それは、ほんの些細なことの積み重ねだった。
その一。
「南、今日はお前が晩飯作ってくれるんだよな? まだ出来ないか? 空腹で飢え死にしそうなんだけど」
「ああ、寮の皆が知ってるよ……アフリカの飢えた子供たちもな!」
一夏の無神経な言葉に、必死にフライパンを振る南が怒鳴る。
その二。
「なぁ、南。この前貸した消しゴムあるか?」
「ああ、すまん。返し忘れてた……ほら」
「……なぁ、何で使ってない方の角を使うんだ?」
「たまたま消したいところが一文字だけでな。新しいノートだから綺麗な字を心がけてたし、周りを消さないように角を使わせてもらった……失敗したが」
無断で新品部分を使われた一夏は、文句の言葉こそ出さないが、大きくため息をついた。
その三。
「ふぅ、疲れた」
「おい、お前はどうして連絡を返してこないんだ」
「……ただいま、南。今帰ったよ……そうだ、お土産も買ってきたんだ」
「…………」
「皮肉で言ってるんだぞ」
「だろうな」
「帰って来て早々になんだよ……うわ、凄い量の着信が」
「何のための携帯なんだ」
「ほんちゃんと話し込んでたからさ。今度の休みにどこ行くかで」
連絡が取れない一夏の反省しない態度に、南は苛立ちながら頭を掻いた。
その四。
「南、俺が買っておいたお菓子知らないか?」
「ん? 中にあんこが入った……」
「そう、それ」
「昨日食べたぞ。美味しかった」
「何で勝手に食うんだよ!」
「ご自由にどうぞと言わんばかりに並んでたから、つい……」
「店先に並んでる綺麗な花は食べないようにな!」
こんなことが続き、そして……。
「ふー、今回もいい所で終わってしまった。相変わらず先が読めない展開だ」
南はゆっくりと漫画を閉じながら息を吐いた。
そのまま立ち上がり、本棚へと足を進める。
「ああ、その漫画、南も読んでたのか」
「これ面白いな。主人公がどんどん強くなっていくのが爽快だ」
「どこまで読んだ? 一巻で死んだ師匠が実は生きてた所は?」
一夏が屈託のない笑顔で言った。
その瞬間、南は固まり、新たに取り出した巻をポトリと落とす。
「お前、ふざけてるのか?」
「え?」
「ネタバレだろ!」
「あ……ごめんごめん。じゃあ、敵の幹部だったお姉さんが味方になる所あたりか」
それもまたネタバレだった南は、肩を震わせて一夏を睨んだ。
その様子に、一夏はしまったという顔をする。
「何で言うんだよ!」
「悪い、知らなかったから……でも南だって、もっと早くまだこの辺ってことを言ってくれればこんなことには……」
「なんだ、俺が悪いのか?」
「そうは言ってないだろ!」
「携帯には出ないくせに、ネタバレはするんだな」
「今それは関係なくないか!? それに、人のお菓子を勝手に食う南に言われたくない」
「もういい、出て行く」
「勝手にしろよ!」
一夏は、吐き捨てるように言って、ベッドに横になった。
そんな彼を尻目に、南は大きめのバッグに下着や衣類、制服を詰め込んで抱える。
そのまま、別れの言葉も言わずにズカズカと扉の方へ行き、勢いよく部屋を飛び出した。
大きな音を立てて扉が閉まる。
「もう、ラウラったら、また寝る前にポテトチップスなんて食べて……」
「鈴に教えてもらったが……うむ、中々いけるぞ」
「じゃ、じゃあ僕も一口……」
「体重を気にするお前は食べない方がいいんじゃないか?」
シャルとラウラの一日は、今日も平和に終わろうとしていた。
ベッドの上でポテトチップスを頬張るラウラの背中に、シャルが体重を預ける。
「もう、ラウラの意地悪」
