あなたが手を引いてくれるなら。   作:コンブ伯爵

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翔「前話のサブタイトル予想、紛らわしくて申し訳ない。」

電「ちょっとカッコつけようとしたコンブさんが悪いのです...惑わせてしまって申し訳ないのです...」

翔「あとこれまた申し訳ないが、『オリジナル艦娘』タグを追加させてもらった。」

電「今回、次回のお話だけしか出さないので、どうか許して頂きたいのです...」

翔「なんか謝ってばかりだが────」

翔・電『────本編へ、どうぞ!』


42話 “協”撃

『みんな、聞こえるか!

 ヲ級二体を含む敵空母機動部隊を敵第一艦隊、先ほど発見したのを敵第二艦隊と呼称!

 今のままでは挟撃される。四時の方向に切り返し、回避を優先して────』

 

 ────ドドォォォォン!!

 

「第二艦隊敵戦艦の砲撃だ!気をつけろ!!」

「第一艦隊より魚雷が迫っています...!」

 

 同時に声を上げる摩耶さんと加賀さん。

 

「────きゃあ!」

「痛っ!...不幸だわ」

 

 山城さんが小破、暁お姉ちゃんが中破。初っ端からなかなか痛いダメージだ。

 

『暁、大丈夫か!』

 

「まだまだよ!」

 

『くっ...何としてでも挟撃に持ち込むつもりか!』

 

 威勢はいいが、戦艦の砲撃という大きなダメージが入ったのは確かだ。

 

「くそっ、これじゃあまともに攻撃できないじゃねぇか!」

 

 摩耶さんの言う通りだ。圧倒的数の不利...砲撃しようにももう片方の艦隊の動向が気になって狙いが定まらないのだろう。

 

『電、敵第一艦隊に接近...敵の攻撃を引き付けてくれ!』

 

「了解なのです!」

 

 隊列から外れて敵第二艦隊に接近、重巡・軽巡がの砲撃が牙を剥く。

 

「────!!」

 

 速力を上げて回避。驚きの表情を見せる深海棲艦に急接近...

 

「(もらったのです────)」

 

 ガガガガガガガガガガガ!!!!

 

「────っ!!」

 

 敵艦の機銃掃射に怯んで斬り払いながら後退...何発か被弾。

 主砲のような...いわゆる“威力の大きな攻撃を数発”なら電は集中して凌げるが、機銃掃射のように“長期間多数の攻撃が飛んでくる”という攻撃には弱いのだ。

 威力こそ小さいものの、連続被弾すれば軽装備の電はひとたまりもない。

 

「────キヒひ、ひひ」

 

 敵戦艦...ル級の目から金色の光がどろりと溢れる。

 

「翔さん!敵戦艦、flagshipなのです!」

 

『?!

 全員回避を優先して立ち回れ、電も無理そうなら退くんだ!』

 

 翔が通信機に声を荒らげる。

 

 艦娘や人間が敵の強さを測るには見た目(イロハ級か鬼、姫級)や傷の数(多いほど多くの戦場を抜けたと判断できる)、また歴戦の艦娘なら敵の風格から判断できるのだが...電はおおよその敵の“力”をそのまま視認できる。

 

『んなこと言われても折角電が引き付けてんだ、撃つぞ!』

 

 摩耶さんの声の後、砲撃音...龍田も斉射したおかげで一、二艦中破に持ち込んだようだが、肝心の空母に致命傷を与えられていない。

 

『敵空母発艦準備...みんな、構えて!』

「敵戦艦砲撃準備中、気をつけるのです!」

 

 山城さんと通信が重なる。

 なんとか阻害したいものの、敵駆逐・軽巡が睨みを利かせていてなかなか踏み込めない。

 

『あらあら〜...ピンチ、かも?』

 

 間延びした龍田さんの言葉は、電たちの状況を的確に指していて...

 

 

 

『────後ろがガラ空きだよ。』

 

 

 

 ────ドガァァァン!!

 

 突如目の前のル級が爆発。

 ...機関部が大炎上、再度爆発を起こして轟沈する。

 

『よし!いいぞ!!畳み込め!!!』

 

 ────ドゴォォォォォン!!

