哿と婚約者   作:ホーラ

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ストーリー回なので甘さは少なめ(イチャイチャが多いと話進まんねん…)


第39話:潜入

「いってえ……」

 

俺は放課後まだズキズキ痛むタンコブをさすりながら、探偵科(インケスタ)の校舎を出た。

くそ。アリアめ。峰打ちとはいえポコポコ殴りやがって。

朝練はイメトレだけでは当然終わらず、峰打ちで白刃どりの練習させられたんだが、それは痛いのなんの。峰打ちは、要するに金属棒でブン殴られるってことなんだからな。

悪魔アリアにポコポコ叩かれた俺は、特訓が終わった後、天使銀華に『いたいのいたいの〜…とんでけ〜!』と幼稚な(かわいい)魔法を掛けてもらったのだが、その効果は一時的なものだったらしい。

 

「キーンジ」

 

……降臨するのは天使にして下さいよ。悪魔(アリア)がこちらに向かって、とてとて、と走ってくる。探偵科棟の前で待ち伏せしていたらしい。ちなみに天使(銀華)は、今日は衛生科(メディック)の授業に出ていて、その後戦妹の火野と訓練だとか。どこかの悪魔と違って、天使さんはお忙しいですね。

 

「言っておくが、放課後は訓練なんかしないぞ」

「まだ何も言ってないわ」

「あと強襲科(アサルト)にも戻らない。死ね死ね団(あんなとこ)に戻れってんなら、銀華も含めてパートナー解消だ。俺は2人で来年転校するまで、探偵科で平和に暮らす」

「まだ何も言ってなーい」

 

イラッ

アリアは俺の棘のある声など気にする様子もなく、バス停に向かって歩いて行く。

そして、太陽のように輝く笑顔で振り返った。

 

「でも、朝練は毎日するわよ」

 

…まあ、それぐらいは付きやってやる。

パートナーなのもあるが……思いがけないいいもの見れたしな。

いいもの。

それは銀華のチアのダンスだ。

俺がイメトレしている最中、アリアと銀華はiPodで動画を再生していた。その動画は、チアことアル=カタの模範演技ムービーだ。バンドで演奏する俺にも送られてきた。それを見た2人は…

ぴっ。

ぴっぴっ。

サマになっているダンスを始めた。

運動神経がずば抜けていいアリアは当然のこと、踊っているのなんて見たことない銀華の動きも、素人目に見ても立派なチアリーダーだった。

動きはチアっぽいのから始まり--バッババ。

武道の型の動作を入れた、勇ましいものに変わった。

ちっこいアリアがやると、チア服も合わさってキュートなんだが…銀華は違った。

 

--才能。

基礎的な型や軸がブレないのはもちろんのこと、指先の動きや表情、果ては魅せ方まで全部を完璧にこなしていた。初めて踊ったとは思えない。流れるように型を取り入れたチアのダンスをする銀華は、まるで昔からこのダンスを踊っていたかのようだった。

 

銀華がなんでもできるとは知っていたが、ここまでとは思わなかった。

俺はその新しい銀華の一部分を知れて……嬉しいと思った。

婚約者でいつも一緒にいるとはいえ、まだあいつのことは全然知ることができていない。でも、そんなまだ知らない部分を知ることは、とても喜ばしいことで……

 

「イタイタタ…何すんだよ」

「また、銀華のこと考えてたでしょ」

 

横のアリアに耳を引っ張られた。

こいつ推理はからっきしの癖に、勘だけは銀華と同等かそれ以上にいいんだよな。推理はからっきしだけど。

 

「……そんなことねえよ」

「いや。考えてたわ。朝、銀華をだらしない顔で眺めていた時の顔とそっくりだったもの」

「…ああ!考えてましたけど!」

 

俺お得意の逆ギレ。

 

「別に銀華のことなら問題ないだろ」

 

銀華なら、たじたじになるけど(というか俺に逆ギレさせることはほぼない)、アリアはそんなこと御構い無しだ。

 

「問題あるわよ」

「何が?」

「あんたはあたしのパートナーなんだから、あたしのことも一緒にいる時ぐらい、考えなさいよ」

「考えてるぞ。少しは」

「……少しって、どれぐらいよ!?」

 

そうだな……

 

