「あんたたち2人、あたしのドレイになりなさい!」
入ってきていきなりの奴隷宣言。
いやーこの人大丈夫かな?
キンジの後ろ姿が物語ってるけど私も同じ感想。「ありえない」としか言いようがないよね。現にキンジは驚きすぎて絶句しているし。
いきなり押しかけてきてドレイになれなんてイ・ウーですら言わな…前言撤回、言いそうだよ。特にカツェやパトラ辺りが。
この一件ではっきりしたね。彼女はコミュニケーション能力が低い。彼女がキンジと私のことを調べているのはわかったから、当然私も彼女のことを調べたんだけど、彼女は過去に何度も他の武偵と言い争いをしてパーティーを解散したことがあるらしい。
まあ当然だよね。こんなこと言われたら仲間の人達も怒って当然。
自分が実力トップだとでも思っているのかな?そういう人は私も嫌いだし、成長もしない。
こういう人には一回痛い目に合わせないとわからないだろうね。明日でも久しぶりに強襲科に顔出そうかな。そして組手で完膚なきまでに叩き潰してあげよう、甘ベルセをつかって。
そんな黒いことを考えるいると、神崎はぽふ!スカートをひらめかせながらさっき私たちが座ってたソファーに腰を下ろす。
「ほら!客がきてるんだから飲み物ぐらい出しなさいよ!無礼な奴ね!」
お前の方が無礼だろ、ぶち殺すぞと思いながら、私が家から持ってきた紅茶を淹れる。せっかく週に何度かの楽しみのキンジとのお茶だったのに邪魔されて最悪…緋色の研究がなかったらキレてぶち殺してたよ。本当に…
「コーヒー!エスプレッソ・ルンゴ・ドッピオ!砂糖はカンナ!1分以内に用意!」
へー。神崎の好みは父さんと好み一緒だね。私はルンゴ・ドッピオよりはコーヒーの味が濃厚なリスレット・ドッピオだけど。だけどこの部屋では淹れることはできない。なぜなら
「無理、キンジの部屋にはエスプレッソマシンないんだよ」
「エスプレッソマシンも置いてないの!?」
私の家にはあるけどね。絶対もってこいとか言われるし、そのことは喋らないけど。
「私が持ってきた紅茶ならあるけど」
「それでいいわよ!」
神崎は投げやりに答える。
紅茶を私たちが飲んでいたの見えてるなら、せめて紅茶を頼むのが普通でしょ、まったくもう。
キンジはキンジで、頭を抱えながら紅茶を淹れているキッチンの方へフラフラと来る。
「銀華、あの魔法の呪文みたいなコーヒーわかるのか?」
「魔法の呪文?ああ、さっき神崎が言ったエスプレッソの話?」
キンジは少し何かに驚いてる。もしかしたら私が神崎のことを呼び捨てにしてるからかもしれない。銀華の姿で呼び捨てにすることはかなり稀なことだし。私は仏、聖人ではない。ムカつく時はムカつくんだからね。
「あ、ああ」
「エスプレッソには色々な種類があるんだよ。ソロ、ドッピオ、ルンゴ、リスレットがあるんだけど、さっに神崎が言ったのはこの中のドッピオとルンゴを合わせたもので…」
「すまん、もう大丈夫だ」
右手を頭に当て、左手を突き出して私の言葉を止めるような仕草しながらそう言ってくる。
「それならいいけど…ちなみに私はリスレット・ドッピオが好きだよ」
「もしかしてお前が知ってるようなコーヒーを注文してくるなんて、あいつ金持ちなのか?」
「たぶんね。あの上から物を言う言い方から推測すると、もしかしたら貴族かなんかじゃないのかな?」
「マジかよ…」
確か貴族の娘だったよね。
まあキンジには違いがわからないと思うけど。
「それで神崎どうするつもり?あの子なかなか出て行きそうにないよ」
「どうするって、簡単にはご退出願えそうにないからな。頼む、協力してくれ」
「私にも無理なことはあるからね……それにあの子はキンジにご執心みたいだし」
私個人としては……キンジと神崎は離れて欲しいし、協力してあげたいけど、研究のためには離れてもらったら困る。だから思ってもないことを言う。
「マジか…とりあえず話だけでも聞いてみるか。絶対このままだったらあいつ帰らないしな」
