仮面ライダージェイル   作:ホワイト・ラム

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さてさて、今回から少しの間長編です。
フェニシオン以降の上位プレイズナーですよ。


長編VSベリアル編/悪魔の産声

カッコーーン!カッコーーン……!

 

「フェニシオンはまだ外ですか……居ないとなると、寂しいものですね。

何か、気分転換でも出来ると良いのですけど。

ねぇ?外で見たものを聞かせてくれないかしら?もう何年も外に言ってないから」

 

「はい、ヴァレフォ様……では――」

《監獄》の一室、ヴァレフォに与えられた部屋で、楊が小さく答える。

その様子にヴァレフォが優しい笑みを返す。

話が面白いのではない、ただ落ち込んでいた楊が元気を少し出したのがうれしいのだ。

 

「それで――!?」

 

「あら?」

二人同時に、背中に走る悪寒で気が付く。

この《監獄》はプレイズナーの変身者が多い、当然その人物たちはまともではない人間が多いが、扉一枚隔ててなおここまでの『不快感』を醸し出せる存在はたった一人しかいない。

 

「クレル――!」

様々な性格を持つ囚人たち、その囚人の中で唯一共感があるとすれば、クレルに対する不快感と言えるほど、クレルは嫌われていた。

あの怪物が、監獄へ帰って来ている!!

 

 

 

『そう――そうです、探してください。必要になりましたから』

クレルに与えられた看守長と書かれた部屋で、一つの電話を片手にとある人物に電話をかけていた。

 

『そうそう、例のアレ確かに確保しました。

貴方の力を使えばすぐでしたよ――ダンタリオン』

 

『ソウカ、ソレハ良カッタ。

ダガ、アマリ電話をカケルナ、オ互イ互ノ姿ヲ見セ無イトリ決メダ。

ソシテ忘レルナ、ワタシハソノ名ガ好キデハ無イ――「ハイド」ト呼べ』

ダンタリオンと呼ばれた存在が、そう答える。

その声は甲高い声に加工されていて、元が男か女か、老人か若者かも分からない。

唯一有るのがこのダンタリオンが、覚醒したプレイズナーの証である、悪魔の名前を持っている事だけ。

 

とある部屋で、ダンタリオンが受話器を手にする。

本来耳に当てるべきソレをダンタリオンは右手でもち上げている。

 

『任セロ、スグニでーたヲ送ル』

部屋の中、紫の球体がチューブの様な物につながれゆっくりと空中を動いている。

そのチューブの先には別の球体、さらにその球体からもチューブがつながり、3つ目の球体につながる。

そして3つ目の球体は1つ目の球体へとつながり、3つの球体がチューブでリングの様につながっている。

そして同じ、球体とリングがもう一つ浮かび、人影を中心に回っていた。

 

「ヤレヤレ……人使イガ荒イ」

球体の一つ、それについていた唇が子供の声をこぼす。

 

「ダガ、必要ナラソウスル」

別の球体、そっちは老人の声で話す。

 

「目標ノ内、幾ツカハ確認出来タ」

最後の球体が、若い女の声を出す。

しゃべらない方のリングにギョロリと目が開く、それぞれ青、黄、赤の瞳が人影を中心に、ゆっくりと動く。

これが『知』を知るプレイズナー、ダンタリオンだった。

 

 

 

『では、お願いしますよ、ハイド。

私は目的の物を手に入れましたから――』

そう話すクレルその視線の先には、一メートルほどの布にくるまれた物体が有った。

 

 

 

 

 

海賊という存在は実在する。

海賊だ。

アニメや漫画に存在する、爽快で見ていて気持ちの良い無法者ではない。

奪い、私腹を肥やし、殺しすら厭わない海の厄介者達――

船に掲げる髑髏の旗はすべての存在に敵対する事を表し、たとえ冗談でも髑髏の旗を掲げていれば撃たれても文句は言えないという。

海賊とは、それだけ海の厄介者なのだ。

 

「あ、あ……水……」

船の中、日光に照らされ数人の男たちがうごめいている。

いや、うごめくのは数人で何人かはもうすでに生きてはいなかった。

 

