色々伏線も投げた回なので、意外と戦闘はあっさりかもしれません。
「逃がしたか……」
未だに火の消えないビル群の中、楊が自身の体からキーを引き抜いた。
身長が小さくなり、少年の姿へと戻る。
チラリと、隣に目を向けるとリフレクトは未だにプレイズナーの姿のままだった。
「どうした?いつまで、その姿なんだ?」
『邪魔者は消えたんだろ?また、遊んできてもいいハズだ』
楊に対して、背を向けターゲットを脳裏で吟味する。
「おいおい、お前の目的はジェイルを倒すこととダァトを回収する……」
『黙れ、俺に指図するな』
忌々しそうに、リフレクトが楊の指先の矢印を付きつける。
「おいおい、引きこもってパソコンでブログを炎上させるのが日課なお前を、育ててやったのは、ボクだぞ?」
『ああ、だがもういらない!!』
「ふっざ、け『るなぁ」よぉ!?』
『エヴォリュート・クリケット!!』
楊が自身のキーを刺し、プレイズナーと成る。
クリケットプレイズナーの蹴りが、リフレクトに振るわれる!!
『あまぁい!!おれは、方向転換が得意だ!!』
指を振るうと、楊がその方向へと飛んでいった。
『あ、は!あはははは……がぁ!?』
一瞬笑みを浮かべた瞬間、リフレクトの顔が蹴り上げられた!!
目を見開き、空を強制的に見上げる。
その時、喉をつかまれつるし上げられる。
明らかに先よりも力が、上がっていた。
『僕だって看守の一人……クレルと同格なんだよ?
馬鹿にしてもらっちゃ困る……』
すさまじい力が、リフレクトプレイズナーの喉をなおも絞め続ける。
ミシミシっと、いやな音が自身の首の中から、聞こえてリフレクトが焦りだす。
『ま、待ってくれ!!す、少し調子に乗っただけなんだ!!
アンタに逆らうなんて馬鹿な事をした――いぎぁ!?』
楊の左手が、リフレクトの腹に突き刺さった!!
『お前を「用済み」にしても良い……キーはすでにお前の悪意をコピーしてる……』
楊の突き刺した、手の中、指先に固い金属に触れる感覚が有る。
『い、いやだ、どうか……どうか!!』
リフレクトが涙ながら、謝罪する。
キーを体に刺した時、高揚感が有った。
今までパソコンで、くだらない噂を流すだけで、誰からも相手にされなかった自分が、自由に悪意の流れを操る力は、ひたすらに望み続けた力その物だった。
だが、その力が奪われる現実に向き合い、リフレクトは急に自分が、情けない過去の自分に戻っていく気がした。
『おねがい、しますぅ……どうか、奪わないで……』
ボロボロと涙を流し、ひたすらに懇願する。
『次はもうないから……』
体から、手が引き抜かれ首を絞めていた手も放される。
『あぐぅ……』
一人うなだれるリフレクトを見て、楊はため息をつく。
今まで人の目さえも怖がっていた奴が、力を手に入れた瞬間尊大な態度を取り始めるのはプレイズナーでは珍しくは無かった。
「はぁ……」
興味がないと言いたげな顔をして、楊がリフレクトを連れ移動する。
目を覚ました玲久が初めて見たのは、岩さんの顔面のドアップだった。
「よし、これでいいだろう……」
「うわぁあああ!?」
余りに衝撃すぎる事態に、玲久が慌てて起き上がった。
「痛ぅ!?」
だが、途端に傷んだ胸を押さえ、再び体制を倒す。
「あーあー、行きなり動くからだぞ?」
岩さんが救急箱に、包帯をしまいながらそう呟いた。
「岩さん、ここは?」
キョロキョロと周囲を見回す。
古いアンティーク調の家具が置かれた広い部屋。
上品な作りは、岩さんのイメージとはかけ離れている。
「ん?ちょっと訳があってな……
俺が管理してる家だ……
留置所より、こっちが近いし、な?」
誤魔化す様に、岩さんがそそくさと別の部屋へ出ていく。
「結構でかい家っぽいな……」
窓から家を見てみると、庭があり木が埋めてある。
少し背伸びをして、部屋を出る。
長い廊下が広がっていた、岩さんも来るのは久しぶりなのか、床には埃がたまっていた。
だが、全く掃除がしてない訳では無いらしく、風通し位はしてあったようだ。
珍しく岩さんが大切にしているのが分かる。
「おう、指名手配犯!部屋で大人しくしてろ。
まだ、アイツら動いて無いみたいだ」
階段を下りていくとリビングで、岩さんがTVを見ていた。
この部屋は、さっきまでの部屋と違い、荷物が最低限しか置かれていない。
岩さんが見ているTVもちゃぶ台も、ずいぶん安っぽい。
唯一の、違いは壁に掛かった大きな絵だろう。
カン……
ウィスキーの入ったグラスがテーブルに置かれる。
「岩さん、まだ勤務中だろ?酒とか良いのかよ!?」
「あー、仕事は今日は早退する。
どーも、この家に来ると少しな……」
何処か遠いとこを見るような目をして、再度グラスを煽る。
岩さんの視界の先には、若い岩さんと思わしき人と静観な顔付きをした別の男が写真立ての中で微笑んでいた。
「岩さん?」
何時もと違う岩さんの様子に、玲久が不振に思った。
「ふぅ……」
ちらっと、岩さんが絵の方を見たような気がして玲久が絵に手を掛けた。
「ヤメロ!!そいつに触んな!!」
グラスを机にたたきつけ、岩さんが怒鳴った!!
