そのためメーヤのことちょっと悪く書いてるので好きな人すみません。
第8話:宣戦会議
「レキ晩御飯食ってくか?」
朝から任務が同じだったレキにそう声をかけると
こくん
と頷いた。
その答えを受けると俺は銀華に『晩飯1人分追加できるか?』
と連絡を送ると……
『既に大所帯だから大丈夫』
と返信がきたのだが…4人家族なはずなのに大所帯ってどういうこと?
アリアたちが棲みついた武偵高の男子寮、そしてみんなに竪穴式住居とか馬鹿にされてたアパートという過去の俺の家たちと比べて格段に住みやすく広いマンションに帰ってきてインターホンを鳴らすと………
シャンシャンシャン
室内から小さいシンバルを鳴らしているような音が聞こえてきたぞ。
なんか覚えがあるな…
ガチャっと開いたドアから俺たちを出迎えたのはーー
「お父さんおかえりーー」
俺たちの次女、
「ただいま…………その下の人形はなんだい?」
足元には小さな砂金人形たちが音楽隊みたいにミニシンバルを鳴らして歓迎ムード。ということは……
「おお、キンジ。まーだ生きておったか。運のいい男ぢゃの」
「おかげさまでな、パトラ」
俺の義理の姉となったパトラがいるよなそりゃ。
「……でこの砂人形は?」
「パトラ
褒めて褒めてという感じで亜金が言ってくるのだけど、うちの子4歳強で砂人形作れるようになったの?天才じゃん。将来が末恐ろしい…
「亜金はやっぱりすごい子だ……それでお母さんは?」
「ご飯作ってる!それに今日はいっぱい人がいる!」
亜金の頭を撫でてやりながら聞くとやはりいっぱい人がいるらしい。
履き物が俺とレキ含めて12足もある。
俺の家族4人・レキ・パトラでも6足だ。
残っているのは黒いブーツ、ハイヒール、似たような靴4足。
わかりやすすぎる。残念なことに全員わかっちゃったよ。
亜金につれられリビングに入ると…
「よお、遠山。今は北条か。ケケケ」
「ご機嫌よう。いい夜ね」
「きひひ、キンジ。おかえりネ」
黒髪おかっぱ頭に右目に鉤十字マークの眼帯をしたカツェ。
黒いゴスロリ服のヒルダ。
中華風の服を着たココ4姉妹。
そいつらがリビングでくつろいでいた。
ナチスの残党・
なんで昔から俺の家はやばい奴らの溜まり場になるの?
「パトラ・カツェ・ヒルダ・ココって…昔の
「『イ・ウー同窓会』だよキンジ。いや『イ・ウーリユニオン』かな?」
とキッチンから言ってくるエプロン姿の銀華。
わざわざ『イ・ウーリユニオン』って言いかえるってことは…確実に
「じゃあ、私『あの子達』を迎えに行ってくるから。キンジは美銀たちと遊んでて」
美銀とは俺たちの長女である。
「お父さん、鬼退治した話また聞かせてーー!」
「亜金は金色の狼さんが聞きたい!」
鬼退治で鬼ヶ島に乗り込んだのも金色の狼さんとロケットの外装で戦ったのもフィクションじゃなくてノンフィクションだ。
昔話があまりに遠山家すぎる。
そんな俺にカツェがニコニコしながら話しかけてくる。
「なんだよカツェ」
「なあ遠山。このメンツだと思い出すなあ」
「……ああ、いやでも思い出すよ。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「ーー『
極東の地、旧同盟国・日本の浮島で始まった宣戦会議。その口火をいけすかない研鑽派で今回の進行役のジャンヌダルクが切った。
「初顔のものもいるので、序言しておく。かつて我々は諸国の闇に自分達を秘しつつ、各々の武術・知略を伝承しーー求めるものを巡り、奪い合ってきた。イ・ウーと共にその争いは中止されたが…崩壊と共に、今また、砲火を開こうとしている」
これはアイツ、超々能力で作ったであろう『
その言葉聞くと、アタシの前に立つ…
「皆さん。あの戦乱の時代に戻らない道はないのですか」
「バチカンはイ・ウーを必要悪として許容しておりました。高い戦力を有するイ・ウーがどの組織と同盟するか最後まで沈黙を守り続けたことで誰もがお互い手出しできず…結果として、長きにわたる休戦を実現できたのです。その尊い平和を保ちたいと思いませんか」
相変わらずこの女はキモい。
複雑に政治・宗教・民族が絡まり合ってるこの世界でそんなことができるわけねえだろうが。
ちらっと見るに、メーヤが嫌いなパトラも紅華もキモすぎて顔を顰めている。
「私はバチカンが戦乱を望まぬことを伝えに、今夜ここへ参ったのです。平和の体験に学び、皆さんの叡智をもって和平を成し、無益な争いを避けることは」
「できるわけないだろうが、メーヤ。この偽善者め」
アタシは思わず突っ込んでしまう。この女、胸にばっかり栄養いって頭に栄養がいってないんじゃないか?
