仮面ライダージェイル   作:ホワイト・ラム

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今回も投稿。
プレイズナーがどんどん出てきます。


歪曲する感情/悪意の出どころ

ザー、ザー……

 

「あー、ヤダヤダ。じめっぽくてキノコが生えそうだ!」

雨の日の夜、留置所のベットで玲久が岩さんに向かってぼやく。

外に出るのもおっくうで、かと言って檻の中にいても暇な時間だ。

 

「松茸が生えたら教えてくれ、その時はそれで炊き込み飯を作ってやるよ」

ばらした銃のパーツを組み立てながら、片手間にそう答える。

岩さんは岩さんで銃の手入れに余念がないみたいだ。

 

「岩さん、腹へった!コンビニでカップうどん買ってきておくれよ」

 

「うるせぇ、指名手配犯!天下の国家権力をお前が時があごで使おうとか、100億光年はえーっての」

 

「馬鹿だな、岩さん。光年は時間じゃないぜ、距離だ」

 

「一緒だよ。俺には一生縁のない、単位だ」

手持無沙汰なのか、テレビのチャンネルを付けた。

 

「暇だねー、何か起きないかねー」

玲久がベットに寝ころがったままそう言った。

 

 

 

「許さねぇ……!」

降りしきる雨の中、一人の男が雨合羽をして車道に面した暗い道で一人立っていた。

そして、近くの電信柱に何かの細工をして反対側の電柱に隠れる。

その目には尋常ではない殺意が込められていた。

 

ブーン、ブブブーン!!

はるか遠く、バイクの走る音が聞こえてくる。

その音と共に、男の目に危ない光が宿る。

 

ブブーン!!ブブー

 

「今だぁ!!」

男が、自身の足元に有った鎖を引っ張る!!

その先は反対側の電信柱に結ばれており、引っ張ると丁度バイクドライバーの顔の少しした、()()()()()()()()()()()むすばれていた。

 

 

 

「ゲホ!?が、あが?げっほ、げほ……!?」

何が起こったかすら分からずにバイクに乗っていた男が、目を白黒させる。

首からは、鎖が擦ったせいで血が零れ早くも危険な状態だった。

 

「だ、だすげ……で……」

わずかに動く手を上げ近くにいた男。

犯人に向かって手を伸ばす。

 

「助けない。おまえを殺す!この恨み、必ず晴らす!!」

 

グシャ……!

 

男がバイクの男に、思いっきり鉄パイプを振り下ろす!!

ヘルメットが凹んで、男の頭部から外れる。

 

「よくも、よくも……!あああああ!!死ね!!死んでしまえ!!」

2度、3度と男はバイクの男をなぐるつづける。

 

「おま……え、だ……れだ……?」

最後にバイクの男が見たのは、()()()()()()()()()()()の殺意のこもった顔だった。

 

「うん、良い調子だね」

少し離れた場所で、楊が男たちのやり取りを見ていた。

傍らに、楊より一周り大きな影が立っていた。

不思議な事に、雨がその影を避ける様に振っている。

 

「僕の育てた、プレイズナーがねぇ……」

楊はプレイズナーのテストを終えて帰っていった。

降りしきる雨の中、プレイズナーがなおも咆哮を上げ男を殴りつける男を一瞥した。

 

 

 

 

 

『昨晩の深夜、暴行事件が発生しました。

バイクに乗っていた、笹山 健吾が通りすがりの加害者により鎖を使ったトラップで待ち伏せされ、金属のパイプなどを使っての殴る蹴るの激しい暴行を受けたとの事。

加害者は、バイクの走行音にむかつき気が付いたら、鉄パイプで突発的に――』

 

ブッツン!

 

「あ!こら、消すな!朝の占い見てないだろ!」

玲久がテレビを消すと、岩さんがすぐにチャンネルを付ける。

 

「ひっどい事件だね~、すぐ近くじゃん」

 

「常軌を逸した事件だな。現代は病んでるんだよ」

玲久と岩さんが、朝食を食べながら話す。

 

「……プレイズナーの可能性は?」

 

「恐らくだけど、5分か6分かな」

たわいも無い話から、一遍。

二人が真剣なまなざしに変わる。

 

「これで、8件めか」

玲久がそう呟き、岩さんが机の上に近所の地図を乗せる。

すでに7か所に赤いペンで丸が付いており、新たに8か所目に丸を付ける。

凡そだが、こっちに向かってきていると言っても良い位置だ。

 

「一件目から、だいぶここに近くに成って来たな……」

 

「目的地は、『此処』って考えて良いんだな?」

岩さんの言葉に、玲久が静かに頷いた。

 

「誰かが、自分の産んだプレイズナーを育てながらこっちに来てる」

 

「もう、この辺に居てもおかしくないって訳か……」

 

「うん。今この瞬間にも襲って――」

 

ギャァ!!