怒声に驚いた玲久が絵を壁から落とす。
「あ……」
「見世物じゃねー、戻せ」
壁に会ったのは、丸い小さな穴。
それは紛れもない――銃痕、この場所で悪意を持った道具を使った痕跡。
「なんで、こんなもんが……
復讐?」
警察官は、恨みを買いやすい。
岩さんも恨みを買っていてもおかしくはない。
「ちげーよ、少なくとも俺を狙ったもんじゃねー、コレは――」
岩さんが口を開こうとした時、再びTVにニュース速報が流れだす。
駅前のバスロータリーが、惨状の様そうを見せている。
「始まった……!」
「指名手配犯、お前バイクは運転できるよな?」
岩さんが、ガレージと書かれたキーを玲久に見せた。
バサァ……!
「まだ、動くはずだ……」
埃の積もったガレージ。
そこに、一台のバイクが止まっていた。
布が掛けられ、時が止まったようにただ静かにたたずんでいた。
「コイツな、押収品なんだよ……
20年くらい前か、馬鹿な暴走族がいてよ。
無茶な改造で、街を迷惑考えずに走り回ってた……
けど、そいつ色々あって、暴走族止めたんだ。
心から、信じれる男と出会って……そいつと約束したんだ「もう、こんなコトしない」ってよ……
んで、使われなくなった、コイツは押収されたんだ。
使え、指名手配犯――俺は犯罪者の味方にゃなれねーが、正義の味方の味方くらいにはなれる」
岩さんが、バイクのキーを投げ渡す。
「ああ、ダメだな……ここに来ると……どうしてもダメだ……
後頼む……」
そう言って、岩さんが部屋へ引っ込んだ。
なぜかその背中は、とても小さく見えた。
「岩さん……何があったか、聞かない。
今はやることが有るからな!!
けど、いつか聞かせてもらうからな」
玲久は、バイクにまたがった。
「うお!?すっげ!どんな改造してんだよ、このバイク!!」
玲久がバイクを駆り、現場へ向かう。
そして、その途中でバックルを腰に当てる。
キーを差し込み、ひねる!!
「変身!!」
『ブレイク・ア・プリズン!!ゲット・ア・フリーダム!!』
瞬時に、玲久の体に白と黒のスーツが現れる。
外国映画の囚人の様な白黒の姿に、黒く染まる右腕白く染まる左腕、そして目を守る様に展開される鉄格子上のフェイスガード。
そして、バイクまでもが白と黒のジェイルをイメージさせるデザインへと変わる!!
グンッ!とスピードが上がり、ジェイルは風を切って駅まで進む!!
「よォ――」
バスのロータリーの中。
まるで隙間なく合わせてブロックを消すゲームの様にうずたかく積まれた、バスが見える。
『やあ、来たようだね』
うずたかく積まれたバスの頂上、クリケットプレイズナーが足をぶらぶらさせながら、座っていた。
『今回は逃がさないぜぇ?』
バスの影から、リフレクトプレイズナーも顔をだす。
「なーるほど?今回も二人掛なのね?」
バイクから下りて、ジェイルが手をぶらぶらとさせる。
『始めようか!!キミの終わりを!!』
クリケットが合図を出すとその瞬間、リフレクトがバスの塔を崩した!!
無数のバスが雨の様に、ジェイルの頭向けて落ちてくる!!
