仮面ライダージェイル   作:ホワイト・ラム

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さて、今回はまた新たなプレイズナーの登場です。


監獄からの使者/私はNO‐face

静かなテラスのカフェで二人の男が、テーブルを隔て向き合っている。

白い手袋に包まれた手が、ティーカップを手に取り鼻まで持ち上げる。

上等な茶葉とアップルの良い香りが、鼻孔をくすぐった。

 

「いいですねぇ。娑婆の空気は!

『監獄』はジメジメしていていけない」

紅茶を口に運ぶその男はクレル、そして相対するのは――

 

「クレル……なんの用?」

同じ看守の一人、黒輪 楊だった。

 

「いいえ、この町まで仮釈放した囚人を連れてきただけですよ。

久しぶりに、他の看守も見たかったのもありますが」

ギョロリと目を向け、楊をいたぶる様に視線を投げかける。

この男の一挙手、一声がすべて不快な感情を想起させる。

 

「そう……」

楊は目の前の、ケーキもお茶も手を付けようとしない。

ただじっと椅子に座って、両手の拳を自身の腿の位置で握っているだけだ。

 

「どうですか?使えそうなプレイズナーは生まれました?」

 

「…………」

クレルの言葉に楊は以前黙ったままだった。

 

「ああ、勘違いしないで。別に攻めてる訳ではないんですよ?

ダァトを見つけたのは、大手柄ですし。

ジェイルの妨害が有るのは知っていますから」

 

「次こそは!!」

楊が初めて、感情をあらわにして大きな声を出した。

クレルは紅茶が零れるのも気にせず、肘を机についたままニヤリと笑って見せた。

 

「んふふふ、良いですよ。けど、一回だけ私に遣らせてくださいよ。

とっても、面白いことが起きますよ?」

クレルはわずかに残った紅茶を、高く掲げ後ろに放り投げた。

 

――ガチャン!!

 

「あっつ!?い、いきなり何をするの!!」

偶然近くに居た女の服に紅茶が掛かり、クレルに憤る。

 

「おめでとうございます。あなたは見事当選いたしました。

改めておめでとう」

クレルがおどけて手を叩いて口だけの祝福をする。

そして困惑する女に向かって自身の手を振るった!!!

 

「何を言って――う、が!?な、なにを――!?

いぎゃぁあああああ!!!ぁあああああ!!」

女が突如、顔を押さえて蹲る。

押さえた手の間からは、大量の血が零れ落ちる。

 

「あ~あ、お可哀そうに……顔面がボロボロですね。

ああ、醜い醜い姿、まるで物語の怪物の様ですよ?」

愉悦のこもった言葉を、耳元で男にささやくクレル。

その様子を見ていた楊でさえ、その女を不憫に思った。

 

「なんて醜いんでしょう?もう誰もあなたを愛さない、慈しまない、視界にすら入れたくないハズですよ?」

 

「いやだぁ……そんなの、そんなの……」

グズグズと泣き出す女。

クレルの口角が三日月の様に吊り上がった。

 

「解放してあげましょう?その、悲しみからね」

クレルが腰のキーを一本引き抜いて、女に突き刺した!!

 

 

 

「どうです?こんなものですよ。ポイントは、より深く絶望させることにあります」

怪物がいなくなった、机が散乱するカフェの中で自慢げにクレルが笑って見せた。

その笑みを見て、楊の中に悪寒が走った。

 

 

 

 

 

『本日の天気は全国的に曇りとなるでしょう。

夕方ではにわか雨が有る可能性が強く注意が――』

 

ピッ!

 

『では、今旬の魚について――』

 

ピッピピッ!

 

『3つ星シェフが教える、今日の献立さっとひと手間~』

 

「あー、暇だー。碌なテレビ番組がない」

そう言って玲久は、机の上に足を投げ出しいた。

忘れているが玲久は拘留中の身であり、勝手に外へ出ることは出来ない。

それどころか本来ならこうしてテレビを見ることも禁止なのだが……

 

「あー、ヒマだなー。岩さん、いつもプレイズナーとの戦闘を頑張っている俺の為にステーキハウスとか連れてって御くれよ」

丁度帰って来た岩さんに、玲久が言葉を投げつける。

 

「ああッ?馬鹿にしてんのか、お前なんてガーリックライスだけ食ってろ!!」

そう言って、コンビニ袋からおにぎりを投げる。

 