むくれながらシャルが呟くと、部屋の扉がノックされた。
ノックというよりは、乱暴に叩かれていると言ってもいい。
「ん、誰だろう? こんな時間に」
シャルは名残惜し気にラウラから体を離し、はーいと返事をしながら扉を開けた。
「よう」
その先には、どこか不機嫌そうな南が立っており、大きなバッグを抱えている。
「み、南っ!? ど、どうしたの、こんな時間に……僕に、何か用?」
「ん、遂に嫁であるお前から夫の部屋を訪れるとは……これが夜這いというやつか。私は待ち望んでいたぞ、南」
シャルが南という単語を発した瞬間、パジャマが模している黒猫のような俊敏さで、ラウラが扉の前に飛び込んできた。
ラウラの黒猫と、シャルの白猫が重なると、どこかリラックスできた南は、ゆっくりと息を吐いて頬を緩める。
「夜這いではないが、この部屋で一夜を明かしたいのは事実だ」
「え?」
シャルが素っ頓狂な声を出した。
後ろのラウラは固まっている。
「泊めてくれないか?」
「え、あ、う、もちろ、もちろん!」
「そ、そそそ、そうだな! しゃ、シャルロット、ココアでも淹れてやろう」
「いや、疲れたからもう寝るよ。ソファを借りるぞ」
南はそそくさと部屋に入り、鞄をソファに乗せると、その上にタオルを敷いて枕を作る。
扉を閉めたシャルは、すぐさま部屋の中へ引き返し、南に詰め寄る。
「いやいや、南はお客様なんだから、ベッドを使ってよ! 僕の使ってくれていいから……」
「何を言うんだ。南は私の嫁だぞ。当然、使うのは私のベッドだ」
「ポテトチップスで汚れたベッドに、お客様は寝かせられないよ」
意地の悪い笑みを浮かべたシャルに、ラウラが苦しそうな顔をする。
「んなっ! よ、汚れてなどいない!」
「本当かな~?」
「うぅ……」
「ほら、南っ、遠慮しないで、僕のベッドを使って」
「そうか? それじゃあ……」
そう言うと、慎重に移動した南は、シャルのベッドにゆっくりと体を乗せた。
シャルとラウラが固唾を飲んでその様子を見守っている。
「どうした、寝ないのか?」
「う、うんっ、寝る! 寝るよ!」
シャルは笑顔で何度も頷きながら部屋の明かりを消した。
その頬を赤く染めながら、南の隣に身体を滑り込ませ―――ようとした瞬間、ガッと強い力で腕を掴まれた。
「諦めなよ、ラウ……ラ……」
振り返ったシャルの目に飛び込んできたのは、涙目で腕を掴むラウラだった。
上目遣いに彼女を見つめる潤んだ瞳は、とてもか弱い。
「はぁ……じゃあ、南を挟んじゃおっか」
ため息をついたシャルは、小さく笑いながらラウラに言った。
すると、先程までの悲し気な表情は一瞬で消え失せ、ぱぁっと笑顔を綻ばせた。
「南、隅っこじゃなくて、真ん中に移ってもらっていいかな?」
「真ん中?」
既に目を閉じていた南は、片目だけでシャルを見上げた。
それと同時に、シャルは南の背中側に回り、その背中を軽く押しながらベッドに入る。
「ひゃー、あったかい」
「よ、よし、行くぞ、南。行くからな」
「どこに……うおっと」
先にベッドに入っていた南のお陰で温まっていた布団が、シャルの表情を蕩けさせた。
緊張気味に告げたラウラも、南が聞き返すのもお構いなしに、布団を剥いでその中へ。
「少し狭いが、これは温かいな」
満足気に目を閉じた南は仰向けになった。
しばらくは静かにその温もりを抱いていたシャルだったが、小さく南の胸元を叩いた。
いつもより近い距離にある彼の身体に、シャルの心臓は高鳴り続けている。
「南」
「なんだ?」
「どうして、今日はお泊りに来たの?」
「……一夏が悪いんだ」
