哿と婚約者   作:ホーラ

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第57話:夢幻

はっ--

と窓から差し込む朝日で目が覚めた。

……

状況を理解するのに数秒かかるが……おいおい

 

夢オチってやつか?本当に

 

 

俺はPCの前で寝てしまっていたのだ。ディスプレイにはリコが作ったFlashの『Replay?』という文字が表示されている。

俺は理子に兄さんのことを教えて貰えるという時間まで仮眠でもしようかと考えた?

そのことを考えすぎて、夢の中でカナに会ったってことか?

夢の中でカナに不可視の銃弾で切断されたワイヤーを引き出すと、切れていない。が、ワイヤーが交換されたのかもしれない。

(でも、アリアを殺すって…!)

俺は立ち上がるとアリアがいる寝室に急いで向かう。

そこでは…すぴー。

2段ベッドの上の段でアリアはムカつくぐらい気持ち良さそうな顔で寝ていた。

 

「キンジ、そんなに慌ててどうしたの?」

 

寝室の扉から少し驚いたような声がする。

 

「い、いや。なんでもない」

 

俺は不思議そうに首をかしげる銀華にそう答えた。その銀華の膝や肘などに擦り傷のような戦闘の傷があった。

 

「銀華、それよりその怪我どうしたんだ?」

「あ、こ、これね。階段で転んじゃって。大したことじゃないよ」

 

俺でもわかる明らかな嘘を吐いてきた。

お前、この前階段で転びそうになっても、そのまま床思いっきり蹴って前方宙返りしてただろうが。

 

「そうか…ならいいが…」

 

俺はそう言い残し、びっしょりと気持ち悪いほど掻いていた寝汗を流すためにシャワーに向かった。

…そうだあれは夢だったんだ。

武偵法9条。

『武偵はいかなる状況において、その武偵活動中に人を殺害してはならない』

武偵のカナが誰かを殺すなど言うわけがない。

カナは誰よりも優しい人だった。

1人の死者も出さずに解決しようとする人だった。

そしてそれができるだけの実力を持つ人だった。

カナと共に戦って、殉死した武偵はいない。

そんな兄さんが、アリアを殺すなんて言うわけがないんだ。

それにカナは『これから一緒にアリアを殺す』と言ってきた。

これからということは、昨夜のことだろう。つまり、もうその時間を過ぎている。

カナは自分が宣言したタイムリミットを超過したことはない。そしてアリアはまだ生きている。

だからあれは、悪い夢だったんだな、たぶん。

 

銀華が作った飯を、制服(今日から夏服)に着替えたアリアと共に食いながら、さりげなく昨日のことを聞いてみる。

 

「昨日の夜?あんた、あたしが帰ってきた時にはパソコンの前で寝てたわよ」

 

などと毎日の習慣、大量の牛乳に大量の砂糖を入れたものを飲みつつ答えてきた。

 

「私が帰った時もそうだったよ」

 

銀華がそう付け足すし、あれは本当に夢だったんだろうな。

 

「おい、銀華、アリア」

「ん?」

「なに?」

「学校一緒に行くぞ」

 

俺は弾が入ってるのを確認したベレッタをホルスターに収めながら、初めてアリアを登校に誘った。

 

「…なによ。あんた達のイチャイチャ空間にあたしが入っていいの?」

「私はまあいいけど…」

 

何か意味があると汲み取ってくれた銀華は少し不服そうだが許可してくれた。銀華の許可を得たアリアは少しかろやかな動きで自分の通学鞄を持つ。

 

「2人ともちゃんと帯銃したか?」

 

俺がそう尋ねると2人とも目を丸くして、2人ともスカートからガバメントとベレッタを取り出しクルッと回して見てた。

 

「当たり前だよ、キンジ」

「キンジにしてはいい心がけよ。武装確認はいい習慣よ」

 

うるさく鳴くセミの声が降る中、俺はチャリを漕いでいる。後ろにはこの自転車の持ち主で、横向きに座る銀華。並走するのは、マウンテンバイクを買ったと自慢していたアリアだ。

