さすがの俺もこれには堪えて、中学生ということもあり俺は擦れていった。
反抗期に入ったわけであるが、親にも気付いてもらえなかった。
中学生らしく、喧嘩に強くなりたくて格闘技を極めた。
万引きも繰り返し、また、成功率も100%を誇った。
家電量販店へ入り、60型液晶テレビを担いで堂々と出て行ったが成功した。
懐は暖かくなったが、心は冷えていた。
そんな中、ついに俺が中二の時、俺を認識できる人物にあった。
俺の前世での趣味は麻雀であり、中学生に上がってからはこの老け顔のために十代後半に見られない事もないため、雀荘に通うのが最近のブームである。趣味と実益を兼ねた有意義な時間の使い方であると我ながら思う。
また、俺が本気で存在感を消せば周りの客は俺のことを忘れてプレイに熱中する。その為俺は上がり放題なのあるが、そんな俺のプレースタイルに対して、常連客から「ステルスかげ」と呼ばれるようになった。
「ロンだ。平和二盃口純チャン清一色で数え役満だ。」
「マジかよ。いや~、ついてないわ。というかカゲいたのか。気づかんかった。」
という会話は日常茶飯事である。ちなみについさっき上がった時も同じことを言われた。
ところで常連客たちは俺の名前を忘れていて、影が薄いためカゲと呼んでいる。決して苗字の日之影からカゲになったわけではない。
「あ、おっさん飛んじまったわ。というかカゲも来てたのか。気づかんかった。」
という会話をしているとき、童顔で学ランを来た見るからに中学生の男が入ってきた。
胡散臭い笑みを浮かべながら、独り言をつぶやき出す。
『うわ~。タバコ臭いところだね。もしこんなところに我が校の生徒がいたら嘆くな。学園からも近いしここは生徒会長としては見過ごせないなー。』
と言いながらキョロキョロし出した。
場違いな服を着て入ってくるなり独り言を言うとはこいつはまともじゃないと思った俺は即座に背景に溶け込もうとしたが、目が合ってしまった。さらにこちらに向かって歩いてきた。
『キミの存在感やばいね~。なんか格ゲー路上格闘家に出ていそうな感じ。波●拳。なんつて。』
こいつはやばいと思い、さらに背景に溶け込もうとする。なんとなく嫌悪感がする。この嫌悪感はゴキブリが顔面に向かって飛んでくるのと通じるものがある。
『馴れ馴れしかったかな。そんなに怒らないでくれよ。まあ、一局勝負しようぜ。』
ゴキブリ、否、中坊が腰掛けると俺はため息を吐きながらプレイした。
「ロン。」「ロンだ。」「悪いがロンだ。」
勝負は東一局の1巡目で終わった。中坊が3人に振り込んで飛んだのである。
あまりに哀れで言葉が出ない。
『あっはっはー。負けたぜ。申し訳ないがもう現金が無くてね。これで勘弁してくれよ。』
そう言いつつ財布から取り出し渡されたものは「うすいうすい」と書かれたゴムだった。
俺が絶句し、俺のことを皮肉っているのかときれているあいだに中坊は出て行ってしまったが、後から考えると俺は初対面にも関わらず認識されているようであった。
うれしい反面、やはりあの中坊は只者ではないと思い、もうかかわらないでおこうと考えた。ゴキブリには近寄りたくないものである。