哿と婚約者   作:ホーラ

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日常回


第4話:3人の美女

俺たちが男たちに襲われて約1ヶ月経った6月末。俺たちは再び襲われることなく、平和……とは言えないが普通の日々を過ごしている。

目下の課題と言えば勉強が少し遅れ気味なのと、友達がいないってことか。

特に昼休み。これが意外とキツイ。

まずクラスに居場所がない。俺と銀華がツーマンセルで歩いているのを見たクラスメイトの、特に男子が俺へ嫉妬の目線を送ってくるからな。鬱陶しくて仕方ない。銀華とツーマンセル組みたいなら銀華にそういえよな。あいつだったら、頼めば組んでくれると思うぞ。

 

なのでここ最近の昼休み、俺はほとんど人が来ることがない屋上の給水タンクが作った日陰に腰を下ろしている。夏前だからちょっと暑いが我慢だ我慢。ジロジロ嫉妬の目で見られるより少し暑い方が無限倍マシだからな。

昼食を食べ終え、少しうとうとしていると…

俺の聖域(サンクチュアリ)・屋上にも誰かが来てしまった。ここからだと見えないが足音と声で何人かの女子とわかるな。

 

「遠山ってさ…」

 

あれ、俺の話をしているぞ

どこかに退散した方がいいか?でもここから動くと見つかっちまう。

フェンスを乗り越えてワイヤーで降下(リベリング)してもいいが乗り越えてる間に音とかでバレるかもしれん。

向こうからも見えてないみたいだし、大人しくしとくか。寝たふりでもして。

 

「銀華と付き合ってるのかな?」

 

付き合ってる?この前の買い物には付き合ったし、時々家での体術の稽古にも付き合ってもらってるな。一回も勝ったことないけど。

 

「2人で帰ってるの見たって人たくさんいるし、やっぱり付き合ってるんじゃない?」

「でも、銀華と遠山の距離見ると付き合っているというより銀華がアタックしてる感あるよね」

 

アタック?確かにあいつは脅しでよく身体スレスレのパンチとかを撃ってくるがな。それのことだろうな。

 

「いっそ聞いてみたら?」

「無理無理。もし聞いて、銀華が怒ったりしたら何やられるかわからないじゃん。触らぬ神に祟りなし」

 

お、すごいな。あいつ怒らすととんでもなく怖いからな。入学前の俺より危機管理能力あるぞ。

ていうか女子って陰口よく話すんだな。銀華でもあんなこと言われるなら俺とかその数千倍ぐらい悪口言われてそうだ…

 

「銀華で思い出したけど、期末テストの勉強どうする?初めてのテストだけど」

 

すごい思い出し方したなおい。銀華=勉強って繋がるってるのか。俺は銀華=女だけどな。まともに喋れる女子はあいつしかいない。というかもう直ぐ期末試験か…

 

「ノー勉でいいでしょ。小学生の時のテストみたいなもんだろうし」

「私は少し勉強しようかなって思ってる」

 

兄さんが言うには小学生の時のみんな100点の道徳的なテストと違って、順位を出すためのテストらしいから勉強しないとやばいらしい。実際の順位も張り出されるらしいし、勉強しないとな…

 

 

 

 

 

 

 

「火山の溶岩には3つの種類があって、1つは雲仙普賢岳のような粘り気が大きい火山。この火山は粘り気が大きいからあんまり地面を流れないで、ドーム型になるんだよね。粘り気が大きいから一気に溜まって爆発して、噴火の様子は激しいんだよ。2つ目は富士山のような…」

 

ということで俺は銀華に教えを請い、放課後遠山家で2人のプチ勉強会が開かれている。兄さんはまだ学校で、爺ちゃんは競馬、婆ちゃんは生花教室とかで家には2人っきりだ。家で2人っきりになるのは初めてだな。

そして、やっぱり銀華は教えるのが上手い。様々な例を交えながら教えてくれる。それも一般科目、専門科目の両方だ。

近接戦闘も強いしマジでお前弱点無いな。

弱点しかない俺とは両極端な婚約者だぞ。

そのまま2時間ほど勉強し、日が沈んで外が暗くなった頃、プチ勉強会はお開きとなった。まあ俺がずっと教えてもらうだけだったがな。

 

