仮面ライダージェイル   作:ホワイト・ラム

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さてさて、ついに始まったジオウ。
一話見て気に入って、今日の2話を――寝坊して見過ごした!!
あ~くっそ!!DVDまで待つしかねぇのか……


マッドバースデイ/最悪が生まれた日

現代より歴史を振り返ること数十年。

その『島』は突如、日本のとある海の上に出現した。

地底の火山の噴火でも、海面が干上がった訳でもなく、その島は霧の向こうからまるでずっとあったように、静かに存在していた。

そして、その島の中を進む人影が3人。

 

「ふむ……ずいぶんと不思議な島だ……」

 

「ああ、草も木も、水も、動物もいる」

 

「道への探索か、わくわくするな」

彼らは同じ大学の同期。

長期休暇を利用して、本格的に忙しくなる前の最後の思い出作りとして、観光の為この町を訪れていた。

 

事の始まりは昨日の事。

旅館で体を休めた3人。窓の外に広がる海を見てこれからの旅行計画に胸を躍らせていた。

だが、突如出てきた霧が海を隠し、一時間ほど経って霧が晴れれば、そこに新たな島が誕生していた。

 

「おかしいぞ、あんな島、なかったはずだ」

 

「だが、見ろ。ガイドブックにちゃんと記してあるぞ?」

 

「いや、待て。おかしい……俺たちが行こうとしていた店のページがあの島の記事とすり替わってるぞ?」

不可解な現象。まるであの島という存在を、何者かがこの世界に無理やり書き足した様な理解の外にある現象。

 

「調べよう。俺たちで、あの島を調べるんだ」

3人の中の一人、誰よりも冒険心の強い男。咲良が口を出すのは分かり切っていた事だった。

 

 

 

「見ろ!人工物だ!!」

3人で小さなボートを借りて、2時間近くかかってたどり着いた島の中に、古い巨大な建物を見つけた。

灰色の、何十年も前に作られたコンクリート製の建物で、上部は劣化して殆ど残っておらず全長や外観は分からなかったが、地下へ続く入り口が3人の前にあった。

 

「行ってみるか?」

 

「勿論だ。『怖がり』、お前も来るだろ?」

 

「その名で呼ぶな!!ボクの名前は――」

 

「二人とも落ち着けよ、さ、行こうぜ」

言い争う二人を咲良が制止した。

小さな諍い、小さなじゃれ合い。それを持って、彼らは地下へ進む扉を開けた。

この扉の向こうにどんな『悪夢』が待っているか知らずに……

 

 

 

「すげぇ……誰が、いや、何の目的でこんな物が……」

咲良が声を上げる。

地下へ続く古びたコンクリート造りの廊下の向こうには、広大な穴が広がっていた。

穴の周りには緩やかな螺旋状の階段が広がっており、最も底は暗闇の隠れてみる事が出来ない。

懐中電灯の明かりさえ飲み込む、無限の闇が広がっている様に見えた。

 

 

 

 

 

「今思えば……そこが最後の帰還可能地点だったのかもしれん……」

人払いを済ませた岩さんの病室。その中でフェニシオンの言葉を皆が息を飲んで聞いていた。

 

「そこが、〈監獄〉の始まり……ダァトの、ジェイルの生まれた場所……」

思うところが無いわけの無い玲久が自身の手に持ったキーを握った。

病室の中、フェニシオンだけが口を開いている。

玲久も、出流も岩さんも黙ったままだ。

 

「さて、話しを続けるぞ?」

一息つくと、再びフェニシオンが口を開き、語りだした。

 

 

 

 

 

「見えてきた……あれが地の底だ」

 

「模様……いや、あれは――」

 

「扉?バカにでかいぞ?なんであんな物が――しっ!!」

何かに気が付いた、咲良が二人の口を押える。

 

「おい、何を――」

 

「今、一番下の扉んトコなんかいた、人型だけど人じゃない……

全身がぼんやりと光って」

 

ピちゃっ!

 

垂れる水滴の音がやけに大きく聞こえた。

3人は黙って、息を飲む。

 

「それって、人……じゃないよな?だとしたらすげー怖んだが……」

 

ポトん!

 

「こんな所一人でなんかしてる人間も十分こえーよ……」

 

ピちゃちゃ!

 

「なぁ、見間違いって事は……それよりも懐中電灯は?