「あー、またコレか……せめてまた例の店の天丼が食いたいなー」

おにぎりの包装を破りながら、玲久が不満の述べた。

 

「あの店な、なんか軌道に乗って来てな……

最近新しく店借りて宅配主体から、店舗形式に大きく動く気らしい。

今、その準備でやってないんだとよ」

 

「えー、てか早くない?なに?あの奥さんそんなに優秀なの?」

 

「経営は基本的に、奥さんがやってて、旦那は料理を奥さんから教わったらしい」

 

「マジか……あのおっさん良いトコ、ナシじゃん……」

玲久がコックプレイズナーになった男の事を考える。

 

「悪人って訳でもなかったんだ、少し暴走しただけでな。

何処にでもいる、さえないヤツって事だ」

 

『今回の注目ワードは、犯罪者を収監する大監獄『ヘルゲート』です。

全国各地、場合によっては海外からも手の付けられなくなった、凶悪犯罪者たちが――』

 

ブゥン!

 

玲久が忌々し気に、テレビを消す。

アナウンサーの後ろにあった、巨大なタワーの様な建物が消えた。

 

「ほう、場合によってはあそこに行く可能性がある、お前にとっては耳が痛いか?」

にやにやと岩さんが玲久を笑う。

 

「ハッ、馬鹿にするなよ岩さん。俺は今自由だぜ?捕まる訳ないだろ?」

玲久がバカにしたように笑い返した。

 

 

 

ガラッ――

 

その時、留置場の扉が開いた。

岩さん玲久両名が、入ってきた女に注目する。

若い女、年頃は大学生といった所か。

長い髪に何か不安が有るのか、無表情を決め込んでいる。

 

「すいませーん、此処、警察であってます?」

女はそう言って、勝手に許可もなく二人の近くの椅子に座った。

 

「一応、警察だが……」

 

「ここ留置場なんだよね。

落とし物なら、交番に――」

 

「怪物の被害って、交番でおけ?」

その言葉に、岩さんと玲久の顔付きが一瞬にして変わった。

その様子を肯定と受け取った、のかその大学生が語りだす。

 

「私の名前は、琴始(ことじめ)華姿(かたち)

この前、大学の構内で怪物に襲われたんです」

 

 

 

 

 

「そろそろ帰ろうかな……」

大学の構内、一人の学生が遅くまで図書館に残ってた。

大きなレポートの発表が近く、情報を探すのにずいぶん手までってしまった様だ。

 

ジャー……

 

トイレに入り、冷たい水で顔を洗う。

目の下にうっすらと隈が出来、少し不健康かな?と自問する。

 

バシャ、バシャと顔を伏せ冷水を顔に掛ける。

 

「……え?」

顔を上げた時、後ろに誰かが立っていた。

誰だったか、何度か顔を合わせたことが有ったハズだが――

 

『貴方、きれいな顔してるわね……頂戴?』

その女がぐにゃりと姿を変える。

その姿は、まさに泥その物。

粘度の高い、こげ茶色の泥が人型を形成して、さまざまば場所から人間の人間のパーツが埋まったように出現する。

縦についた目に、だらりと舌のはみ出した耳のあるべき位置から生える口。

バラバラの顔面のパーツがにやりと不快に笑った気がした。

 

「な――」

 

『貴方の、素敵なソレ――()()

そう言って、怪物が華姿の顔に手を伸ばし、すさまじい力で引っ張った。

 

 

 

 

 

「そして、気が付いたら。この通りです」

華姿が顔を二人に見せる。

そこそこ整った顔をしているのだが、なぜかとても無表情。

さっきまで恐ろしい怪物について話をしていたが、全くの無表情なのだ。

自身が被害に遭ったというのに、恐怖も恐れも不安も何もない。

 

一切の感情の消失した顔だけが有った。

 

「感情を奪う力?いや、表情筋を……」

岩さんが小さくぶつぶつ言い始める。

 

「指名手配犯!!これは、俺たちの仕事の様だな。

覚悟は良いか?」

 

「ああ、プレイズナーだな」

二人が顔を見合わせる。

 

「どうやら、ここに来たのは正かい見たいですね」

華姿が無表情で喜んだ。

 

ピりりりッ!