「キンジは後期、強襲科以外の専門科目とるつもりないの?」

 

勉強用具を片付けながら銀華がそんなことを聞いてくる

 

「ないな。強襲科で手が一杯だ。それにお前みたいに賢くないから全部中途半端になってしまう」

 

武偵として一番ダメなのは何も特化していない器用貧乏なことだ。そういう武偵はどんな場面でも活躍しにくいし、どの役割もこなしにくい。なので武偵中や武偵高では何か戦闘や通信、運転などの1つを特化させることを目標に教育をしている。

まあ目の前に例外がいるんだが…

成績優秀者であるところの銀華は強襲科(アサルト)探偵科(インケスタ)衛生科(メディカ)の専門科目を取っている。

ちょっとそのスペック分けてくれませんかね…

 

「キンジはHSS使えば賢くなるんじゃない?元々が0でなければ30倍になれば十分でしょ」

「ヒステリアモードの時限定だが、物を覚える技があることにはあるが、あれは使用を禁止されているんだよな…」

 

あの技は兄さんとキャッチボールをしている時に偶然見つけた技だが、使用を禁止されているんだよな。使えたら便利だろうに。

とそんなこというと銀華が頬を膨らませた。そんな顔をするの珍しいな。というかこの顔を見るのは2回目だ。1回目は初めてあった時の別れの時。

 

「どうしたんだ?」

「やっぱり男のHSSずるくない?私のHSSと取り替えて欲しい」

 

どうやら銀華は自分のHSSが弱くなるってことが気に入らないらしい。

まあ……そうだろうな。俺の場合強くなるからまだ許容できるが、銀華の場合HSSになることになんのメリットもない。

だけど通常時は俺のヒステリアモードかよってぐらい銀華は強いから問題ないとは思うんだがな。

 

「まあ、危なくなったらまた守ってやるからそれで勘弁してくれ…」

 

そんなことを言うと銀華はピキッと固まった。そして顔を少し赤くして下に向いた。なんだその反応は。

 

「キンジ、素面でもそう言うこと言うんだね?」

「どういうことだ?」

 

俺がそう返し、銀華がそれに返答しようとした時、

--ピンポーン

家のチャイムがなった。爺ちゃんは競馬の後は帰り遅いし、婆ちゃんも食べてくるから夜ご飯は作れないからどうにかしてっていう書き置きがあったからな、時間的に見て兄さんか宅配業者だろう。

 

「私出てくるから、キンジは片付けしといて」

「あ、ああ。わかった」

 

俺が立とうとするのを先んじて銀華が抑える。

トタトタトタと早足で銀華が玄関まで行く。

銀華がガチャリッと鍵を開け、ガラガラっとドアを開ける音がした後、

 

「どちら様でしょうか…?」

 

そんな銀華の困惑した声が聞こえた。あれ?兄さんじゃないのか?

いや、違う。

もしかして、まさか!?

(やっぱりか…)

帰ってきたのは兄さんで間違いはなかった。

 

「あら、そういえば初めましてね。私は遠山カナ。キンジの姉よ」

 

しかしいつもの男の姿ではなく、兄さんが女装した姿、カナと呼ばれる姿だったのだ。

銀華はたぶん兄さんから何も聞いていないだろうし、俺が説明しないとな。

 

「ああなるほど、キンジのお姉さんですか。これは失礼しました」

 

って納得するのかよ!

ていうか銀華は、俺の家族構成、知ってるはずだろ。

そんななぜか納得した銀華をカナはどういう構造か知らないし知りたくもない大きな胸で抱きしめた。

 

「私、ずっと妹が欲しかったのよー!可愛い妹ができて嬉しいわー」

「私も一人っ子なんでお姉さんがいるのに憧れあったんですよ。これから宜しくお願いします、お義姉さん」

「そんな堅苦しくなくていいわよ。私のことはお姉ちゃんでもカナとでも呼んでくれればいいわ」

「じゃあお姉ちゃんで」

 

