仮面ライダージェイル   作:ホワイト・ラム

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さて、久々の投稿。
正直ジオウは面白いんですが、いろんなサブストーリーをメディアを分けて作るのは正直きっつい……

素直に、一喝で見れるといいんですが……
DVDレンタル民のひがみでした。


国家権力の名において

ジじじ……バリバリバリ!!

 

コードの固まった様なプレイズナーが電流を放電する。

火花が飛び散り、街灯がショートして割れる。

 

あたりの電気が殆ど消え、数個だけ残った光が目の前の少女を照らす。

 

「ルノア。それが私の名前――」

ゴシック気味の黒いドレスの裾を掴み、ルノアが笑って見せた。

漆黒のドレスは闇に溶ける様に見えた。

 

その姿は、ほんの少し、ほんの少しだけ嘗てジェネラルの中に自分を溶かしたクレルの姿を思い出させた。

 

「さて、ここまで集まったんです。回収なさい」

 

『ばりりりりりりりりんり!!』

電気コードのプレイズナーが体を大きく広げると、玲久達を囲んでいた正気を失った住人たちが一斉に倒れ痙攣する。

 

「てめぇ、何をした!?」

 

「くすくすくす。彼らの怒りの感情を吸収したんですの。

この子は『ボルトプレイズナー』電撃を操る子です。

人間の脳は所詮小さな電気信号で動いているにすぎません。

この子はたった今、人間の『悪意を電流』を記録したんですのよ」

 

「悪意の電流?訳の分かんねぇ事を――」

岩さんが銃をルノアに構える。

しかし、ルノアは一切気にしていない。

 

「くっふっふふ、生き残れたらまた会いましょう?にっくき仇敵たち」

ルノアはフクロウの様な羽を羽ばたかせ、夜の暗闇に消えていった。

岩さんのとジェイルの変身した、玲久を囲むのは巨大な電気のプレイズナーと、意識を失った人たちだった。

 

『ばりり、ばりりりば!!』

ボルトプレイズナーは、電線に飛び込むとそのまま消えていった。

 

「消えた!?」

 

「いや、プレイズナーがいきなり消える訳は――岩さん!!」

玲久の目の前、ジェイルの探査能力が熱源を発見して、咄嗟に岩さんをかばう!

 

バリりりりり!!

 

電灯から、ボルトが姿を現し電流の流れるコードで攻撃してきた。

だが、ジェイルはとっさに、ジェイルナックルを呼び出しボルトに投げつけた!

 

『びりりり?』

しかし、ボルトの体は再度電流と化しナックルをすり抜けた。

そしてあざ笑いながら、再度電灯の中へと消えていった。

 

「くっそ!電気かよ!!」

ジェイルは舌打ちをした。

『電気に潜りこめる』言葉にすれば、大したことは無いがこれほど恐ろしい能力はありはしないだろう。

今の現代社会、特に都心部は全ての場所が電流によってつながっていると言っても過言ではない。

全ての建物、全ての部屋だけではない。

道路にも電気は電線として張り巡らされ、最早一種の生命線となっている。

 

「どっから、来るんだ?どっから――」

ジェイルが辺りを見回す。

電線か?街灯か?それとも、電光掲示板――

 

パァン!!パァン!!

 

「岩さん!?」

岩さんが近くの電線を、銃弾で打ち抜いた。

 

「敵が居たのか!?」

 

「いや、居ねぇよ?けどよ、電線は上から襲えるからな。潰すなら最初だ」

ジェイルの言葉を聞いて、岩さんは何でもないかの様に電線を切った。

 

「最初?最初って――いや、それよりそんな事して、良いのかよ……」

 

「ンなこと、知るかよ!

大丈夫だ、最近の病院は予備電源とかあるから。

まぁ、せいぜいここいら一帯の電気がきれるくらいだろ?」

 

「いや、それ、さらっと言ってるけどかなり問題が――」

 

『びびびびり!!バリりりり!!』

岩さんの切った、電線の中からさっきのプレイズナーが飛び出してきた。

 

「おう、来たぜ。指名手配!