船体にあるのは、無数の銃撃痕。

この船は海賊船だった。

海を渡る別の貨物船を襲い、金品を奪う根っからの犯罪者たち。

場合によってはテロリストと呼んでも良い存在だが、その稼業も此処までだろう。

反撃に会い、痛手を負った。それだけではない、此処まで逃げてきたがエンジンが限界を迎え広い海の真ん中で立ち往生。

人数分あった食糧も減るにつれ、仲間同士での殺し合い、正気を失い海へと身を投げた者、僅かに生き残った者達も居たが食料も底をつき、照りつける太陽の中でひたすら自らの『死』を待ち続ける状況。

 

「あが……」

かつて船長だった男が、ギョロリと目を動かす。

その先には、水がわずかに入った瓶を持った仲間の死体――

 

「よ、こせ……」

這いずって、したいから瓶を奪い水に口を付けるが――

 

「ブーっ!!海水じゃねーか……くっそ、あのやろう……」

海水を真水と思って自分を騙し、気を紛らわせていたのか、いずれにせよ命を伸ばすには至らなかった。

 

トプ、トプトプ……

 

「はぁ!!みず、みず!!」

水をこぼすような音を聞きつけ、自身の後方を見る。

そこには一人の男が立っていた。

格式高い、高貴な装いにも見える何処かの制服。

白い手袋に品の良い革靴。

凡そ、海の真ん中にはミスマッチな恰好をした、ひどく不快な気分になる男が立っていた。

 

「こんにちは、海賊さん。ご機嫌いかが?」

そう言って、ペットボトルにたまった水を煽る。

 

「よ、こせ……俺に、水を!!」

 

「うう、ああ……」

 

「みずぅ……」

 

「おお、み、ず……」

船長の言葉に反応したのか、他の数人の男たちもゆらりと立ち上がる。

 

『ああ、お可哀そうに――ご安心ください。

水も食糧もたっぷりありますからね?』

男――クレルが笑みを浮かべる。

 

 

 

数時間後――

「はぁ!!助かったぜ!!」

船長が、大量の食事と水に感謝の意を示す。

死ていの所に偶然、金持ちのボンボンがやって来て食糧をふるまってくれた。

なぜか気に食わないが、そんなのは些細な事。

大事なのは、自分が生き残りさらにはクレルの船があるという事。

 

「……カシラ、やりますかい?」

かつてナンバー2だった男が、ナイフを見せここに居ないクレルの事を話す。

 

「ああ、たっぷり世話に成ったしな……へへへ」

同じく、獲物の鈍器を構える船長。

彼らの中には、感謝などない。

餌が来たら、奪う――それだけだった。

そう、この日までは――

 

「んじゃ――そろそろ……」

 

ガキィン!!

 

「な!?」

船長が立とうとした時、椅子から金属の輪が現れ瞬時に拘束する。

それは仲間も同じ様で皆動揺の顔を見せている。

 

「な、なにが――」

 

『準備が出来たので、じっとしていただくだけですよ?』

部屋の中へと、クレルが入ってくる。

何を持ってきたのか、一抱えもある布で巻かれた棒状の物を持っている。

クレルが布を取り出すとそれは巨大なカギだった。

なにに使うのかと、聞きたくなるような巨大さ、薄らと数字――68と読めた。

 

「何をする気だ!?」

 

『このカギを使う器を探しているのです――このカギの名はベリアル。

偉大なるジェネラルの一部――貴方に、これを受け入れる器があるか調べるんですよぉ!』

ニタリとクレルが笑い、隣の男にキーを差し込んだ!!