バスに間に合う時間だが、今朝はいつもアリアが普段登校してるルートはなんとなく避けたかった。心の中でまだあの夢が引っかかっていて。

 

「たまにはこういうのもいいね」

「……あたしは甘々な雰囲気にもういいわってなってるけど」

 

後ろで俺の腰に腕を回してる銀華とやれやれというふうに首を振ってるアリア。

 

「まあ、いいじゃない。武偵高では忘れがちだけど、武偵は敵の攻撃に備えるために、いつも同じ道を歩かないようにするのがセオリーでしょ?」

「そういうことじゃないわ。あんた達どうせバスでも自転車でもイチャイチャするでしょ!」

 

そう、キャンキャン叫ぶアリア。

と言われるが、久しぶりに銀華と学校に行く気がするな。まあ、こいつは普段アリア達と違い、大人しく自分の家で暮らしてるからな。通学路が微妙に違う。普段は銀華は車登校だしな。

 

「でも、キンジにしては珍しいわね。武偵らしいというかなんというか…やっとあたしに合わせる気になったわけ?何かきっかけでもあった?」

 

カンのいいアリアが後ろから尋ねてくる。後ろの銀華も少し気になっていたようで、聞き耳を立てているのがわかる。

どう答えるか…

アリアが殺される夢を見たからっていうのは…あれだよな。

 

「それは…その。俺と銀華はお前のパートナーというよりパーティーだろ?当たり前のことをしてるだけだ」

 

そうアリアの方を向いて適当に答えておくと、そのツリ目気味のおめめを瞬かせ、

 

「そうね…そうね」

 

とテンションが上がったらしくビュンと先に漕いでいってしまう。おい、そんな早く行くな。こっちは2人乗りなんだからそんなスピード出ないんだぞ。

俺がパートナーらしく振る舞うのがどんだけ嬉しいんだよ。

 

俺とアリアはチャリを一般校区の自転車置場に停め、3人で歩いていると、教務科からの連絡掲示板の前に人だかりができているのが見えた。

その中に--見覚えのある後ろ姿があったので、俺は足を止め、銀華は眉を顰める。

白銀の銀髪を持つジャンヌ―――ジャンヌ・ダルク30世だ。

見れば、なぜか松葉杖をついている。どうしたんだ一体?

 

「ジャンヌ」

 

俺の視線を追って発見したらしいアリアが、その名を呼ぶ。

ジャンヌはその銀髪をなびかせて振り返り、俺を見て『こっちにこい(フォロー・ミー)』と手招きした。

アリアが先にズカズカと近づいていったため、俺もついて行く。

 

「あんたが武偵高へ()()してたのは知ってたけど、案外似合うじゃない、制服」

 

身長と合わないでかい態度でジャンヌにイヤミを垂れるアリア。

そのアリアに対してジャンヌは「プイっ」とそっぽを向いた。

 

「私は遠山に用がある。お前には用はない」

「こっちにはあるの。ちゃんとママの裁判出るのよ?」

「……ああ、分かっている。それも司法取引(とりひき)の中にある条件の一つだからな」

 

アリアの母親、神崎かなえさんはジャンヌが所属しているイ・ウーに冤罪を被せられ、今東京拘置所で最高裁の裁判を待っている状態。

彼女は事実上終身刑を言い渡されているが、その無実を一つずつ証明できれば、無罪になる可能性も高くなる。

その可能性が上がる証言の約束を取れたアリアはニンマリと笑い、

 

「いまは、怪我してるみたいだし、いじめるのは今度にしてあげるわ」

 

と勝ち誇って平たい胸を張ってみせた。

 

「私は今すぐにでも構わないぞ?」

「じゃあ、私と()らない?」

 

イラっとしたらしくちょっと喧嘩腰になったジャンヌを挑発する声。

 

「お、おい。銀華」

「キンジは黙ってて」

 

普段は温厚(?)だから忘れていたが、こいつ敵には容赦がないんだった。銀華は氷漬けにされた恨みを忘れていないのだろう。

……というか、銀華にしてはちょっと好戦的な気がする。気のせいかもだけど。

 

