おとぎ話の妖精   作:片仮名キブン

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 環境変わりすぎぃぃぃぃぃぃ!!

 


妖精女王の怒り

 ハルジオンに到着した俺とエルザはガルナ島に向かうための方法を探していた。島というからには船で行けば良いと思うだろうがそう簡単にはいかなかった。先日受けた依頼の時世話になった顔見知りの船乗りにガルナ島の話を聞くと誰も彼もが顔をしかめてまともに話してくれなかった。かろうじて聞けた話をまとめるとガルナ島は呪われた島とよばれおり、周辺の海は海流同士がぶつかる荒れた海で人食い鮫の生息地であるということだ……とても帰りたい。

 何一つ行きたくなる要素がない島だが相方のエルザはそうでもないようだ。町に着くなり俺を置き去りにしてどこかへ突っ走ってしまった。ああなったエルザを止めるのは非常にめんどくさい。どうせ一番騒いでる場所にいるに決まってるから後で探そう。しかし聞き込みを続けるうちに昨日も同じような話を聞いてまわった奴らがいたという話を聞いた間違いなくナツとルーシィだろう。ルーシィはともかくナツは待つことが嫌いだ出来ないといってもいい。そんな奴が船がないからといっておとなしくしているわけない。泳いだりハッピーに運んでもらった可能性もある一刻も早く到着手段を見つけなければならない。

 

 めずらしい事にエルザは騒ぎを起こさず情報収集していたようだ。幾人かの船乗りを連れて俺を探していたようでどうやら手がかりをつかんだようだ。

 

「ダメだエルザ。俺の方は誰に聞いてもあそこに行くのは無理の一点張りだ。船を買い取る手段も考えたけど手持ちの(ジェリー)じゃ手が出せない。そっちは?」

 

「宿をいくつかまわったがあいつらを見かけたという話は聞かなかった。入れ違いになった可能性は低いだろうどうやら何らかの手段でガルナ島に向かったのは間違いない」

 

 くそっ見事な手詰まりだ。いくらエルザが馬鹿みたいに強くてもたどり着けなければ意味がない。

 

「だが面白い話は聞いたぞ。なんでも最近この近海で海賊が暴れ回っているらしい」

 

 その話は俺も聞いた。だが聞いたのは海賊でも近づかないという脅しのような言葉であった。でもそれが一体何の関係があるんだ?

 

「それがどうした?」

 

「そいつらから船を借りよう」

 

 このお方は犯罪者から強奪するのは合法だとでも思っているのか?第一海賊がどこにいるのかも分からないのに……。

 

「彼らが領主に海賊討伐の嘆願を出す話を酒場でしていてな。私が変わりに討伐したら海賊船は自由にして良いそうだ」

 思わぬところで足が手に入りそうだ。エルザなら海賊船の一つや二つ簡単に制圧できるだろう。だがどうやって船を動かすんだ?誰に聞いてもあの島に行くのだけはやめておけと言っていたのに……そのことをエルザに尋ねると何でわかりきった事を聞くのかときょとんとした顔でいった。

 

「私が出来ないんだからお前がするに決まっているだろう」

 

 素人に出来る分けねえだろうが!!と言えたら良かったんだが海賊船はどうも魔道帆船と呼ばれる魔道士なら比較でき簡単に操船できる船らしい。魔道四輪車の船バージョンと思ってくれて間違いはない。とはいっても流石に大型船なので人手は必要なそうだが……まさか俺の式神を当てにしているのか?いや俺昨日までのクヌギ駅の復興で魔力はほとんど残っていないのだが。

 

 

「そういうわけだ。私は今から海賊達を退治してくる。ハザマはここで出港の準備をしてくれ――いくぞ!!」

 

「「「「うぉぉぉぉおぉぉ!!」」」

 

 こちらの返事も聞かずに船乗り達を引き連れ大海原へと向かっていくエルザ。いつの間に海の男達を束ねることになったのか問いただしたいところだが俺にはすぐにでもやらなければならない事がある。一刻でも早く魔力を回復させることだ!!

