど持ち直した高橋先生と笑顔で別れた僕は学校が終わり次第すぐに病院に行くことを決意した。
高橋先生…風間君は僕が必ず救って見せます。
だから……明日にはいつもの様に笑顔でいてください。
この小説はとある作品を作る過程で偶然に生まれたものです。
ですので評価次第によって打ち切りになる事をご了承の上でご観覧ください。