「おめェら、ちっとも休戦してなかったろーが。デュッセルドルフじゃあたしの使い魔を襲いやがったくせに。どの口でぼざいてやがる」
「黙りなさいカツェ=グラッセ。この汚らわしい不快害虫。お前たち魔性のものは別です。存在そのものが害悪。存在させておく理由が、旧約・新約・外典含め聖書のどこにも見当たりません。しかるべき祭日に聖火で黒焼きにし、粉に粉砕し、川に流す予定を立ててやってるのですから、ありがとうと言いなさい!ありがとうと!ありがとうと!」
あたしの首を絞めてくるメーヤだがそうだよ!そう来なくっちゃ!
「ぎゃはははははは!そうだ戦争だ!待ちに待ったバチカンとの戦争だぜー!こんなチャンス逃がせるかってんだ!なあヒルダ!」
「そうねえ、私も戦争大好きよ。いい血が飲み放題になるし」
「ヒルダ、一度首を落としてやったのに、しつこい奴ですね」
「首を落としたぐらいで
ヒルダが首落とされたぐらいで死ぬわけねえだろ。本当にメーヤはバカだな。
「和平とおっしゃいましたかメーヤさん?それは非現実というものでしょう。元々我々は長江のように永きにわたり、黄河のように入り組んだ因縁や同盟のよしみがあったのですからねえ」
そういうと藍幇の眼鏡は風力発電機の翼に腰掛けるウルスの女・レキを見上げる。あの様子を見るに藍幇はウルスにビジネスの邪魔されたぽいな。
「私もできれば戦いたくない。しかしいつかこの時が来る事は前からわかっていたことだ。シャーロックの薨去と共にイ・ウーが崩壊して、再び乱戦に陥ることはな。だからこの『宣戦会議』の開催も彼の存命中に決まっていた。大使たちよ。我々は戦いを避けられない。我々はそういうふうにできているのだ」
ジャンヌはちらっと紅華を見ながらそう宣言する。まったく…アイツがリーダーになればイ・ウーは存続したのに。まあ…アタシは退学してるし、戦争したいからどっちでもいいんだけどな、けけ。
「では古の作法に則り、三つの協定を復唱する。
第一項。いつ何時、誰が誰に挑戦することも許される。戦いは決闘に準ずるものとするが、不意打ち、闇討ち、密偵、奇術の使用、侮辱は許される。
第二項。際限なき殺戮を避けるため、決闘に値せぬ雑兵の戦用を禁じる。これは第一より優先される」
代表者による決闘とはいうが、藍幇なんてアリンコみたいにいてキリがないんだし、いざとなったらドカーンって一気に殺すに限るな。
「第三項。戦いは主に『
続けて宣言を募るが、まず、私たちイ・ウー
当然。
「バチカンはもとよりこの汚らわしい眷属どもを滅する『師団』。殲滅師団の始祖です」
「ああ、アタシは当然『眷属』だ。メーヤと仲間なんかになれるもんかよ」
「聞くまでもないでしょう。私は生まれながらにしての眷属ーー『眷属』よ。玉藻あなたもそうでしょう」