 あいつはやるといったら必ずやるしやらせる女だ。見知らぬ人に荷物を届けるように命令していた事を俺は忘れない。このままでは俺が干物になっても船を動かす羽目になるだろう。なんとかしなければ俺は魔法屋へ走った。

 

 エルザが帰ってくるまでポーションをひたすら喉に流し込む。魔法薬は様々な効果をもたらす、魔法薬と一口に言っても要は魔力を込めて作られた液体であるというだけで何も飲むタイプ以外のものもあり、今回俺が買い占めたのは魔力の回復を促進できるもので普通は用量が決められており混ぜて飲むことなどは禁止されているが、度々依頼の期限に間に合いそうにないときによくこのドーピングで乗り切っていた。最近では頼ることはなくなってきたが今回は無理にでも回復しておかないと……。

 

 魔法薬の空き瓶が六本になったときエルザ達が帰ってきた。縄でグルグル巻きにされた人相が悪い男達を連行しながらの帰還。思ったより速かったですね……もっと時間がかかると思っていたが魔力も四割ほど回復させたので船を動かすくらいならなんとかなるだろう――何とかするしかないんだよなクソが!!

 

「戻ったぞ海賊は牢屋に入れておいてくれ船の準備は出来ているぞハザマ!!」

 

 

「ありがとうございます。エルザさんこれで海賊の被害に悩まされずにすみます!!」

 

「すごかったなぁ一人で船に乗り込んで海賊達を次々海に叩き込んでいくんだから魔道士もいたってのに流石は妖精の尻尾(フェアリー・テイル)の魔道士だ」

 笑顔でエルザにお礼を言っていく船乗り達。彼らは屈強な海の男だ。ただの海賊なら彼らだけで追い払うことも出来たのだろうが魔道士がいたのなら野放しになっていたのにも納得できる。だが俺が修復に訪れていたときはそんな話聞かなかったが……。

 

「あんな奴ら町の修復に人手が割かれてなかったら、すぐにでも追い返してやったんだが。気がついたら離れ小島にアジトをつくられちまって手が出せないようになってて――ほんとエルザさんには助けられた。そういえばあんたも妖精の尻尾(フェアリー・テイル)なんだろ?町を直してくれたときはすごかったありがとう!!」

 

 ……町を破壊したのも妖精の尻尾(フェアリー・テイル)の奴なんですけどね。つまり元をたどればナツが原因か。いたたまれないこの場にいるのはすごく居心地が悪いぞすぐにでも出発しようエルザ!!

 人々に囲まれているエルザを引っ張って船に向かう。魔道船の確認をすると話に聞いてたとおり複数の人間が魔力を込めて動かすタイプだ。いくらエルザに馬鹿みたいな魔力があっても流石に分身はできないだが俺の式神ならいつもやっている事だ問題ない。

 人型の式神が五体いれば動かせるだろう船を操船させるには最上級とはいわないがそれなりの質がなければならない。余計な手間をかける余裕はないので今の俺を媒体として呼び出す。全員目の下にはクマがあり覇気がない同じ顔の生気のない男達が動かす船、事情をしらなかったら幽霊船にでも見えるんじゃないかこれ?

 

 感謝の声を上げるハルジオンの人たちに見送られながら俺たちはガルナ島へと向かった。呪われた島だろうが何だろうが今ここで感謝の言葉にさらされるよりはましだ。俺全力で魔力を込めた。

 

「それで海賊達はどうだったんだ?ハルジオンの人たちはお前が一人で倒したっていってたが……」

 

 港の影が見えなくなり周りには海鳥たちしかいない。普段ならこんなのんびりとしたクルージング大歓迎なのだが問題が一つ。エルザが船首に剣を突き立てて空をにらみつけているのだ。動かしてる間ずっと様子をうかがってたけど気まずいわ!!このまま放っておくと何も言わずにナツ達を気絶させて連れ戻しそうだ。。俺の必死の努力もむなしくエルザはこちらに見向きもせずただ前を見つめている……へいへいおとなしく船を動かしますよ。俺の話を聞かないのはいつものことだ慣れた。心の中で涙をながしながら俺は式神と共に仕事に戻った。

