Re:"r"EKI   作: かにかま
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7.甘味

 

蓮見とレキがケルトに行っている頃、軍警団ヌンク本部では大きな動きがあった。

 

事の発端はホークアイの部下である馬面の軍警団団員、バサシがヌンクの商店街区にりんご流通を規制するために各店舗に協力申請をしていた時、人目を避けるように怪しげな黒ローブを頭から被った二人組を発見した。

その二人を追跡したところ、ある店の裏口にて【骸】と思われる果実の取引が行われていた現場を目撃した。

ただの商業的取引にしては怪しすぎる、そう判断したバサシは取引現場に突入した。

 

バサシが軍警団所属であることを宣言すると、二人組は舌打ちをして逃走、バサシが二人を抑えつけた。

もちろん、店の店主にも事情を聴かねばならない。

取引物はやはり【骸】でそれ以外のことは中々口を割らなかったが、ホークアイが到着したところで尋問という名の事情聴取はトントン拍子で進んだ。

 

–––そして、現在8月31日の早朝。

 

「よくやったバサシ。 魔女の一団の者たちを本部に連れてこれたことは大きい」

「いや、ホークアイさんの尋問には負けますよ、てか、あんたマジ鬼ですね」

「さて、何のことやら」

 

苦笑いのバサシに微笑みかけるホークアイ。

事情聴取と尋問は別物であるはずなのに、彼女にとっては同種として捉えられてしまっている。

ホークアイ班におけるホークアイに改善してもらいたい七つ要素の一つに数えられている。

 

「それで、何か聞き出せましたか?」

「まずまずだな。 今までも何度か【骸】流通に関わってる者たちは捕らえて情報は吐かせてきた内容と一致するところもあれば、僅かな差異もある」

 

魔女の一団と思われる者たちを捕らえたのは今回が初めてではない。

【骸】事件を当時から担当しているケルベロスは【骸】の流通者を捕らえてきたのだから。

 

「今回の結果をデータ化し、ケルベロスのところと比べて団長に報告する予定だ。 ケルベロスは今いるか?」

「どうでしょう、自分もさっき戻ったところですし、ケルベロス警部も【骸】が流通する可能性の高い闇市に自ら赴くことも多くなってきましたので」

「それもそうか」

 

元々ケルベロスは雑務が苦手な男だ。

細かな作業に時間を費やすくらいなら現場に赴き、調査をする方が彼らしいといえば彼らしい。

ホークアイがデスクに腰掛け、上着を椅子に向かって投げとばす。

 

「ジャンヌ、お前の報告も聞こうか。 ケルベロスが戻ってくる前にある程度は仕上げておきたい」

「.....その前にホークアイさん、そこ机です」

「座れればどこでもいいだろう」

 

ホークアイがおかきを手に取り、パリパリと噛み始める。

もう何度目かわからぬ受け答えに、ジャンヌとイバラは顔を合わせ『これ以上は話が進まないのでもう何も言わないでおこう』と心の中で意見を揃えた。

 

「.....えー、まず我々はケルベロス班とは反対のケルト方面、西の方向を調査するためペトラの方まで向かいました」

「ペトラ、か」

「えぇ、昨日はケルト。 本日はペトラといった感じです、今日もメンバーの数人はケルトに向かわせました」

 

七つある主要駅都市の中でも最も無法地帯とされている駅ペトラ。

金と力がモノを言う、無法地帯であり、人々の乗り降りが最も少ないため、"隔離駅"とも呼ばれている。

奴隷商売、闇市、スラム街、喧嘩の絶えぬ駅で軍警団も下手に手出しができない駅となっている。

 

「だが、ケルベロスはあそこは既に調べたと言っていたが?」

「あいつでも限界があります、私には私なりの調査の仕方、行ける場所もありますので」

 

そう、ケルベロスが【骸】と魔女の一団の情報を嗅ぎつけ、一番に調査した場所がペトラである。

一番怪しい場所、最も【骸】の流通の出処であると判断したからである。

 

