仮面ライダージェイル   作:ホワイト・ラム

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今回から、出流が動き出します。
警察側の人間なんでしょうが、一体どのように本筋に絡むのか。


正義を望む者/不穏の白煙

灰色のコンクリートが打ちっぱなしの部屋、殺風景なへやに簡素な机と椅子が二つ。

後ろにあるマジックミラーを見れば、ここが取り調べ室だという事が分かる。

一つの机には玲久が、向かい合う椅子には警視庁のお偉いさんの息子の芽栗 出流が座っている。

 

「『仮面ライダー』君はそう呼ばれているらしいね……

資料を見たよ」

そう言って、ジェイルの写真付きの資料を出流のボディガードと名乗っていた男(確か上北だったか?)が渡す。

 

「ふぅん、で?」

暴れる事を考慮され、玲久の手には手錠が掛けられている。

 

「一般市民を守るのは警察の役目だ。

君の様な犯罪者に、ヒーローは似合わないよ」

 

「ハァ?ヒーロー?そんなつもり一切ないんだがな?」

ふてぶてしい態度を見せる玲久。

 

「おい!!俺にそんな態度取って良いのか?

俺の父さんは、警視庁のトップだぞ?

お前を刑務所にブチこむ事だってでるんだぞ!!」

その言葉はあまりにも幼いモノだった。

 

「あー、んで?お前も警察なの?」

 

「み、未来の警官だ!!」

露骨に取る、焦った様な言葉。

それは明らかに、彼が警官でない事を現していて――

 

「あ、試験落ちたのね……」

 

「うるさい!!!」

玲久の指摘に、出流が机を強くたたいた。

その時――

 

「こら!!勝手に入るな!!」

 

「坊ちゃまが、まだお話中――」

 

「うるせぇ三下ども!!」

後ろの扉が開かれ、出流のボディガードを引きずりながら、岩さんが姿を現す。

 

「あ、岩さん」

 

「ちッ、またお前か、小早川巡査……」

 

「え、誰?」

出流の口から出た名は聞いたことのない名だった。

もしかして――

 

「俺の名前だよ。小早川 人美(ひとみ)

そう言って、岩さんが警察手帳を見せる。

確かにそこには、その名前の岩さんが載っていた。

 

「ブーっ!?小早川!?人美!?

マジで!?苗字も名前も、『岩』ついてねーの!?

無駄にかわいーし!!え?勝手に「岩下 玄之助」とか「巌島 岩太郎」だとか思ってた!!」

ゲラゲラと玲久が笑い出す。

 

「うるせぇぞ!!俺の岩は頑固(ガンコ)一徹の「(ガン)」。

ソレと、岩みてぇな屈強な体からついたあだ名よ!!」

自己のあだ名を自慢するかのように、自身の胸を叩く。

 

「ああーもう!!お前ら静かにしろよ!!俺の話を聞け!!」

その様子に、ついに出流が怒りだす。

 

「お前らの、活躍はもう終わり!!

これからは俺が仮面ライダーに成るんだ!!」

その言葉と共に、机に一本のカギを置く。

 

「それは――」

 

「なんでそれが……」

何度も見た危険な道具、それは間違いなくクライムキーだった。

 

「警察がいつまでもあんな危険な物を放置する訳がないだろ?」

再び、取り調べ室のドアが開き年を取った男が入ってくる。

 

「あ、あなたは!!け、警視総監の……」

 

「初めまして、仮面ライダー君。

私は、警視総監の芽栗だ」

出流の父親だった。

 

 

 

 

 

「初めて、あの怪物――君たちはプレイズナーと呼んでるんだったかな?