キンジの言葉を最後に私はお盆にティーポットとティーカップ3つ載せて、キッチンからリビングに戻った。そして紅茶をティーポットからティーカップに移し、キンジにまず渡す。そのあと私の分を入れ、最後に神崎の分も注ぐ。
「どうぞ」
仕方なしに神崎に渡すと、神崎は、
「いい匂いね。この茶葉はどこの店のもの?」
匂いを嗅ぎながらそんなことを聞いてきた。
「ロンドンで一番有名な紅茶店って言ったらわかるかな?」
「へえー、あんた見る目あるじゃない」
神崎は私を褒めるが、何にも嬉しくないよ。キンジに褒められるのはどんな小さなことでもすごく嬉しいんだけどね…
「それよりだ。今朝俺を助けてくれたことは感謝している。それにその…失礼なことを言ってしまったことも謝る。でも、何で俺が住んでいる男子寮の部屋まで押しかけてくる」
「わかんないの?」
「当然だ。いきなり押し入ってきて、銀華と2人揃って奴隷になれって逆にわかるわけないだろ」
「おかしいわね…あんたならとっくにわかってると思ったのに」
キンジもだんだんイライラが溜まってきた。まあ、穏健な私でもイライラしてるんだし、キンジがイライラするのも無理はない。
「銀華だっけ…あんたはわからないの?」
ここで私に振るか…
「初歩的な推理だよ」
『私』ではなく、『北条銀華』として知っていることだけで推理する。私が知っているのは事件の概要、それとキンジの体質。それだけで推理する。
「まず、キンジは神崎に朝の
「そうよ、ほらわかるじゃない」
「銀華は探偵科のSランク、他の奴らとは別格だからな。俺には無理だ」
キンジはさすがだと言う顔を向けてくるけど、HSS時のキンジだったらこれぐらい普通にわかるだろう。
「あたしにはキライな言葉が3つある。『無理』『疲れた』『面倒くさい』。この3つは無限の可能性を自ら狭める悪しき言葉。あたしの前では二度と言わないこと。銀華もよ」
確かにさっき私も無理って言ったねそういや。意外と神崎、記憶力あるんだ。百舌レベルだと思ってたよ。
「パーティーのポジションは……そうね。キンジはあたしと同じフロント、銀華はバックがいいわ」
フロントとは武偵がパーティーを組んで布陣するときの前衛のポジションのこと。負傷率ダントツの危険なポジションだねここは。
そしてバックとは後方支援タイプ。
「よくない。そもそもどうして俺たちなんだ?」
「太陽はなんで登る?月はなぜ輝く?キンジは質問ばっかりの子供みたい。仮にも武偵なら情報を集めて自分で推理しなさいよ」
まあ、それは同感。キンジは自分で考えず、私に頼ることが多いから、私がいない場合にも慣れて欲しくて、カルテットは違うチームで出たという理由もある。まあ大部分は入学試験のリベンジだけど。
「とにかく帰ってくれ」
会話のキャッチボールが成り立たないのを見てキンジも自分の要求を突きつけ始めた。これじゃあまるでドッジボールだよ。
「まあそのうちね」
「じゃあ、私は帰ろうかな」
「え?」
捨てられた子犬のような目をしているけどそんな目をしないでよキンジ。 まあ、帰れとは神崎に言った言葉のはずなのに私が帰ってしまったら、1人で神崎の相手をしなくちゃいけないもんね。
私も疲れたというより神崎の相手をするのはめんどくさい。あの子は頑固そうだし、キンジが首を縦に振らない限り部屋から追い出すのは無理だろうし。
「じゃあキンジ。神崎が泊まるとしてもくれぐれも間違いを起こさないように。もし発覚したら…わかってるよね?」
「お、おい。俺を1人にするな!?」
「1人じゃないでしょ、あたしがいるんだし」
「お前は数に入ら」
ばたん
私は玄関のドアを閉める。キンジ頑張ってよ。私は神崎のお
でも神崎がキンジの家にいると考えるだけで……うん。嫌な気分になるけど、仕方ない……7月末までの我慢だよ、私。
自分の家の女子寮に帰ろうとして、男子寮の階段を下っていると
「あれ、銀華さん?キンちゃんの家からの帰り?」
緋袴に白小袖--巫女装束の星伽さんとあった。
