翔・電「「祝!10話突破(なのです)!!」」
翔「ここまで三日坊主のコンブが続けてられたのも、だんだんと増えていくUAや評価のお陰だ。」
電「読者の皆さん、ありがとうございます!
初感想も頂いたのです!」
翔「摩耶様かわいいよな摩耶様。」
電「コンブさん曰く、気が向いたら10話突破記念に私たち二人の学生時代の話を載せるかもしれない、ということなのです。」
翔「やって欲しいかどうかは読者に聞くそうだ。...露骨すぎる感想稼ぎだな。」
電「少し長くなってしまったのです。それでは────」
翔・電「「本編へどうぞ!!」」
一通り食器類を片付けてから、私は持参した釣り糸を垂らしていた。
「......」
何故こんなことをしてるのかって?
やることが無いからだ。
みんな食べ終えてから、ごちそうさま、美味しかったなど言ってくれたが、電含む駆逐艦三人は摩耶と遊びに行き、山城と龍田はいつの間にかどっかに消えていた。
「......」
釣り糸がくい込んで手が切れるのが怖いので、棒に巻き付けてある。
...まあ引っ張る時は手で手繰り寄せることになるのだが。
夕飯の足しにでも出来たらいいなー、という魂胆だ。
「......」
艦娘たちと話したりしないのかって?
いや、そりゃあ私もしたいと思っている。
だが私は男であり、それもまだ出会って一週間も経っていないのだ。
『人間』と『艦娘』という溝が...私には無いのだが...彼女たちに存在するのは確かだ。
「......」
正直電は私の元に来てくれると思っていたのだが...
...あーいや、そういうわけじゃない。
電も姉の雷と数十年という歳月を跨いで逢えたわけで、さらに春雨や摩耶と仲良くしているのだ。
電が虐げられるどころかこの鎮守府の艦娘たちと仲良くなって、協調性を高めてくれるのは非常に利になることだ。
「......」
しかしなんというか...この胸の引っかかりはどう表現すればいいのだろうか。
子どもを持ったことはないが、親離れして結婚する子を見届ける父親はこんな気持ちなのだろう。
「......」
すっ、と発泡スチロールで作った簡易ウキが沈む。
「来たかっ!」
するすると針が外れないように優しく、時に力強く糸を引いていく。
...なかなか大きい。
────ざぱぁ!
...茶色で20cmちょっとぐらい。
アイナメだろう。昔図鑑で見たのを覚えている。
特にこの時期は脂が乗っているはずだ。刺身にすれば美味いだろう。
水の入ったバケツに放り込み、もう一度餌を付けて釣り針を投げる。
∽
雷ちゃん電ちゃん、摩耶お姉さんと遊んでいると、ふと防波堤で座っている司令官を見つけた。
よく見ると竿を持たずに釣りをしているらしい。
ヒュンヒュンと餌の付いた針を振り回し、遠心力を使ってひょーん...と針を沖の方に飛ばす。
...見事なキャスティングだ。
「春雨、どうかしたのか?」
「摩耶さん、あれ...」
と、司令官を指さすと、ちょうどすごい勢いで糸を手繰り寄せていた。
ざぱぁ、と大きさは20cm強と言ったところだろうか、茶色の魚を釣り上げたところだった。
高速修復材の空きバケツにその魚を突っ込んで、また針を振り回して飛ばす。
バイクの運転にしろ、料理の腕にしろ、なかなか器用な男である。
「あいつ、なかなかやるなぁ...」
摩耶さんが感心していると、雷電姉妹もやって来た。
「どうかしたの?」
「何かあったのです?」
「司令官さんが釣りしていたから...はい。」
説明しながら司令官を見ていると突然、ぐん!と海に引きずり込まれそうになる。
『────うおっ?!!』
どうやらかなりの大物とあたったらしい。
船を繋ぐチェーンを巻き付けるための...あのでっぱりに齧り付くようにして、司令官はなんとか踏ん張っている。
「お前ら、行くぞ!」
電をおぶった摩耶が司令官の元へ駆け寄る────
∽
まずい、非常にまずい。
なんとか耐えているものの、このままでは糸が切れるか、力負けして私自身が海に引きずり込まれるだろう。
木の棒を手放すという選択もあるが、買ったばかりの釣り糸を手放すのはもったいないし、何より勝負から逃げるのは日本男児として...