「足一本ぐらい、ちょうどいいハンデだ。お前には使うまでもなかったが、この杖には聖剣デュランダルが仕組んである。お前を今度は真っ二つにしてやろうか?」

「何言ってんの?今度は私が両足を折って動けなくする番でしょ?」

 

と銀髪の2人がばちばちと赤い火花を散らし始めた。こいつらがこんなところでこんなことしてたら、銀華とジャンヌの殺気で、白雪と銀華が引き起こした血の一週間よろしく心的外傷後ストレス障害(PTSD)を撒き散らしかねん。

 

「こ、こら。朝っぱらから喧嘩するな。というか、ジャンヌ…お前足どうしたんだよ」

 

話題を逸らしつつ、ジャンヌに話しかける。それと同時に銀華の頭を撫でることにより、銀華のヒートアップした頭を冷やす。

頭を撫でられた銀華は殺気を放つのを止め、ジャンヌは砂糖を食べたような顔になった。

2人とも殺気が消えて、助かった…

 

「虫がな…」

「ん?」

「道を歩いてたら、コガネムシのような虫が膝に張り付いたのだ」

「コガネムシ?」

「私は驚いてな。道を踏み外し側溝に足がはまった」

「……」

「そこをちょうど通りかかったバスに轢かれたのだ」

「…おい…」

「全治2週間だ」

 

い、いかん。あの。イ・ウーの。銀氷の魔女が…虫に驚き、側溝にはまり、バスに轢かれて全治2週間なんて。さすがに……

 

「…そりゃ気の毒にな…プッ」

「それは残念ね…アハ」

「お気の毒…フヒ」

「お前達、氷漬けにしてやろうか…」

 

笑いを堪えるなんて無理だろ。

あのジャンヌが。俺たちを苦しめたジャンヌが。虫に驚き、側溝にはまり、バスに轢かれて全治2週間なんて。

 

「あのジャンヌが…虫に驚…」

「もう私のことはいい!今度はお前のことを笑う番だ、遠山。掲示板にお前の名前があったぞ」

 

とジャンヌがさした掲示板に目を向けた。

そこには『1学期・単位不足者一覧表』と書かれた張り紙がサバイバルナイフで留めてあり、その中に…

 

『2年A組 遠山金次 専門科目(探偵科(インケスタ)) 1.9単位不足』

 

と書かれていた。まあ単位が足りないこともあるよな…でもまだ時間があるしって……

不足単位1.9!?

武偵高もこんなんだが、一応日本の高校であるので、文科省の学習指導要領に則り、単位を取った生徒でないと進級できない。

で、二年生は二学期の始業日までに2単位を取らないと留年なのだ。

だが、俺は猫探しの0.1単位分しかまだ探偵科の単位を取っていない。主にアリアに付き合っていたせいで。

やばい。

また俺は、平凡な人生から一歩かけ離れてしまったのだ。

というか、武偵高さん。ハイジャックとか魔剣とか吸血鬼とかいろいろ解決してるんだから大目に見て欲しいよ…

 

「何やってんの、キンジ……」

「キンジ留年するの?バカなの?」

 

俺のことを優等生(Sランク)の2人が笑うのを通り越して、呆れて物が言えないという目で見てくる。

 

「どうやらお前は劣等生のようだな。だが安心しろ」

 

とジャンヌは隣の掲示板を指差すと……そこには『緊急任務(クエスト・ブースト)』と書かれた張り紙があった。

そうだ、この手があった。

夏季休業期・緊急任務。

武偵高では残念なことに生徒の単位不足がよく起こる。なので、学校側が休み中に解決するべき任務を割引価格で沢山受けてきてくれるんだ。

報酬金はまずいが、単位は美味い。背に腹は替えられないぞ。

 

「銀華はいつも通り、実家だよな?」

「うん、ごめんね。手伝えなくて」

 

銀華に手伝って貰えば、推理系の事件は一瞬で解決するのだが…銀華は毎年夏季休業期は、()()に帰る。これは俺の問題だし、俺だけでやるしかあるまい。

 