南は鼻で息を吐きながら答えた。
「喧嘩か?」
ラウラが容赦なく訊ねる。
「そんなところだ」
「また南が余計なこと言ったんでしょ」
「違うぞ。アイツが漫画のネタバレを……」
「はぁ、それで部屋を飛び出してきたの?」
南は答えなかった。
寝返りを打って、シャルに背中を向ける。
そうすると、ラウラの顔が近くにあった。
目を閉じていたラウラだったが、その気配に薄っすら目を開けると、南の顔が近くにあり、頬を真っ赤に染める。
「早く仲直りしなよ……」
そう言ってシャルは、南の背中に抱きついた。
腹に手が届き、南がピクッと震える。
「ん?」
シャルの顔が、悪戯を思い付いた子供のようになる。
回している手を少しだけ動かした。
「お、おま……ちょっ……」
「もしかして、南はお腹が弱いの?」
「くすぐったいだけだ。その言い方だと、俺がすぐに体調を崩す奴みたいじゃないか。そもそも、そんな触られ方したら誰だっておひょん!」
「あはっ! ねぇ、ラウラ」
「ああ、分かっているシャルロット。どうやら私の嫁は腹が弱いらしい」
南が助けを乞うべく目を開けると、そこには邪悪に笑ったラウラの顔があり、次の瞬間には二人がかりで体中をくすぐられることになった。
「はぁ、それで一夏と喧嘩になったというわけか」
箒がため息をつきながら、焼き魚を口に運んだ。
これまでに感じたことのない、心地良い圧迫感に目を覚ました南は、自分に抱きついて眠るシャルとラウラを起こさないようにベッドを出て、食堂に来ていた。
パンとスープ、サラダにハムエッグという朝食の代表のようなメニューを野菜ジュースで流し込む。
「この歳になって、漫画のことで喧嘩なんてするな」
「すまん……」
一夜明けて、少し冷静になっていた南は、箒の言葉に肩を落とした。
「教室に着いたら、ちゃんと謝るんだぞ」
「……」
「分かったか?」
「ああ……」
ぶっきらぼうに言った南に苦笑した箒は、一つ息を吐いて卵焼きを摘んだ。
「ほら、これをやるから」
「卵焼きで落ち着けというわけか……随分と俺も甘く見られたな」
「いらないのか?」
「あー」
箒が目を細めて声を低くすると、南は口を大きく開けた。
そんな彼に満足した箒は、その口に卵焼きを運んだ。
「……美味い」
もしゃもしゃと咀嚼する南を見ている箒の笑顔は優しい。
「ちょっと、鈴さん! どうして、わたくしのマフィンを取りますの!?」
「何よ、いいじゃない一つくらい! ほら、あたしのサラダに入ってるトマトあげるから」
「それは、鈴さんが嫌いなだけでしょう!」
少し離れたテーブルから聞こえてくる声に、箒が頭を抱えた。
「この歳で朝飯を巡って喧嘩とは……」
「お前が言うな」
「その卵焼きを食べさせれば落ち着くかもな」
南は残りの野菜ジュースを飲み干して、ゆっくりと立ち上がる。
ホームルーム前の教室で、南は、昨夜の寝心地がどれだけ良かったかを語るラウラの熱弁を聞き流しながら、肘をついていた。
しばらくして、一夏が教室に入ってくる。
その後ろにいるのは本音ではなく、相川清香と谷本癒子だった。
それぞれの席につきながら、クラスメイトに挨拶しているのが見える。
一夏もまた、シャルと話していた。
「悪い、ちょっと」
ラウラに一声かけた南は、返事も聞かずに立ち上がった。
教室の前方へと歩いて行く。
「なぁ……」
「……なんだよ」
頭の上から聞こえてきた南の声に、一夏は見上げながら応えた。
「その……なんだ……」
南は、クラスメイトの話し声がいつもより騒がしい気がして、頭の中で何を言うかが、すぐに浮かばなかった。