ヒルダは和服姿の獣少女に話しかけた。そこまでアイツのことをよく知らないが、耳が生えてるし、アイツもどうやらヒルダと同じ
「すまんのうヒルダ。儂は今回『師団』じゃ。未だ仄聞のみじゃが、今日星伽は
「タマモ。かつて先祖が教わったこと、妾は感謝しておるがのぅ。イ・ウーの研鑽派の優等生どもには私怨もある。今回イ・ウー主戦派は『眷属』ぢゃ」
そういったパトラは横にいたカナを見て、
「あーお前はどうするのぢゃ。カナ?」
「創世記41章11『同じ夜に私たちはそれぞれ夢を見たが、そのどちらにも意味が隠されていた』ーー私は個人でここに来たけれど。そうね無所属とさせてもらうわ」
それが道理ぢゃろうな…。となぜかしょぼくれるパトラ。
それを見てしょうがないなあ、という表情でパトラの額をつついたカナにパトラはわたわたと慌てる。
あー……
たぶんパトラ、カナが好きだな。あの感じ。
昔、紅華のことも好きだったし女が好きなのは変わんないなマジで。
「リバティーメイソンも『無所属』だ。しばらく様子を見させてもらう」
というトレンチコートの男。リバティーメイソンの殲魔師はいろいろ絡んできてうざったいから、もし敵ならこの戦争で壊滅させたいところだぜ。
「LOO」
今度は、なんかよくわからねえヤロウが声を上げる。
3mを超えるシルエット。迷彩塗装で照準器、アンテナ、グレネード、ロケットランチャー等をジャキジャキ突き出したそいつは2本足で立ってやがる。こんなおもちゃ兵器作るってところは……おおよそ、USA辺りの試作機ってとこか?
「LOOーーーLOO!」
「LOOよ、お前がアメリカから来ることは知っていたが、私はお前をよく知らない。意思疎通の方法がないのなら『黙秘』したものとみなすがーー良いな?」
「LOO」
「ハビーー『眷属』ーーーーなるー!」
よくわからねえヤロウの後、鬼のハビが300kgを超えるだろう斧をずしんと叩きつける。相変わらずの馬鹿力だぜ。
「藍幇の大使、諸葛静幻が宣言しましょう。私たちは『眷属』、そちら側に今回つくことにいたします」
藍幇のメガネがそう声をあげる。あの人数だけは多い藍幇が味方になったのはだるくなくて助かるぜ。
「遠山。バスカービルはどちらにつくのだ?」
「この前藍幇に襲われた恨みもあるし、かなえさんの裁判のこともある。バスカービルは『師団』だ。ブラドの美しい娘さんたちも相手にしてあげるよ。…そして俺の可愛い紅華、君も『師団』だろ?」
宣戦会議が始まる前と今じゃ雰囲気が全然違うトオヤマキンジ………紅華の彼氏。
馬鹿め、お前が紅華の彼氏だからって紅華が研鑽派とバチカンと同じ『師団』側につくわけねえだろうが。
紅華の方を見ると……
「か、可愛い!?こんなところでっ!?」
今のトオヤマの言葉で集中力が維持できなくなったのか、次次元六面が解除され、地上に降りてくる。その顔は髪と同じぐらい赤い。
こ、コイツ…!?