奴さん、電気が無くなるのは、困るらしいな」

企みが成功した岩さんが笑って見せる。

 

「あんた、マジで警察じゃなかったら、警察のお世話になってるな!!」

 

「こっちだ、こっちだバケモン!!指名手配!

マッチの奴をやった場所まで走るぞ!!」

ジェイルに耳打ちして、岩さんが走り出す。

岩さんは自身の思いついた作戦を、玲久に話し即座に実行する事にしたのだ。

 

「そらよっと!!」

ジェイルが岩さんを援護しながら走っていく。

 

「こっちだ、こっちだバケモン!!」

岩さんが走る。

そしてそれをプレイズナーが追う。

 

「そぉら!こっちだ!!」

岩さんがとある場所へと、ボルトを誘導した。

 

 

『バリりりりりりりりり!!!』

エレキプレイズナーの攻撃が、地面をえぐった。

 

「そう、ここが目的地だ」

岩さんが笑って見せる。

そして、構えていた銃をプレイズナーではなく、地面に向ける。

 

『バリ?』

その意図を測りかねたプレイズナーが、銃口の先を見る。

 

「お前を生み出した奴が俺をハメようとして、この公園を選んだのが運の尽きだ。

この公園にはな――噴水の為に()()()()()が用意されている」

その言葉と共に、プレイズナーの攻撃を受けて破損一歩手前だった、ポンプの水道管に銃弾を撃ち込んだ!!

その瞬間、遂にポンプは壊れて水が噴き出す!!

 

『ばり!?ばりりりりりぃ!?』

プレイズナーが大慌てで、暴れるがだんだんとその勢いは弱くなっていく。

 

「水は電気を良く通すんだ。こんだけ、大量の水だ。

その体から集めた電気なんて簡単に流れ出るさ」

 

『ばり、ばり、い、あ……』

大量の電気が流れ出て、プレイズナーの中心に体からコードの生えた太った男が、うなだれる。

 

「よぉし!本体様のお迎え――あ?」

プレイズナーの変身者の男の隣に、一人の少女がいつの間にか立つ。

それは、姿をくらませたルノアであった。

そしてルノアは腕を高く掲げると――

 

ズッぶ!

 

『ぼぉあ!?』

プレイズナーの本体の胸に、自身の手を差し込んだ。

 

「ほんとうに無能ですね。貴方は、図体だけデカくて無能の極みですよ?」

ルノアがプレイズナーから、手を引き抜くとその手にはカードキーが握られていた。

 

「ないよりはマシ……程度に思っていきましょうか」

ルノアが自身の体に、カードキーを取り込んだ。

その瞬間、彼女の体から闇が放出される。

 

「こいつは……!」

岩さんはこの闇にジェネラルと対峙したときの事を思い出した。

 

『私達は残念ながら、悪意を自身では生み出せないのです。

ですから、悪意を生み出す工場が必要なのです。

この子はその第一号と言う訳だったんです』

ルノアが姿を変える。

フクロウの様な羽を生やし、手のひらを突き破り猛禽類の爪の様な物が生えてくる。

 

『消してあげますわ。仮面ライダー!』

ルノアが飛び上がり、腕の爪でジェイルを切りつける!

 

「つぅ!?」

 

『あはは!ゆっくり、ゆっくりと!!』

何度も急降下しては切りつけ、攻撃を受けそうになると回避する。

典型的なヒットアンドウェイだが、そのスピードの攻撃力はバカには成らない。

 

「そこだ!!」

 

『チェイン!ジェイル!!』

ジェイルナックルを精製し、アンドラスに投げつける。

 

『はずれですね?』

アンドラスはその攻撃を悠々と回避する。

するのだが――

 

バァン!!がっキィン!!

 

『な!?』

アンドラスの足に、ナックルが巻き付いている。

そして、その前に聞こえた一発の銃声。

 

「よぉ、人間も馬鹿にしたもんじゃねぇだろ?」

水にぬれた岩さんが、こちらに銃口を向けていた。

傍らには、ぐったりしたボルトの変身者が倒れていた。

どうやら気絶していたのを連れて来た様だった。

 

『この――にんげ……』

 

「馬鹿にするなよ?お前らに、利用されまくった存在を?

