おとぎ話の妖精   作:片仮名キブン

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思いついたので書いてみました


おとぎ話は森から始まる

「まーた、フェアリーテイルの馬鹿どもが問題を起こしたようだな」

 

 魔法評議院の会議の内容は聞き飽きたものばかりだ。退屈な会議が刺激的なものにかわるのなら歓迎だ。

 

「いいじゃねえか、退屈しないで」

 

 魔法界のトップの一人ジークレインは、愛すべき馬鹿どもを弁護する。

 

「何を言っている。あんな問題ばかり起こすギルドは即刻潰すべきだ」

 

 やれやれ頭の凝り固まったジジイどもには、フェアリーテイルを潰したら生じる損失というものについて考えが及ばないらしい。

 

「魔法界全体の評判を考えろよ。あいつらは問題ばかり起こしているがトップギルドの一つだ。確実に今よりもでかい問題が起こるぜ」

 

「なにを!!なんでこんな若造が評議員なんじゃフェアリーテイルにしろ最近のわかいもんは……」

 

「候補が全員。俺以下の魔導士しかいねえからだろジジイ」

 

「――ぬぉぉぉぉ!!」

 

「これ双方いい加減にせんか。議論するなら解決策を見つける有意義なものをしろ」

 

 でかいジジイが場を一度仕切り直す。

 

「対応策はフェアリーテイルのハザマを被害地域に派遣するといことでいいな!」

 

「「異議なし」」

 

 こうして会議はまたつまらないものへと舞い戻っていく。

 

 

 

◆◆◆

 

 フィオーレ王国のマグノリアに位置する魔導士ギルドフェアリーテイルは今日も騒がしい。

 

「うーん……、魔法の腕輪探しに、呪われた杖の魔法解除、火山の悪魔退治……。ピンとくるものがないなー」

 

フェアリーテイルの魔導士であるルーシィ・ハートフィリアは依頼板(クエストボード)の前で悩んでいた。

 先日あったエバルー公爵の一件では200万J(ジュエル)の報酬がふいになってしまったので稼がねばならない、そうしないと……。

 

(――今月の家賃が払えない)

 

 依頼板(クエストボード)の前で考え込んでいると、ミラジェーン・ストラウスが話しかけてきた。

 

「目ぼしい依頼があったら私に言ってね。今は総長(マスター)いないから」

 

「あっ!!本当だ」

 

 いつもはいるカウンターの定位置に、マスターであるマカロフの姿はなかった。

 

「定例会があるからしばらく姿は見られないと思うわ」

 

「定例会?」

 

 初めて聞く単語に思わず疑問の声をあげる。

 

「地方のマスターたちが集まってする会議のことね。評議会ではないんだけどね」

 

 いまいち理解できていなかったのが顔に出ていたのかミラはリーダスから光筆(ヒカリペン)を借りると空中に図を描きだした。

 

「一番偉いのが政府ともつながっている評議員の10人、そのしたにいるのが地方のギルドマスターたちマスターもここね。そして、その下が私たちギルドのメンバーってわけ」

 

「へーギルド同士がつながっていたなんてはじめてしったなー」

 

「ギルド同士のつながりは大事なのよ。これをおろそかにしていると……ね」

 

 背後から生暖かい気配を感じると突然――

 

「黒い奴らが来るぞぉぉぉぉぉぉ」

 

「キャアアアアアアアアアア!!」

 

「うひゃややややや。ルーシィビビりすぎだぞ」

 

 私の背後で笑い声をあげているのは|火竜(サラマンダー)のナツ・ドラグニルだ。

 

「うるさいわね!後ろから急に大きな声がしたらビックリするでしょ」

 

 そう、だから私が怖がりというわけではないのだ。

 

「でも黒い奴らはほんとうにいるのよ」

 

――えっ!

 

「連盟に所属していない闇ギルドの通称を黒い奴らって呼んでいるの」

 

「あいつら、あくどいことでも平気でするからおっかないんだー」

 

 ナツと相性が良さそうと思った私は悪くない。下手したら被害の規模はナツの方が上じゃないだろうか。少なくとも私は町を半壊させるような事件はこの前初めて目にした。

 

「ていうか仕事は決まったのか?」

 

「まえはおいらたちが決めちゃったから今度はルーシィが決める番だよ」

 

 ナツの相棒である空飛ぶ喋る青い猫のハッピーが目線の高さまで飛ぶ。

 

「なんでまたあんたたちと組まなきゃならないのよ。チームは解散!!」

 

「「へっ?なんで?」」

 

 理由が思い浮かばないとポカンとした表情で問いかける。またチームを組むのが当然といった様子だ。

 

「まえの依頼(クエスト)だって金髪の女だったら誰でもよかったんでしょ」

 

「何をいって……。その通りだ」

 

「――やっぱりー!!」

 

「でも、ルーシィと組めてよかった。いい奴だからな」 「あい」

 

 無邪気な顔から出されたその言葉が表面上の物ではないと付き合いの浅い私にも分かった。

 

(そんなこと言われると照れる!!)

