仮面ライダージェイル   作:ホワイト・ラム

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さて、新年一発目の作品はこれになりました。
皆さん、今年もお願いしますね。


クライムアイランド/悪魔の住む島

暗い、暗い、暗い闇の中、クレルがその闇の中に自らの身を溶かす。

 

『――、――、――――。』

 

『はい、ジェネラル様。ついにダンタリオンが落ちました。

これで例の3人は全て死した事に成りますね。

ですがご安心を。新しい協力者なら、また幾らでも作れば良いのです。

人間は弱く、醜く、そして脆弱な心を持っています。

キーの魔力には抗えません。

ならば――』

 

『――、――、――』

 

『ええ、解っています。向かって来ているのでしょう?

仮面ライダーたちが……ええ、構いません。

私が返り討ちにして見せましょう。

先代たちが残した、負の残りかすは私が、必ずや!!』

 

 

 

 

 

ザバァ!!

 

地面に広がる扉の隙間から、クレルの手が現れ水の様に質量をもった闇からその全身をあらわにする。

 

「やぁ、ずいぶんここは居心地が良いね」

一人の青年が笑いかける。

 

『フォルネウス……意見が一致しましたね?』

にやりと笑い、クレルが服装を正す。

 

「すぅー……ここはいろんな囚人たちがいるらしいけど、なんでみんなここを嫌がるんだろうな?

こんなに快適なのに?」

不思議そうに話すフォルネウス。

多くの囚人は、決してここに近寄りたがらない。

クレルの存在と同じように、ジェネラルは見ただけで多くの者に不快感を与える。

だが、フォルネウスだけは例外の様だ。

 

『フォルネウス。例のライダーたちがこちらへ向かっているそうです。

対処をお願いできますか?

無論、この島で対処してくれて構いませんから』

 

「へぇ、あのライダー共か……

丁度、復讐がしたいと思ってたんだよね」

鍵を手の中で弄びながら、フォルネウスは去っていった。

 

『彼は見込みがありますね。場合によっては新しい看守にも……

くっふふっふ……』

クレルが笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

「見えて来た」

船の上、双眼鏡を構えていた冷久が島の影を見て、苦々しい顔をする。

日本のとある海域にあるその島は監獄の島だった。

世界中から集められて、ありとあらゆる凶悪犯罪者が収容され、更生を望む施設。

表では()()()()()いる。

だがその実態は――

 

「あそこが……不思議な気分だ。あそこは、そう、罪を償う為の場所のハズ……

けど、むしろその逆。悪意を利用されて、更には非常な実験まで……」

悔しそうに、出流が拳を握る。

彼だって、警官にあこがれる身。探偵として犯人を警察に突き出し、ここへ送ったことだってあるだろ。

 

「全部無駄だってっていうのかよ……」

やりきれない顔をして、出流がつぶやく。

 

「……」

玲久はそんな出流の姿を静かに見ていた。

『正義』出流はたったそれだけを支えにして生きてきた。

だが、現実はどうだろう?父親は敵と繋がり、挙句の果てには更生施設が寄りによってプレイズナーを作る大本だったのだ。

しかも、父親がそこの幹部であったという、本人にとって最悪のシナリオだ。

だが――

 

(強いな。お前は……)

玲久が心の中で、声を上げる。

そう、そんな事態であるというのに、出流の心は一向に折れる気配すら見せない。

常人なら何度も何度も心の折れそうな、事態であるというのに……

 

「確かに、お前は正義の味方なのかもしれないな」

 

「『かも』じゃない、100%正義の味方だ!!」

出流の言葉に、玲久は頼もしさを覚えた。

だが――

 

「……帰って来たか」

霧の向こうに、巨大な塔の様な建物が見える。

何時か岩さんと一緒に留置場のテレビで見たことが有る。

『ヘルゲート』と称される、世界各国の凶悪犯罪者を集めた、島全体を利用した更生施設。

だが、その正体はプレイズナーの育成施設とでも呼べるものへと変わってしまっている。

玲久はここから、逃げてきたのだ。

 

「……今いる、俺らの位置から見て右側に入江がある。

そこに密かに咲良さんが作った、小さな船着き場が有るんだ。

そこから侵入しよう」

 

「分かった」

 

 

 

 

 

玲久達二人は、静かに船着き場へ向かった。

二人がベルトを構え、辺りの気配を探りながら進むが――

 

「おかしい、静かすぎる……前から、そうだったのか?」

 