それが見られたのは3年前。

市街地で、一人の住民が暴れまわり周囲の建物を次々に破壊。

警察が出動し、数十人単位で対処に当たったが、手が出ず。

運よくその怪物が、走っている最中の電車に飛び込み自殺同然で死亡した」

芽栗警視総監の言葉に、玲久は黙って話を聞く。

 

「そして、同時期に、その怪物を刈っている存在が明らかになった」

芽栗警視総監が出した資料には、ジェイルによく似た戦士が映っていた。

 

「君は、この時からもうすでに?」

 

「違う――これは、俺じゃない。

これは俺の前のジェイル、『プロトジェイル』だ……

佐久良さん………」

非情につらそうな顔をして、それっきり玲久は黙り込んでしまった。

最後につぶやいた名は、変身者の名前らしい。

 

「そうか、だがまぁいい。

さて、話のキモは此処からだ。警察、およびそれに準ずる組織ととある協力者がこのキーの解析に参加して、疑似的なキーを作る事に、そしてそのキーを制御する装置を製作した。

分かるかね?君の活躍はもう、終わったんだ」

芽栗が机の上に、一つのトランクを出す。

それを開けるとそこには中心部がCの字型に凹んだバックルがあった。

 

「馬鹿な!?ありえない!!クライムキーを制御する装置!?」

玲久がそのドライバーをしげしげと見つめる。

 

「さて、コレで分かったでしょ?

一般市民の君が戦う必要は無いって事!」

 

「君のもつ、キーを差し出してもらおうか?

それはこちらの武器に成る」

出流と芽栗親子が、キーを差し出す様に迫る。

 

「断る。これは俺がやるって決めたことだ」

 

「わかってないのかな?お前に拒否権は無いの!

ほら、俺が出せって言ったら出せ!!」

出流が玲久にくっつき、ポケットから2本のキーを取り出す。

 

「返せ!!」

必死に抵抗しようとするが、玲久は未だ手錠を付けられている。

まともに動くこと自体出来なかった。

 

「さて、君たちには聞くべきことがある。

しばらく、ここでゆっくりしていてくれたまえ」

そう言って二人が退室する。

 

「だとさ、指名手配!

ま、国家権力に逆らった罰だ、おとなしくしときな?」

そう言って、ドアノブに手を掛けるが――

 

ガチャ!!

 

「んな!?鍵が――」

 

「あーあー、岩さんも協力者扱いって事ね?」

 

「嘘だろ!?警視総監!!私は無実です!!この男とは何の関係もありません!!!」

ドンドンと音をたて、扉を叩くが返事が返ってくることは無かった。

 

 

 

 

 

「ふぅ、一休みするか……」

とある研究室、フェニシオンがパソコンを叩く手を止め背伸びをする。

研究室の資料をかたずけ、灰皿をさがしだす。

 

「ある程度データは集まって来たな……

問題は――」

ぶつぶつと独り言を言いながら、自身の服のポケットをまさぐる。

 

「なに?」

嫌な予感がして、本格的に他のポケットを探す。

 

ない。

 

「クソが……!!」

忌々し気に、自身の足を叩き部屋の隅にある煙草のカートンに手を伸ばすが――

 

「カラかよ……!!」

一服をしようと考えたが、どこにも煙草がない。

基本的に食事はコンビニで済ませていたり、楊に作らせたりしているが、今回は楊も居ないし、コンビニの袋はさっき見た通り空っぽだ。

 

「仕方ない――行くか……」

フェニシオン実に5日ぶりに外出!!

 

 

 

「なに?身分証明?」

煙草の自販機、最近はめっきり減ったと聞いたが実際その通りだった。

町をさまよいやっと見つけたのだが――

 

「最近はこんなのが必要なのか……!!

クソが!!最近のガキは、どうやって煙草を買ってんだ!?」

最近煙草の自販機に搭載された、身分証明パスをフェニシオンは当然持ってなどいなかった!!

 

一瞬だけ破壊しようかと思うが、後々自販機が壊れると困るのは自分だと思いなおし背を向け、コンビニを探し始める。

 

 

 

「ふぅー、やっと一息ついたぜ……」

探すこと10数分、漸く見つけたコンビニで煙草を手にしてフェニシオンが上機嫌で帰っていく。

 

シュボッ――

 

吸い終わった箱を投げすて、早速二箱目に手を伸ばす。

が――

 

「ちょっとアナタ!!」

 

「すっーはぁー」

 

「聞いてるの!?そこの煙草のアナタよ!!」

通りかかった、女性が絡んでくる。

 

「んだよ、ババァ?」

 

「バ、ババァ!?待ったく、この道路は禁煙よ!!

それに煙草を持って歩くなんて、なんて危ないのかしら!?