銀華にお姉ちゃんと言われたカナは嬉しそうにしている。カナともう仲良くしてるのみるとやっぱり銀華、コミュ力や社交性カンストしてるだろ。

 

立ち話もなんだしということで居間に移動する。その時後ろから2人を見たんだが、マジでカナと銀華の雰囲気そっくりだぞ。本当の姉妹に見えるぞ。実際のところは姉妹ではないし、いうとしても兄妹だけどな。

居間に入るとカナと銀華が女子ぽいトークを始めてしまい、自分の家なのに居場所がねえ。などと思いつつ、しばらく黙っていると銀華が立ち上がったので

 

「どこに行くんだ?」

と俺が聞くと

「お手洗いに」

「あー…うちは和式だぞ。使えるか?」

「何回も来てるんだし知ってるよ」

 

一応アラートしてやったところ、頷きながらそういった。

そして、銀華の足音が遠ざかると、

 

「ダメよ、キンジ。自分の婚約者に気を使わせちゃ」

 

ふぅとため息をついたカナはめっ、という感じで俺の額をつついてきた。

 

「どういうことだ?」

「気づいていなかったのね、キンジ。銀華はキンジが会話に入れなくて居場所がないのを見て、キンジが私と話しやすいように席を外したのよ」

 

ま、まじかよ。居場所がねえとは思っていたけど顔には出してねえぞ。

 

「どうせキンジは顔には出してないと今思ってるでしょ。キンジは自分が思ってるより顔に出やすいのよ。ポーカーフェイスも練習した方がいいと思うわ」

 

銀華にも似たようなこと言われたな。1人ならともかく2人に言われたってことはその通りなのだろうし、直さないとな。

 

「キンジ、銀華のこと傷つけてない?お姉ちゃん心配なんだけど」

「だ、大丈夫だと思うぞ。たぶん」

 

傷つけてることはしてないと思うが、男子ならともかく女子が何言われて傷つくのかぶっちゃけわからん。

 

「銀華でHSSには?」

「……」

 

そう言われると向かいに座るカナに返す言葉はない。実際ヒステリアモードになったしな。

 

「思っていたより、ませてたのね。キンジも。でも、まだ銀華とそういうことしちゃダメよ?一応婚約者とはいえ、まだ中学生なんだから」

 

そういうことがなにを指すのか分からないが、このまま聞いてもまた問い詰められるだけなのでお口にチャック。

 

「そ、そうだ。この前銀華でヒステリアモードになった時、いつもより力が増す気がしたんだがどういうことなんだ?」

 

ヒステリアモードを医学的に一番研究してるのは兄さん、つまりカナである。兄さんの時に聞くのは弄られるのが嫌だったから聞けなかったのだが、カナモードの時に聞こうと思っていたの忘れてたぞ。

 

「ていうことはもしかして銀華もHSSを持っているのかしら?」

「あ、ああ…」

 

あまりに確定した事実のように言われ、誤魔化すことができなかった。

 

「聞いた私が言うのもなんだけど、武偵として、仲間のプロフィールを明かすことはしてはいけないことよ」

 

カナがちょっと怒ったように言う。確かにこれは軽率だった俺が悪いからな。肝に銘じよう。

 

「…それで銀華がHSSを持っているならキンジがなったHSSはノルマーレの上位派生版、ヒステリア・リゾナね」

「ヒステリア・リゾナ?」

 

ヒステリアモードには上位派生版があることは知っている。兄さんのこのカナモードも上位派生したヒステリアモードだしな。

だけどリゾナって名前は初めて聞いたぞ。

 

「ヒステリア・リゾナ。HSSを持つ男女同士がお互いにお互いでHSSになると発動するモード。HSSを持つもの同士が共鳴(リゾナンス)するように男のHSSはより強く、女のHSSはより弱くなるのよ。だいたい倍率はノルマーレの30倍の1.2から1.5倍。互いの相性やHSSの才能でこの倍率は変化するわ」

 

この前の時の倍率は45倍ぐらいな気がしたし、相性が良かったのかもな。

 

「HSSは血が近すぎると発動しにくいし、かかりが悪い特性があるから、兄妹とかではこのモードは発動しない。だからこのモードは夫婦のHSSと言われているわね」

 