消した方が、見つからなく……」

 

ざざ……ざざー……

 

会話の中でも、どんどん水音は大きくなっていく。

そして――

 

「もぉおおおおおおおお…………………

見つかっていますよぉおおおおおお……………………?」

突如間延びした、声が3人の鼓膜を震わせる。

 

「ひぁああああ!!!???」

 

「だ、だれだれだでで!?」

 

「先の奴か!?」

声のした方を慌てて懐中電灯の光で照らすが、そこにあったのは壁を伝って流れる水。

そしてその水の一部が、盛り上がり水死体の様な藻の様な濃い緑色した髑髏と、クラゲを合わせた様な顔がにやりと笑った。

 

「あああああああ!!」

 

「な、なんでぇだああああ!!」

 

「おふ、おふふふはう!?」

同じ様に奇声を上げる3人だが、行動は全くバラバラだった。

一人は未知の存在を見ようとライトを当てようとし、一人は地上へ逃げようと2人を突き飛ばさし、一人は完全なパニックに陥って地下へと逃げようとする。

だが、怪物は冷静そのものだった。

水が形を与えられた様に、壁を流れる自ら人型の姿になると、3人を自身の水の中に取り込んだ。

そして、階段から漆黒の闇へと飛び上がった。

 

3人は悲鳴を上げることも出来ずに、突如体にかかる浮遊感を感じて必死に手をバタバタと振り上げた。

 

数秒の浮遊感、そして体に襲い掛かる衝撃。

だがその衝撃は命を奪うほどではなく、この水の怪人がクッションに成ったのでは?と咲良は自身の妙に冷静な部分でそう考察していた。

 

ごっぽ……!

 

そして水の怪人は3人を底に連れていくと、まさに水が履けるような勢いで広がって消えていった。

 

「やぁ、君たち。こんな所で何をしているのかな?」

 

「ごっほ!?」

 

「げほ、ごほ……」

 

「こひょーこひゅー」

酸素を求めて、荒々しい息をする3人に底に居た人影が話しかけた。

 

白というよりは、パールを思わせるわずかに光沢のある人型の体。

肩や足先など全身にいきわたる様に、七色に変色する光が血流の様に流れている。

顔には目も口もなく、ぽっかりと大きな穴が開いているだけだった。

何処か死に装束にも見える白い服に、腰にはプラチナのカラーリングのリボルバーの様な物があった。

 

「ああ、すまない。私の部下が君たちを脅かしてしまったようだね」

白い怪人がそう言うと、彼の足元で水が固まりさっきの怪物の首を作り出した。

 

「もうしわけありませぇえええええええええん……………………………………」

明らかに人間ではない者達、明らかに普通ではない異常事態。

パニックに次ぐパニックにより、3人の感情は一周回って冷静になっていた。

例えるなら、驚くという感覚がマヒしたとでも言うべきか。

 

「あんたは、誰……いや、何なんだ?」

 

「私?私は……いや、名前などにもう意味は無いか。

私は君たちの言葉を使うと、()()()()()()()()()さ」

異世界あまりにファンタジーな単語に、3人が小さく乾いた笑みをこぼす。

 

「この世界に来た目的は『侵略』だ」

怪人の顔が小さく笑った気がした。

そして腰にあった銃を引き抜き、近くに居た咲良に向かって引き金を引いた。

 

「う!?」

咲良が身を縮めるが、何処にもケガはなかった。

 

「はっはっはっは。驚かせてしまったようだね。

だが、何の意味もないよ……残念ながら、私にこの世界に干渉する能力は無い様だ。

私の部下は水を媒体にしているため、君たちに触れられたが私には不可能の様だ。

この通り、場合によっては動けなくなってしまう様だ」

怪人が地面にある扉を蹴った時、すさまじい音がして扉がきしむ。

 

「こっちに来れない様だね……それに私の指示も、聞かなく成っている。

ま、実験に失敗はつきものだ。帰ろうかゼリキッド」

 

「はいぃいいいいいいいいい………………………」

怪人は水の怪人に包まれると、そのまま扉の隙間に入り込んで消えていった。

残ったのは静寂と、時たま軋む巨大な扉。

 

 

 

「いいか、今日のことは誰にも言うんじゃないぞ?」

 

「ああ、解ってる」

 

「信じてもらえないよな、それ以前に」

気が付くと3人は民宿の部屋へと戻っていた。

そして、今日の事は固く口を閉ざし、話す事を制限した。

 

そのまま3人は旅行を終え、学業に戻り、やがて就職して、ついた職に従事していった。

まるで、『あの出来事』を忘れ去ろうとするように。

そして20年の月日が過ぎた。

 

「よぉ、来てたのか」

 

「お前もか」

 

「ああ、そうだな」

誰も示し合わせてはいない。

だが、毎年この日になると、例の朽ち果てた施設の底に来てしまう。

消えてなくなる事を期待したのか、それともまだあることを確認していたのか。

いずれにせよ、ここは時がたち立場が変わっても、彼らは相変わらず集まっていた。

 

3人で金を出し合い、島を買い取る。

有能な人間たちだ、多くの金を稼いで誰も気に留めない島を買い取るのは不可能ではなかった。

 

そんなある日、扉の向こうからとある存在がやってきた。

嘗て見た白い怪人とは全く違う、黒い霧の様なひどく曖昧な姿。

 