「銀華とアリア比べたら99:1ぐらいで考えてるぞ」

「全体の1%しかないじゃない!」

「そう考えると1%って多いな。999:1ぐらいか?」

「もうそれ無いに等しいじゃ無い!!」

「そうだな」

「ムキー!半分とは言わないけど、もうちょっと私のことを考えなさい!9:1ぐらいで」

「へいへい」

 

まあからかってみただけで、実際はそれぐらい考えてると思うぞたぶん。ちょっと前までは、アリアのことの方が考えてたまであるし。頭を悩まされるという意味で。

 

「あ、そうだ。キンジ」

「今度はなんだよ」

「銀華って弱点あるの?」

 

山の天気や秋の空みたいに話がコロコロ変わるやつだな。

 

「なんだよいきなり」

「ううんと…朝にちょっとね。それであるの?」

「…俺に聞くってことは銀華から聞かされてないってことだな。じゃあ、俺の口からは話せん」

 

まあ、あいつの弱点と言ったら、ヒステリアモードと身内に激甘なところか?険悪だったアリアとの仲も、アリアが俺を助けたことで改善されたし、入学式の時に戦った白雪にも今は甘い。この前の理子のハイジャックの時だって、犯人がわかってるのに自分で解決せず、俺に行かせたぐらいだ。

 

「ま、一つ言えるのは完璧な人間はいないってことだな」

「あたしに弱点なんかないわ!」

「嘘つけ。お前、雷苦手だろ」

「そ、そ、そ、そんなことないっ!絶対!そんなことない!」

 

そんな慌てて否定したら、肯定したのと同義だろ。まあハイジャックの時、雷に超びびりまくってたから、誰でもわかると思うがな。

そんなこんなしながら2人で歩いていると急に。

アリアが教務科(マスターズ)の前で立ち止まった。

 

「これ見て」

「……なんだ?」

 

ビシッとアリアが指す掲示板を覗き込むと……

 

 

『生徒呼出 2年A組 探偵科・強襲科・衛生科 北条銀華』

 

銀華が呼び出しを受けていた。

偏差値75の優等生な銀華が呼び出しを受けるとは…

……まあいつものやつだろうな。

 

「教務科の呼び出しって、どうせいつもの依頼だろうな。あいつと同じぐらいオールラウンダーなのX組の一石ぐらいだし」

 

難事件と言われる事件の依頼は、名探偵と名高い銀華の元にやってくる。それも断ることができない教務科経由の依頼で。断ることができないぶん、単位や報酬は多くもらえるんだがな。3つも兼科してる銀華は中々捕まらないので、見つけるより呼び出したほうが早いと教務科は判断したのだろう。俺も何回か銀華と呼び出し食らったことあるし。

今回、俺も一緒に呼ばれてないってことは、たぶん俺が役に立たないそっち、推理系の依頼なんだろうな。俺も探偵科なのに呼ばれないのはどうかと思うが、今の俺はEランクなのでそれは仕方ない。俺はそう思ったのだが、アリアは俺と違うものを見ていたらしく

 

「違うわ。その横よ」

「横…?」

 

その横に並んでいた名前を見ると…

 

『生徒呼出 2年B組 超能力捜査研究科 星伽白雪』

 

白雪も、教務科に呼び出しを食らっていた。

…これは珍しい。

銀華と同じく偏差値75の優等生で生徒会長で園芸部長で手芸部長で女子バレー部長で、生活態度もほぼ満点な(減点はアリア襲撃事件のみ)完璧模範生の白雪が…呼び出しをくらうとは。

 

「アリア。この前のことチクったのか?」

「…あたしは貴族よ」

 

きろっ、とアリアが銀華がキレた時と同じような(あか)い瞳で睨んできた。

 

「普段のことを教師に報告するような、卑怯な真似はしないわ。バカにしないで」

 

ヘェ〜

意外にいい心がけを持っているじゃないか。

と俺が少し感心していると、アリアは口元に小さい指を当てて少し考え…

 

「キンジ、これはあの凶暴な女を遠ざける大チャンスだわ」

 

自分の凶暴性を棚どころか、天空まであげて、俺を下から見上げてきた。

 

「この件を調査して、あいつの弱みを握るわ!」

 