いや、“漢”としてのプライドが許さなかった。
「提督!大丈夫か!?」
摩耶と愉快な駆逐艦たちがやってきた。
「すまんが手を貸してくれ!」
「摩耶様にまかせな!」
私の後ろから被さるように糸を掴み、ぐいと引っ張る摩耶。
「おらぁっ!」
────むにゅん。
「どうだっ!」
────ふにゅん。
「────司令官さん、何か邪なことを」
「よーし摩耶ありがとう!」
鬼のような気を発する電を尻目に、なんとか態勢を立て直す。
「助けるわ!」
と言って雷が艤装展開、空き缶のような黒いそれ...爆雷を手にする。
────爆雷?!
「雷、ダメだ!
爆雷漁は法律上禁止されている!
電と一緒にタモ...棒付き網を取ってきてくれ。」
まともに政府が働いていないこの日本で、法律を気にしても仕方が無いというものだが...そもそもこんな所で爆雷が爆ぜようものなら、人間である私は酷いことになるだろう。
「わかったわ司令官!」
「────はわあ?!」
艤装を出したまま電を担いで工廠へ走っていく。
なかなか大胆な娘だ。
「春雨、海に出て電探作動、深海棲艦が来ていないか念のため索敵にあたってくれ。摩耶、私の動きに合わせて糸を引くんだ!」
「はい!」
「おう!」
ばしゃーんと春雨が着水し、沖へと進行。
竿が無いので糸は短い。
右へ左へ引っ張り、時に緩めつつだんだんと枝を巻いていく。
キラリ、と茜色の太陽に照らされて、魚影が一瞬見える。
その時、からんからーんと音を立ててタモが飛んできた。
よーく見ると工廠から雷電姉妹と、艤装を出した山城が手を振っている。
工廠からこの防波堤は鎮守府敷地の反対にあり、何百メートルも離れているが...流石は戦艦。
艤装の力を借りて、ここまでぶん投げたらしい。
「釣られたい魚はどこかしら〜?」
すぐそこの食堂から龍田が出てくる。
「龍田、網を頼む!」
「お昼ごはんのお返しだから、勘違いしないでね?」
∽
西日に照らされたその鱗はどこか赤みを帯びている。
大きさは5〜60cmだろうか、見事な鯛だった。
無線機で春雨に帰還命令を出し、食堂で三枚おろしにして、ようやく六人は一息ついた。
「やったな提督!」
「今夜の晩御飯は豪華ね〜」
「春雨さんが戻るまで待つのです。」
釣りとはいえ一つのことを成し遂げたからか、みんなの態度も柔らかくなっている気がする。
この調子で信頼を得ることが出来れば...!
∽
私は単艦で“至”近海の索敵をしていた。
ざざざざと波をかき分ける音。
独特なリズムの音とともに電探からの索敵情報が頭に流れ込んでくるが、ここまで陸近くに深海棲艦は滅多に現れない。
ふと鎮守府を見る。
少しばかり寂しいものの、のんびりと自分の好きなルートで海を駆けるのも乙だろう。
────ザザっ、と無線機から音がする。
『春雨、哨戒任務ありがとう。帰還してくれ。』
「了解しました!」
この声の調子なら魚は釣れているだろう。
舞い上がりそうな気持ちを抑えつつ、無駄なエネルギーを使わないように春雨は索敵機を切って、母港へと進路を向ける。
────この時、最後の一波に反応があったのだが、春雨は気づかなかった。
∽
「それでは、第七鎮守府の発展と平和を祈って、乾杯。」
カランカラーンとグラスの音が響き渡る。
適当に活け造りにした鯛と付け合わせに野菜を盛り付けた、とても豪華な夕飯だった。
「司令官!グラス!」
「ん?ありがとう。」
雷がワインボトルを持ってくる。
このワインは鎮守府改装祝いに出す予定だったが、龍田が目ざとく見つけてきたのだ。
...見た目が幼い雷がワインを持ってくると、何故か危険な気がしてならない。
実際子どもなのは見た目だけらしく、飲んでも大丈夫らしいが...念の為駆逐艦にはオレンジジュースを渡している。
「雷ちゃーん、こっちもお願いできるかしら〜?」
「私に任せて!」
...来た時とは見違えるほどに生き生きとしている。
「────ってことがあって、アタシのお陰で釣れたんだぜ!」
摩耶は新たな武勇伝を電と春雨に聞かせている。
随分と脚色されている気がするが、まあいいだろう。
そしてアレについて話さなければ。
「山城、少しいいか?」
「────?、はい...」
龍田がちらりとこちらを見てきたが、その目に殺意はなかった。
∽
「────こいつを、あれに当てることは出来るか?」
翔は山城に、麻袋に石を入れ縛ったもの────
────投弾帯を渡していた。
防波堤の端から端まで、基本的な砲雷撃戦における『中距離』の間隔だった。
そしてその片端にバケツを壁のように積み上げた物が立っている。
「き、期待しないでくださいね?」
あぁ、食事中に外へ連れ出されてこんなことをさせられるなんて不幸だわ...