 

「う!?」

 

「おを!?」

何かが、壁の外にぶつかった音で二人が驚く。

 

「岩さん、ビビりすぎでしょ?」

 

「ばぁーか、俺は慎重派なんだよ」

お互いに、顔を合わせる。

 

 

 

 

 

薄暗い橋の下……

 

ダァトがバイトを傍らに置き、少し離れた所にある時計に視線を投げる。

 

「もうすぐだ……慌てることは無い。

約束の時間はすぐに――」

 

カチッ!

 

「時間だ……食うか」

3分経ったのを確認して、カップパスタのお湯を河に捨てようとすうる。

 

『ヴォう!!ウォン!!』

 

「そう急くな、バイト。

ここから、パスタソースを絡めて――ん」

ダァトが、素早くパスタを置きバイトを右手に握った。

 

「飯時だ。後にしてもらおうか?」

 

「先輩、何時までも良い気になっていないでくださいよ?」

橋の向こう、そこから楊が姿を現した。

いつになく自信ありげな表情を浮かべる。

 

「なんだ、またお前か。

前にキーを失って逃げたのにまた来たのか?」

 

「僕はヴォレフォ様から新しいキーを貰いました。

貴方なんかとは違うんですよ!!」

 

「ヴォレフォ?序列6位のババァか?まだ生きていたのか」

心底バカにしたような口調で、かつての同じ組織に仲間の名を口にする。

 

「貴様、ヴォレフォ様を愚弄するな!!

あの方は僕の希望なんだ!!」

楊が怒り狂いながら、キーを取り出す。

 

「ほぅ、新しいキーを貰ったのか」

 

「コイツでお前を倒す!!」

楊が自身の左手の掌に、キーを差し込む!!

 

『エヴォリュート!クリケット!!』

楊の姿が歪む。

蟲を思わせる、黄緑の複眼に全身を覆う濃い緑の外骨格。

そして、楽器の演奏者を思わせる燕尾服風の姿、手に現れるのは細長い銀色のタクト。

 

クリケットプレイズナーと化した楊が飛ぶ!!

 

『うおぉぉぉお!!食らえ!!』

昆虫を思わせる、長い足での蹴りがダァトに飛ぶ!!

 

ガッ!!

 

「ほぉ、なかなかだな」

ダァトがクリケットプレイズナーの蹴りの脛に拳をたたきつけ、涼しい顔で受け止めた。

 

「だが――」

 

『ぐぅ!?』

クリケットプレイズナーの体制がわずかに崩れる。

蹴った足を、痛そうに引っ込める。

そこには小さな3つの傷が一直線に並んでいた。

 

「俺とバイト程じゃない」

そう言って笑うダァトの手には、バイトが変形した3つのイヌ頭付きのメリケンサックが握られていた。

 

『くそ、良い気になるなよ……!!

クリケットの真の力はこんなものじゃない!!

今からその真骨頂を見せてやる!!』

クリケットプレイズナーがタクトを振るう。

その瞬間タクトが空中をかき回す様にして、7色の楽譜型のエネルギーが生まれる!!

 

「ほう?」

 

『そぉれぇ!!』

クリケットプレイズナーの1振いで、楽譜型エネルギーがダァトに向かう!!

ダァトを捕獲する様に、ぐるぐる回る。

 

「さっきの言葉を訂正しようこれは――児戯だな」

バイトを振るった瞬間、無数の楽譜型エネルギーが霧散する!!

 

『なんで!?なんでお前は!!』

 

「赤点だ。話にもならないお前の点数は――ゼロだ」

霧散するエネルギーの中を走り抜け、ダァトが近づく!!