「紅華っ!?」
「はっ…!危ない…危ない。キンジが師団なら師団につきたいけど、バチカンと研鑽派は嫌。でもバスカービルと戦うのも嫌だから中立ってとこにさせてもらおうかな」
アタシの声で自分を取り戻した紅華は中立を宣言する。
それを見てトオヤマキンジは少し悔しそうな顔をする。
紅華……脳みそがお花畑すぎる。
あいつは頭がいいだけで、実際はかなり幼稚なのだが、彼氏に『可愛い』って言われるだけであんな慌てるなんてな……
でも…とりあえず一安心だ。
まあバチカン嫌い+元主戦派のくせに戦うことを避けがちな紅華は眷属寄りの中立になることはだいたいわかってたことだしな。
「ウルスは『師団』に付くことを代理宣言させてもらいます。私はバスカービルの一員ですが同じ『師団』になるのですから問題はないでしょう」
そこにいるのを忘れてたぐらい影が薄かったレキがそう宣言する。ウルスは敵か。面白いぜ。
「チッ、美しくねえ」
イラついたようにアタシ達を見るフェイスペインティングに彩られている
「バカバカしいぜ、
「GⅢ、ここに集うのは使者としての適正、一定程度の日本語が理解できることなどを基準に選出されている。また個人ではない限り、義務ではないが、好戦的でない宦官の男や若い乙女を選ぶのがしきたりだ。でもいいのか。このまま帰ればお前は『無所属』となり、この中の全てが敵になる可能性があるぞ」
「敵だァ?笑わせるな。今日は最近テメェらの周りで強そうな奴が出てきたから様子見に来ただけだ。いいか次は一番強えのを連れてこい。それを殺してやる」
そういう、GⅢの姿がどんどん見えなくなっていく。おそらく先端科学兵器の一種だろうが…科学系は魔女としては相性良くはないんだよな。
アタシら魔女からしたらよくわからないもんだぜ、科学は。
「下賤な男。吠える子犬のよう。殺す気も失せる」
「私が
日傘を差したままのヒルダと同じようにため息交じりに紅華も言う。
「でもこれで全員済んだみたいね。ねえ、ジャンヌ」
「その通りだ。最後にこの闘争は宣戦会議の地域名を元に名付ける慣習に従い『極東戦役』と呼ぶことを定める。各位の参加に感謝と、武運の祈りを…」
「じゃあ、もういいか?」
「…………もうか?」
「戦争はもう始まったんだろ。アタシはやるぞ」
私がそういってる側で、そーっと、アタシの後ろに回り込んでくる
「厄水の魔女…討ち取ったりィーー!!」
平和を唱えていたはずの
「あー、メーヤ…お前のそのアホさ、いっぺん死なないと治んねえなァ」
「大人しく切られないとは…ああ神よ、この者の罪をお許し……いえ、許さなくて結構です!神罰代行ッ、謹んで務めさせていただきます!」
戦争ーーー極東戦役のスタートだぜ。
この距離で戦うのはちとまずいから、水筒から水をーーばしゃっ!と弾き、メーヤから距離を取る。
「パトラ、紅華!ジェットストリームアタックを仕掛けるぞ!」
アタシはルガーP08でメーヤ撃ちながら、そう言うと
「……じぇっとすとりーむあたっく?」
日本のガンダムを知らないらしいパトラだが…アタシが何を言わんとしてることはわかるらしく、アタシの背の死角からメーヤに向かって金の指輪が変形した弾丸が飛ぶがーーーーアタシの弾もパトラの金弾もメーヤには当たらない。
「チッ、やっぱりダメかよ。とことん運のいいやつだな」
メーヤは『祝光の魔女』、簡単に言えば運がめっちゃ良い。それのせいでアタシ達の攻撃は当たらないんだが…うざすぎる特性だ。
それをみた紅華は、
「もう………私『中立』だし、色的に黒のザクじゃなくてシャア専用ザクなんだけど」
アタシの言葉にツッコミながら……スッと前ならえのポーズ。
そして、ぼわぁ………片方の目を紅色に光らせ始めやがった……!
詳しくは知らないが、色金関係の超々能力での攻撃だろう。メーヤの『超能力』をーー神の力と呼ばれる『超々能力』で粉砕する気だ。
マジで
「女の子達、今はまだちょっと早いわ。もう帰りましょう?ね?」
クソ美人な顔でカナがパトラの頭を撫でて無力化しつつ、弟のトオヤマキンジに目配せした後、目配せされたトオヤマキンジは目を光らせた紅華の前にたち、
「紅華、もうお休みの時間だ。1人で眠るのが怖いなら
などと、臭い台詞で紅華を口説きにかかっている。
「また、一緒に、ね、寝てくれるの…?」
「ああ当然さ、女の子の願いを叶えるのは男の義務だからね。俺にできることならなんでも叶えてあげるさ」
紅華達とは距離があるので声が小さくなったことで聞こえなくなったが……目の光はキャンセルされてる。警戒はしてるが、もうあまり戦う気はなさそうだ。
チッ、パトラも紅華も脳みそお花畑になりやがって。
GⅢの言葉を借りるなら『バカバカしい』ぜ、ホントに。
最新刊まで読んでいなくても伏線になるし、読んでいるとニヤッとできるネタを仕込んでいきたい今日この頃