さっき卑怯な真似はしないと聞いて感心した俺の気持ちを返せ。

 

「弱みって…なんでだよ。白雪はあれから関わりないだろ」

「あるわよ!」

「え?」

「最近、あたしが1人だといろんな場所でドアの前に気配がしたり、物陰から見張られてる気がしたり、まるで電話が盗聴されてるみたいに断線したり」

 

……いや、まだ感覚的な問題だから……

 

「一般校区でも水かけられたり、吹き矢が飛んで来たり、落とし穴に落とされたり」

 

……いやいや、まだ偶然の可能性がある……

 

「『泥棒猫!』って書かれた手紙が送りつけられたり。ねこのイラスト付きで」

 

……偶然じゃないっぽいな……

 

「とにかく!あたしはあの女に嫌がらせ行為を受けているのよ!それに気づいてないなんてどこまで鈍感なの!」

「そうだったのか…」

「それだけだったらまだいいわ」

 

いいのかよ。

 

「このあいだなんか、女子更衣室のロッカー開けたらピアノ線が仕掛けてあったのよ!あたしが…その、とある理由によってロッカーの奥に潜り込まないと服を取れないのがわかってて、首の位置に仕掛けてあったんだから!」

 

笑えないトラップだな。

チビなアリアがロッカーに潜り込んだら、スパッか。

そんな凶悪なトラップ強襲科の3年か、諜報科(レザド)じゃないと習わないぞ。

でも、白雪は超能力捜査研究科だ。白雪が仕掛けたにしては少し妙だな。

 

「キンジ、みて。白雪と銀華が呼び出されてる時間同じよ。これは匂うわね」

 

確かに。優等生2人が同じ時間に呼び出されてるのは何かある。仮に任務かもしれないが、銀華と白雪が実践で組んだのは4対4戦(カルテット)の時だけだ。その2人を指定する任務はまずないだろう。

 

「キンジ」

 

俺を呼んだアリアは、眉をひそめていた俺に

 

「教務科に、潜入するわよ!」

 

出会ってから今までで、一番恐ろしい命令を下すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

東京武偵高はわかると思うが隅から隅まで危ない。だがその中にも、『三大危険地域』と呼ばれる場所がある、

強襲科。

地下倉庫(ジャンクション)

そして、教務科(マスターズ)

 

教師の詰所、他の普通の学校で言うならば職員室にすぎない教務科が、なぜ危険なのか?

それは簡単だ。

武偵高の教師がやばい……危険人物ばっかりだからである。

というか、この学校の先生になるって、普通じゃない大人に決まっている。

というか俺が知ってるだけでも、特殊部隊、傭兵、マフィア、噂では殺し屋だった前歴を持つ、やばい大人が大集合してる。

少数のまともな大人も探偵科や通信科にはいるが、少数派だ。

俺たちは今その教務科のダクトの中で、ある部屋を覗いている。

ここに来るまでの、ダクトの中は狭く匍匐前進で進むしかなかったのだが、アリアは邪魔になる胸がないので、ものすごく速かったとだけは言っておこうと思う。(そのことについて言ったら蹴られた)

 

話を戻すが、俺たちの覗いている部屋には白雪と銀華がいた。俺たちは呼び出された時間通りに着いたのだが、もう会話がだいぶ始まっていた様子をみるに、優等生のお二人方は早め早めの行動をしていたのだろう。いつも遅れて来る武藤とは違うな。

 

「それで星伽ぃ〜…お前最近、成績急激に落ちてるよな…なんか、あったか?」

 

女にしては低めの、白雪を呼ぶ声。この声の主は2年B組担任で尋問科の教諭、綴が、イスの上で編み上げブーツの足を組んでいる。

ぷはっと、タバコの煙を輪っか型に吹いている綴は、教師の中でもヤバイやつの筆頭である。

まず目がヤバイ。いつも据わっている。年中ラリってるみたいだ。それにあのタバコ、明らかにヤバイ草っぽい匂いするんだが、大丈夫なのかそれ。

そんなラリってる綴と向かい合ってる白雪は、少しうつむいていて、その横にいる銀華は心配そうな目を白雪に向けている。勉強に関してはあいつらいいライバルだからな。

 

「まあ、勉強はどーでもいぃーんだけどさ」

 

