今思えば、ずいぶん長い間投稿してるなぁ……
パチ、パチ……
とある暗い森の中、焚火の炎が優しく揺らめく。
その明かりは、ダァトの姿を優しく照らしていた。
コリッ、コリッ……
乾いた木の皮をナイフで剥いで、焚火にくべる。
しばらくして、作業を終えて横に成る。
「…………ふぅあ、」
ダァトが小さくあくびをすると、羽虫が炎の中に飛び込んでいった。
「惹かれた物に、近づきすぎたんだ……」
懐からバイトと、フェニシオンの遺産の鳥型のデバイスを取りだす。
「…………何者だ?こんな時間に、こんな場所で――友好度はゼロだな?」
両方の武器を持って、ダァトが立ち上がる。
『……………』
木の上、月をバックにする様に、その謎の人物は立っていた。
何処かジェイルを思わせる姿、だがその装備は大きく違っていた。
濃い紫のボディに、黄色い電子回路を思わせるライン。
両腰に備え付けられた、本の様なパーツ。
「ライダー……なのか?」
『ふっ……ふっ!』
そのライダーがダァトに向かって飛び降りて来た。
『セーブ・セイバー……』
重苦しい音声が鳴り、謎のライダーは腰に本に手を突っ込んだ。
そして、一枚の白地に赤いリボンのついた栞を取り出すと、一瞬でその栞がその意匠を残したままの細身の剣へと変わった。
「ハウンダー!!」
『ヴォウ!!』
咄嗟にダァトがバイトでその剣を受け止める!!
「何者だ!!ジェネラルは破壊され、進化体のプレイズナー以外は全滅したハズだ!!
その姿、プレイズナーではないのか!?」
分からない。
嘗て、元看守としての教育を受けたダァトでさえ、今、目の前に居る謎の存在が何かは分からなかった。
唯一、近しいと言えるのは『仮面ライダー』と呼ばれる者たちだと感じた。
だが、その感想は、正義の為に戦ったライダーたちに対して最大級の侮蔑ともいえる感想だった。
『ロード・プレイズナー……』
再度低い音がして、謎の存在は腰から再度、栞の様な、カードキーの様な物を引きぬき、投げた。
「なに!?プレイズナーだと!?」
問題はその音声。新しく決して出てこないハズの声をその存在は放ったのだった。
そして、投げられた栞はダァトがさっきまで使ってた錆びたナイフに当たり、吸い込まれていった。
次の瞬間――!!
『斬る、キル、きるるるるるるるる!!』
ナイフが一瞬にして、異形へと変化した!!
手に平に収まるサイズだったナイフは巨大化、人間の背丈とほぼ同じになり、頭には刀身、背中にもサメの背びれの様な刀身が複数並び、右手はナイフその物、左手は人間に近いが5本の指すべての爪が尖り、こちらの刃物へと変化してる。
まさに、全身刃物の集合体だ。
その姿は、皮肉にも嘗てダァトが生み出したスラッシュプレイズナーを思い出せるモノだった。
「なに!?」
あり得ない。あり得ない。あり得ない。
たった今、絶対にありえない現象が二つ同時に起きた。
ジェネラル亡き後、新たなキーは生まれない。さっきの栞かカードキーも様な物が新たなキーだとしたらその出どころは何処か?
そして、プレイズナーを生み出した媒体が人間ではなく、無機物の使い古したナイフという事。
プレイズナーは元に成った人間の心の闇を解放する者。
だが、ナイフに心などありはしないのだ。
つまり、このプレイズナーはあり得ない道具を使いあり得ない媒体から生まれた、全く異質なプレイズナーであるという事。
「くっ!なぜ、こんな事に――!」
ダァトがバイトの力を使い、変身する。
ジェネラル破壊後の初めての変身だが、キチンとその機能は生きていたらしい。
「おぉおおおお!!」
『きりりりりり!!』
ナイフから生まれたプレイズナー、(ナイフプレイズナーとでも名付けるべきだろうか?)と戦闘をハウンダーとなったダァトが始める。
『キィリぃ!!』
右手の刀身を押え、ハウンダーが自身事転がる。
『キィリ!』
ナイフプレイズナーの左手の5本の刀身がハウンダーの胸をひっかいた!
「ぐぅ!?」
威力は大したことは無いが、何度も攻撃されるのは喜ばしい事ではない。
「バイト!!ハウンド!!」
バイトを右手に持ち、ナイフプレイズナーの腹にくっつけた瞬間、バイトの3つの首が同時に鳴いて相手を吹き飛ばした!!