『港区 大規模砂金盗難事件の調査(探偵科、鑑識科(レピア))』

『港区 工業用砂鉄盗難事件の調査(探偵科、鑑識科)』

『港区 砂礫盗難事件の調査(探偵科、鑑識科)』

 

どれも銀華がいれば一瞬で終わりそうだが、そもそも銀華はいないし1.9単位に届かない。

というか砂系の物盗まれすぎだろ、港区。

 

『港区 カジノ「ピラミディオン台場」私服警備(強襲科(アサルト)、探偵科、他学科も応相談)』

 

……1.9単位。

 

「これだ!」

 

俺と…横から顔を寄せてきた銀華は、詳細を確認する。

要帯銃もしくは帯剣。必要生徒は4名。女子を推奨。被服の支給あり。

1.9単位とれる仕事はこれしかない。だが…この仕事に銀華は難色を示した。

 

「この仕事はなるべくやめといたほうがいいと思うな」

「カジノだからか?」

 

カジノは日本で近年合法化された合法ギャンブルの一つで、武偵がよく雇われる。だが、ほぼトラブルは起こらないので武偵業界じゃ『腕が鈍る仕事』とバカにされる。銀華はそれを心配したのだろう。だが、普通の人間になりたい俺にとってはちょうどいいんだ。

 

「ううん……そういうわけじゃないけど……」

「いつもの勘か?」

「そういうわけでもないけど………」

 

と歯切れが悪い。

 

「俺は1.9単位取らなくちゃいけないんだ。この任務で前半ちゃんと単位を取りきれば、後半お前に構ってあげれる時間も増えるだろ?」

 

夏休み後半は帰ってくる銀華にそういうと、まだ、『ううん…』と悩んでる様子だったが、諦めたのか

 

「じゃあ、頑張ってね…そして気をつけて…」

 

そう、忠告だけするのだった。

 

 

5時間目の専門科目の時間、真面目に授業を聞いている俺の耳元に聞こえてきた

「みぃ……」

という子猫のような声。その声に振り向けば、俺の隣で峰理子が爆睡している。

今のは寝言らしい。

ちなみに銀華は今日は強襲科の授業を受けている。まああいつは探偵科の単位は卒業まで取り終わっており、授業免除されてる超優等生だからな。

銀華もいないし、理子のことでも考えてアリアや兄さんのことから現実逃避するか…

この前のブラド戦を終え、理子は普通の女子として接してくるようになった。

ハイジャックでは俺に拳銃を向けた理子。戦う時は獣のような目をする理子。そして--ただのおバカなクラスメイトの今の理子。

どれが一体本当の理子なのか。

いや違うな。

どれも本物で幾つもの顔を持ってる理子が本当の理子なのだろう。

まあそう思うことで、敵だった理子とも普通に会話ができるようになってる。

ここじゃ聞けないが兄さんのことも改めて聞かないとな。と思っていたら、いきなり、にょい、と席を立った。

 

「どこ行くんだ?」

「…ちっち」

 

起きたと思ったらすぐにトイレかよ。赤ちゃんかお前は。

でかいクマさんのストラップがついた携帯を手に『眠れる森の美女』のテーマをハミングしながら堂々と教室を出て行った理子を、なんで武偵高の教師になれたかわからないぐらい気の弱い高天原ゆとり教諭が涙目で見てることに気づき、不憫に思い、教科書に視線を戻す。

俺はちゃんと勉強してるんで、これ以上は単位を落とさないでくださいね。

今日の授業のテーマは、シャーロック・ホームズ。アリアの曾祖父だ。

彼は19世紀末にイギリスで活躍した人で、世界を股にかけ解決した事件は数知れない。文句なしで史上最高の名探偵だ。

さらに彼は史上最高だけじゃなく、史上最強の名探偵とも言われている。

彼はバリツと呼ばれる武術を使い、俺たち武偵の原型となった、偉大な存在であるのだ。

まさに、先の時代に生きた掛け値無しの天才。

(まあ子孫はあれ(アリア)だけどな)