「結果はハズレ、ペトラに魔女の一団を思わせる組織はありませんでした。 しかし、その帰り際にケルトとここヌンクの街道で気になる老婆がいました」

「老婆?」

「えぇ、時間でいうと午後の十時過ぎくらいでした」

 

–––暗がりになった街道で黒いフードを被った猫背の老婆に声をかけられたのは。

 

「声を、かけられた、のか?」

「はい」

 

5エバでりんごを一つ買わないか、と。

フードの奥で嗄れた声を出す老婆は笑みを浮かべていた。

 

「.....それで?」

「一つ、買ってここに持ってきてます。 もし、これが【骸】であるなら、あの老婆が魔女の一団と関わりを持っている可能性が高いと踏んでます」

「フム」

 

パリ、とおかきを頬張りながらホークアイは頭の中でこれから行うべき必要があろう手順を一つずつ組み立てていく。

 

まずは、ジャンヌの遭遇した老婆から買った果実の分析を行う必要がある。

りんごと【骸】を並べ、見た目と匂いのみで判別するという原始的な方法だが、それ以外で確認する術は今の所ない。

これに関してはケルベロスの協力を求める必要がある。

 

「大吾、ケルベロス班の奴らは全員出払っているのか?」

「留守番に何人か残ってらしたと思います」

「よし、鼻の利く奴を連れてこい。 一人で構わん」

「了解しました!」

 

もし、ジャンヌと関わった者が魔女の一団の関係者だとしたら、バサシの捕まえた者からさらに情報を特定して引き出すことができる。

 

「ジャンヌは例のりんごをここに持ってこい」

「はい!」

「イバラ、データを取る。 準備を頼む」

「わかりました」

 

ホークアイはイバラに事前に頼んでおいた、過去の【骸】が流出した流れ、駅を統計的に示した資料を手に取る。

先人達の努力や知恵も無駄にしてはならない、残してくれたものに無駄なものなど一つもないのだから。

 

「ホークアイさん、【人喰い】の件なのですが」

「【人喰い】が動き出した、とかいう緊急事態でなければ後回しだ。 今は目の前の起こり得る厄災を対処する必要がある! それから–––」

 

ホークアイ班の一日は長い。

検証を重ね、ケルベロス班との協力もあった結果、ジャンヌの買った果実は【骸】であるという結果が出た。

 

 

蓮見征史の朝は早い。

まずは相棒でもある黒森レキを叩き起こす、仕事先が少し遠い彼女が本来ならば蓮見よりも先に起きていなければおかしいのだが、培った経験が現状を体現化してしまっていた。

「へば!?」という呻き声と一緒に背骨からも不気味な音が鳴る。

 

9月2日、まだうっすらと暑さの残る午前5時42分。

蓮見の生活リズムに巻き込まれる形でレキは痛む背中を撫でながら体を起こす。もう一度言おう、レキの仕事先は蓮見よりも少し遠い位置にあるため本来であれば蓮見よりも早い時間帯に起きなくてはいけない。

つまり、逆に蓮見はこんなに早く起きなくても間に合うのだ。

 

ジャンヌは今日も帰っていない、最近になり朝帰り、昼帰りが増えたのは仕事の都合だと言っていた。

レキの寝間着を回収し、蓮見が簡単に洗う。 この世界に洗濯機という名のかつての三種の神器は存在しない。

よって手洗い、揉みほぐし、水洗い、天日干しが普通となる。

レキが仕事に向かうのは要所要所の本当に必要なのかもわからない必要以上の身支度を済ませてからである。

 

午前6時7分。

ジャンヌの服も干せる状態にしておき、洗った服を竿に引っ掛ける。

今日は雨が降るかもしれないと新聞には載っていたので部屋干しをするのが妥当であろう。

布団をたたみ、着替えを済ませて蓮見もようやく仕事場へと向かう。

時間にして、午前6時36分。

朝食は仕事先である喫茶店[蜘蛛の巣]にて賄いとして軽食を取ることができる。

 