「まじか――」
『当たり前だ!!』
飛び散るバスとバスの間を蹴って、クリケットプレイズナーがジェイルの肉薄する!!
まさに昆虫の様な、素早さと強靭さだ!!
クリケットの蹴りを受ける瞬間、ジェイルはベルトの鍵穴に、別のキーを押し込んだ。
その瞬間、ジェイルの手には緑のカッターをイメージした、ブレードが握られていた。
そのブレードを見た瞬間、クリケットの顔が険しくなった。
『よくも、僕の力を奪ったな!?
ふざけている……!!』
クリケットプレイズナーの蹴りが、ジェイルをバスの天井にたたきつける!!
「がはぁ!?」
『リフレクトォ!!』
『は、はい!』
リフレクトの矢印が、ジェイルの周囲のバスを突撃させる!!
「まだ、だぁ!!」
他のバスの一部、手錠を投げつけ自身を引っぱりその位置から逃げる。
『貰ったぁ!!』
クリケットが蹴りをジェイルに向かって、振う瞬間!!
「かかったな?」
ジェイルが腕の手錠の鎖を引っ張る、それはさっき操られているバスにつながっており――
『まずい!?』
くるっと、鎖をクリケットの足に巻き付ける!!
当然、バスはジェイルを狙う。そう、間に鎖で足を取られたクリケットがいようとも!!
「うおぁあああああ!!」
ジェイルが、スラッシュキーを自身のブレード、ジェルスラッシャーに押し込みひねる。
『ジェイル・スラッシュ!!』
エネルギーが刀身に巻き付く!!
『うがぁあああああ!?!!!』
バスとブレードの挟み撃ちに会う、クリケット!!
正面から体に受けたブレード!!そしてそのブレードを押し込む様に背中から、さらにバスが突っ込んでくる!!
『がハァ……うぐぁ……!!』
ブレードが振り切られると同時に、バスが横に真っ二つになる!!
派手な爆発が起きると、そこにクリケットはもう居なかった。
『逃げたか……』
そう呟くジェイルの前に、震えたリフレクトがいた。
『ひ、ひぃ!?』
ジェイルと顔を合わせた瞬間、大きな声を上げ転ぶ。
どうやら、相当の恐怖を味わったらしい。
「…………ハァ!」
しゅん!!
一瞬だけ、ブレードが振るわれ、リフレクトの首が落ちる。
その瞬間、リフレクトの体が崩れ一人の男の姿に再構築される。
「あ、あががが……お、俺はただ……言われたことを、やっただけで……」
「やったのは、お前だろ?永遠に罪を償え!!」
ジェイルの刀身を消したブレードで、鳩尾を殴られる男。
白目を剥いて、その場に気絶する。
キィン……
「リフレクトキーか……」
男の落としたキーを拾いながら、ジェイルが話す。
「多分、罪の意識には耐えられないだろうな……
どうするかは、コイツしだいか……」
残念ながら、玲久は警官ではない。
怪人を倒すことは出来ても、犯罪者を個人的に裁くことは出来ない。
だが、玲久は分かっていた。
こういった、衝動的に犯罪を犯した者は、キーを失うと罪に耐えきれなくなる。
良くて自首、悪ければ――
「帰るか……」
玲久はその場に背を向け、留置所へと向かっていく。
「はぁはぁ……」
人込みの中、楊が傷を抑えながら歩く。
ピりりり……!
「!? メールか……」
携帯電話の着信音で、メールが来たことを確認する。
「まさか!?」
そこに書いてあったのは、信じられない内容。
「数字付きが直接来る……!!」
それは仮釈放の知らせ、監獄の中から数字付きが、ジェイルとダァトを狙いこの町に向かって――早ければもう居るらしい。
「おー、こりゃすごいな!これがキーの力、いや!
仮面ライダーの力か!!わっくわくするね!!」
ビルの屋上一人の青年が望遠鏡を使って、ジェイル、クリケット、そしてリフレクトの戦いを見ていた。
ひと段落した様子をみて、望遠鏡から目を外す。
「くぅ~!!早く戦いたいな~!!」
そう言って、ひどく興奮した様子で、ビルの屋上に寝転がる。
キィン……
「おっと、いけないいけない。これを無くすわけにはいかなよね」
青年はポケットから落ちた、カギを拾い上げて笑った。
青年は探偵の被るような帽子を手でくるくる回したあと、空に向かって投げ頭でキャッチした。
偶然しった、ビルドの情報。
脱獄犯でるっぽいですね……
どうしよう、キャラ被ってる……変身しないことを祈るばかりです。