「いや、俺がいた頃はまだ……活気があった。

そりゃそうだろ?ここは犯罪者の収容所だ。確保される方も確保する方もいる……

それに――!?」

玲久が後ろから掛かる気配に、一瞬で回避する。

草の間から現れたのは、やせ細った男。

ボロボロだが何とか囚人服と分かる服を身に着けている。

二人がバックルに手をかける。

だが――

 

「様子がおかしいな?」

 

「あ……あ……あ……ジェネ……ラル」

男はそう話して、倒れた瞬間動かなくなった。

 

「死んだのか?」

出流が首に手を当てて、確認する。

やせ細り、こけた頬、酷く衰弱している様に見える。

 

「プレイズナーになりそこなったのか、それとも……」

 

「ち、まさにここはこの世の地獄か……」

二人が先を急いでいた時、後ろの男が音もなく立ち上がった。

 

「なんで!?」

 

「確かに、死んでいたはず!?」

完全に不意を突かれた二人が向き直る瞬間――

 

パァン!!――ドさっ!

 

男が再度倒れた。

そしてその背中の向こうには見知った姿があった。

 

「よぉ!お前ら、天下の国家権力様の登場だぜ?」

銃をホルスターにしまいながら、岩さんが話す。

 

「岩さん!?」

 

「来ていたのか?」

 

「当り前よ。お前ら普通の人間だろ?

ここは、国家権力を持つ俺が目撃しなくちゃいけねーだろ?」

キズを負った為置いてきたが、どうやら船に隠れて乗り込んでいた様だ。

 

「岩さん、そんなキズで何が――」

 

「銃の引き金くらい引けらぁ!!げぇっほ!?」

口からわずかに血を吐いて、岩さんが銃口を玲久に突き付ける。

 

「どう見たってボロボロ……けど、帰す訳には行かないよな……隠れる場所なんてないし、船だって……」

 

「そこが分かってるから、隠れてついてきたんだな?」

 

「へへへ、そういう事」

岩さんはこんな鉄火場だというのに、何時もの様に笑って見せた。

 

「話は決まったな?んじゃ、行こうぜ?」

岩さんが、顎で示すその先には巨大な塔の様な建物。

この島の看守たちが集まっているハズの建造物だ。

 

 

 

 

 

「おじゃまー……ここもか?」

看守の居るはずの建物を一つ一つ、扉を開けて探すがやはりこちらも誰も無い。

看守も囚人もそれどころか、生き物が何もいない。

 

「ほんとうに、ここは使われていた場所なのか?」

 

「間違いない、俺がいた時は……」

出流の言葉に、玲久が答える。

だが――

 

「到底人間がいる様には思えないぞ?少なくとも、数か月は使われて――げっほ、げっほ!!」

出流が触れた埃をかぶった本を取り落とし、せき込んだ。

一行がいるのは、この施設の職員たちの部屋。だが明らかに数か月以上使われた形跡がなかった。

 

ここだけではない、建物の中はかろうじて電気、水道は通っていたがそれ以外が何もない。

まるで、年単位で放置された廃屋の様だった。

 

「少なくとも、地上は全部見たぞ?」

 

「じゃあ――地下……そうだ、地下室だ!!」

岩さんに言われ、玲久が走り出す。

今度は、建物の地下へ、地下へと向かっていく。

 

 

 

「あった!」

無我夢中で走った先、玲久の目の前にあるのは巨大な門。

水のような流れる流動体を意識して、檻の様な形をしていた。

 

「いかにも……って感じだな」

遅れてきた岩さんが、門に手をかける。

そして門の隙間から、3人が入り込んでいく。

 

「暗いな……」

 

「目が慣れるまでだ……ここからは、地獄だぞ」

 

「悪魔の巣窟か……」

門の向こうは相当広い空間が続いている様だった。

 

「おい、こっから――」

岩さんが口を開いた時――

 

 

バサァ!!