店の裏口から入り、更衣室に向かうとそこには今日の鍵番であるキリアスが着替えを済ませたところだった。

 

「おう」

「どうも、もう仕込みですか?」

「一応な、用意できることはしときてぇ。 つーか、敬語とか気にしなくていいぞ、歳も近そうだし」

「そこは、メリハリを付けたかったんだけどな」

 

一応仕事をする上では上下関係はハッキリさせておいたほうがいい。

プライベートならまだしも、職場においては基本的に蓮見はそういう考えを持ち合わせている。

相手がどういう反応をするかは別ではあるが。

 

「まぁ、あんまり畏まったのは俺も苦手なんだ。 無理強いはしねぇけど、もっと肩の力抜いてもいいと思うぜ」

「.....参考にするよ」

 

制服に着替え、フロアの掃除から始める。 [蜘蛛の巣]の開店時間は午前8時、それまでにできることはやっておかねばならない。

 

「おはようございます」

「今来ましたでぇ」

 

午前7時のちょっと前、店長である蝶々と娘である夜々が正面口からやって来る。

 

「おはようございます、毎回わざわざこっちから来なくても」

「フフフ、こっちから来る方が近いけんのぉ、仕方ありませんのよ」

 

蓮見も最近知ったのだが、蝶々はこの店に住んでいるわけではないらしい。

裏にプライベートルームみたいな場所があったので住んでいるものと思っていたが、あそこはあくまでも店長としての蝶々が居座る部屋のようだ。

何度か蓮見は入ったことはあるが、夜々にとってあの部屋は聖域のようで土足で踏み入るなどとんでもない、という考えを持ち合わせている。

 

「蓮見さん、倉庫に行ってコーヒー豆の在庫を確認してきてもらってもよろしいでしょうか? ついでに薪の方も少し店内に、それから–––」

 

開店まで残り30分。

この時間帯になった[蜘蛛の巣]では、この日のスタッフ全員がホールに集まり、簡単なミーティングを行う。

蓮見、夜々、キリアス、タンバといったお馴染みの面々がホールに集まり始めてた。

キリアスがキョロキョロと辺りを見渡してるのがあまりにも不審に見えた蓮見は思わず声をかけてしまう。

隣で狼頭が周囲にガン飛ばしているようにしか見えないのだ。 店の外であれば確実に他人のフリをしてた。

 

「どうしたキリアス?」

「いや、今日シアンもシフトに入ってるって聞いたんだが、見当たらないと思ってよ」

「シアン先輩が?」

 

あの気弱でおどおどした先輩の姿はたしかに見当たらない。

 

「しばらくは俺と同じシフトのはずなんですけどね」

「あいつが遅れるなんて、珍しいな」

 

キリアスとシアンの付き合いは長い。

ここ[蜘蛛の巣]で働き始めたのも同時期であり、お互いにお互いを支え合いながら頑張ってきた仲である。

 

「店長、シアンのシフトは今日も入ってるはずだよな」

「入っとるよ、まだ来てへん?」

「来てねぇな」

 

キリアスにとってシアンは弟のようなもの、心配にならないわけがない。

しかし、シアンは開店時間間際になっても現れなかった。

 

休憩時間、蓮見は買い出しを頼まれ夜々と一緒にヌンクの商店街に来ていた。

【骸】や魔女の一団がいつどこからやって来るかわからないため、防犯と警戒のために[蜘蛛の巣]のスタッフ間でも注意を払っており、買い出しは二人以上で行うようにしている。

 

「いつも贔屓にさせてもらってる店があるのでそちらに行きます。 ご主、店長とも顔見知りなので多少の融通は利きます」

 

ちなみに蓮見は今日買い出しは初めてである。

[蜘蛛の巣]がいつも利用してる店、いつも買っている商品を蓮見も覚える必要がある。 いい機会ということで夜々についていくように店長である蝶々に言われたのだ。

 