指名手配!!!」

 

『結局は人任せかよ!!』

ジェイルがナックルによって繋がった、アンドラスを引っ張る。

チェインによって繋がったという事で、アンドラスの持っていた戦略は一気に潰された。

 

「なぁ――!?」

グンッと引っ張られ、アンドラスが地面に叩きつけられる!!

 

『プレイズナーにも当てはまるかどうかは知らんが……

鳥って言うのは、意外と骨が脆いらしい。

空を飛ぶために軽量化したツケなんだとよ』

 

「だから――なんですか!!」

アンドラスが立ち上がり、岩さんを狙う。

爪を立て、大きく振りかぶり――

 

『さぁ!これでトドメ――え?』

アンドラスの攻撃最中。

振り上げた爪の内側、自身の顔目掛けて何かが飛んできているのに、気が付く。

鋼か鉛か、その先が丸く反対が平らになっている『ソレ』は回転しながらゆっくりと――

アンドラスの左目に吸い込まれていった。

 

『いぃいいいいぎゃぁああああああああ!!!!!

あぁあああああ!!!!あああああああ!!!あぁああああああ!!!!』

悲鳴を上げてのたうち回るアンドラス。

 

「ふぅ――やっぱ生き物だけあって、眼は弱点みたいだな。

普通の鉛弾でも十分効きやがる」

岩さんが銃弾を銃に込めなおす。

 

『人間――! よくも!!私にぃ!!』

指で目から銃弾を取り出しながら、アンドラスが怒りの声をぶつける。

 

「おーおー、怒るのか?いっちょ前に?

人の痛みを散々利用したお前らは、自分の痛みには怒るのか?

お前、死刑だ。俺様の権限な?」

 

「岩さん、そんな権限無いだろ?」

ジェイルのチェーンが、アンドラスに絡みつく。

 

『あ!?この――ッ!?』

 

「飛べなきゃ、意味も無いよな!!」

気が付くと、ジェイルの蹴りが目前に迫っており。

 

『なめ、ルナぁあああああ!!』

アンドラスがチェーンを無理やり引きちぎる!

 

『わた、しがぁあああ!!』

アンドラスの手に、黒いエネルギーが集まりジェイルの蹴りを受け止めようとする。

そのエネルギーはジェイルの蹴りと拮抗して、障壁の様に展開される。

だが、すぐにその障壁にもひびが入りだす。

 

「今回も、お前らの計画は失敗したんだよ!!」

 

『なら、なんで度もでやり直してあげます!!

人は簡単に悪意に飲まれる!!いまにも、開きそうな悪意の扉をみんな持っている!!

クライムキーが人を導くのではないのです、人は、解放される瞬間を待って――』

 

「なら俺が閉じる。お前が、いや!お前たちが何度、立ち上がろうと、何人残党を集めようと!!

俺が何度でも叩き壊してやる!!」

ジェイルの力がショートして、アンドラスの作った障壁を破壊した!!

そして、その蹴りはアンドラスの腹へ深く叩き込まれた!!

 

『あ、わ、たし――は……!』

一瞬だけよろめき、アンドラスは爆発四散した。

 

 

 

「ふぅーい……つっかれた……」

変身を解除した、玲久がため息をつく。

 

「よぉ!お疲れだな。よっと!」

岩さんが近寄ってきて、缶のジュースを投げる。

 

「うお、冷てぇ!?」

缶を取り落としそうになりながら、何とか玲久が受け取る。

 

「一先ず、お疲れ」

 

「お疲れって……」

ほんの少し前まで、自分を戦いに巻き込まない様にしていた人間の言葉とは思えなかった。

態度がクルっと変わっている。

 

「あん?普通の犯罪者なら俺の管轄。

けど、怪物騒ぎならお前の管轄ってだけだ。

今回の奴は、お前の方だったって、だけだ」

 

「ドライだなぁ……」

玲久は岩さんから、受け取った缶ジュースに口を付けた。

 

「……岩さん、このジュースどこで買ったんだ?