 

「お、ご、おが、ぼび!?『い”あ、うげ――」ぼうげび――――!!』

部下の一人は体が異常に膨れ上がり、ぶくぶくの肉の塊になりやがて動かなくなった。

 

「ひぃ!?」

 

『あーあ、失敗ですか。まぁ、いいでしょう、使い道はまだありますし……』

 

「つ、使い道?」

船長が恐る恐る聞いた。その瞬間、船長は自身の疑問を後悔した。

 

『おや、気が付きませんでした?私、実は料理が結構得意でして――それに言ったでしょ?〈食料はたっぷりある〉って』

限界だった。

船長は、その場で胃の内容物をすべて嘔吐した。

 

『さぁ――次は、貴方だ』

クレルがゆっくりと、キーを男に差し込んだ。

 

 

 

 

 

「がっはっはっは!!食え食え!!はっはっは!!」

とある家の庭、岩さんが椅子に座って上機嫌で、ビールに口を付ける。

 

「飲み過ぎには注意してくださいね?」

エプロン姿の華姿がそう言いながら、岩さんを注意する。

 

「馬鹿野郎女学生!!いいかぁ?酒は明日への活力よ!!

これがあるおかげで俺は動けんだな~」

 

「はぁ……国家権力がこんなんでいいんですかね?

ねぇ、冷久君?」

 

「あー、もう!!うっさい!!なんだよ、俺だけこんな扱い!!」

そう言って怒る冷久は忙しく、バーベキューの上の肉をひっくり返す。

事の始まりは、華姿が偶然応募していた懸賞の豪華バーベキューセットが当たった事だった。

高級な肉や野菜が全部で5人前。

本来は家族を招待するための懸賞だったようで、華姿は岩さんと冷久を誘う事にしたのだ。

 

「けど、なんで二人が食べてばっかで、俺が焼いてバッカなんだよ!!」

 

「うるせぇ!!いいかぁ?この世はギブアンドテイクで動いてる訳じゃねーんだ。

強い奴が一方的に弱い奴からむしり取る!!

けど、それじゃずりーから、弱い奴を納得させるためにギブアンドテイクって教えてるんだ。

ま、今回お前は?肉も、場所も、コンロも出せねぇから、調理係に決定しただけなんだな!!とういう訳だ、働け犯罪者!!はっはっはっは!!」

そう言ってビールを飲み干す岩さん。

 

「やろー、今に覚えてろよ……」

冷久が肉を焼きながら、小さく恨み言を言う。

 

「冷久君、私が分かりますから。

少し食べててください」

そう言って、華姿が冷久からトングを借り受ける。

 

「華姿……助かります!!」

冷久が華姿から、皿を受け取り肉を渡される。

そして交代した華姿がトングを手にすると――

 

「んぁ?女学生が肉を焼くだと!?

どけどけ!こういうのは、男がやるもんだって相場が決まってるんだよ!!」

 

「あ、ちょっと!?」

華姿から、トングを奪い取ると勝手にバーベキューについて語りだす。

 

「いいか?まず、基本知識として――」

 

パチン!

 

「あっじぃいいい!!」

炭が弾け、岩さんの腕に当たる。

そのタイミングで、トングを網に上に落とし――

 

「あ、しま――あっち!?」

それをあろうことか素手で拾おうとして、手を火傷してトドメに――

 

ポロン!ジャーッ!!

 

「あ、俺のビー……うえ!?ごっほ!!ごっほ!!」

炭にビールをこぼして、それが発した煙で咳込んだ。

 

「「あっはっはははははは!!」」

その様を見ていた二人が一声に噴き出して笑った。

 

 

 

 

 

海上にて――

 

「そこの正体不明船!!止まりなさい!!君たちは我が国の領海を無視して――」

 

『やれ』

 

ボンボォン!!

小さな爆発音と共に、海上警備の船が沈む。

海を渡る異形の船――それは、灰色の巨大な船体に大きな黄色い目。

船主にあるは異形の髑髏の張り付け。

 

『食え――』

甲板の上、そこに立つ男の声を理解したように、船の船首の先端が上下左右に口を開く様に開ける。

 

「な――」

海上警備船の乗組員が最後に見たのは、自分を飲み込む異形の船の口内だった。

 

ボリっ!バリィン!!グリン!!

 

船が何かを咀嚼する音が聞こえる。

 

『行くぞ――仮面ライダーを狩りに!!』

船長の言葉に、船員の声が続いた。




悪魔の中でも有名所来ましたね。
ウルトラマンの方がなじみ深いかもしれないですけど……
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