確かにこのリゾナがあるのならヒステリアモードを持つもの同士が夫婦になるのは普通の考えであろう。男性は当然にしろ、女性も強い男性に守ってもらえるんだからな。

 

「リゾナの副作用とかはあるのか?」

「ないわね、ノルマーレの強化版と思ってくれればいいわ、あと…」

 

カナが言うか言うべきか迷うような仕草をしている。カナがそんな仕草見せるの珍しいな。

 

「あんまり銀華を怒らせない方がいいわよ。特に女性関連で」

 

確かに銀華は怒らすと怖いからな。だが女性関連というのはどういうことだ?カナはこれで終わりという顔をしているし、聞くこともできん。

そんな空気が少し続いたがその静寂を破ったのは

 

「お茶いれたいんだけどお茶っ葉どこにあるの、キンジ?」

 

お手洗いから帰ってきた銀華であった。お茶っ葉は台所の棚にあるのだがいささかわかりにくい位置にあるからな。たぶん知らないとわからん。

 

「ちょっと待ってろ」

「お姉ちゃん、キンジ借りるね」

 

俺が立ち上がるのを見てそういう。

カナがその言葉に手を振り返す姿を後ろ手に、俺たちは居間から台所に向かう。

2人っきりになった今、兄さんの説明するチャンスだな。

 

「銀華、そのだな。カナはな…」

「お兄さんの女装した姿でしょ?」

「………流石だな…」

「流石って褒められることはしてないよキンジ君。これは初歩的な推理だしね。見た目は別人だけど身長や体重はお兄さんと一緒で変わってなかったから見分けるのは簡単だったよ」

 

言葉と違い、鼻高々という風に銀華がそう言う。だけどいまの話に気になる点がある。

 

「身長はわかるにしろ体重はどうやってわかったんだ。武偵は身体的な情報を公開しないものだし、それ以前に初めてみるカナの体重なんて知り得ないだろ?」

 

いかに銀華が優秀であろうとみるだけで人の体重をわかるスーパーコンピューター並みの頭を持っているとは思えない。

 

「別に難しいことはしてないよ。この程度の初歩的な推理できて当たり前なんだから」

 

初歩的な推理とまた来たか。これは武偵のイメージとなるほど有名な名探偵、シャーロック・ホームズの口癖だぞ。銀華はホームズの口癖をよく使うし、もしかしたらファンなのかもしれんな。

 

「どうしてお兄さんとカナが同一人物だとわかったか、順に説明してあげるよ。キンジは私がお兄さんの体重の情報を持っていない筈と言ったけど、それは間違い。人は常にたくさんの情報を発信しながら動いている」

 

探偵のような口調で、銀華が俺に読み聞かせるように語る

 

「まずは足音」

 

足音…?

 

「鍵を開けて家に入る時の足音の響き方からお兄さんと同じぐらいの体重とおおよそわかる。身長は見たまんまだよね。だけどまだこれだけじゃ女の人かもしれないし、最初私もそう思ってた。次の情報は手」

 

手…?

 

「手の大きさなどは変えれないものだし、男性と女性では大きな差があるんだよ。女性は人差し指が薬指より長いけど、男性は薬指の方が人差し指より長いことが多い」

 

ほらっという風に銀華は手を見せてくるが、本当だ、人差し指の方が長い。一方俺の手は薬指の方が長い。こんな簡単な男女の差があったとはな。

 

「これだけじゃまだ8割ぐらいで、確定まではしなかったけど、お兄さんと同じような足をあんまり上げなくていつでも回避できるような歩き方で9割、抱きつかれた時に昔の銃特有の火薬の匂いで9割9分。キンジのお姉さんと言われてもキンジが別に困惑をしてないのをみて確信したって感じかな。姉がいないってことは知ってたしね」

 

やっぱり頭いいな、銀華は。ちょっと回りくどい感あるが。

それから2人で3人分のお茶を入れ、居間に戻って座った時、

 

「そういえばキンジは女装しないの?」

 

と銀華が悪魔のような質問をしてきた。

ないないないない!俺にそんな女装癖なんてものはないぞ。絶対に女装なんかしないからな!

