ぼいろ。 作:みっくすじゅーす
「おはようさんお兄。葵遊びに来とらへん?聞きたい事あんねんけど」
おはよう茜ちゃん。さっきまではゆかりさんときりたんちゃんと一緒にタコやってたけど、チャイム鳴った途端に裏口から逃げたよ。
「ふーん……なあお兄、隠すと為にならへんよ?」
隠してない隠してない。
隠す利点がないもの。
いやしかし、茜ちゃんがそこまで怒り心頭とは、何やらかしたの葵ちゃんは。
「んー……お兄には関係あるような、ないような。ま、ええわ。も少し探してみるわー。見っけたら連絡してやー」
はいはい、頑張ってねー。
……行ったよ、葵ちゃん。
「た、助かりましたお兄さん。灯台下暗し、まさか隣にいるとは思うまいとお兄さんの家に隠れたら見事に見つかるとは」
ん?見つかる?茜ちゃんは他を探しに行ったんじゃ。
「いえ、あれは完全にバレてますね。多分外で待ち構えてます。ボクが隠れてる部屋を見ながら喋ってましたし」
……あれ、これもしかして私大ピンチ?
葵ちゃんを庇ったばっかりに!
「見返りで耳掃除権利をごねておきながら……まあとにかく、外に出たら確実に捕まります。お兄さん、なんとかしてください」
いや、もう諦めて茜ちゃんに捕まって、潔く謝ればいいんじゃないかな。
ほら、きっとお仕置きタイム2時間くらいで許してくれるよ。
「ほう、つまりお兄さんも2時間お仕置きタイムを受ける訳ですね、なるほどなるほど」
……いや、それは、マズい、ね。うん。
葵ちゃんが逃げれるように協力するよ。というかだね、なんで茜ちゃんはあんなに怒っているの?
「あー……それはですね、お姉ちゃんお気に入りの下着が無くなってですね。それがボクの部屋から発掘されたので」
葵ちゃん。
「え、なんで急に真顔?」
いいかい。近親で同性愛なんて非生産的な事かもしれないけどね、それでもいつか周りの理解や社会の仕組みが変わる。諦めちゃダメだよ。けどね、嫌がる姉にどうこうってのは良くないよ。
「いやそういうマジトーンで言われましてもですね。そういうアレでは無くてですね。大体ボクはちゃんと好きな男の人がいますし。ええ。気付いてない所か気付いた上で受け流すような人なんですけどね。ええ」
へえー。じゃあどういうアレなの?
「ほらこのスルーですよええ、まあいいです。とにかくですね。簡潔に説明しますと、庭で塗装していた時にスプレーが暴発しまして。お姉ちゃんが干してた黒の勝負下着がまだら模様に。慌てて隠して新しいのを買ってきて誤魔化そうとしたらですね、すごい高いんですよあの勝負下着。お兄さんとデートした時に一回しか着用してないのに。なのでちょっとお小遣いが貯まってから買い直しておこうと思った矢先にみつかりまして」
「そかそか、買い直ししようとは思うとったんやなあ。けどちゃんと言うとってくれたらウチ怒らへんよ?」
「お、お姉ちゃん」
茜ちゃん、いつの間に。あの、えっとね?
「ゆかりさんからRAIN来てなー。今なら楽に捕まえられますよってな。さて、葵はおやつ抜きで勘弁したる。お兄はちとお話しよな」