こら。どうでもよくないぞ。

そんなんだから武偵高の偏差値が50超えないんだぞ。

 

「それでー、単刀直入に聞くけどさぁ。星伽、もしかしてアイツにコンタクトされた?」

魔剣(デュランダル)ですか…?」

 

白雪がそう言うと横のアリアが、ピクっ、と眉を動かした。

魔剣(デュランダル)

武偵高が発信した周知メールで見ただけだが、俺もその名前は知っている。

確か、超能力を使う武偵『超偵』ばかりを狙う誘拐犯だ。

だが魔剣は、存在自体がデマだと言われている。

というのも、魔剣を見た人は誰1人としていないのだ。誘拐されたやつも、別件での失踪だったんじゃないかと言われている。忙しい銀華は超偵関係までは手が回らないらしく、デマのような魔剣関係の事件には取り組んでいないのもあるが、今じゃ真に受けるやつもいない、都市伝説のようなやつなのだ。魔剣は。

 

「それはないです。そもそも…私程度の力じゃ…」

「もっと自分に自信を持ちなよ。星伽さん」

「北条ぅももっと言ってやれよォ。星伽ぃ、アンタはウチの秘蔵っ子なんだぞー」

「そ、そんな」

 

2人に褒められて、ぱっつん前髪の黒髪の下で恥ずかしそうに視線を落としている。

 

「星伽ぃ、何度も言ったけど、いいかげんボディーガード付けろって。諜報科はアンタが魔剣に狙われている可能性が高いってレポートを出した。超能力捜査研究科だって、同じような予言が出てる」

「で、でも…」

「北条ぅ。お前の推理でもそうだろぉ?」

「公式の場では不確定な推理は言えないので、ノーコメントとさせてもらいます」

「ちっ。つれないねえ」

 

銀華の公式の場での推理は外れたことがない。プライベートで俺のことに関しては、トンチンカンな推理ばっかりしてるのだが。

 

「じゃぁ、北条ぅ。星伽を説得しなよー」

「星伽さん。友人として忠告するよ。過保護かもしれないけど、ボディーガード付けといた方がいいと思う。もうすぐアドシアードも始まるから、部外者も入ってくるし。何かあってからでは遅いからね」

「銀華さんがそんなに言うなら…」

 

なるほど。白雪と同じく銀華が呼ばれた原因はこれか。

超偵の白雪は、『魔剣』に狙われているかもとの忠告を受け、教務科はボディーガードをつけろと命じていた。

だが白雪はそれを拒否。

そこで困った教務科は白雪と共に銀華を呼びだした。

白雪と仲がいいのは銀華。そして、その銀華は身内にものすごく甘い。過保護とも言えるかもしれない。その銀華の不安を煽り白雪を説得させ、ボディーガードを付けさせるって戦法だろう。白雪も銀華に弱いしな。意外と頭回るじゃねえか教務科。

白雪がボディーガードを断っていた理由もわかる。

武偵高ではこういった警告はよく出されるが、実際にその通り襲われたことはほとんどない。超能力捜査研究科の予言なんてオカルトみたいなもんだし、諜報科はガセが多いことで有名。銀華も明言を控えてるし、しかも敵は存在すら怪しまれてる魔剣(デュランダル)

つまりこれは、銀華も言ってた通り、教務科の過保護だ。優等生で教務科の期待の星の白雪に万が一でも何かあってはいけない。なので、不確かな情報に過剰に反応して、ボディーガードを付けろと命令しているのだろう。

白雪、大人の事情に振り回されて少し可哀想だな。と思ったその時

 

がしゃん!

 

とアリアが。俺たちが部屋を覗いていた通気口。そのカバーをパンチでぶち開けた。

 

「お、おまっ!何やってるんだ!」

 

俺の制止を振り切ったアリアは

--ひゅっ!

ダクトから部屋に飛び降りて行った。

目を丸くする、白雪と綴。と俺。銀華は気づいていたっぽい。

 

「そのボディーガード、私がやるわ!」

 

着地と同時に叫ばれたそのセリフに、俺は驚きのあまりつい身を乗り出してしまい

ズルッ!

