・・・自分に都合のいい世界は本当に幸せか?

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チート転生者は暴虐の果てに現実を望む

外には光輝く陽の光が窓から差し込む玉座の間。そこには1人の青年が静かに座っていた。

漆黒の髪に何も映さぬ黒色の瞳、動きやすそうな服を着込んでいた少年は目の前の存在をつまらなさそうに見ていた。

そこにいるのは酷く傷付いた1人の少女、しかしその顔は酷く嬉しそうにしていた。

「あぁ・・・嬉しいですぅ。嬉しいですぅ、私はやっと貴方のことを知ることが出来ましたぁ・・・!」

否、少女は嬉しいのだ。目の前の存在によって、嬉しくなっていたのだ

「こんなのに比べたら、みんなの希望とか、世界の平和とかなんてどうでもいいですぅ・・・!」

そうして、世界の希望(勇者)は目の前の青年に嬉しそうに媚びていたのであった。

堕ちた勇者(青年のものとなった女)を見つめながら青年は

 

これで何人目か、なんてつまらない(単純な世界)なのだろうと考えていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はチート転生者だ。そう、神様に力を与えられて異世界やアニメの世界に行って好き勝手を出来る。あの転生者だ

そして俺の前世は小太りでどうしようもないオタクだった。神様に文句を言いまくって、チート能力や転生を出来るとすると途端に機嫌を良くして、様々なチート能力をねだった

そして神様は俺のその全ての願いを受け止め、俺を転生させた。

そして俺はその転生後の世界でハーレムを作ったり、好き勝手をして生きていくと考えいた

 

 

そしてそれは全て現実となった(・・・・・・・・)

俺は本当に好き勝手に世界を弄くり回した。世界の美女を侍らせたり、世界の王にもなった。神様から願った無限の命で常に称賛を受け、神様のように信仰されることにもなった。

 

最初は楽しかった、人が自分が好きなように動くのは楽しかった。美女が俺に対しておねだりをするのは嬉しかった

 

それは10年経つと少し薄れ、50年経つと希薄になっていき、100年も経つとなにも感じなくなっていた

 

 

全てがつまらなくなっていたのだ

 

そこから俺はそのつまらなさを殺すために様々なことをしはじめた。

やる気がなかった修行もやり始めた。なにも知らない一般人にもなってみた。敵を作り上げ、世界の希望にもなっていた。その果てには女にもなってみた。

だが、それも年月が経つにつれ、つまらなくなった

そして、今していた世界の悪役になることは1番につまらないものであった。

最初は面白いことだと思った。いずれ、俺に脅威を出すものが現れ、俺のつまらなさを殺してくれるだろうと

 

だが、俺に脅威を示しますものは少なく、またその少ない者達も俺に絶対の忠誠を誓う者が全てだった。

 

世界は完全に俺を中心に回っていた(世界はもう止まっていた)

 

つまらない、もうなにもかもがつまらない。この世界にいることすらいることが苦痛だ。

 

 

「えへへ、御主人様、御主人様ぁ。わたしは貴方の犬ですぅ。なんでも命令してくださいね・・・」

 

自分から下着姿になり、完全に女の顔になっている勇者からの言葉なんていらない。

 

もういい、ヤメテクレ。もうたくさんだ・・・

 

俺はもう俺の思うままに動く世界なんてみたくない。

 

こんな地獄を味わうくらいなら、小太りオタクだったあのころの方が・・・

 

「小太りオタク・・?」

 

自分自身で考えていたことに俺は長らくも発していなかった、自分の声を発していた

 

・・・何もなかった世界、俺が主役でなかった世界、昔はクソだと思っていたあの世界

 

けれども、今思うとあの世界には酷く憧れを感じていくようになっていた

 

あの世界は確かにクソだった。けれども俺の都合のいい世界ではなかった

 

あの世界は確かに嫌な世界だった。けれども俺のことを見てくれるだけの世界ではなかった。

 

・・・俺は帰りたい。あの世界に帰りたい。

 

いや、帰る。俺はあの世界に帰るのだ

 

「・・・勇者よ。貴様に言いたいことがある」

 

勇者は俺の言葉を聞いた瞬間、顔をさらに嬉しそうな顔をしながら腰を振り始めた

 

「はいぃ!どんな命令でも聞きますぅ!私に!私にお任せを!」

 

「・・・魔力を持つ人間をかたっぱしから集めろ」

 

俺が勇者に命じた命令は一つ、魔力を持つ人間を使い、ある魔法を唱えることにすることだ

 

「はい!はい!はい!任せてください!あぁ、御主人様が頼んでくださる・・・嬉しいですぅ!」

 

そういうと女はすぐに消えていった

 

 

そこから後の話をは語るまでもない。

 

あの勇者はすぐに魔力を持つ人間をかたっぱしから集めていき、玉座に人々を詰めていた

 

「あぁ、あの方がいらっしゃる。見てらっしゃる・・・!」

 

「なぜ、なぜ勇者様があのような・・・?」

 

俺に対して忠誠を誓う者達の言葉、俺に敵対する者の言葉

 

けれども俺にはそんなのは関係はない。

 

もはや人々が集まった時点で俺の目的は達成した

 

ゆえに話しかける必要もない

 

俺は手を上へと突き出し、魔力を人々から搾り取り始めた

 

搾りとった魔力は俺の上空へと集まっていき、一つの光へとなっていた

 

「ぐっが・・!」

 

「痛い、痛いけど・・・あの方から使ってもらっている嬉しい・・・!」

 

人々は搾り取られた反動で苦しみ始めている。

 

俺にとってはどうでもいいが、さすがに弄くり回した世界の清算はしとくべきだろう

 

集まった光に俺は近付き、それを一思いに・・・

 

 

握り潰した

 

握り潰した光は回りへと拡散していき、人々は一気に崩れていった。

 

そしてそれは世界の全てで起きている。

 

全ての存在は今、動くことなく動くことを許されていない。

 

次に全ての存在が動き出した時には人々は俺を知らない者達となる

 

俺はこの世界に戻るつもりはないのだ。ならば俺の存在を消しておいた方が良いだろう。

 

 

さて、準備は整った。俺がいた転生する前の世界へと戻るとしよう

 

握り潰した光は再び集まり、俺の目の前に扉となって現れていた

 

再び、あのクソだと思っていた世界へと帰る。

 

けれどもそんな世界でも俺にはこの世界よりも良いのだ。

 

あぁ、久しぶりにこの感覚を感じている。

 

チートなんてないあの世界はどのようなものであったか

 

俺が正しくいた現実はどんなものであったか

 

あぁ、楽しみだ

 

還ろう、俺が正しくいた現実へ

 

俺は現実を望む

 

 

 

 

 

 




彼の不幸は彼を止める抑止力が世界に存在しないことだった

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