「この商店街に入るんですか?」

「そうです、私個人としては人混みは避けたいのですが、店長や店のためであるなら仕方なしです。 で、本日買うものは–––」

 

商店街は賑わっている。

ヌンク一の商店街区、ロードヌンク。

百以上の店舗が立ち並び、昼夜問わずに賑わいを見せている。

 

そんな喧騒の中で軍警団の制服が目に入った。

何度かジャンヌが制服のまま家に戻ってきているところを見たことがあるのでこの世界に来て日数の浅い蓮見もそのくらいはわかる。

隣を歩く夜々はどこか落ち着かない様子でメモと睨めっこしていた。

 

基本、夜々が買い物を済ませ蓮見が荷物持ちをするという役割分担になった。

荷物持ちを奴隷にさせることも多いそうだが、蝶々はあまり奴隷を買わないらしい。

蓮見としても、奴隷文化に慣れていないので商店街区内の奴隷と思われる人々を見かけると、思わず目を背けてしまう。

 

この駅、ヌンクにおいての奴隷の扱いは飼い主同伴ならば外出可、それ以外は基本的に自らの敷地内で管理するというものらしい。

駅一つ一つに独自のルールがあり、世界で統一されたルールは存在しない。

この『イヴ』においてはそれが常識であり、法であり秩序となっている。

 

「.....蓮見さん、奴隷に興味あるんですか?」

「え?」

「チラチラと見てたので、私の早とちりでしたらすみませんが」

 

夜々が眉間に皺を寄せながら睨みつけてくる。

 

「興味がないといえば嘘になりますね、あまり慣れてないので気になっただけです」

「.....そうですか」

 

そこから夜々は次行く店に到着するまで口を開くことはなかった。

心なしか足並みも揃わなくなり、スタスタと先走ってるようにも見えた。 身長差もあって蓮見はすぐに追いつくことはできたものの、目を合わせてくることはできなかった。

 

「え、もう品切れ?」

「すまねぇな、夜々ちゃん。 実は軍警団の奴らが流通ルートを一部規制しちまってるみたいで品数が大幅に減ってんだ」

 

蓮見と夜々はりんごを買いに来たのだったが、どうやらここでも【骸】に対する対策が厳しくなっているようだった。

 

「こっちとら、明日を食い繋ぐための商売だってのに、偉そうにしやがってよ」

「ま、まぁまぁ、軍警団の方々も好きでこんなことしてるわけじゃ–––」

「.....わかってる、けどよ」

 

軍警団はあくまでも非営利の私団体。

駅長であるアレイスター直属の法と秩序の下に正義を下す綺麗な組織ではない。

あくまでも民衆に支持され、民衆によって支えられ、民衆を守る組織。

 

しかし、全民衆が彼らを支持しているわけではない。

 

「では、いつも通り苺と葡萄とそれから–––」

 

蓮見征史はまだ『イヴ』のこと、ヌンクのことをほとんど知らない。

この世界にやってきて常識の違い、倫理観や価値観が違うということは少なからず感じてきた。

 

だから、であろうか。

 

「.....ん?」

 

『アダム』においての非日常は『イヴ』にとっては日常。

夜々が気がつかないことでも蓮見は気がつくことができる。

 

「どうしました、蓮見さん?」

 

–––ドクン、ドクンと心臓が大きく波打っているのがわかる。

 

–––建物と建物の間から漂う異臭、流れてくる真っ赤な液体。

 

「.....ッ!」

 

–––ドッ、と全身から嫌な汗が出る。

 

見てはいけない、しかし悲しきかな人の性。

禁じられたものほど、破りたくなる欲求が勝るもの。 咄嗟に口を抑え、昼食べたサンドイッチが逆戻りしそうなのを必死に抑えこむ。

夜々が蓮見の様子がおかしいことに気がつく、そしてここで初めて夜々も路地から漏れる異様な雰囲気に当てられる。

 

–––二人が見たものは口から血を出した全身がおかしな方向に曲がった骨のない死体だった。

 

 

 

