戦闘シーンに自身が無いのに、この仕打ち。
まぁ、うまくやっていきましょう。
気に入ってくれる人が居たら幸いです。
それではお楽しみください。
法という物は尊い。いや、尊いというのはいささか間違った表現だ。
正確には『尊守すべきモノ』だ。
この世のありとあらゆるものは法によって守られ、私たち人間は法の中で自由に生きてる。
だが、その法がもし俺を縛ることに成ったら?
俺の持つ自由を奪いに来たら?
「やるっきゃねーよな……」
自らの衝動の檻のカギを壊せ――!
「すいませんでした!!」
平日の昼時、下町のとある寂れた定食屋で男が店の床に頭をこすりつける!!
日本伝統の謝罪の最終フォーム、その名も土下座だ。
「すいませんって言われてもねぇ……」
その様子を見て、困ったような顔を浮かべる白髪の生えた老人。
すぐ後ろには対照的にまるまる太ったおばさんがこっちを見ている。
「本当なんです!!財布の中にお金がないの忘れてたんです!!」
「はぁ、君ねぇ?うちも慈善事業じゃないんだからさー」
気弱そうな、店主が話す。
店主本人もこの騒動をどうやって片付けたらいいのか決めかねている様だ。
「ふん!こんな怪しい客を呼んだ方が悪いんだよ!
さっさと追い返せばいい物を……
兎に角ケーサツだよ、ケーサツ!
ったく……こんな店、さっさとたたんじまえば良いのにね」
「な、この店は先代から受け継いだ味を――」
「はいはい、その話はもう聞いたよ。さっさとその男をどうにかしておくれよ」
おばさんは、まくし立てる様に言うと店の奥へと帰って行ってしまった。
「うわー、きっついなー」
「はぁ……昔はあんな奴じゃなかったのに……」
男の言葉に応える様に、店主がため息をついた。
「ちぃーす!ジイさん邪魔するぜー。
天丼大盛ー、漬けモンも大盛でー」
その時扉が開き、一人の男が顔を見せる。
刈り上げた髪に、よれたコートとネクタイ。
いかつい眼光で、あごには切り傷の様な物が付いている。
「おお、
岩さんと呼ばれた男がなおも土下座している男を見る。
「んだ?なにやってるんだぁ?」
「コイツ、食い逃げ犯なんじゃ!!」
「なにぃ!?」
「ち、違う違う!!財布の中に偶々お金が入ってなくて――」
男が言い訳するが――
「食い逃げの現行犯逮捕だ!!」
カチャ――
「いいいいい?!?手錠!?」
男は自分の手に掛かった、銀色の輪っかを見て、声を上げる。
「そうよ。こちとら輝ける、国家権力様よ~」
岩さんと呼ばれた男が、ポケットから警察手帳を見せる。
「ま、マジで?」
留置所にて――
「まったく、老夫婦の店を狙うなんてふてぇ野郎だ!!」
質素なテーブルとパイプ椅子の取り調べ室にて、岩さんが店のおばちゃんに持たせてもらった天丼大盛を掻き込みながら、激を飛ばす。
「いや、だーかーら!本当に持ち合わせがなくて――」
「全くよ。住所も仕事も無いってのはどういうこった?」
ピらぴらと紙を振って見せる。
そこに有るのは、男の名前やその他もろもろが掛かれていた。
「もう一回、最初から質問するぞ?これと違うトコがありゃ速攻で言うからな!!」
「はーい……」
不貞腐れたように、男が答える。
「まず、名前!」
「……
「よぅし、鶴見だな?
じゃ、住所は?」
「不定でーす、橋の下とか公園で寝泊まりしてまーす」
「……そうか……仕事は?」
「無職!適当に日雇いで稼いでます」
「……荷物の中身、見せてもらったぞ?」
ゴロッと、机の上に様々な物が置かれる。
サイコロ3つ、外国のコイン、ライター、箸と茶碗、下着数枚、中身が空っぽの財布。
そして、古びたカギと鉄格子の様なデザインの入ったバックルとベルト。
「全部俺のです……」
「身元の分かりそうなもんは無しか……」
困ったようにして、腕を組んだ時――
ピー……ガチャ
部屋の端の置かれていた、FAXが動き出した。
「ん?指名手配の最新号か――」
「あ”、マズ――」
玲久が小さく汗をかく。
「キサマ――」
紙を見た瞬間、岩さんの目が吊り上がる!!
「指名手配だったのか!?」
玲久に突きつける紙には、玲久本人の顔と名前、そして罪状――国家間破壊工作テロリストの文字が!!
