ぼいろ。 作:みっくすじゅーす
ただいまー。
いやあ、姐さんからの仕事依頼って時点で嫌な予感はしてたけどまさかうたうたいオールスターとは思わなかった。
ああ疲れた。ゆかりさーん、お土産あるよー。冷蔵庫にしまっておいてー。
「あ、はーい。んー、今手が離せないのでお願いしてもいいですか?」
おや、誰か来てるのかな?
「はい、まま!任せて下さいっ」
ん……?
ぱたぱた、と。スリッパの音を鳴らしながら玄関先に来たのは。
……だ、だれ?
「おかえりなさい、ぱぱっ!」
んんんんんんんんーーーッ!?
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で、ええと、お嬢さんは何故私をぱぱと呼ぶので?
正直身に覚えは……いや、うん無い、な。うん。
「マスター、後で少しお話があります。ええ」
「えと、はつね先輩から、ゆかりさんはまま、ぱぱはぱぱと呼ぶように教えてもらいました!」
うん……うん。なんかもう諸々言いたい事はあるんだけど言う気力が無いよ……。
「あ、申し遅れました!わたしは、紲星あかりです!あかりって呼んでください、ぱぱ!」
「あら、ちゃんと挨拶出来ましたね、偉いですよ」
「えへへ、ままに褒められましたっ!」
待つんだゆかりさん。さらっとまま呼びを受け入れているのはこの際置いておくよ。うん、薮蛇になりそうだし。
それはともかく、あかりちゃんは何故我が家に?姐さんの仕込みなのはわかったんだけど。
「ええとですね……」
「はつね先輩を倒すためです!」
え。
「わたしもはつね先輩やゆかりさんみたいな素敵なうたうたいになりたいんですっ!」
「それを初音先輩に言った所、スポ根スイッチ入ったみたいで……私の所に預けて修行、という事らしいです」
それで急に私を仕事に呼び出して、その隙にあかりちゃんをゆかりさんの所に送り込んだのか。
まあ、事情はわかったよ。
それで、ゆかりさんはそれでいいの?
また、うたをうたう事になるかもしれないんだよ?
それなら、あかりちゃんには悪いけど、断るべきだと私は思う。
「……正直、最初に聞いた時は初音先輩にまた厄介事を押し付けられたと思いました」
「へぅ……」
「けど、ですね。初音先輩だけじゃなく、うたをうたわなくなった私にも、憧れてくれてるんです。だから、今の私なりに、あかりちゃんをうたうたいにしてあげたいんです」
……。
「ゆかりさん……」
「それに、私が教えたあかりちゃんが初音先輩を倒したのなら、それは実質私が初音先輩を倒したのも同じです!どうです?この完璧な理論武装は!」
……。うん、わかった。そこまで言うなら私は何も言わないよ。
「じ、じゃあ!」
うん、これからよろしくね、あかりちゃん。
「っ!はい!よろしくです!ゆかりまま!ぱぱ!」