 

何か、巨大な蝙蝠の様な物が羽ばたく様な音がして、何かが出流と玲久の間に滑りこんだ。

 

『よぉーこそ……皆さま。地獄の入口。そして我らの楽園へ』

全員が理解する、不快な感情。

こんな存在はたった一人しかいない。

 

「クレル!!」

 

『さぁ、客人です。お相手おねがいしますよ?』

出流が声を上げる前に、クレルが岩さんに手を伸ばす。

 

『招かれざる客は――お帰り願わなくては!!』

 

「お、おぃぃいいいいいいい!???」

クレルは岩さんを掴むと、放り投げた。

まるでゴミを丸めて捨てる様に、何もなかったかのように岩さんを巨大な空洞に向けて投げ捨てた。

 

「岩さん!!変身!!」

投げ捨てられた岩さんを負って玲久が飛んだ。

 

「いま、行くからな!!」

ジェイルナックルを召喚して、岩さんにつなぐ。

 

「指名手配!?国家権力の手錠だとぉ!?」

 

「ンなこと、言ってる場合か!!」

ジェイルとなった、玲久が岩さんを引き寄せ、壁を伝って地面へと降りていく。

一番下と言う訳ではないが、小さな広場につき一息つく。

「はぁー、はぁー……焦った……クレルめ、まんまと俺たちを分断したか」

 

「各個撃破は基本だからなだが、なんでアイツは自分の苦手な属性をもつ、シーカーを手元に――ぐぁ!?」

 

「岩さん!?」

 

「あ、ああ………!!」

斬られた岩さんが、血をまき散らしながら跳ぶ。

胸から腹にかけて、安っぽい3文映画のような傷を負って倒れる。

 

「はぁ……はぁ……」

息をしているため、即死ではない事は分かる。

だが、斬られた部分からは血が絶えず流れている。

 

『あーあ、間違えちゃった』

闇の中から、フォルネウスが姿を見せる。

手には、小さな歪んだナイフが有る。

 

小さなナイフといえど、生身の人間がプレイズナーの攻撃を受けたのだ。

生きているだけでも、幸運だろう。

 

『人美さんまた邪魔するんですか?

アンタは気まぐれで見逃してあげたのに……

今度は、殺しちゃいますよ?』

フォルネウスは手に持ったブレードの切っ先を岩さんに突き付ける。

 

『けど、すぐにでも死んじゃいそーですね?ツマンナイなー

うん、もういいや。別ので遊ぼう!アンタ、そこいらで死んでろよ!!』

フォルネウスの腕がうごめき、ガトリングの様な部分を形成する。

そしてそれを、ジェイルに向かった発射した。

 

ガガガガガガガガガ!!ガガガガガガガガガ!!

 

無数の銃弾が、ジェイルに向かった発射される。

ジェイルは必死に回避をして、建物の柱を盾にして逃げる。

「岩さん!?」

 

『ほらほらぁ!もっと逃げろよ!!早くしないと人美さん死んじゃうよ~』

 

「ぐぅぅぅうぅ!?」

露骨な煽りをして、苦しむ岩さんの腹に足を乗せる。

口から血を吐き、辺りに血がこぼれる。

 

『あーあー、前に付けた傷、まだ癒えていないんだ?』

覗き込むように、フォルネウスが岩さんの顔を見ようとしゃがんだ。

 

その時――

 

「ようやくこっちを見たか、クソガキ」

岩さんは手慣れた、動きで腰のホルスターにある拳銃を引き抜く。

そして、突然の行為に一瞬だけ隙が出来たフォルネウスの、目に向かって――

 

パァン!

 

『が――ぎゃぁあああああ!!!あぁあああああああ!!!痛い、痛い!!痛い!!!』

撃たれた目を押さえて、フォルネウスがのたうち回る。

黒い血のような液が垂れて、幼子の様に痛い痛いと声を上げる。

 

「どうやら、他人の痛みは分かりはしないみたいだな?

散々傷つけて、自分は痛みを知らないん――げっぶ!?」

岩さんが立ち上がりながら、口から血を吐く。

 

「岩さん!?大丈夫なのかよ!!」

まさかの攻撃に、戦っていた玲久が驚く。

 

「大丈夫な訳ある――げっぶ!!かぁ!!!内臓までは行ってないが、血が止まらん!」

仁王立ちしながら、目の前で尚も痛みに苦しむフォルネウスを見ている。

 

『はぁ、がぁー、ばぁー……この、コイツ……死にぞこない……でっ!?』

 

「うるせぇんだよ!!はしゃぐガキが!!」

岩さんが蹴りを入れた瞬間、岩さんの方が血を腹から吹き出した。

対してフォルネウスはよろけるだけだ。

 

「指名手配犯!!後は任せるぞ!!」

岩さんはそこから、逃げ出し柱の影に、隠れる様に倒れこんだ。

そして、倒れる時に差し出した手をジェイルがタッチした。

 

「任しとけ!!」

ジェイルがそのまま走り、フォルネウスを蹴り飛ばした!!




ライダーの映画見てきました。
うんうん、なかなかですね。
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