「た、他人の空似&同姓同名なだけです!!俺は無実です!!」
「嘘を吐くなぁ!今夜は留置所に泊っておけ!!」
「そんな!?俺は無職――じゃなかった、無罪です!!信じてください!!」
「うっせぇ!!!食い逃げしてるんじゃねーか!!」
押し出されるようにして、留置所の檻の中に玲久を押し込んだ。
「だせー!俺は無罪だー!!
……一回言ってみたかったんだよな、コレ。
って、それどころじゃない!!せめて、せめて荷物だけでもーー!!!」
「うるせぇ!!俺は犯罪者が大っ嫌いなんだ!!」
カギの掛かる音がして、岩さんが出ていった。
昇進、昇進と楽しそうにスキップしていたから、電話でもしてくる気だろう。
深夜――
留置所の中で、玲久がベットで寝ていた。
お世辞にも快適と言えなハズの部屋だが、玲久にとっては屋根が有るだけでなかなかのモノだった。
「よう――無様だな」
「!?」
聞いた事のある声がした気がして、ベットから飛び起きる玲久。
『ワゥンオーン!!』
オオカミの様なイヌの様な声がして、足元を見ると手のひらサイズのイヌが居た。
いや、正確には違う。黒と銀のメタリックなボディに何より首が3つある。
それはさながら、地獄を守る番犬と言われるケロべロスの様で――
「バイトが居るって事は――」
「よう、レイク」
「ダァト!!」
部屋の隅、暗闇に溶ける様にその男は立っていた。
闇に形を持たせたような、黒いボディスーツ。
ライダースーツの様にもロングコートの様にも見える。
腰には新旧様様なタイプのカギが鉄のリングでぶら下がっている。
「さすがバイトだ。よく見つけたな」
ダァトと呼ばれた男が、地面で走るバイトを手に持った。
その瞬間、バイトの姿がメリケンサックの様に変わった。
腕に装着し、3つの頭が均等に並んでいる。
「どうだ?こんなとこで『監獄』に戻されるのも嫌だろ?
土下座して頼むんなら、コレやっても良いぜ?」
手を伸ばせば届くか届かないかの所に、ダァトが牢のカギを投げすてる。
「悪いな、俺はちゃんと反省してる最中なんだ。
脱獄は結構だ」
きっぱりと断るとダァトが小さく舌打ちをした。
「そうか――残念だな。
そしてもう一つ残念なお知らせだ。
『潜伏終末期』の奴がいたぜこの近くにな?
明日当たり面白いことが有るんじゃないか?
上手くいけばキーが手に入るかもな……」
「おい!?お前、それを分かって――」
立ち上がり、牢を握る。
玲久の顔には焦りが満ちていた。
「頑張れ、正義の犯罪者さん?俺は相手する気はゼロだ。
じゃーな」
カギを蹴飛ばして、届かない距離の置いてからダァトは留置所を出ていった。
翌日
「よぉ、指名手配犯。昨日はよく眠れたか?」
岩さんが、檻の中の玲久を見やる。
その言葉で、今始めて起きたのか大きなあくびをする。
「あー、岩さん……おはようございます……
此処って、朝は何ですか?
好き嫌いじゃないんですけど、どうも朝はパンじゃ力が出ないんですよね」
のんきな事を話して見せる。
「うるせぇやい!お前は明日っから臭セェ飯食うんだ!
大人しくしてな!今日の昼にも護送班が来る!!」
「へいへーい……」
玲久のことを見ながら、岩さんが部屋の隅に置かれたカギを見つける。
「ああー!鍵がないと思ったらここに有ったのか!?
お前、脱獄しようとしただろ!?」
責め立てるような口調で岩さんが、カギの束を見せる。
「違いますって、届かないでしょ?ここからどう見ても」
「そ、それもそうか――」
岩さんがそう話す瞬間、胸の通信機が成った。
「はい、もしもし――え?怪物?なんだと!?
こっちに向かっている!?」
怪物――その言葉に、玲久の目が鋭くなった。
「プレイズナーか……」
「仕方ねえ!おい、指名手配犯逃げるぞ!!
ナンか知らんがやばいもんには近寄らない方が――」
ガシィン!!