『キリィリりりりりりり……』
ダメージを負ったナイフプレイズナーのは、距離を置いて右手の刀身を左指の刀身で撫で始めた。
金属同士がこすれる嫌な音がする。
「遠距離が無いと思ったか?その予測の正答率は――ゼロだ」
バイトが口を開き、フェニシオンの遺産のマシンに食らいつく。
その瞬間、炎が森の中を照らした。
「バイト・ブレイズ……」
バイトの先、羽を広げたフェニックス型デバイスは優雅に炎を纏っていた。
「シュート!!」
『きゅぃいい!!』
バイトのトリガーを引くと同時に、フェニックスは口から炎の羽を発射した。
『きぃりぃ!?』
「あの老人の遺産だ。効果は保証するぞ?」
その言葉と共に、再度トリガーを引く。
そして、そのうちの数発がナイフプレイズナーの体に当たる。
『きっ、きり!?』
当たってからは、最早勝負は見えていた。
体制を崩したナイフプレイズナーの足を狙い、さらなる攻撃を加えていく。
『きっ、きっ、きっ!斬り!!』
「意味のある言葉は話せない様だな。
自我がもともとないのか?それとも――」
『バーン!!フィニッシュ!!!』
バイトのトリガーを3回引き、翼を大きく炎の扇の様に広げる。
そして、それを振りかぶり――
「はぁああああ!!」
『き、ぎぃぃぃぃぃぃい!!!』
すれ違いざまにナイフプレイズナーを切断した。
斬られたナイフプレイズナーを炎が覆い、一瞬だけ焦げた体を残し、それも消滅した。
「変身者もなし、キーの排出も……なしか……」
燃え残ったナイフプレイズナーの残骸をみて、ダァトがため息をついた。
「いや、まだ、終わっていないのか……次は、お前――」
ダァトの不安をあおる様に、焚火の炎が揺らめいた。
武器を再度構えた時、先ほどから、こっちを見ていた影が一瞬にして消えた。
「はぁ、はぁ……はぁ……居ない」
当たりを見回すが、例のライダーの様な奴はもうすでにいなかった。
思い返せば、ナイフプレイズナーが生まれたすぐ後から、奴は何もして来ていない。
「どうやら、今回は挨拶という事か……」
完全に遊ばれている事を感じながら、ダァトが声を漏らす。
もし、あのライダーがナイフプレイズナーと同時に攻撃して来たらどうなったのか、また、あのカードキーとも栞とも見れるあの道具で、更にプレイズナーを複数呼び出したらどうなっていたのか、思い返せば気分のいい物ではない。
まだ終わっていない戦いに、ダァトは静かに思いを固めた。
一つの部屋の中で、出流がキーボードを叩いていた。
例のジェネラルとの戦いの後から、自身の父親の残したものを守るべく再度勉強を始めていたが、不振なプレイズナーの情報は岩さんからすでに回っていた。
「っと、また事件か……」
何か、関連のありそうな事柄をかたっぱしから調べていくが、どうにも数が多すぎる。
そのいくつが、今の自分に必要な情報なのかすら分かっていない。
だが、絶対にその中に、何時か必要になる情報もあるハズだ。
だから、出流はあきらめない。憧れ、そして死した父の為にも。
「今思うと、ジェネラルが居た島から、痕跡が全部消えた事自体がおかしいのか?
あの怪物は消えた……本当に?
何らかの手段で逃げ出し……いや、だがあの巨体で?」
その時、手が資料の一部を机に落としてしまった。
「あっ、と、せっかくの資料……あ、コレか」
その資料は犯罪者の死亡情報だった。
殺人の容疑で、指名手配されていた男が何者かに殺害されたといういうもの物。
「因果応報って奴か、まじめに生きてれば……死ぬことなんて……ない、とも言いきれないか……」
他の死亡事件を見てみるが、どれもこれもまちまちだ。
通り魔的に殺された人物も居る。虐待の末両親に殺された子供も居る。
悲しい話に、犯罪とそれに伴う人の死は留まるところを知らない。
「あー!もう、嫌になる!!」
「ふん、出流よ。お前は根気が無さすぎる。
現場100回は刑事の基本だ。
視点を変えて、なんどもやり直すんだ」
優しい言葉が、出流にかけられた。
「うん……分かったよ、
今自分はなんと言った?それよりも、今、自分に声をかけたのは『誰』だった?
その声は、決してあり得ないハズの声。
もう二度と聞けぬはずの声。
「そんな、なんで!?――いっでぇ!?」
バランスを崩し、椅子事床に倒れる。
あの男の声は忘れない。あの男の姿は見失うハズが無い。
なぜなら、何故なら彼は出流がずっと憧れた存在だったからだ。
「父さん、父さん!!」
死した父の幻影を見て、出流が立ちあがる。
だが、その時には父親はもういなかった。
「夢?幻?けど、だって……」
夢にしても幻にしても、その存在はあまりにリアル過ぎた。
「あの姿、あの声、間違いなく父さんだった……けど」
あり得ない。出流はその言葉を飲み込んだ。
そうだ、出流の父はもう死んでいる。
裏でプレイズナーたちと組み、自身もプレイズナーとなっていた。
だが、更にその裏でプレイズナーに対抗する武器としてベルトを作ったのも父だ。
正義と悪、自身の心のはざまで揺れた男が、最後に自身に願いを託し死んでいった。
死したモノは消して帰らない。
「なんだ、何が起きてる?」
訳の分からない状況に、出流は黙って拳を強く握った。
ギっ、ギィイイイイイ……
建付けの悪い留置所の扉が開かれた。
玲久はその時、奥の檻の中で、岩さんがその来客に対応した。
それは中学かほど、場合によってはそれ以下の年齢の少年だった。
「んだぁ、坊主?ここは、遊び場じゃねーぞ!
帰んな!!」
少年の嫌味なまでの高価そうな服を見て岩さんが嫌味を言う。
だが、少年は怯える所か更に一歩、留置所の中へと進んでいった。
その奥には玲久が遅めの昼食を食べているハズだった。
「おい、ガキ!!ここは勝手に――」
「ヴァレフォ様を助けて欲しい……」
その少年は、そう言って岩さんに頭を下げた。
「あ”なんだそいつは?」
聞いた事の無い名に岩さんが訝しがる。
だが、その声に反応した存在がいた。
「ヴァレフォ……?
訝しがる岩さんを差し置いて、天丼を食べていた玲久が顔を上げる。
そしてその時、初めてその少年の顔を見る。
「楊……」
「ひさしぶり……D―09」
嘗て、監獄にいた看守の一人。
楊が、嘗て囚人だった玲久に声をかけた。
やばいぞ、やばいぞ、このままではジオウが先に終わってしまうかもしれない……