 

『こんな、こんなハズじゃないのにぃ!!』

 

「いいや、こんなはずだ。おまえ程度はな!!」

ダァトが、ジャケットを開くと腰には機械を装着したようなベルトが出現していた。

そしてその部分に、バイトを押し込み一瞬だけ咥えさせすぐに外す。

 

『ファーストバイト……ハングリー・ディバイト!』

 

バイトの変形した、メリケンに紫のイヌの顔のエネルギーが浮かび上がる!!

そして、その口が牙をむきクリケットプレイズナーのみぞおちに食い込んだ!!

 

『ぐふぅ!?』

エネルギーの痛みに目を見開くクリケットプレイズナー。

衝撃で体が浮かび、河へと落ちていく!!

 

「が、がぁはぁ……」

変身が解除された、楊が河の中から顔を出す。

 

「だ、ダァト!!僕はお前を認めな――熱ぃ!?」

 

ジョボボボボ!!

 

「あーあ、パスタが伸びちまった……」

ダァトがパスタのお湯を様に向けて垂らす。

その態度は、まさに文字通り「朝飯前」といいたいのだろう。

 

「ふざけるなよ!!僕は――」

 

「ただのザコだ。力を磨け、そうすれば暇つぶし位にはなるだろ」

興味ないとばかりに、ダァトがその場を後にする。

 

「くそ!くそ!くっそぉ!!」

楊が悔しそうに何度も、水面を叩いた。

だが、その顔にはすぐに怪しい笑みが宿る。

 

「くふふ、大丈夫だ。今回の僕のプレイズナーは最高の出来だ……

まずは、ジェイルから、次はダァトの番だ!!」

楊が怪しく微笑んで見せた。

 

 

 

 

 

「なーんか……むかつくな……適当に2、3人位、殺るか」

人通りの多い横断歩道。

その様子をビルの屋上から見下ろす男がいた。

その男がクライムキーを取り出し自身の左肩に突き刺す。

 

『ああ、ああ……始めるか』

いびつに変化した男の姿はもはや人ではなかった。

体にはカラフルな竜巻とでも言うのだろうか?それが両肩から生えていて、指には矢印が刻まれていた。

顔を表す部分にはゲームの十字キーを増やした、8方向に分かれる矢印模様。

 

『お、いいねぇ』

プレイズナーが、大型トラックとその近くを渡る幼稚園の遠足の列を見つける。

 

『行け。俺の怒り!!』

指先から、飛んだ矢印がトラックの運転手に突き刺さった!!

 

『ハハッ!始まる!』

 

 

 

「ウッ!?」

トラック運転手が突如なにかが刺さる感覚に顔をしかめる。

だが、体を見ても何の異変も無い。

 

「ん?何だったんだ?コレ?年のせいか?」

そんな事を考えてると、視界の先に引率の先生に引かれる幼稚園の子供たちの姿が目に入った。

 

「あ――」

その瞬間、運転手の心に異様な不快感が満ちた!!

楽しそうな、子供と先生の顔。

それを見ると――

 

「ゆるせねぇ……ころす、殺してやろうかぁ!!」

ハンドルを園児たちに向け、アクセルを思いっきり踏み込んだ!!

 

「ひひひ!!きひひ!!」

異変に気が付いた先生が、とっさに園児を抱く!!

そしてそれに吸い込まれる様にトラックが走っていく!!

 

どんどん近づく距離!!

そんな間に、一人の男が走ってきた!!

そして、いつの間にか持っていたキーを腰のバックルに差し込んだ!!

 

「何やってんだ!!」

 

『ブレイク・ア・プリズン!!ゲット・ア・フリーダム』

現れたのは、白黒の男!!

トラックを真正面から受け止めた!!

その時、トラックの扉が外から開かれる!!

 

「なにを!?」

 

「降りろ!!免停だバカモン!!」

入ってきた男によって、トラック運転手が殴られ気絶させられる。

 

「指名手配犯!!」

 

「分かってる!!近くに――いた!!」

ジェイルの目が、ビルの屋上にいるプレイズナーの姿を捉える。

 

『アレが、ジェイルか。壊しがいがありそうだな』

プレイズナーが嫌な笑みを浮かべた。




楊の使用したクリケットプレイズナーのキーはまだ無事です。
まだ変身可能です。
また、その内出来ます。
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