たぶん巫女装束なのは
「うん、そうだけど」
「銀華さんも一緒に食べると思って多めに作ってきたんだけど、今日はこのまま帰ちゃうの?」
「そのつもりだったよ」
手に持ってる包みの中に星伽さん特製の料理が入っているんだろうね。つまり星伽さんはキンジの部屋に向かうということ。キンジ大丈夫なのかなこれ。
「私、明日から恐山に合宿で、キンちゃんや銀華さんのご飯、しばらく作ってあげれないから、一緒に食べたかったんだけど……」
「ごめんね星伽さん。キンジは家にいると思うからキンジに届けてあげなよ」
「わかった、またね銀華さん」
「ばいばい、星伽さん」
私は星伽さんと神崎が引き起こすだろう大火の飛び火から逃げるために早足で男子寮から立ち去った。
次の日、朝からキンジが机に突っ伏してたところを見るに神崎はキンジの家に泊まったらしい。そして星伽さんと神崎の鉢合わせは起きなかったぽいね。それは良かった。
そして午前の一般科目が終わり、午後の専門科目の時間。今日は衛生科の授業はない。強襲科と探偵科の卒業できるだけの単位はすでに揃っている。つまり自由なのだけど、今日は久しぶりに強襲科に行こうかな。思い上がりの神崎をボコるために。
私は強襲科が所有している専門施設、銃声や剣戟の音が止むことのない戦闘訓練場の中へと入る。この黒い外壁はどうにかならないのかなあ。
強襲科の生存率は「97.1%」。つまり100人のうち3人ぐらいは卒業時にいない。
イ・ウーも年に2、3人死ぬからそんな高い確率だとは思えないけど、まあ一般的には高いよね。
引戸を開けるガラガラという音が体育館内に響く。そして訓練していた生徒のほとんどがその手を止めて私の方を見てくる。
「北条じゃねえか!」
「ほんとだ!」
「帰って来てくれたんだ!でもキンジは?」
そんな風に強襲科の同級生や先輩に囲まれる。これが男子だったら死ね死ね言われるんだけど、女子は言われることが少ない。まあ私も死ね死ね言わないしね。
囲まれて一々挨拶を返していると、私とキンジにとって顔馴染みが話しかけてくる。
「北条さん、強襲科では久しぶりだね」
「久しぶり…といっても同じクラスだけどね」
相変わらずの女子の間で人気なイケメン顔に笑顔を浮かばせながら不知火君が私にそう挨拶してくる。
「北条さんとは強襲科であわないと会った気しないからね」
「なにそれ、まあ一般科目で私たちを『観察』してても面白くないだろうけど」
「いいや、遠山君と北条さんを見るのはとても面白いよ」
不知火くんはガード固いねー。私かキンジ、それか両方を観察してるのはわかってるんだけど、なにが目的かは未だにわからない。まあたぶん公安0課のような組織のスカウトとかなんだろうけど。
「おう、お前ら。遊んでないで訓練に戻れや!」
「蘭豹が来たぞ!」
誰かがそういうと蜘蛛の子を散らすように訓練に戻った。そりゃそうだよ。訓練に戻らないと拳銃でうたれるからね。それも
「久しぶりやな、北条」
私の目の前に立つのは大女で強襲科主任の蘭豹。いつも思うけど本物の鬼である閻と同じかそれ以上の力ありそうだよ。たぶんこの人人間じゃない。
「はいお久しぶりです」
「遠山はどうした」
「私と違ってキンジは転科しましたからね」
「なら首輪でもつけて引っ張って来いや!」
ムカついたように蘭豹はそういう。
いや、首輪つけて引っ張って来たとしても転科してるから意味ないと思うんだけど…
「探偵科に行って腑抜けになりおって…」
「確かにそう思います」
確かにキンジは探偵科に行って腑抜けたように見えなくもない。それは普通の一般人を目指すためのことらしいけど…キンジは気づいてないのかな?キンジは社交性がないから一般人は向いてないって。まあ私も父さんによると向いてないらしいんだけど…
「まあええわ。北条、お前がしばらく見ない間に腑抜けになってないか試したる。ちょっと
付いて来いという風に私に背を向けるけど、私はアリアと戦いに来たんですけど!?
