iron whale   作:セメント工房

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やっと落ち着いた・・・











それではどうぞ


31話 カスタエル王国

ーー伊404 甲板ーーー

「おぉぉぉぉ!すごい艦!」

「あまり暴れないでね」

日も高く昇り、気温もそこそこ上昇した午前9時。

ビロテノス王国を出港して1週間、伊404と駆逐艦レントンは順調にカスタエル王国にむけて航行していた。

そして今、伊404の甲板の上にリゼサルヴァ王女と、伊404の航海士のベレッタがいた。

ベレッタは司令塔に立ち、周辺を警戒し、リゼサルヴァは甲板を走り回っていた。

そして司令塔上部についている物を指さしてベレッタに話しかけてきた。

「ねぇ!それは何?」

「それは潜望鏡。海中に潜った時に海上の様子を見るための装置よ」

「じゃぁその後ろのは?」

「そっちは多目的レーダー。対空と対水上を監視する為の装置」

「じゃぁそれは?あっちは何?」

「え・・・」

リゼサルヴァに質問攻めにされ、ベレッタは困惑するのであった・・・

 

ーーー操縦室ーーー

「現在速力15ノット、針路010、カスタエル王国まで90km」

「周辺海域に商船と思しき艦影あり。それ以外の目標なしだよ」

「了解じゃ。・・・もうそんな所まで来たか」

操縦室では、操縦士の卓也と武器担当のこうきが計器情報を読み上げていた。

それを聞いた春樹は少しほっとした顔を浮かべた。

「出港して1週間、ようやく着いたのぅ・・・」

「この艦の全力だったらもう少し早く着けたけどな」

「仕方ないじゃろぅ。この世界じゃこの艦の最大出力はオーバーテクノロジー過ぎて我々を巡って大変な事になりかねんぞ」

「あははは・・・見えてくるのは尋問か処刑だね・・・」

『そしてこの艦は強奪されるな』

「怖い事言うなよお前ら・・・」

「フフフ、さて諸君!カスタエル王国も見えてきたし、上陸に関するミーティングをしようかのぅ。総員、作戦会議室に集まれ!レントン艦長も含めてな!」

「「『『了解!』』」」

 

春樹は艦内放送で全員を作戦会議室に集めた。

 

そしてレントンの艦長と副長も集まり、ミーティングが始まった。

 

ーーー伊404作戦会議室ーーー

「さて、現在我々はカスタエル王国沖90km海域付近を航行しておる。到着まであと5時間ちょっと位じゃ。そして入港目的は、国家関係の配達物と物資調達と言う事で入港する。国家関係についてはちゃんと書類がある。これで入港はできる。何か質問はないかのぅ?」

「は~い」

「リカ艦長、どうぞ」

「私たちはどういう目的で入港すればいいですか?」

リカはのほほんとした声で質問した。

「取り敢えず私たちの護衛が目的と言う事でお願いします」

「分かりました~」

「他に質問は?」

「はい」

「こうき」

「上陸時の武装はどうする?」

「一応伊404乗員はボディーアーマーとハンドガンを各員装備してくれ。あと、レントンの皆様は、人数が多いので上陸する人間を最小に抑えて欲しいです。そして上陸員は最低限の武装をお願いします」

「「了解です」」

「あとこうき。カスタエル王国沖20kmbに入ったら目につく武装すべてに布を掛けておいてくれ」

「りょ、了解」

そしてミーティングは着々と進んだ。

伊404の乗員は全員上陸することになり(王女以外)、レントンからはリカとアンジェリカ、そして水兵2人が来ることになった。

上陸したら二手に分かれ、コーヒー豆を調達する卓也とタカ、そしてリカと水兵一名。

王の方に荷物を届けるのは春樹、こうき、ベレッタ、アンジェリカと水兵一名だ。

「・・・という訳じゃ。質問は無いな?・・・ではこれにて解散!」

ミーティングが終了し、全員が持ち場に戻った。

 

ーーー伊404 操縦室ーーー

『にしても王女様置いて行って大丈夫か?乗っ取られるとか無いよな?』

「さすがにこの艦を一人で動かすのは無理だろ?いくらセレナがいるからって無茶だろう」

「第一セレナが触る事すら許さなさそう・・・」

『当たり前です!この私が許すとでも思いましたか!?プンプン!』

モニター上に現れたこの艦のAI、セレナが怒ってますアピールをしながら現れた。

「聞いていたんだ・・・」

『当たり前です!私はすべてのセンサーと計器、この艦に接続されているすべての端末と繋がっていますから!』

「そ、そうなんだ・・・」

『そいつはちょっと厄介だな・・・』

『みなさん酷いです!いつも私を放っておいて・・・』

(((構って欲しいんだ・・・)))

心の中で3人が思った事までは流石に把握できなかったのである・・・。

 

 

 

 

ーーー伊404 甲板ーーー

それから数時間が経過し、カスタエル王国沖20km付近まで来た。

甲板にはこうきとタカが大きな布を広げていた。

「いくよ・・・「せーの!」」

二人は広げた大きな布をセミオートマチック14cm砲に被せた。

14cm砲は布に覆われ、攻撃力を失った。

「これ一体何の意味があるんだ?」

「これ?さぁ?でも春樹の事だから何か意味があるんだよ」

「成程・・・」

「さて!あとは機銃類を被せたら終わりだよ!」

「了解!」

こうきとタカはさくさくと機銃に布をかぶせて行った。

 

 

 

 

 

 

「前方に灯台を確認。入港準備!」

『『『『了解』』』』

午後2時頃、司令塔にいたベレッタはカスタエル王国の港入り口の灯台を確認し、一行は入港準備に入った。

2隻は速力を落としながら港に入って行く。

ゆっくりと港内を進みながら、桟橋に近づいていく。

 

そして伊404はスラスターを使って左舷側に接舷し、機関を停止させた。

駆逐艦レントンは伊404の反対側の桟橋に着いた。

ハッチが開き、卓也が出てきた。

「やっと着いたぁ!」

「やっぱり外の空気最高だー!」

「久しぶりの陸地だよ!」

タカとこうきも出てくるなりそれぞれ口々に吹っ切れたように言った。

「さて諸君、面倒事はさっさと済ましてしまおうではないか!」

「おう!」

艦備え付けのクレーンで桟橋に向けてラッタルが掛けられた。

 

 

 

 

 

そして春樹は二っと笑って言った。

「作戦開始!」

「「「「了解!」」」」

 

 

こうして彼らは新たな事件へと巻き込まれていくのであった・・・

 




もうすぐ夏が終わる・・・おわってしまうぅぅぅぅぅ
夏休みなんて・・・幻だったんだ・・・(体育会系文化部は語る・・・)




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