そんな彼を見上げる一夏も、ただ言葉を待つだけで何も言わない。
お互いに、どこか戸惑いがあるようだった。
「なんでもない……」
それだけ言うと、南は自分の席に引き返す。
箒が肩を落としているが、南には関係なかった。
一方、一夏は今朝、食堂で清香と癒子に言われたことを思い出していた。
『確かに、それは織斑君が悪いよねー』
『うんうん。彼女持ちだし』
『でも、神代君もよく分からない事言うからなー』
『うんうん、専用機持ちにモテモテだし』
『俺は謝るつもりはないぞ』
『よーし、七月のサマーデビルこと、わたくし谷本が、織斑君にとっておきの挑発を伝授しよう』
清香は隣で頷いていただけだったが、癒子は悪い顔で一夏に向かって口角を上げた。
(柄には合わないけど、ここは谷本さんに教わったアレ、言ってみるか……)
一夏は、ガタッと音を立てて立ち上がった。
「言いたいことがあるなら言えよ、チキン野郎」
少し離れた席に座る箒とセシリアが、驚いた顔をしている。
背中に一夏の授けられた挑発を受けた南は、ゆっくりと振り返った。
「それは中傷になってないぞ。ガキの時、鶏に追い回されて、木によじ登って逃げたことがある」
「鶏は木を登れないでしょ?」
アイツらは強敵だ、と付け加えた南に、シャルは笑いを堪えながら言った。
「おかげで助かったよ」
それだけ言い残して、自分の席に戻る。
一夏も性に合わない言葉を使って、しっくりこないまま再び席についた。
斜め後ろで、癒子がグッドサインを出しているのには、当然気が付かない。
昼休みになり、食堂を訪れた南は、鈴と共に中華カウンターで料理を待っていた。
箒とセシリア、シャル、ラウラは先に昼食を受け取り、テーブルに座っている。
「なるほどねぇ」
「ネタバレは酷いだろ?」
「まぁ、一夏は昔からそういうとこあるから……ネタバレされるのは嫌がるくせに、相手には無意識に言っちゃう、みたいな」
鈴は踵を上げ下げしながら、南の前で頭を揺らした。
そんな彼女のツインテールの左側を手に取った南は、指先でクルクルと回し始める。
「それでよく弾とも揉めてたわよ。でも、ちょっとしたらまたいつも通りだったし、アンタもつまらない意地張ってないで、さっさと仲直りしなさいよね」
「……分かってる」
いじけたように言った南は、トレーに乗った麻婆豆腐定食を受け取った。
「あの漫画の相棒キャラも、妹と付き合った主人公とすぐに仲直りしたでしょ? 最初は黙ってたことに怒ってたけど」
「おい、嘘だろ? 主人公、あの娘と付き合うのかよ……」
鈴のネタバレに、南は崩れ落ちそうになった。
慌てて口を塞ぐ鈴。
「ごめん、ネタバレだわ……」
「もう今更だな……」
先にいた四人が座るテーブルにトレーを置いた南は、強い眼差しで麻婆豆腐を睨んだ。
箒の隣に腰かけながら、高らかに言う。
「誰かを蜘蛛の糸でグルグルに巻き付けて、思いっきり締め上げてやりたい気分だ。今なら織斑先生も怖くない」
「鶏に追い回された方が、大きく出ましたわね」
セシリアは冷静にスープを一口飲んだ。
南は、寮の廊下を歩きながら、今日は誰の部屋に泊めてもらうかを考えながらぼんやり歩いていた。
「あら、南くん」
「南」
背後から声をかけられて振り返ると、楯無がにこやかに手を振っていた。
その隣では簪が控えめに笑みを浮かべている。
「姉妹で仲良く寮を散歩か?」
「ううん……お姉ちゃんが、生徒会の仕事をサボりたいってうるさいから、生徒会室に連行中なの」
「簪も大変だな」
「聞いたわよー、南くん。一夏くんと喧嘩してるって」
