ぼいろ。   作:みっくすじゅーす

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ねえ、茜ちゃん。なんで私は身動き出来ないように水車に括り付けられてるのかな?

 

「パンジャンや」

 

ん?

 

「パンジャンになるんや、お兄は」

 

やばい、話が通じてない。パンジャンってなんだとか質問をしても無駄だろう。

当の茜ちゃんは私の真正面、イスに座りながらテーブル上のティーセットで紅茶を飲んでいる。

やけに優雅で、しっくりくる光景だ。

不思議な話だ。茜ちゃんは日本茶と煎餅をこよなく愛する日本人の筈。

あの、茜ちゃん?

 

「……無駄ですよ、お兄さん。今のお姉ちゃんは紅茶キメていますから」

 

その声は葵ちゃん!?いったい何処から!?

 

「……お兄さんの反対側に括り付けられてますよ。ええ。因みにボクは30分程前から起きて説得を続けていましたが、お姉ちゃんが紅茶入れ始めてからは諦めてました」

 

……あー、とりあえず色々聞きたい事はあるんだけど何故に紅茶入れ始めたら諦めるのかな。

 

「お兄さんは知らないんでしたねー。お姉ちゃん紅茶で酔うんで」

 

紅茶で?

 

「紅茶で」

 

緑茶は飲むのに?

 

「緑茶は飲むのに、です」

 

そっかー。紅茶はキメると酔うものだったかー。

知らなかったなー。

 

「なんやお兄、葵とばっか楽しそうに話よって。ウチが真ん前におるんよ?もっとウチとお話ししよーや」

 

ああうん、ごめんね茜ちゃん。けどどうせならこの水車から外して欲しいなーと。

そうしたら話もしやすいんだけど。

 

「それはアカン。ええかお兄。お兄はウチとお話しする。ウチはパンジャンを眺めつつティータイムを行なう。お兄はパンジャンになる。一石三鳥やないか」

 

はははははなるほどなー。

ねえ葵ちゃん、私の正気度がゴリゴリ削られてるんだけど。

 

「大丈夫ですお兄さん、ボクもですよ。まあボクの場合は普段から一緒にいますので更に削られてますが」

「むぅ、またウチほったらかして2人だけでいちゃいちゃと。これはもうアカンな。パンころー」

 

え。なにその掛け声。え、待って待ってなんか回転し始めたんだけど。

止めて茜ちゃん、これキツイよ!?

 

「お兄さん、諦めてボクと一緒にパンジャンと同化しましょう?」

「パンころー」

 

うわあああああっ!?

……っは!?ゆ、夢、か……?

よ、よかった。本当に夢でよかった。

 

「マスター?すごい声がしましたが平気ですか?」

 

あ、ああごめんねゆかりさん。ちょっと嫌な夢を見ちゃってね。

……ん、珍しいね、ゆかりさん。何か聴いてるの?

リビングから聞こえてくるこれは……洋楽?

 

「ああ、マキさんの登場曲ですね」

 

……?

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