 

「考えつかなかったわ…そうすれば妹が2人に…フヒヒッ」

「キンジも女装すると絶対美人さんだと思うんだよ〜」

 

ってカナもその気だし、これはまずい。このままではこの変態姉妹からへんなことを仕込みかねない。それこそ女の喜びみたいなものを。そうなる前に逃げるしかない!

(あれ?)

いつの間にか足が机の下で銀華の足によってロックされている。

 

「逃げられると思った?」

「女の子の気持ちがわからないなら一度女の子になればいいのよ、キンジ」

 

妙に笑顔で俺をロックしている銀華と、何処からか取り出したのかすでにロン毛のズラを手にしているカナの変態姉妹。

 

「やめてくれえええええ」

 

そんな悲鳴が部屋に響き渡るがそんなことで2人は止まるわけもなく……

 

 

 

 

 

10分後

 

「うわぁ、マジでキンジ美人さんね。才能あるよ。たぶん女装の神に選ばれし人だよ」

 

なんなのその神。

 

「妹が一気に2人に…人生で一番嬉しいわ」

 

兄さんのこれまでの人生、もっと嬉しいことなかったんか。

 

「………」

 

気分を害した俺がうなだれるが横で盛り上がる2人。カナに着替えさせられてなんと昔カナが着ていたスカートまではかされてる。

ウィッグ取ろうとしたら2人とも銃で脅してくるし、どうすることもできん。

手鏡で自分の顔を見せてくるが、見えますよ。少し目つきの悪い黒メーテルが。

 

「お姉ちゃんみたいな名前どうするのキンジ?」

「いらん。こんな黒メーテルみたいなのに会う名前なんか思いつかんしそもそもいらん」

「じゃあクロメーテルでいいんじゃないかしら」

 

カナも雑だなおい。まあ金の読み方を変えてカナって名前にした時から名前つけるのは雑ってわかってたことだけどさ。

 

「はい、じゃあクロメーテル。女の子同士稽古しましょう」

 

2人に銃を突きつけられ、姿見の前まで連行されたキンジ改めクロメーテルさんはー

うっわ、目をウルウルさせてて超かわいい。死にてぇ。

 

「はい、笑顔」

 

……こうかな?うわ、クッソ可愛い。

 

「はい、恥らう仕草」

 

…こ、こう?なにこの美人さん。自分でドキッとしちゃったよ。

というかこれ極めれれば女性との接触なしにもヒステリアモードになれるんじゃないのか?なれたらカナさんと銀華さんとで姉妹婚約者でキャッハウフフだね。おっと衝動的に舌を力いっぱい噛みそうになった。

 

 

 

その後2人にいろいろやらされた後、ようやく解放された…疲れた…

 

「キンジ本当に美人さんだったね。驚いたよ」

「本当にお前のせいで酷い目にあったんだからな」

 

ゴメンゴメンと銀華は笑っているが俺的には笑い事じゃないぞ。婚約者を女装させて喜ぶって業が深すぎるだろ。一般的な婚約者がどんなんかわからないけどさ。

 

「キンジは女装ではHSSにならないんだね。まあなったらなったで自信無くしちゃうけどね」

「どういうことだ?」

「だって普段こうやって接してるのに、キンジがHSSになったのはあの時の1回でしょ?キンジがもし女装するだけでHSSになれるなら私に魅力がないってことじゃない?」

 

確かにお前の前でヒスったのは1回だが、あの後お前で何回か思い出してヒスったんだがな。だがそんなこと言うことはできん。

 

「お前でヒスらないうちはクロメーテルではヒスることはないと思うぞ」

 

たぶん。

 

「お、嬉しいこと言ってくれるじゃんキンジ」

「まあ一応婚約者だしな」

 

 

そんなことを銀華と話しながらカナが作る夜ご飯を待つのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




みんな大好きクロちゃん

クロメーテル
原作16巻初出、キンジの女装した姿。各国にファンサイトがあるほど人気であり、武偵高に一時期在籍していた。そのためクロメーテルがいなくなった後、武偵高ではクロロス(クロメーテル・ロスト)という言葉が流行語となった。
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