ウルージ伝説   作:ウルージ・トゥエル・ウル・ラピュタ

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神の伝承

「さて、じっくり解読させて貰おうかしら。」

まるで子供が玩具を買って貰った時の様な嬉しそうな顔をしている女考古学者、

ニコ・ロビンは五年ぶりの空白の100年を明かすのに最も重要な歴史の本文(ポーネグリフ)

早く解読したくて堪らなかった。

出会いは二十年前、生まれ育ったオハラの地で博士が解読しているのを見てからだった。

この石に何人も家族を殺されたといってもいい。

何度破壊しようとしたことか。

だが、どんなに叩いても、どれだけ爆破しても、かすり傷一つできなかった。

ある時、ふと気付いた。

この古代文字を解読し、世界に公表する事がこの石に関わって死んでいった家族達に対する、

一番の弔いなのでは。と

それに気付いた時からずっと、この石だけを求め、解読してきた。

ふと、自身が感傷に浸っていた事に気付いた。

「今更止められないわね。」

そうつぶやくと何者にも穢されず歴史を伝えようとする硬石を一撫でし、解読を始めた。

 

*******

 

我々が住むこの世界は破壊し尽くされていた。

ウラヌス、プルトン、ポセイドン。

この三つの神が猛威を振るい、人類は滅亡寸前だった。

大地から生物は消え、土や木々は腐り、大気は汚染され、以前は全てを見透かすような青色だった空は濁り、光を失った。

人々の目から生が消え、全ての人々が生きることを諦めていた。

しかしある男は言った。

「私がこの穢れを消そう。」

人々は思った。そんな神のような芸当、できるわけが無い。と

すると男が手に持った二メートルはあろう黒い棒を空に掲げこう言った。

「南無」

人々は奇跡を見た。濁った空が光を持ち始めたのだ。

男を中心に光が戻り始める空。

「目を閉じていなされ」

人々は言われるがまま目を閉じた。

男が人々が目を閉じるのを確認し右手を振ると、目を閉じていても眩しい程の強い光が放たれた。

光が出始めて数分経ち、光が収まった。すると、

「目を開けて見なさい」

そう男が言った。

恐る恐る人々が目を開けると、衝撃的な光景が広がっていた。

腐った土や木々は浄化され、鬱蒼とした森が広がっており、

茂みからは小動物達が顔を出し、数分前までは地獄だった場所とは思えない程の変貌だった。

人々は神の如き所業に涙した。

男は救世主だったのだ。

そして男、いや神は言った。

「あとはお前達次第だ。」

それだけ言い残して、神はその背中に生えた純白の翼で飛び去った。

その声は人々の生に対する欲望を蘇らせた。

人々は神に感謝した。

その声は人々を救い

その手に持った神の棒は空に光を、大地に命を蘇らせ、

その一対の手は世界に平和を齎した。

神は我等に恵みを戻してくださった。

その神の名はウルージ。

我々は神に救われた。

我々はあの神を忘れない。

 

*****

 

「こんな事があったなんて…」

ウラヌス、プルトン、ポセイドン。

ロビンはこの三つの古代兵器がこんなにも被害をもたらしていた事に驚愕していた。

大量殺戮兵器と言っても古代のもの。と心の中で思っていたからだ。

しかし、一番気になっていたのは、ウルージと言う神だった。

「このウルージと言う神、古代の人々の宗教神だったのかしら…?」

三つの古代兵器の脅威に人々が怯えており、精神の安定のため縋り付く想像神だったと考えた。

実在した話にしては無茶苦茶すぎる。そう思った。

だが、しっくりこない。長い間様々な古代の歴史を解読してきたからこその違和感だった。

「本当に想像神なら何故…?何故人々はこんな意味も無いものをこの石に残したの…?」

全く分からなかった。数ヶ月をかけても尚、全く分からなかった。

 

彼女がこの話が嘘でも何でも無く真実だと知るのはこれから約一年後のことである――――――――

 

 

 

 




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