 

その時、華姿の携帯が鳴った。

 

「はい、もしもし……え!?」

声だけで驚きを現し、驚いて見せた。

 

「……友達が、被害に遭ったって……」

華姿が不安そうな声で二人に知らせた。

 

 

 

 

 

「ぐす……ひっぐ……」

病院の一室にて、一人の女が鳴いている。

華姿の友人だという、花崎 裕子だそうだが……

 

「裕子……だよね?」

華姿はひどく不安気に、その姿を見る。

 

「そうだよ、華姿……私の顔、なんかおかしいの……」

その顔は普通の顔に見えるのだが、なおも当人は泣き止まない。

 

「これ、この前取った、私たちの写真です」

華姿が携帯から見せた写真には、4人の女学生が並んでポーズを取っていた。

カメラマンが華姿なのか、写ってはいないが……

 

「これが、裕子です」

華姿の指す姿と、現在の裕子の顔は少し違っていた。

 

「うん、違和感が……」

 

「耳です、耳」

華姿にしてきされて初めて気が付く、岩さん達。

言われた通り見比べると、耳の形が大きく違っている。

 

「ぐす……『お前の耳を貰うって』怪物に襲われて気が付いたら、こうなってた……」

すっかり形の変わった耳を押さえながら、裕子が泣く。

 

「裕子……」

華姿がその近くに、座り込んで「何か食べよ?」と誘い、お見舞いのリンゴの皮むきを始める。

しばらく二人にした方が良いだろうと、岩さんが玲久を連れ病室へ出る。

 

 

 

「はぁー、結構事件だと思ったが、耳が変わっただけかよ」

岩さんが悪態をつき、懐から煙草を取り出すが禁煙の張り紙を見つけしぶしぶ懐に戻した。

 

「なぁ、顔がちょっと変えるだけで、プレイズナーの力を使うと思うか?」

岩さんが火をつけていない煙草を口に咥えながら聞く。

 

「使うよ、使うにきまってる。

顔ってのは、産まれた時からずっと一緒に居る存在、自分を失うってのは――怖い」

玲久が自身の拳をぎゅっと抱きしめる。

 

「自分を失わせるプレイズナー?何が目的なんだ?」

 

「さぁな。犯罪の理由てのはおかしなモンばっかりさ。

生きる為から、面白半分に、場合によっては違法だと知らずにやってることだってある。

知ってるか?小銭に落書きするだけでも一応は犯罪なんだぜ?」

岩さんが足を組む。

二人の目の前を看護師が通り過ぎる。

 

「所でよ、指名手配犯」

 

「ん、そうだな岩さん」

二人はその場から立ち上がり――

 

「おらぁ!!」

 

「そりゃ!!」

二人が同時に、さっき通り過ぎた看護婦の背中に蹴りを放つ!!

 

「いたッ!?なにを――」

 

「お前こそ、なんの積りだ?」

 

「口封じの積りかよ?」

玲久がキーを握り、岩さんが拳銃を構える。

その様子に看護師が怯えた様子を見せる。

 

「ばーか、ここは病院だぜ?たばこを注意しない看護師がどこにいる?」

 

「もう一つ言うと、匂いだ。薬の臭いが全くしない、代わりに派手な香水がする」

 

「「そして、何より――その耳!!さっき写真で見たばっかだ!!」」

二人が声を上げて、岩さんが病室に二人を逃がすべく走っていく。

 

「へぇ――バレち『ゃったか」な?惜しいなー、他のパーツも取ろうと思ったのに!!』

べリンと、プレイズナーのナースの顔が剥がれる。

その下から出たのは、やはり泥を固めたような異形の姿。

華姿の話にあったプレイズナーに違いない!!

 

『貴方とあの警察は私の好みじゃない……使えるパーツもなさそう……

けど良いわ、あなたも奪ってあげる!!』

 

「ハッ!やってみろ!!俺は自由だぜ!!変身!!」

玲久がドライバーにキーを差し込んでひねる!!

 

『クライムキー!!コードチェンジ!!

ブレイク・ア・プリズン!!ゲット・ア・フリーダム!!』

白と黒の囚人服を思わせる姿。

黒い右手と白い左手、それぞれにつく手錠の様な金属パーツ。

顔面を保護する様につく鉄格子型のバイザー。

仮面ライダージェイルが降り立った!!!




うーん、プレイズナーが上手く思いつかない。
場合によっては他の作者さんたちみたいに、怪人募集をしてみましょうかね?
すさまじい倒されかたをする怪人ばかりですが……
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