 

「う…うおっ!?」

 

ダクトから落っこちてしまった。ダクトの真下にいるアリアに向かって落ちるかと思い、目をつぶったのだが--ひょいっ。

 

「う、うわ」

「大丈夫、キンジ?」

 

俺は、俊足で移動した銀華に受け止め、抱え上げられてしまった。いわゆるお姫様だっこスタイルで。銀華に何度かしたことはあったけど、やられたのは初めてだよ。なんという被支配感。これは惚れるわ。顔めっちゃ近いし…

重いだろうから、銀華におろしてもらうと、綴は俺とアリアの顔を見て

 

「なんだぁ。ボッチとバカップルの片割れじゃん」

 

ボッチは『独奏曲(アリア)』のアリアのことだろうけど……バカップルの片割れって俺のことかよ!

 

「これは神崎・H(ホームズ)・アリア。ガバメントの二丁拳銃に小太刀の二刀流。二つ名は『双剣双銃のアリア』。欧州で活躍したSランク武偵。だけど、協調性がないせいで、ロンドン武偵局にいいところを持ってかれたマヌケ」

 

アリアのツインテールをガシガシ掴んで顔を確かめながら、アリアのプロフィールを話し始めた。

 

「い、イタイわ!それにあたしはマヌケじゃないわよっ!貴族は自分の手柄を自慢しないの。たとえそれが横取りされてもね!」

「へー。それは損なご身分だ。あたしは平民でよかったー。それでこちらは、遠山キンジくん」

 

俺の腕にちゃっかり抱きついている銀華をチラッと見ながら、俺のことはじろっと見た。

なんですか、その差別。

 

「性格は非社交的。他人から距離を置く傾向にあり」

 

思い出しつつ語る綴の頭の中には、全生徒のデータが入ってるぽい。

 

「しかし、婚約者の北条にはべた惚れで2人のペア名は非公式だが『金銀の双極(パーフェクト・デュオ)』。2人で解決事件(コンプリート)の数は3桁で、成功率は100%(パーフェクト)。強襲科の生徒には遠山に一目置いてるものも多く、潜在的には、ある種のカリスマ性を備えてるものと思われる。1人での解決事件(コンプリート)は…青海の猫探し、ANA600便のハイジャック…ねえ。なんであんた、Sランクのくせに猫探してんのさ」

「今の俺はEランクですけど…ってうわちっ!」

 

近づいてきた綴が俺のタバコに押しつけやがった。あ、ありえん!一瞬だけだったからなんともなかったが、先生が生徒に根性焼きって。たぶん俺が武偵ランク試験受けなかったこと怒ってるなコイツ。

 

「でぇー?どういう意味?『ボディーガードをやる』っていうのは」

「言った通りよ。白雪のボディーガードを24時間あたしが引き受ける!」

「お、おい」

 

なんでお前、白雪のボディーガードを引き受けるんだよ。むしろお前が敵だろ。

 

「星伽、なんか知らんが、Sランクの武偵が無料(ロハ)でボディーガードを引き受けてくれるらしいぞ」

「い…いやです!アリアがいつも一緒なんて、けがらわしい!」

 

そりゃそうだ。アリアと白雪仲悪いし。

 

「引き受けないとこいつを撃つわよ」

 

アリアはいきなりスカートから、白銀のガバメントを取り出し、俺のこめかみにごりっと銃口を当ててきた。

お、おい!武偵法9条!9条!日本の武偵は人を殺しちゃダメなんだぞ!

 

「き…キンちゃん!」

 

はわわわ!と言った感じに慌てる白雪と

 

「うわっ」

「キンジを撃っちゃダメ!」

 

と自身の胸元に俺の顔を引き寄せる銀華。

ていうか、弾じゃないけど俺にとっては同じぐらい危ない物が当たってる、当たってますよ!銀華、普通の男子高校生にとっちゃ天使だけど、俺にとっちゃ悪魔じゃねえか!

そして、計画通りといった感じに邪悪な笑みを浮かべるアリア。やはりこいつも悪魔だ。

 

「ふぅーん。これがバカップルと言われる由来ねぇ。で?どうすんの星伽は?」

 

この状況をニヤニヤして見てる綴。

そうじゃないだろ。

止めろよ、色々と。

 

「キンちゃんも私の護衛にして!24時間体制で!私も!キンちゃんと銀華さんと一緒に暮らすぅー!」

 

…………………は?




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