なんか、ぬるい……」

 

「テメェ、渡されたモンに文句言うんじゃねーよ!

さっきの怪物の時に、自販機が吐き出したんだよ」

岩さんが指さす先に、数本の缶ジュースを吐き出した自動販売機が壊れていた。

どうやらあそこから持ってきたようだった。

 

「ええぇ……いろいろと良いのかよ……警察官がする事じゃない……

いや、人間として……拾うなよ……」

いろいろ言いたいことはあるが、もうすでにジュースを開けてしまっている。

最早後戻りはできない、自分も同罪である。

 

「おら、さっさと飲んだら行くぞ。

ん?お替りが欲しいなら、そこに落ちているから――」

 

「いらねーよ!!」

岩さんに言葉に、玲久が声を荒げた。

そして、そのまま岩さんが歩きだした。

帰り道の途中。岩さんが小さくつぶやいた。

 

「……終わってなかった。すまない、またお前の世話になる」

唇を食いしばって、悲しそうに言葉を紡いだ。

 

「あ?岩さん、なんか言ってか?」

玲久は岩さんの気持ちを汲んで、敢えて聞こえないふりをした。

 

「いいや、別に。何も言ってないさ」

岩さんが玲久の言葉を遮り、歩いてく。

 

(わかってるさ。今回も俺の出番なんだろ?

分かってる。咲良さんの願いを受けて、俺もまだやめる気はないからな……)

玲久は心の中で、密かに決意を新たに歩き出した。

 

 

 

 

 

「私の計画が、失敗……失敗?そんな事はない」

何処かの部屋の中で、ルノアがクルリと踊った。

余裕ともいえる表情を見せているが、体はボロボロで今にも崩れ落ちそうだ。

 

カタカタ、カタカタ、カタカタ。

 

小さく何かを叩く様な音が聞こえる。

その音は次第に大きく、そして早くなっていく。

 

「皆さんお元気ですか?」

ルノアがとある部屋を開く。

そこには真っ暗な部屋に20人ほどの男女が、パソコンに向かって座り一心不乱にキーボードをたたいていた。

 

そして、その部屋の最奥。銀色の椅子に座り全身『黒ずくめの存在』が鎮座していた。

手には本を持ち、右手の指先でシルバーの栞を弄んでいた。

 

「匿名性は良いですわね。分からないという安心感は、人の善意の仮面をはぎ取る。

見えないというクッションを挟んで、人の悪意は純化される。」

嘗て、とある人物から聞いた言葉をそのまま引用して見せる。

()()()()()()、その言葉を放った人物を見て小さくうなづいた。

 

さ、ざっ、ザッ……

 

ルノアの体の一部が、灰に成ったかの様に崩れ始める。

もう永くないというのは、誰の目にも明らかだった。

だが、その表情から笑みは消えない。

 

カタカタ、ザッ、ザッ……

 

キーボードの音と、ルノアが崩れていく音が響く。

そして――

 

「これだけあれば、十分ですわね?」

ルノアが自身の胸から、カードキーを引き抜く。

そして、黒ずくめの人物に差し出した。

 

「また、お会いしましょう?悪意が満ちたその時に――」

とある人物にカードを差しだして、そのまま消滅した。

それと同時に、キーボードを叩いていた男女が同時に動きを止め、倒れる。

 

「…………」

その人物は、無言でそのカードキーを手にして、自身の腰の本型のホルスターに収める。

その瞬間、何かエネルギーの様な物が漏れ出して、謎の怪人の複眼が赤く光った。

 

『漸く――漸く、動き出せますね。さぁ――()()()()()()()()()()()()()()

酷く不快感のある声で、黒ずくめの人物(ライダー)は立ち上がった。

 




ルノアはまだ出番はあります。
さて、ラストに出たライダーが今後の、台風の目に成る予定です。
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