これある意味とばっちりだよ。
私は施設内の闘技場の1つに連れて行かれる。そこでは訓練している人がいたのだが…
「邪魔や」
蘭豹のそんな一声で闘技場のリングは私と彼女だけになる。なにをやるか…もうわかった。そのために準備しておこう。
「北条、今日の実習はウチとの組手や。特別授業やからありがたく思うんやな」
やっぱり。蘭豹の特別授業は強襲科では
「終了条件は」
「ウチがいいっていうまでや」
いつもの私なら蘭豹に屈するしかない私だけど……
今の私はいつもの私じゃないんだけどね!
最近、キンジとイチャイチャできないことによる不満を利用し、甘ベルセ、約3倍HSSになった私は低い体勢から
--バッ!
風を巻き起こしながら、8mほどの距離を一呼吸で移動した。
これは『飛燕返し』という居合斬りの技で、どこかの武装検事が使っていた技のパクリだ。これの利点は目の錯覚を使う縮地法と違い、本当に早く動くことができるという点がある。
一瞬で距離を詰めた私は秋水の拳を放つ。蘭豹は私の拳を手のひらで受け止めようとしたが、秋水の撃力がそれを許さない。私の拳が蘭豹の手のひらで受け止めた瞬間、蘭豹の体が後退した。それのおかげで私と彼女の間に距離ができる。
「ほう…よう体重が乗ったパンチや」
「ありがとうございます」
そう言いながら今度は縮地法で距離を詰めた私は秋水の拳や蹴りを放つが、
パシッ!
蘭豹はガードするのではなく、いなしてくる。流石強襲科の主任だよ。ガードしても距離が開いてしまい反撃できないのがさっきの一幕でわかったんだろう。私が攻めているはずなのに主導権を握れない。
甘ベルセのはずなのに勝ちきれないことを焦る私に
ビュンッ!
私の顔面を狙ったカウンターパンチが飛んで来た。私はHSSの反射神経でそれを躱すけど、攻めていたこともあり体勢が大きく崩れてしまう。それを見逃す蘭豹ではなく…
ビシィ!!
蘭豹の回し蹴りとそれをガードした私の腕の間でそんな音が上がり、ガードしたにも関わらず闘技場の壁まで吹っ飛ばされる。普通の蹴りで私をここまで飛ばすって一体蘭豹はどんな力してるの…?
「まだまだ……」
「ガハハハハ、流石や北条。お前は鈍ってないようやな。生徒相手に思わず本気だすとは思わんかったわ。お前はまだ実力を隠しているのがむかつくけどな」
「そんなことないですよ」
蘭豹は組手は終わりという風に私に近づいてくるが、流石去年一年間私を見ていただけあるね。今回の私のベルセの倍率が低いということを気づいてる。
「…まあええわ。お前この後時間あるか?」
「はい。今日は神崎と戦うつもりで来たんですけどいないみたいですし」
「神崎とか?神崎なら今日は誰かの実力を見るとか言っとったな。アイツと
「わかりました」
たぶん神崎が追ってるのはキンジだね。この様子じゃ私が連れてこなくても、神崎がキンジを強襲科に連れてきそう。
「それで何か用件があるのでは?」
「そうやった。お前
「そうですね」
ここで蘭豹がその話を出してきたってことは……
「お前、ウチの紹介する後輩と仮の
「
「そうや」
こういうことだよね。
「合姉妹だとしても、実力が無かったら戦妹にはしませんよ」
「それは好きにしい。今から紹介するから付いて来いや」
そう言って闘技場の出入り口に向かう蘭豹の背を私は小走りで追いかけた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
強襲科の通称『黒い体育館』こと格闘訓練場のある広間で
「てやあああああっ!」
そう雄叫びをあげながらアタシは男子に豪快な払い腰を決める。
続けて挑んできた男子はアタシを倒そうと、足技の小内刈りを仕掛けてくるが、
「よっと!」
アタシはそれをすかし、逆に一本背負いに繋げる得意技を放つ。
アタシに投げられた男子は
どたんっ!
広間の木の床板に叩き落される。
「
「フン…悔しかったら勝ってみろってんだ!」
投げられた男子が吐き捨てるようにそう言ってきたので、その言葉に少しイライラしてしまったアタシは挑発するようにそう言い返してやる。実際負けてるからやつは何も言い返すことができない。
男子をちぎってはなげ、ちぎってはなげしてさっきまでは気分爽快だったのに、むかつくやつだぜ男子は。
「さっすがライカだね!」
「チョロいやつばっかりだったからな」
「ライカが強いんだよ」
同じ強襲科でクラスメイトの友達、間宮あかりが褒めるように言ってきたので、そう返す。あかりは友達、つまりアタシが活躍したのを見て鼻高々といった感じだな。
そのあかりからタオルを受け取って汗を拭いていると…ん?なんだ。出入り口の方が騒がしいな。
「パーフェクトが帰ってきたらしいぞ!」「それ本当?」「ああ、でもシルバーだけらしい」
二年の先輩たちがそんな話をしているのを聞き、
ドキッ!