などとボヤきながらも、ぐっ、と力を込め、艤装を展開する山城。
「...いきますよ?」
大きく振りかぶって────
「えぇーーーい!!」
ブオォン!
────ドンガラガッシャーン!!
バケツの壁に見事命中し、ものすごい音を立てて崩れ吹き飛ぶ。
「やはりあの距離で当てるとは...
凄いじゃないか!」
タモを投げた時のあのコントロールの良さを、もう一度翔は確かめたかったのだ。
「...っ、いえ、提督不在の間、ナイフ投げに凝っていて...あはは...」
...本当は前任に“不慮の事故”にあってもらうためのトレーニングで始めたのだが、山城は言わなかった。言えるわけがない。
「その才能、いつか生かせる時が来るだろう。わざわざつまらないことで連れ出してすまない。」
「いえ、大丈夫です。あまりお腹も減ってないので。」
「昔から言われているだろう?『腹が減っては戦は出来ぬ』。
蓄えられる時にしっかりと食っておけよ?」
「...分かりました。」
少し俯いているが、納得してくれたようだ。
「しれーかーん!山城さーん!お代わりいらないの!?どこいったのー!?」
食堂から雷の声が聞こえる。
「こう見えてもう十分酔っているのだがな...」
「またあの子ったら、はしゃいじゃって...」
どちらとも無く苦笑して、
「提督、飲みすぎには気をつけて下さいね?」
「もちろんだ。この鎮守府の責任者が二日酔いで倒れるなど、あってはならないからな。」
しかもあれだよ、と翔。
「昔から言われているだろ?」
「ええ。」
「「『酒は飲んでも呑まれるな』」」
∽
────ロシアのある鎮守府にて。
「クソッ...ちくしょう、ちくしょう!!」
「提督さん、落ち着いて...」
「落ち着いて居られるか!
私は...私は、あの子を沈めてしまったんだ!!」
「いえ、あの子は行方不明になったのよ。
...そうよ、付近の島々に漂着して、まだ助けを待ってるのかも────」
「────ふざけるな!!」
ガツン!と机を殴って立ち上がる。
置いてあった超濃度のウイスキー瓶が倒れ、半分も無かった中身がちょろちょろと零れる。
「あの子の行方がわからなくなって何日経ったと思ってるん...だ......」
怯える艦娘たちを見て落ち着きを取り戻したのか、「すまん...」と呟き、へたり込むようにして椅子に座る。
「漂着しても、おそらく深海棲艦に襲われて...
クソっ...私があんな指揮を執らなければッ!こんなことには────ッ!」
倒れたウイスキーを手に取って飲み干し、ヤケになる提督に一人の艦娘が寄り添う。
「提督さん、あなたが諦めるなんてらしくないわ。
戦争に犠牲はつきもの。むしろここまで誰一人欠けることなく戦えたのは...他でもない、提督...あなたのおかげよ。」
ぎゅ、と抱きしめて...ゆっくり背中をさする。
「...すまない......ありがとう。
────そうだな、きっと...まだどこかで生きているだろう。」
「それでこそ提督よ!
あの子は絶対に生きているわ!
だって────
────“不死鳥”とも呼ばれていたのよ?」
後書き・作者
「龍田さんだと思った??残念、私です。
まずはここまで読んで下さった読者様に最大の感謝を。
前書きのアンケートについてですが、翔くんに罵られ、電ちゃんには『乞食乙なのです。』とゴミを見る目で言われました。もっt...
ゲフンゲフン、おそらく学生時代の話は投稿します。
そして、評価・感想ありがとうございます。じわじわと、本当にじわじわと評価が伸びて行ってますが私のテンションは怒髪天を衝く勢いです。
これからも誠心誠意執筆するので、どうか次回もお付き合い下さいませ。」
あっ、龍田さん!勝手に枠取ってメンゴメンg...
あれ、どうしたんですか??無言でこっちに薙刀を向けうわなにをするやめ