 

 ナツの顔を直視出来ず再び依頼板に目をやる私に声をかけてくる人がいた。

 

「チームを組むか組まないかなんて悩んだってしょうがねえんだよ。合わないなら組んだところで足の引っ張り合いにしかならねえからな。依頼に適したメンバーで挑むべきだと俺は思うね」

 

 半裸の男グレイ・フルバスターは意見を述べてきた。先輩の経験に基づくありがたいお話なのだが、それを言うのが変態なので説得力が皆無である。ていうか近づかないでください。

 

「――ならルーシィ、今夜君に依頼があるんだけど――今夜二人の愛について語り合おうじゃないか」

 

 茶髪の眼鏡を掛けた美青年のロキがナンパしてきた。顔はいいんだけどなー、誘い方がいまいち。

 

「いやよ」――「即答!!」

 

「まあ……傭兵ギルド南の狼の二人とゴリラみたいなメイドを倒したんだろ?実際、大したもんだよ」

 

「それ両方ともナツ」

 

「てめえかよ」「文句あんのか」

 

 二人はガンを飛ばしあうと席を立ち組み合う。酒場の床をゴロゴロと転げながらなぐりあいをはじめてしまった。ホコリが立つからやめてほしい。

 

「――フモっ!!」

 

「あっ!誰か巻き込まれた」

 

 

 

◆◆◆

 

 初めまして、俺の名前はハザマ転生者だ。前世では高校生までは生きていた。なんやかんやいろいろあって、マンガの世界に転生させられた。

 この世界に来た当時は大変だった。小学生くらいの肉体で身に着けているものは服くらいで金もない戸籍もない保護者もいない、ないない尽くしであった。

 途方に暮れた俺を助けてくれたのがフェアリーテイルのギルドに所属する魔導士だった。不幸中の幸いだろうか、この世界には魔法というものがあり自分には前世で読んでいたマンガの能力の一つを魔法として使うことができた。この力を使って助けてもらった恩を返そうとクエストを受ける日々。

 今日も依頼から帰りマスターに報告をしようと奥に進むと――轢かれた。

 

 もういいよね?やめていいよね?だって帰ってきたら攻撃されるようなギルドだし、なんか世間の評価はやけに高いけど実質問題ばかり起こすギルドだ。依頼達成の利益より周りへの被害の方が大きい、最近は評議会からのご指名でアフターケアは全部俺。もういい加減最初の恩は返したはず。そういえば最近横家のベッドで寝てなかったなぁー。

 

「あの大丈夫ですか?」

 

――天使がいた。

 

 フェアリーテイルに倒れている人を心配してくれるような常識人がいたなんて……。見ない顔だな、新入りかな?ぜひそのままでいて欲しい。

 

「大丈夫、大丈夫慣れてるからね。――それよりも、マスターはどこかな?ハルジオンの港町の復興クエストの報告をしたいだけど……」

 

 慣れているというところ悲しみを感じる今日この頃。全く街を半壊だなんて暴れるにしても限度というものがあるだろうに、お陰で5日も時間がかかったけどようやく終わらせることができた。

 

「マスターは定例会よ。クエストはクリアしたみたいねハザマ!!」

 

「アハハ、ミラサンジャナイデスか、クエストはカンペキニ達成シマシタ。では――」

 

 報告さえすれば何も言うことはない。軽く二か月は帰ってなかったマイホームを目指し、カウンターに背をむけ扉を目指す。なぜか後ろから腕を掴まれる。

 

「わたし、クロッカスの町をハザマがどんな感じに直したのか聞きたいな!!」

 

 ミラサン……いやミラさんは苦手だ。モデルになるほどに美人というだけでも気が引ける上に、昔クエストに拉致ら……行くことが多くあり、その時のトラウ……思い出からどう向き合えばいいのかわからないのである。端的に述べるのなら――何を企んでいると尋ねたい。

 

 それよりもなんか腕がミシミシ言っているんですけど――材木運び等で鍛えた筋肉が微動だにしないんですけど――。

 

 絶対に逃がさないという無言の圧力を感じる。美女に引き留められているのに全くうれしくないのはなんでだろう。ハア――今日は風紀委員長様が帰ってこられたようなので、落ち着けると思ったが違ったようだ。

 

溜息をするとギルドの扉が開かれる。そこには身の丈よりも大きい角を担いだ赤髪の女性が立っていた。

 

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