緊張と驚きなどが混ざり合った感情で心臓が跳ね上がってしまう。
あのパーフェクト、それもシルバーがここに帰ってきただって…
「……パーフェクト?シルバー?」
そうか、あかりは去年の二学期に転校して来たから先輩に詳しくないんだ。詳しいのはアリア先輩だけだし。
「パーフェクトは去年解散しちゃった二年の先輩のコンビの通称。『
「い、一年の時にSランク!?そんな人たちいるんだ…!ってそのコンビ!?」
あかりは驚いてるけど、最初その事聞いた時はアタシも信じられなかったから、よく気持ちはわかる。
「2人は入試で教官を倒したらしい。伝説の2人だよ。その後の2人の直接対決の一部始終を見た生徒はあの2人は人間じゃないって言ったらしい」
「人間じゃない…それでどっちが勝ったの?」
「ゴールド、遠山キンジ先輩が勝ったらしい」
「ゴールド…なんかかっこいい…!それでもう片方がシルバー?」
「そう、北条銀華先輩。さっきも言ったけど高校一年生でSランクで中学時代はAランクだった。強襲科だけじゃなく、探偵科、
顔には出していないと思うが……アタシは北条先輩に憧れている。強いのに、優しくて可愛らしく女らしいそんな北条先輩に。
友人の誰にも言えないが秘密裏に売られている北条先輩の盗撮写真集も裏ルートを使ってゲットしている。もう1つ秘密の趣味、人形遊びで使う人形と同じぐらい宝物だ。
そんな尊敬する北条先輩を説明する声にも熱が篭ってしまい、
「そ、そうなんだ」
アリア先輩に心酔しているあかりも引き気味だな…少し熱を入れすぎたな…少し後悔するアタシに
「ちょっといいかな?」
と後ろから聞き覚えのない、強襲科では珍しい、愛らしくも凛々しい声が掛けられる。誰だこの声と思いながら振り返ると、そこにいたのは青みがかった銀髪を持つ…
「あなたが火野ライカさん?」
憧れの北条先輩であった。
写真集で穴が開くほど見た大人っぽくも可愛らしい顔、綺麗な長い銀髪、女性らしい曲線美を描いた身体。突然のことすぎてアタシはフリーズしてしまう。
「そうですけど…」
どうしてここに?それよりなんでアタシの名前を?そんな簡単なことを聞くこともできない。
「その様子じゃ蘭豹先生から聞いてないようだね」
北条先輩はアタシがフリーズしたのを見て、何も聞かされていないことを推理したようだ。
北条先輩の口ぶり的に、北条先輩が話しかけてくれたことには蘭豹が関わっているようだな。
ありがとうございます、蘭豹先生。
「火野さん。貴女これから1週間私の戦妹になったから。よろしくね」
「わかりました。北条先輩の戦妹になるんですね…戦妹…戦妹って…ええええええええええ!」
思わず出てしまったアタシの絶叫が広場内に響き渡った。
茶番注意
1位:クロメーテル
2位:ヒスキン
3位:ノマキン
「これが作者の好きなキャラランキングらしいよ」
「……って全部俺じゃねえか!」
「もうこの作者はキンジのこと全然わかってないよ!私が好きなキンジランキングはね」
1位:いつものキンジ
2位:HSSキンジ
3位:女装キンジ
「これだよ!」
「好きなキンジランキングとかいう意味不明なランキング名は置いとくとして……ヒステリアモードの俺より普段の俺の方がいいのか?」
「うん。だってずっとかっこいいより、不意にかっこいい姿見せられる方がいいじゃない?」
「……」
「照れてる照れてる」
「…好きな銀華ランキングも発表するぞ……」
「それは恥ずかしいからやめてえええええ」
茶番はイチャイチャ成分が少なかったので。
ちなみに4位はリサ、5位はメヌエットです。(ホモじゃないよ)