とアリアのことを考えた俺の隣に……音もなく。

 

「キンジ」

 

理子が戻ってきていた。

その表情はさっきと違い、獣のような顔。

これはハイジャックの時に見せた『武偵殺し』、裏の理子の方の目だ。

ホワイトボードに先生が図を描いてるのを見た理子は、ガッ。

俺のネクタイを掴み、喉を指で押さえ、声を出せなくしてきた。

 

「---ッ!?」

 

さらに俺のベルトを掴み、すでに開けてあった窓から、俺を投げ捨てた。

 

「!」

 

ビィーと俺のベルトのワイヤーが落下速度を和らげ地上に着地した俺。

なんだ?何が起きているんだ!?

スタンッ!

とワイヤーも使わず、スカートを翻しながら降りてきた理子が、とんでもないことを耳打ちしてきた。

 

「強襲科にすぐ迎えキンジ!武偵高の掲示板に書き込みがあった。アリアと銀華がカナと闘っている!」

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

「あなたが神崎アリアね」

 

強襲科で訓練してたあたしはいきなり話しかけられた。あたしに強襲科(ここ)で話しかける人なんて、戦妹のあかりか、キンジと銀華ぐらいしかいないのに。

不思議に思ったあたしは振り返るとそこには…

 

「どうも、はじめましてかな。あたしはカナよ」

 

カナがいた。理子がこの間、紅鳴館に行く時化けてたキンジの知り合いで……あの時キンジが一目見ただけで動揺した女。

 

「あんたがいきなりあたしに何の用よ」

 

カナは札幌武偵高(サッコウ)の服を着ていた。もしかしたらそこの生徒?でも、なんで札幌武偵高のカナとキンジに繋がりが?

 

「貴女と闘いたくてね?」

「ほぅ…あたしとね」

 

強襲科(ここ)で対等にあたしと戦える人は銀華しかいない。そんなあたしに喧嘩を売りに来るなんて…なかなかやるじゃない。

 

「本当にいいの?泣いても知らないわよ」

「逆に子供みたいに泣いちゃわないでね。私に負けて」

 

この女……あたしを子供扱いするなんて…!

いっぺん風穴空けないと気が済まないわ。

そう、意気込んでいた私とカナの後ろから凛々しい声が放たれた。

 

「アリア、カナ。私も交ぜてくれないかな?」

「銀華…なんであんたが入るのよ!」

「私もちょっとカナと()る理由があってね」

 

銀華の目はカナを睨みつけていた。銀華があんな睨みつけるなんて…もしかして、カナはキンジの元カノ!?だから銀華が憎んでいる。そう考えれば一応筋は通るじゃない!

ったくあの女ったらしは…銀華だけじゃなく、こんな綺麗な元カノがいるなんて……許せないわね。

 

「あたしはいいわ。あんたは?」

「大丈夫よ」

「じゃあ私とアリア対カナの2vs1で」

「はあああああ!?」

 

2vs1!?ここは1vs1vs1のバトルロイヤルでしょ?こんなのカナが許すわけ……

 

「いいわよ、それでやりましょう」

「……あんた、バカなの?」

 

あたしも銀華もSランク。もともと知り合いのような銀華は勿論のこと、あたしのこと知ってたカナが知らないはずがない。直感的にカナが強いのはわかるけど…銀華があたしと組むほどなの?

 

「私は先に闘技場向かってるね」

 

そう言ってカナはスタスタと、強襲科の施設の構造を完全に理解してるような足取りで先に向かってしまう。

 

「アリア、気をつけなさい」

「何をよ……?」

「カナは強い。2vs1だからって油断しないこと」

 

そう言う銀華の目は片目があたしと同じ紅色に染まっており、本気だということがわかる。

 

「…あたしが油断するわけないでしょ!」

「じゃあよろしく頼むよ、()()()

「任せなさい、()()

 

あたしと銀華。実は初めてのツーマンセルのペアがここに誕生した。




次回はカナvs銀華+アリア
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