 

「ふにゃあ!!」

 

 今度は敵第二艦隊全体を巻き込んで、こちらまで吹き飛ばされそうなほどの大爆発を起こす。

 

『Гангут、気をつけてくれ。近くに妹が居ると言っただろう』

 

『おお、ちっこすぎて忘れていたぞ!』

 

「そ、その声は...」

 

『ひびき...響なの?!』

 

 暁が驚きの声を上げる。

 

『ああ。暁型二番艦、響改めВерный。』

 

『弩級戦艦Гангут級、その一番艦。』

 

『嚮導駆逐艦Ташкент!』

 

『駆逐艦Энгельс(エンゲルス)!』

 

『戦艦Ретвизан(レトヴィザン)

 ────助太刀致す!』

 

 

 

 

 

 ∽

 

 

 

 

 

『“通信、聞こえるか?私が第七鎮守府提督の鞍馬だ。”』

 

 電には分からないが、多分流暢なロシア語で通信する翔。

 電自身は軽量化のためにレーダー類を積んでおらず、本隊はあまりにも距離が離れていてかつ敵に集中していたためロシア艦隊の存在を確認できなかったらしい。

 

『突然申し訳ないね。こっちの提督は日本語が苦手だが、私たち艦娘はある程度...特に私とレトヴィザンはかなり得意だよ。』

 

『そうか...挨拶と行きたいが、こっちはなかなかの窮地でな。

 “勝手で申し訳ないが、こちらに指揮権を寄越してくれないか?ロシアの提督さんよ。”』

 

『“ほう、私の娘たちの命を預けるのは心配だが...いいだろう。”』

 

『“感謝する。”

 現時点で私たちの艦隊は挟み撃ちに遭っている故、君たちに戦艦を主体とした敵第二艦隊を任せたい。

 近くに居る電と共に戦ってくれ!』

 

『『『да(ダー)!!』』』

 

 敵第二艦隊を包んでいた爆煙が晴れると、目を血走らせた中破状態のル級がロシア艦隊に砲を向けていた。

 

『ふん、まだ残っていたか...』

 

 ガングートが苛立ちを滲ませて話すが、確かにあの砲雷撃に耐えたのは流石flagship級と言ったところか。

 

『相手に不足無し!我輩の一撃で沈めるッ!!』

 

 と言ってエンゲルスが構えたのは...どう見てもロケットランチャーだった。

 

『あっバカ!待て!!』

 

『305mm無反動砲、発射ァ!!!!』

 

 肩に構えた筒からぼしゅるるるる...と不安定な軌道で弾道は発射され、電の方へ向かっていった。

 

「────ってこっちなのですぅ?!!」

 

 一時敵に背中を向けることになるが振り向いて、斬らないよう丁寧に刃に乗せて、敵艦隊に向けて弾き飛ばす。

 

 ...敵戦艦にこそ当たらなかったが、被弾した敵軽巡は爆炎と共に撃沈。軽巡を一撃で沈めるとは...駆逐艦の範疇を超えた威力だ。

 

『何をしているんだエンゲルスよ!

 お前のそれ(無反動砲)は精度が悪いと言ってただろう?!

 電に当たったらどうするんだ!』

 

『おお、ちっこすぎて忘れて────』

 

『────お前もチビッ子だろう!』

 

 レトヴィザンにゲンコツを入れられて、エンゲルスが涙目になり...

 

『...だってだってぇぇえ!!

 我輩も戦艦になりたいんだもぉぉぉん!!』

 

 ロシア語なのでよく理解できなかったが、駄々をこねるような彼女の声を聞いて、何故か電は同じように軍学校で戦艦に憧れていた夕雲型の駆逐艦を思い出した。

 

 ...あの砲撃は確かに威力こそあるのだが、中距離から電に向かって飛ぶのは相当精度が酷いと思われる。

 さらに弾速も一定ではなく、偏差射撃は相当な訓練が必要になるだろう。

 

『────敵艦砲撃、来るぞ!』

 

 二人の言い争いを切るように翔が声を出す。

 

 気づいた時には発射、不運にも言い争っている二人に弾は向かっていく。

 

 

『二人とも、危な────』

 

 

 ────爆発。

 

 

『お、おお...同志レトヴィザンよ、礼を言う...』

 

 まともに食らってレトヴィザンは中破したが、間一髪でエンゲルスを庇えたようだ...が。

 

『...レトヴィザン?』

 

『あーあ、こうなったら手が付けられないよ。』

 

 響が諦めを滲ませて言う。

 

 

『────あんのクソ野郎共!

 沈めてやる...我が正義の名にかけてッ!!』

 

 

 

 

────レトヴィザン率いるロシア艦隊は日露戦争にて大河湾に進撃、日本軍基地を砲撃した。

 

────これに日本軍の巡洋艦が砲撃しロシア艦隊は撤退するも、レトヴィザンは応戦。日本軍巡洋艦の通信機器に損害を与えた。

 

────彼女の『やられたらやり返す』という性格はここから由来しているのかもしれない。

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