–––【骸】による被害者が発見される。

この事実は一瞬にしてヌンク中に広がることになった。

あの後、蓮見たちが最後に立ち寄った店の店主が近くにいた軍警団に声をかけ事態は足早に進むことになった。

 

蓮見と夜々は第一発見者として、軍警団ヌンク本部へと向かうことになり、現在は一室で待機させられている。

ご丁寧に人数分の紅茶も用意されていた。

夜々が心配そうな表情を浮かべて、隣に座る蓮見を見る。

見張りとして二人の向かいに座る馬面の男は頬杖をついている。

 

時間にして15分が経過した頃、部屋の扉がゆっくりと開かれた。

扉の向こうから、軍服を羽織った目が鷹のように鋭い黒髪の美人さんが入ってきた。

黒髪の美人さんは馬面の男に耳打ちすると、男は溜息を吐いて立ち上がり、代わって黒髪の美人さんが蓮見たちに向かい合うようにして座り足を組む。

馬面の男が部屋から出たタイミングで美人さんが紅茶を口に近づけ、静かに話し出す。

 

「被害者は【骸】中毒者、症状が発症したのは第一発見者の二人が見つけた段階から推定するに6分が経過した頃だと思われる。 彼女が【骸】を摂取し始めて少なくとも三ヶ月は経過している」

 

【骸】の溶骨作用が本格化するのは摂取した量にもよるが、平均的に三ヶ月。

蝕んだ【骸】の毒は全身の骨を侵食しきってから一気に溶かす。

 

「身元は不明、現場には一口齧った【骸】の他にわずかな金があった」

 

蓮見はごくりと息を呑む。

この女性が現場の状況を話し始めた意図が読めない。

ただでさえ何が起こったのかわからない状況で混乱しているのだ、まともに頭を働かせることなんてできるはずもない。

 

「さて、自己紹介がまだだったな。 私はホークアイ、今回は君らに第一発見者としてここに来てもらった」

 

高圧的な態度は変わらない。

まるで自分が上に立っているかのように言葉を紡ぐ。

ホークアイと名乗った美人さんはカップに入った紅茶を飲み干して、腕を組んでこちらをじっと見据える。

 

「二人にはあとで【骸】中毒者であるかどうかの検査を受けてもらう。 それまでは私と世間話でもしようではないか」

「.....検査?」

 

検査、という言葉に反応したのは夜々だ。

 

「中毒死した者が現れた、よってヌンクの市場には既に多数の【骸】が流通してると考えるのは必然だ。 通常のりんごと見分けがつかぬことも考えられる、誤って口にした可能性もあるため検査するのは当たり前ではないのか?」

「.....ですが、もうりんごは流通に規制が」

「我々が規制をかける前に口にした可能性だってある。 そこまでして検査を避ける理由はなんだ? 何かあるのか?」

「.....いえ、そういうわけでは」

「なら、構わんだろ」

 

ホークアイが苛立ちを露わにする。

夜々も苦虫を潰したような表情を浮かべる、夜々はホークアイが自分達を疑っていると考えてしまったことが裏目に出た。

–––それともう一つ、夜々は他人に身体を預けることを嫌う。

彼女の身体には癒えぬ傷がある、それだけはどうしても後輩である蓮見の前で晒すわけにはいかない。

 

「わかりました、検査をお願いします」

「蓮見さん!?」

「ですが、検査が終われば我々を解放してもらいたい。 買い出しの途中だったので店長達に心配をかけさせたくない」

 

このタイミングで蓮見が切り出した。

これ以上うだうだしていても時間の無駄だと思ったのか、お互いにとっても利がある話だ。

ホークアイは小さく頷く。

 

「.....そうか、お前が」

「はい?」

「気にするな、約束しよう。 検査をして何の異常も問題もなければお前達を解放する。 こちらもあまり時間をかけたくないのでな」

 

–––ホークアイの鋭い目の中の瞳が一瞬、ほんの一瞬だけ大きく開かれたような気がした。




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