 

ガルナ島が見えたはじめた頃にはもうすでに日は隠れ不気味な紫色の月が俺たちを見下ろしていた。だがそんな事気にしている余裕は俺にはなかった。港で聞いたとおり周辺の海は不自然なほどに荒れくるっていたのだ。大きな海賊船だから転覆せずに済んでいるがこれがカヌーやヨットのような小さな船なら簡単にひっくり返るだろう。

 

「ちくしょう!!何でこんなに波がたけえんだよ。全然島に近づけねえ。エルザ一回沖にでるぞこのままじゃ座礁か転覆かのどっちか――」

 

 ダーンと強く叩き付ける音が前方から聞こえ、嫌な予感がしてエルザが立っていた場所を見るとエルザの姿はどこにもない。まさかと思い海を見ると海上を駆け離れていくエルザ。鎧の力だと思うが水の上を走るその姿は新手の妖怪か何かに見える。

 

「おーい待てよエルザ、俺を置いていくな!!」

 

 追いかけたいが俺のこの荒れた海を走破する方法はないそれどころか船が沈まないように五体の式神ともども手が離せない。このままあいつを野放しにするしかないのか……ナツ達を止めに来たはずがどうしてあいつはこうも団体行動というものが出来ないんだ?学校教育の大切さが実感できるな。

 

 どうにか島に上陸することが出来たがまともな港がなく船を着ける場所がなかったので、念糸を無理矢理いわばにくくりつけ上陸した。一応エルザには鳥形の式神を付けていたのですぐに見つけることができた。エルザの所に行くとすでにルーシィとは合流していたようでハッピーを逆さまに持ちルーシィに詰問していた。ルーシィはガルナ島の人達を放っておけないと言っているが、決まりを守らない奴が何を言ってもその言葉は軽い。マスターの信頼を裏切った彼女たちのいうことをエルザが聞き入れるはずもなく問答無用で連れ帰ろうとする……だがそういうわけにもいかない。

 

「待ってくれエルザ。確かにこのクエストに関してこいつらになにかをいう資格はない。だけどな一番の被害者はマスターでもおれたちでもないこのクエストを依頼したガルナ島の人だろう。妖精の尻尾(フェアリー・テイル)がやらかした不始末は妖精の尻尾(フェアリー・テイル)が解決するのが筋じゃないか?」

 

 ついでに俺もその被害者名簿の中に名前を入れてほしい。

 

「お前まで何を言っているんだ?マスターが私に命じたのはこのバカ達を連れ戻すことだ。この島で悪魔が復活しようが島民が苦しんでようがそんな事に興味はない」

 

 うーわ想像以上に怒ってやがる。普段のこいつなら助けを求めている人を見捨てるような真似はしない。だがこいつらがマスターを裏切ったことしか頭にないようだ。今までの独りよがりの突撃もこいつの心象を表していたのか?ミラはエルザがこうなることを見越して俺も派遣したのか……わからない。

 

「はーひとまずナツとグレイと合流しよう。ルーシィはあいつらがどこにいるかは知ってるのか」

 

 エルザは怒気でまともな会話が出来そうにないのでとりあえず今から何するか決めないとな。不満があればエルザは勝手に動くだろうから意味ないんだけど。

 

「ナツは令帝の手下と戦ってる時はぐれちゃったから分かりません。グレイなら島の人が逃げるとき連れて行ってくれたからそこにいると思う……」

 

「なら島の人を探そう。その間に今何が起こってるのか詳しい話を頼む。ナツが行きそうな場所を知っておきたい」

 

 式神を飛ばしていると急に意識が揺らぐ。この島に上陸してから一気に疲れが出てきたな不自然に体が重く式神に意識を乗せにくい。気合を入れろ!!S級クエストに足手まといがいて良い余裕はない。ルーシィの話を聞きながら俺はグレイを探すために探知用の式神を飛ばした。

 




 誤字報告ありがとうございました。皆さんも色々苦労があると思いますがどうにか耐えて行きましょう。
 解決策が見えない問題ってつらい。
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