子供が通りかかったらどうするの!!子供たちの目に位置に火種が来るのよ!!」

その女性はたいそう煙草に対して神経質だったみたいで、食って掛かってくる。

 

「あっそ、俺のガキじゃねーんだよ!!

つまり、関係ねーんだよ、話はそんだけか?」

詰まらないというばかりに、そのまま歩き出す。

 

「待ちなさいよ!!だから、ここは禁煙で――」

 

「ウッせぇなオイ!!」

肩をつかんだ、女をフェニシオンが振り払った。

 

「な、暴力を――」

 

「そんなに、嫌いか?吸ってみろよ!!世界が変わるぜ!!」

 

ペッ!!

 

自身の咥えていた煙草を吐き出し、それに向かってキーを投げつける!!

 

「生まれろ!!俺のプレイズナー!!」

フェニシオンが投げたキーは空中の煙草に音もなく突き刺さり――

爆発的な勢いで、煙が膨らみ始めそれは人の形をとった!!

 

『もっくくくくく!!も~くくくくくくく!!

おいどんはスモークプレイズナー!!

もくくくくくくく!!』

正面から見ると、白い煙の塊を掌がつかんでいる様な形で、肩から腕にかけて人の指の様な形で広がっている、そしてその指の間から煙草を挟んでいるイメージで白い筒が2本づつ左右から伸びている、先端が燃えているので煙草と考えて間違いないだろう。

そして、顔は口と鼻が無く赤い目が2つ、そして頭は不良のリーゼントを思わせるような形の大きな葉巻が乗っている。

 

「いやぁあああああああ!!」

女性が一目散に逃げるが――

 

「スモーク、逃がすな。おまえの煙をたっぷり味あわせてやれ!!」

 

『了解!!もくくくくくくく!!』

スモークが自身の体を、煙に変えると逃げる女性に絡みついた!!

女性はパニックを起こす!!

 

「いやぁあああ!!あああああ!!

来ないで、来ないでぇえええ!!」

しかしその悲鳴を上げる為、口を開いたのが間違いだった。

 

『お、ここがいいや!!』

 

「もご!?もがががっが!!」

スモークプレイズナーが、女性の口内から体の中に入っていく!!

 

「もご、むぐぐぐぐうううう!!」

白目を剥いて、必死になって地面をたたき続ける。

 

「くっはははは!!いい気味だなぁ?」

苦しむ女性を見て、フェニシオンが笑う。

 

『十分でもくくくくくくく!!』

しばらくして、女性が動かなくなったのを見計らって、スモークが女性の鼻から姿を現した。

 

「ふぅ、どうすっかな……」

スモークプレイズナーをみて、フェニシオンが小さく後頭部を掻く。

正直な話、突っかかって来た女性に対して生み出しただけの特に目的の無いプレイズナーだ。

かと言って、貴重なキーをこのまま消費してしまう訳にはいかない。

ならば――

 

「スモーク、お前に仕事をやる。

仮面ライダーを見つけ出し、始末しろ!!」

 

『もくくくくくくく!!了解!!!』

スモークプレイズナーはそう言うと、体を煙に変え何処かへ飛んでいった。

 

「さて、後のお楽しみだな」

フェニシオンがそう言って、去っていく。

重ねて言うがスモークプレイズナーは、女性に対する嫌がらせだけに生まれたプレイズナー、当然戦闘力は相当低いのだが――

 

「ま、嫌がらせ程度にはなるだろ!!」

かかかっと笑って、フェニシオンはかえっていった。

 

 

 

 

 

「坊ちゃま!!怪しい煙を見たとの報告が!!」

 

「煙?プレイズナーか?よぅし、やってやるぜ。

俺の初めての実践だ!!」

報告に来た上北の言葉を受け取り、出流がベルトを腰に巻く。

 

「出流、初戦だ気を付けるんだぞ?

ソレと、警察隊を配備しておくからな?」

芽栗が非常に心配そうに、息子の身を案じる。

 

「大丈夫だって!さ、今日から俺が英雄だ!!!」

出流が勢いよく警察の作った特殊車両へと飛び乗った。




時系列としては、ダァトと同時です。
なので、本編に楊は出てきていません。
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