楯無は、いつものように南の腕に抱きつきながら言った。
その勢いにのけ反りながらも、彼女の身体を支える。
「流石、生徒会長。一年生の事情にも詳しいな」
「んふふー、でしょー?」
南の腕に顔を擦り付ける楯無の制服を、簪が必死に引っ張っている。
「お、お姉ちゃんっ……は、な、れ、て……んー!」
目をぎゅっと閉じた簪は、体重をかけるが楯無は一向に離れない。
いつもの光景に頬を緩めた南は、その腕に抱きつく楯無の顔が優しいものに変わっていることに気付いた。
「あのね、南くん。多分、一夏くんも悪気があったわけじゃないと思うのよ」
「それは……」
分かってる、と南は心の中で付け足した。
「同じ漫画を読んでたから、テンションが上がっちゃっただけなんじゃないかな?」
「私も、そう思う」
簪はついに楯無を引き剥がすのを諦め、南の反対側に回った。
ピタッと、体ごと南に寄せる。
「織斑くんも悪いと思ってるはず……だから、許してあげて」
簪が穏やかに諭すと、南は何度か小さく頷いた。
「それじゃあ、三人で生徒会室に……」
「「行かない」」
南と簪の声が被った。
その瞬間、廊下の先から本音を連れて歩く一夏の姿を見つけた。
そして一夏もまた、すぐ先に南を見つけて目線を下げる。
「あらあら、ちょうどいいタイミングね」
楯無は嬉しそうに言うと、南の腕から離れた。
しかし、簪はもう少し……と、南の腕を離さない。
「もう、簪ちゃんったら……ほら」
簪の制服を持った楯無は、勢いよく引っ張り、簪をいとも簡単に南から引き離した。
「お姉ちゃん、馬鹿力……ズルい」
簪は名残惜しそうに手を宙に彷徨わせる。
「みなみん、いっくんに言う事があるんじゃないー?」
意外なことに、すぐ傍まで来た二人のうち、先に口を開いたのは本音だった。
その顔は少しだけ怒っており、拍子抜けしてしまった南だったが、一夏に謝ろうと言葉を探す。
しかし、こちらもまた、先に口を開いたのは更識姉妹だった。
「本音、南だって分かってる。先に言っちゃ駄目」
「そうよ、これは本人同士で話をするべきことでしょう?」
「かんちゃんと、たてなっちゃんだって、みなみんの味方しちゃだめー。いっくんはただ、みなみんとお話ししたかっただけだったのに、先に怒ったのはみなみんなんだよー」
いつも通り、間延びした話し方ではあるものの、本音は南を袖で指した。
「そんなのは一夏くんの都合でしょ? 話すにしたって、どこまで読んだかを先に聞いてからにしないと」
「ネタバレは、重罪」
「でもでもー、それはー……」
気が付けば、楯無と簪、本音が言い争う形になり、南と一夏は完全に置いてけぼりになっていた。
廊下の真ん中で言い合いをしている三人を、男二人は端で静かに見ていることしか出来ない。
「……千冬姉にさ」
「ああ」
「コーヒーゼリー作ったんだけど……食べるか?」
「……ああ」
「そうか……じゃあ、あの漫画のアニメを見ながら食おうぜ」
「そうしよう」
「あの伝説の剣が、魔王に折られた話は……」
「……見てない」
「えっと……折られてないかも。行こうぜ」
誤魔化すように言った一夏は、南の肩を組んで、自室の方へと足を進める。
遅れて南も、その肩をそっと叩いた。
「あ……ほんちゃんと楯無さんと簪さん、どうする?」
廊下の曲がり角で、一夏が後ろを伺った。
幼馴染だという三人は、南と一夏がいなくなっているのにも気付かずに口論している。
「かなり、熱くなってるけど……」
「……箒が卵焼きを持ってくるのを待つか」
心配そうな一夏に、南は小さく呟いた。