その存在は、酷くカタコトな言葉を話した。

 

『ワたし、は偉大なル、ジェネラルの、配か。

にんゲん共ヨ、悪意をアツめよ。ジェネラルは、それヲオ望みダ』

黒い霧が3人の上を通りすぎた時、3人の胸の心のタガが外れた。

 

そう、そして3人は理解した。

 

「俺たちは、恐れていたんだ」

 

「この力が、他人にわたるのが……」

 

「そう!!欲しいんだ!!この異界の力が!!」

本当の自分、自身の心の奥にある、生まれ道徳を学び抑圧され続けた欲望を解放するのがたまらなくうれしいと。

その瞬間3人の人間は嘗て見た、異形の化け物の様に変化した。

 

『欲しいのは人の悪意だな?』

 

『刑務所を立てよう、ここに。

道徳のタガが外れた凶悪犯だけを集めた刑務所を……』

 

『この力を研究しよう!!より多くの悪意を、より多くの供物をジェネラルにささげる様に!!』

 

 

 

「これが、わしの初めての罪じゃ……」

フェニシオンが語る。今まで誰も語らなかった真実。

 

「だが、これは始まりに過ぎない……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

最低限の明かりを残した、洋風の部屋で一人の男がくつろいでいる。

中世の貴族風の上着に、黒のズボン。

まだ若く30から40程度の男が、安楽椅子に腰かけレコードを聴いている。

気分が乗ってきたのか、時折指を指揮棒の様に古い、身を震わせる。

 

「……!!」

小さく笑みが浮かび、その喜びのまま傍らに置いていたワイングラスを手に取ろうとして――

 

ガシャーン!!

 

「……?」

突如鳴り響いたガラスの割れる音に、身を震わせる。

ここではない。何処か別の場所でガラスが割れた音だ。

 

「……誰か来たか」

男は露骨に不機嫌な顔になると、レコードを止めポケットに手を入れ、一本の鍵を取り出した。

古いカギに46の数字が刻まれ、そのキーを自身の刺そうと胸までもっていく。

 

『どぉもぉ!お久しぶりです。ビフロント』

 

「クレル……!」

侵入者クレルの姿を認めると同時に、ビフロントと呼ばれた男の語気が上がる。

 

「帰れ。ここの山は俺の所有地だ。

貴様の下らん願いに対して、俺はもう約束は果たしたはずだ。

ならば貴様がここに来る理由などないだろう!!」

見せつける様にビフロントがその手に持った()()()()クライムキーを見せつける。

 

『はいはいはい……貴方は〈監獄〉の外に居る事が許された貴重なキーホルダーです。

まぁ、ほかの人たちの様にバレていないので、犯罪者では無いですからね。

しかし、きっちりキーを覚醒させた……素晴らしいですねぇ!!』

ぱちぱちとクレルが手を叩く。

その行動は明らかにビフロントを挑発したもので、彼の額に青筋が走っていく。

 

「一体何が――」

 

『〈監獄〉の看守長クレルとして、プレイズナー・ビフロントに命令します』

 

「んん!?」

急に変わるクレルの口調にビフロントが、口を紡ぐ。

 

『もうじき、この山に裏切り者フェニシオン、またはその息が掛った者が来ます。

貴方は私が良いというまで、この山に入り続けるすべての人間を始末し続けなさい』

 

「いやだと言ったら?」

ビフロントの言葉にクレルが目を細めた。

 

『コレ、ですね』

ずる……ずる……

 

クレルが手を引くと、白い糸が伸びているのに気が付く。

そして何かを引きずる音も……

 

「お前……!」

 

『不運な方たちだ。偶然私有地であるこの山に入り込んでしまったんでしょうね。

けど、利用するには丁度良いです。

さて、ビフロント。彼らが家に帰らないときっと彼らの家族は、警察に捜索を依頼するでしょう。

そうなると、当然この家も捜査対象です。家を調べられるのは嫌でしょう?』

クレルが物言わぬ骸を床に捨てながら、邪悪な笑みを浮かべる。

 

「貴様……!!」

 

『もし、貴方が私のいう事を聞いてくれるならば、この死体は別の場所で処分しますよ?

此処とは違う離れた場所で、事故として処理します。

さぁ!平穏が欲しいなら、大勢の人間を殺しなさい!!あなたの力を見せなさい!!』

まるで演技をするようにくるくる回るクレル。

数秒間、凄まじい殺気を出したビフロントだが、ついには折れた。

 

「……わかった。言う通りにする。

だが、今回だけだ。俺は俺の平穏を守るため、自身の力をふるう!!」

 

『はい、それでいいんですよ、ええ、それでいいんです』

クレルは楽しそうに笑った。




今回は情報過多でしたね。
出てきた異世界から来た侵略者はもう出てきません。

彼はどうなったの?なんて人もいるかもしれませんが、謎のままなんですよね。
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