突如けたたましい音が建物の外で鳴り響いた。
玲久のはとっさに、鉄格子の窓の外を見る。
「居やがった……」
窓の外、上半身が肥大化した2足歩行の豚の様な怪人――プレイズナーが居た。
「お前!!国家権力の家に手を出そうとは言い度胸だな!」
銃を構えながら、いつの間にか外にいた岩さんが立ち尽くす。
『岩さん――』
「!?」
酷く聞き取りにくい声だったが、確かにその怪人は男を『岩さん』と呼んだ。
「お、前一体――」
『俺だよ岩さん――「――』俺だ」
胸のあった鍵穴に手を突っ込み、中からカギを取り出す。
「あ、あんたは――」
その瞬間、岩さんの前に大量のスクラップが落ちる。
だるまや、金属のボウル、そして包丁そのどれもが見覚えのあるものばかりだった。
「こりゃぁ……」
「うちの商売道具さ……もう、要らないけどね」
その道具の中、呆然とする様に昨日の定食屋の主人が立っていた。
傍らに、怯えた様子で妻の姿も見える。
「な、なんでこんなことを――」
「なぁ、岩さん聞いてくれよ……
俺には夢が有った、店を継がせてくれた先代よりも店を立派にしたかったんだ……
あの店は先代と俺の夢が詰まってる……
けど、流行りはしない……客足もまばらだ……このままじゃ、このままじゃ店はつぶれちまう!!
けど――気が付いたんだ、客が来ないならこっちが呼べばいい!!
たっぷり食わせて、金をふんだくって、そして店を有名にすればいいんだ!!
俺の夢はまだ死んでない!!俺は店を守るぅ!!」
店長が、包丁の反対の手に古ぼけたカギを持つ。
『プライド……俺が一番、俺が至高、世界の頂点!!』
「うわぁ!」
そして、それを自身の肩にさして回した!!
突如、店のモノや奥さんまでも巻き込み一体の怪物に成った。
『ぐひひっひひ!!さぁ!!飯の時間だぜ!!』
豚の怪人が、シェフの服とコック帽をかぶる。
手には包丁とフライパンを持っている。
「な、なぁ……」
目の前で起きたことが信じられず、岩さんが固まった。
『たぁっぷり食わせてやるぜぇ……店を守るためになぁ……』
「し、指名手配犯!!お前だけでも逃げろ!!
カギだ!!」
岩さんは玲久の方へ向き直ると、鉄格子に向けて牢のカギを投げつけた!!
しかし――
「ああッ!」
カギは壁に当たり、むなしく地面に落ちた。
コレでは玲久を助けることは出来ない!!
「アンタ、良い人だな。俺の事助けてくれようとしたんだ?」
なぜか、外にいる玲久に岩さんが目を丸くする。
「ど、どうして……?」
「ん?ちょっと、コイツを使ってカギを開けただけ」
そういって、昨日の荷物に有った鉄格子のデザインのバックルを見せる。
「それだって、別室に有ったハズじゃ――」
「親切なワンちゃんがカギをくれたから、昨日のウチに
「な、結局脱走してるんじゃないか!!」
「戻ったから良いでしょ?」
悪びれもなく、しれっと言い放った。
『ふふぅ……キサマは昨日の食い逃げ――許さん!!
儂の店をターゲットにしようなど許せるはずがないわぁ!!』
コックのプレイズナー、『コックプレイズナー』がナイフを生成して振り上げた。
「許さないって?なら捕まえてみろよ。俺は自由だぜ?」
鉄格子のバックルを腰に装着して、古ぼけたカギを右手に構える。
「変身!!!」
そして、その鍵をバックルの鍵穴に差し込こみひねる
『クライムキー!!コード・チェンジ!!』
キーを押し込んだ瞬間、真っ白いスーツが一瞬だけ形成されその姿を何処からともなく現れた鉄格子がその姿を隠す。
まるで鉄格子の奥の奥へ閉じ込められる様に――
しかし――!!
『ブレイク・ア・プリズン!!ゲット・ア・フリーダム!!』
再びなる音声!!そして鉄を引きずるような音を立て、鉄格子が左右に開く!!
鉄格子が開くようにして現れたのは、白と黒と囚人服の様なデザインのライダー!!
手錠をイメージした緑の複眼に鉄格子が掛かっている。
縦の白黒は左右の手先に行くつげ、配色が変わり右手は真っ黒、左手は真っ白に染まっている。
「さぁ!!捕まるのはどっちかな?」
指を指し、相手を挑発する。
少し離れた場所で、ダァトがバイトを手にしてのどを鳴らす。
「くくく……ようやくお目覚めか。
レイク……いや、
主人の感情を表すかの様に、手のひらのバイトが嬉しそうに鳴いた。
ブレイズナーじゃないですよ。
「プ」レイズナーです。
怪人たちの総称は今回はコレです。
脱獄の意味を込めた、ブレイク+プリズン。
そこに、楽しむという意訳をつけ、プレイ。
3つを足して、『プレイズナー』です。